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観てみた レッド・ツェッペリン Celebration Day / 祭典の日

2007年にロンドンで行われた、レッド・ツェッペリン一夜限りの再結成コンサート。
そのライブDVD・CDの世界同時発売に先行して東京・名古屋・大阪・福岡の映画館で一週間限定の上映が行われるとのことで、滅多に映画館なんか行かないあたしですが、観に行って参りました。

2007年の再結成の騒動については、実は当時もかなり冷ややかに見ていました。
あのエリカ様も駆けつけたというライブでしたが、なんと言っても解散から27年も経っていて、メンバーそれぞれは27年分加齢しています。
ロバート・プラントに往年の声を求められるはずもなく、ツェッペリン最大の鑑賞ポイントがプラントの絶叫にあると信じているあたしとしては、数々の名曲が27年分枯れた声で歌われるのを今さら聴くのもなぁ・・と、さめた感情でとらえていました。
ライブ直後にネットでいくつか映像を見ましたが、そもそも一般人が携帯などで録画した映像なので、アングルは固定で画質も音も悪いものばかりで、さほど興奮するようなこともありませんでした。

なので今回の鑑賞においても、プラントに過剰な期待はするまい・・と思って着席。
まあ加齢が目立たない選曲だったり、昔の音を再現したりという工夫もあったりするんだろうなという、天下のツェッペリンを相手にすっかりナメた構えでおりました。

自分が観たのはTOHOシネマズ渋谷です。
200席のスクリーンですが、この回の客の入りは半分くらいでしょうか。
当然ですが中央部に客が集中しており、両サイドはガラガラです。
自分はどこでもよかったので前寄り右端に座りました。
客層はおっさんばかりかと思いきや、意外にそうでもなく、妙齢の女性も結構来ていました。

今回の上映については、主催者側としては映画としては見せるが、それ以上のことは何もしないというスタンスのようです。
パンフやグッズの販売なども全くありません。

これより先、ライブの内容にふれる記述となりますので、鑑賞前の方はご注意ください。

・・・・・観てみた。

Zep_2

観るまで映画の趣旨はドキュメンタリーなのかライブなのかわかりませんでした。
自分は勝手にドキュメンタリーっぽいものだと思っていたので、記者会見の模様やメンバーの久々の再会の様子やリハーサル風景や楽屋で弁当食ってくつろぐジミー・ペイジなんかも出てくるんだろうと期待してスクリーンを見つめていました。

しかし。
映像はいきなり会場上空から撮影した大観衆で始まり、どこか古くさい「それではレッド・ツェッペリンの登場です」的なコールのあと、「Good Times Bad Times」のイントロがばんばん!ばんばん!と流れ、場内大歓声大興奮の幕開け。
何の前フリもなく、もう伝説のライブが始まりました。
前座も前説も一切なし。
いや、現地ではあったかもしれませんけど、映画ではそういうシーンはありません。

照明が当たってメンバーの顔があらわになりました。
この頃のペイジの姿は北京オリンピックやプロモーションの映像でけっこう目にしていたのですが、他のメンバーの2007年当時の顔はあまり見ていなかったので、やはりプラントもトシとったなぁ・・と感じました。
ちなみにプラントは髪型は解散当時とあまり変わってませんでした。
あれから5年経って今はだいぶ違うようですが。

ご存じのとおりペイジはすっかり白髪になっていて、黒いサングラス姿が内田裕也と神奈月扮する井上陽水をまぜたような雰囲気。
ジョン・ポール・ジョーンズは髪型が現役の頃と全く違うので、「こんなヒトだったっけ・・?」というのが正直な感想。
ただ3人とも体型にあまり変わりはないようでした。
ネットでは「ペイジの腹が出ていた」という厳しめの評価が多いようですが、80年代のぼよよんなペイジよりは全然マシ。
ドラムはジェイソン・ボーナムですが、すでに髪の毛は全然ありません。
ボンゾが存命だったら、やっぱしハゲてたんでしょうか。

貧困な感想ですけど、演奏はどれも素晴らしいものでした。
一夜限りとはいえみなさん加齢してるので、わりとおだやかなシニア向けナンバーが多いのかと思ってましたが、全然そんなことはありません。
思ったより体育会な選曲で、激しい楽曲が続き、特にペイジは弾きまくり。
さすがにプラントの声も加齢はしてましたが、後期の曲であればレコードの声とさほど変わらない印象を受けました。
むしろ90年代のペープラの時のほうが全然声が出てませんでしたね。

ペイジのギターも今まで聴いてきた音とほとんど変わりません。
たまにやや危なっかしいところはあったようですけど、がっかりするような場面は全くありませんでした。
スクリーンにはペイジの手元がよく映し出されます。
曲ごとにわりとマメにギターを変えており、「Dazed And Confused」「Stairway To Heaven」などはダブルネックの18弦(でいいの?)でいろいろな音を出していました。
弓を手に恒例のバイオリン奏法も披露。
自分はギターを弾けないのでペイジのすごさは具体的には理解できませんが、ギターが弾ける人なら非常に興味深いシーンがあちこちにあるんじゃないでしょうか。

