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聴いてみた 第98回 アウトフィールド

今回聴いてみたのはアウトフィールドの「Bangin'」。
1987年の作品で、バンドとしては大ヒットアルバム「Play Deep」に続く2作目にあたる。
・・・などとすらすら書いてますけど、このバンド、果たしてどれくらいの方がご存じでしょうか?

アウトフィールドはイギリスで結成された3人組バンドである。
メンバーはトニー・ルイス(B/Vo)、ジョン・スピンクス(G)、アラン・ジャックマン(D)。
3人は幼なじみで、結成当時はシリウスBと名乗り、その後ベースボール・ボーイズと名前を変えたが、いまいちあか抜けない理由でジ・アウトフィールドに改名し、85年デビュー。
なおジョンは70年代にはランニング・ブラインドというメタルバンドに在籍していたそうだ。

基本的に活動の場はアメリカで、デビューアルバム「Play Deep」が全米9位を記録。
シングルでは「Your Love」が全米6位、「All The Love」が19位。
セカンドアルバム「Bangin'」も最高19位まで上昇した。

96年までに6枚のアルバムを発表しているが、たぶん日本でもイギリスでも、2枚目以降は全然売れてないはずである。
自分も当時聴いたのはシングル「All The Love」だけで、アルバムは全く聴いていなかった。

今回聴く機会を得たのも、たまたま三軒茶屋の中古CD店で見つけたからだ。
本音を言えばデビューアルバムが聴きたかったのだが、セカンドだと気づいたのは買った後だった。
「All The Love」しか聴いてなかったが、この曲のノリやボーカルはポリスによく似ている。
ということで、ポリスっぽいサウンドに期待しつつ聴くことにした。

Outfield

・・・・・聴いてみた。

収録曲は以下のとおり。

1. Somewhere In America
2. Bangin' On My Heart
3. No Surrender
4. Moving Target
5. Long Way Home
6. Playground
7. Alone With You
8. Main Attraction
9. Better Than Nothing
10. Since You've Been Gone

どの曲も透明感のあるクリアで広大なサウンド。
ポリスとボストンとREOスピードワゴンをまぜたような楽曲に、スティングとジョン・アンダーソンとコリン・ヘイをまぜたような高い声のボーカルが乗る。
イギリスのバンドだがサウンドはやはりアメリカンで、実績もアメリカでのほうが圧倒的に高いのもうなずける気がする。
とりあえずプログレやデスメタルのような音楽とは全く別次元に位置していて、難解な要素は何もない。

ただ、思いの外メロディが寂しげな曲が目立つ。
「Somewhere In America」「Bangin' On My Heart」「Playground」など、ポリスやU2の路線にも近いようにも聞こえる。
「All The Love」のようなテンポもメロディも明るい曲が出てこないのはやや不満。

「Alone With You」は壮大なスローバラードだが、感じは「All The Love」に少し似ていて、これはいいと思う。
「Main Attraction」が唯一ハードロックなナンバー。
いかにも80年代の音で、ジャーニーやナイト・レンジャーを思わせる。
ラストの「Since You've Been Gone」、タイトな演奏にコーラスワークの効いたボーカル。
安定感もあり、悪くない。

ということで聴き終えた。
悪くない。
楽曲も歌も安定しており、ヘタな部分や痛い箇所というものがどこにもない。
ただ、すでに80年代の音をサルのように毎晩聴いてきた自分にとっては、「他でも聴ける音」に聞こえるのも確かである。
要するに「これぞジ・アウトフィールド!」という華や毒の部分がないのだ。
木村健吾とか木戸修とかロッキー羽田といったおもむき。(わかりにくい)
リアルタイムでもっと聴いておけば感想は全く違っていただろう。

87年の作品だが、87年頃と言えばイギリスではニューロマが、アメリカではLAメタルがそれぞれ盛りを過ぎ、オルタナやグランジが徐々に動き始めた、マーケット的に案外難しい時期である。
もう5年早くこのサウンドで登場して、日本向けのプロモーションもきっちりやって、ラジオや雑誌にもマメに登場し、東郷かおる子や渋谷陽一からの評価もとりつけていたとしたら、かなりのセールスを記録していたんじゃないかと本気で思う。
繰り返し言うが、ミーハーかもしれないけどサウンドは悪くないのである。

そんなわけで、アウトフィールド。
悪くはなかったので、やはりデビューアルバムを聴いておかないといけないと思いました。
中古でCDを探すのもやや大変だと思いますが、機会があれば探してみようと思います。

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コメント

SYUNJIさん、こんにちは。
誰ですか、これは???