ジョーンジーは曲ごとにベースまたはキーボードを担当。
なぜかキーボードの時は不安そうな表情が多く、ベースを手にした時のほうが楽しそうです。
ジェイソンのドラムをまともに聴いたのは初めてでしたが、お父さんの音にかなり忠実に叩いているように聞こえました。

セットリストはベスト盤のような選曲で、どの曲でも観客は盛り上がっていました。
自分は当然前期の曲が好きなのですが、「In My Time Of Dying」「For Your Life」「Nobody's Fault But Mine」といった後期の曲も、ライブで聴くと印象が違います。
今さらですが、「こんなにいい曲だったんだ・・」などと中学生のように感動。
ツェッペリンが最強のライブバンドだったことを再認識させられました。

たまにオーディエンスがちらっと映るのですが、若い女性ばかりを意図的にフォーカスします。
メンバーと同世代の元ヤングガールがステージ上のロバート様を見て感涙にむせぶ・・・なんてシーンはありませんでした。
あと日本のスポーツ中継などでよくある、客席の有名人なんかを抜いたショットも全然なし。
もちろんエリカ様も登場しません。
そういう趣旨のドキュメンタリー映像ではないようです。

客席側からステージを映すシーンも時々ありますが、多くの観客が携帯やデジカメでステージを撮影していて、暗い客席にぼんやり浮かぶ無数の携帯画面の明かりがなんとなく興ざめ。
ツェッペリンてバンドは権利関係にかなりうるさいはずだと思うんですけど、このライブは撮影OKだったんでしょうかね?

ライブ後半は前期の曲がほとんどでした。
「Stairway To Heaven」では観客とともに大合唱。
「Misty Mountain Hop」ではバックボーカルとしてジェイソンが参加。
プラントの怪しい歌に不協和音すれすれのレベルで声を合わせます。

最後に登場したのが大曲「Kashmir」。
これは後期の曲なのでスタジオ版でもプラントの絶叫はざらざらな印象なのですが、還暦に近い人が2時間歌い続けた上でのことを考えれば、この曲でのプラントのシャウトはむしろ驚異的なものとも言えるかもしれません。
実はこの曲もメロディは意外に単調なのであまり好きではなかったのですが、ライブで聴くとやはり違うようです。

ここでメンバーがステージ上に勢揃いし、肩を組んで一礼していったん退場。
当たり前ですけど、4人が並ぶとジェイソンだけが突出して若いです。ハゲてるけど。

アンコールは「Whole Lotta Love」。
さすがにスタジオ版のようなオカルトっぽいアレンジは再現できませんが、ペイジのゆがんだギターはサイケな雰囲気が充満していました。

そしてエンディングは「Rock And Roll」。
もうこれ以上ないというベタな演出です。
最後まで観客を魅了し続けた、伝説と呼ぶにふさわしいライブでした。

セットリストは以下のとおり。

1.Good Times Bad Times
2.Ramble On
3.Black Dog
4.In My Time Of Dying(死にかけて)
5.For Your Life
6.Trampled Under Foot
7.Nobody's Fault But Mine(俺の罪)
8.No Quarter
9.Since I've Been Loving You(貴方を愛しつづけて)
10.Dazed And Confused(幻惑されて)
11.Stairway To Heaven(天国への階段)
12.The Song Remains The Same(永遠の詩)
13.Misty Mountain Hop
14.Kashmir

アンコール:
15.Whole Lotta Love(胸いっぱいの愛を)
16.Rock And Roll

個人的にはもう少しバラード系の曲があってもよかったのではないかとも思いました。
「Going To California」「Thank You」「Bron-Yr-Aur」なんてのも聴いてみたかったですね。

DVDではどうなっているのかわかりませんが、映画では日本語字幕や曲名紹介はいっさいありません。
その代わり曲のカットもないそうで、当日の演目を全てそのまま収録するという完全記録。
DVDにはボーナス映像ありとのことですが、どんなものなんでしょうね?

映画館でロックのライブ映像を観るというのは不思議な感覚です。
もちろん立ち上がってコブシを振り上げたりペンライト振ったりそろいのハッピ着たりする人は誰もおらず、暗い席でみんな静かにスクリーンを見つめています。
意外に感じたのは寝ている人やトイレ?に立つ人がわりといたことでした。
「For Your Life」「Trampled Under Foot」あたりがどうも軽い扱いのようで、上映開始から30分くらいしか経っていないのに席を立つ人が続出。
自分は通路横に座っていたので、暗闇でもどすどすと移動する人たちの足音はけっこう気になりました。
自分はふつうの映画でも途中で席を立ったりすることはまずしませんけど、音楽映画なんてみんなこんなもんなんでしょうか?

というわけで、「Celebration Day / 祭典の日」。
非常に良かったです。
ツェッペリンのファンとしてはあまりにも出遅れた自分ですが、このライブ映像を映画という大画面大音響な形で観ておいて本当に良かったと感じました。
DVD買って家の貧弱なオーディオ&ビジュアル環境で鑑賞しても、ここまでの迫力はきっと感じられないと思いますし・・

あらためて思いましたが、ツェッペリンの楽曲ってなんかすごい怪しいですよね。
ふつうに進行してびしっと収まるという音楽ではなく、変な音に変な構成に変な歌詞、それでいて奇妙な調和。
それを解散して27年も経っていながら、当時の怪しい音楽を一夜だけがっちり再現してがっちり稼いでまた隠れるという、アート&ビジネスの極致とも言える集団だとつくづく思います。

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コメント

SYUNJIさん、ご覧になりましたか!
こちら大阪でも上映会があったのですが、
体調が悪く、CDとDVDのセットを購入予定
ですので、断念しました。ですので、

>>これより先、ライブの内容にふれる記述となりますので、
>>鑑賞前の方はご注意ください。

ここまでを拝見しました。
ところでこういう上映会ですが、DVDの発売前後で
結構あるようですね。自宅テレビで見るより、大画面で
よいよい音響で見た方が、感動もおおきくなりそうです。
ちなみに私は2年ほどまえに、ストーンズの
「Ladies & Gentlemen」(72年のライブ)を見ました。
よかったです。

ところで映画といえば、オタクな私は劇場版新作「009」
を見てきましたが・・・・うーん、オールドファンにはちと
つらい内容で、コメントが難しいです(^^;)。

投稿: モンスリー | 2012.10.28 13:50

モンスリーさん、コメントありがとうございます。

>体調が悪く、CDとDVDのセットを購入予定
>ですので、断念しました。

そうでしたか、失礼しました。
DVDは来月発売だそうですが、楽しみですね。

>自宅テレビで見るより、大画面でよりよい音響で見た方が、感動もおおきくなりそうです。

今回自分も音楽ライブを映画館で観たのは初めてでしたが、やはり迫力はすごいですね。
アホウな話ですけど、家じゃないので妻に話しかけられたりせず画面に集中できてよかった、というのが正直な感想でして・・

投稿: SYUNJI | 2012.10.28 21:45

SYUNJIさん、こんにちは。
再結成ライブ盤が届きましたので私も見ました!
全盛期のZEPは、長いライブツアーで演奏、選曲、
そしてテンションを高めていくと言われていますが、
解散後、実質的に初めての一夜だけの再結成で
ZEPが降臨しているのはすごい! と感動しました。

成功の要因ですが、
まずプラントがZEPに対して本気に
なっています。声もセクシーで張りがありますし、
歌唱もZEPそのもの。髪型も70年代を彷彿されます。
それからジョーンズが相変わらずうまかったです。
ベースはもちろんキーボードも大活躍。この人が
下手だったら、サポートでキーボードプレイヤーが
参加するなどZEPらしさがダウンしていた可能性
があります。
ジェイソン・ボーナムの勢いも見事。
ともすれば懐メロに見られる可能性があった再結成も、
父親より若干シャープなドラムが「現役」たらしめて
います。

そしてペイジですが、状況が整いさえすれば、
「ZEPのペイジ」に戻ることができるのを証明しました。
ギターが素晴らしかった・・・・「死にかけて」「貴方を
愛し続けて」のリフもソロも。「永遠の詩」のリフは
もうこの人でないと決まらないでしょう。

ペイジの腹が出ていたのは無視です(笑)。

で、初めてSYUNJIさんの感想を全文拝見しました。
感動されたようで何よりです! 

投稿: モンスリー | 2012.12.24 13:41

モンスリーさん、お待ちしておりました。
ついにご覧になりましたか!
できれば映像を見ながら語り合いたいですね。

>解散後、実質的に初めての一夜だけの再結成で
>ZEPが降臨しているのはすごい! と感動しました。

確かにその通りですね。
予想をはるかに上回るレベルでした。(上から目線)

>まずプラントがZEPに対して本気になっています。

そうですね。
加齢でそんなに歌えないんだろうと思ってましたが、ステージ後半でもハードな曲がけっこうありましたし、相当調整して仕上げて来たのではないかと思いました。
この後プラントはまたツェッペリンとしての活動を拒否してアリソン・クラウスとアルバムを作ったりしてましたが・・

>そしてペイジですが、状況が整いさえすれば、
>「ZEPのペイジ」に戻ることができるのを証明しました。

この人はファンの前に出るあたりの加減がやはりうまいですね。
あまり出過ぎると衰えを指摘されてしまうし、たまに出てそれなりに演奏して帰るという、支持されるツボを心得ているというか・・
ステージの素晴らしさと同時に、ペイジの商才にも感動した次第です。

投稿: SYUNJI | 2012.12.24 22:39

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