>>96年までに6枚のアルバムを発表しているが、

結構なベテランと言うことですが、名前すら知りませんでした。

>>ポリスとボストンとREOスピードワゴンをまぜたような楽曲に、
>>スティングとジョン・アンダーソンとコリン・ヘイをまぜたような
>>高い声のボーカルが乗る。

ということは、イギリス出身ながら私向きと言うことに
なりますね。

コメントを拝見していて思ったのですが、最近今更ながら
アメリカンプログレのカンサスにはまっています。この
バンドは、アウトフィールドとは逆にアメリカ出身ながら
イギリス指向のプログレを演奏していますが、アメリカン
ですので、わかりやすく壮大なメロディがよいです。
評をみておりますと、ボストンあたりに影響を与えて
いるとのことですので、ひょっとするとアウトフィールド
も影響を受けていたかも???

投稿: モンスリー | 2012.10.21 16:49

SYUNJIさん、お邪魔します。

アウトフィールド。
名前は聞いた事があるような気がするものの、曲は全く思い浮かばず・・・だったので、カセットテープを調べてみたら、1曲だけありました。

邦題が「遥かなる想い」、恐らく聴かれたアルバムのラスト曲「Since You've Been Gone」ではないかと。
イントロを聴いたら、サビの部分を思い出しました。なので、当時はわりと聴いていたのではないかと思います。

いい曲だと思いますが、確かに強烈な個性が感じられず、SYUNJIさんが書かれているように“他でも聴ける音”ですね。
(1曲しか知らないのに偉そうに言うのもなんですけど)


80年代半ばは、チャートを追っかけていた頃なので、ある程度ヒットした曲はとりあえずエアチェックしていたにもかかわらず、彼らのデビューアルバムの楽曲は全く知りません。
不思議です。

投稿: まったり男 | 2012.10.21 18:53

SYUNJIさんこんばんは。

まったく知らないのでコメント出来ませんけど。

>木村健吾とか木戸修とかロッキー羽田といったおもむき。(わかりにくい)

渋いんですか? コメント見ると無難な音楽かなぁ~

SYUNJIさんコア過ぎます・・・(笑)

YOUTUBEで見てみます。

投稿: ボレロ | 2012.10.21 22:59

モンスリーさん、コメントありがとうございます。

>誰ですか、これは???

またそんなぷく先輩的発言を・・(笑)
でも知名度はそんな感じなんでしょうかね・・
まああたしも1曲しか聴いてませんでしたが・・

>ということは、イギリス出身ながら私向きと言うことになりますね。

うん、80年代のアメリカ音楽が好きな人なら、違和感はないサウンドだと思いますよ。

>アメリカンプログレのカンサスにはまっています。

あ、カンサスってプログレなんですね・・(ド素人)
「伝承」しか聴いてませんので、そのうちBLOGで採り上げようかと思います・・

投稿: SYUNJI | 2012.10.22 23:50

まったりさん、コメント感謝です。

>邦題が「遥かなる想い」、恐らく聴かれたアルバムのラスト曲「Since You've Been Gone」ではないかと。

おお、そんなシブイ邦題がついていたんですね。
ということは、このアルバムまでは日本のレコード会社もそれなりに売ろうとしてたのかな?

>彼らのデビューアルバムの楽曲は全く知りません。

あたしも最大のヒット曲はなぜか聴いておらず、二番目に売れた「All The Love」だけ聴いていたという妙な経歴です。
不思議ですね。

投稿: SYUNJI | 2012.10.22 23:57

ボレロさん、コメントありがとうございます。
でもレッチリよりアウトフィールドにコメントがたくさん来るとは思いませんでしたが・・

>渋いんですか? コメント見ると無難な音楽かなぁ~
>SYUNJIさんコア過ぎます・・・(笑)

うーん、たとえが適当すぎましたね・・
アウトフィールド、渋いという感じじゃないよなぁ。
テレビにかじりついて見るというより寝っ転がって見ても安心なロッキー羽田というか・・(もはや何を言ってるのか不明)

投稿: SYUNJI | 2012.10.23 00:03

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