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聴いてみた 第96回 U2

いちおう聴いていることにはなっているものの、実のところそれほどマジメに鑑賞してきたわけでもない微妙なバンド、それはU2である。
全てのアルバムを追ってきたわけではないが、聴いてないほうが少ないという、自分にしては非常に珍しい履歴だ。

しかしだ。
じゃあファンなのか?と問われると自信を持ってYESとも言えない。
これまで聴いてみたアルバムは以下である。
(★はCDを持っている)

★October(アイリッシュ・オクトーバー)
・War(闘)
・The Unforgettable Fire(焔)
★The Joshua Tree
★Rattle and Hum(魂の叫び)
・Achtung Baby
・Zooropa
・Pop
★All That You Can't Leave Behind

だがこの中で気に入って繰り返し聴いているのは「The Joshua Tree」「Rattle and Hum」だけだ。
他のアルバムは、好きな曲はあるが全体を通して聴くという意欲が今ひとつわかないのである。
「こんな名盤に対してなんて言いぐさだ!」と思われる方もいるであろうが、U2に対する自分の感覚はこのようなものなのだ。
どうやら自分は曲単位でこのバンドを評価しているらしい。
自前のベスト盤をMDで作ったこともある。

さてそんなU2だが、2000年以降は鑑賞から遠ざかっていた。
今回聴いた「How to Dismantle an Atomic Bomb」も、気まぐれに吉祥寺のユニオンで購入したもので、それほど強い思い入れはなかったのが正直なところである。

U2

「How to Dismantle an Atomic Bomb」は2004年の作品。
プロデューサーにはスティーブ・リリーホワイト、クリス・トーマス、ダニエル・ラノワ、ブライアン・イーノの名前があり、なんだかU2メンバー以上に豪華なスタッフ陣。(失礼)
スティーブ・リリーホワイトはU2作品では「War」以来のプロデュース。
タイトルは「原子爆弾解体新書」と訳され、原点回帰のロックテイストに仕上がっているとのこと。
果たしてあたしは今度こそアルバムまるごと高く評価できるのでしょうか。

・・・・・聴いてみた。

1. Vertigo
この曲はiPodのCMに使われていたので、耳にはしていた。
太いベースとエッジのキンコン系ギター、ボノの投げやりなボーカル。
80年代と90年代のU2のいいところだけを組み合わせたような、素晴らしい音がする。
「Vertigo」とはラテン語で「めまい」のことだそうだ。
で、訳詞を見たが、何を言っているのかほとんどわからない。
聖書にある「悪魔の誘惑に負けず神の愛を信じる」というようなことが題材になっているらしいのだが、サウンドと歌詞が合っているのかもよくわからない・・
ちなみに作詞・作曲者にはボノもエッジも名前はない。

2. Miracle Drug
U2独特のもの悲しく曇った、奥行きのあるサウンド。
こういう雰囲気は21世紀になってもあまり変わっていない。
血管の切れそうな怒髪系サウンドも好きだが、こういうモノクロなU2も好きなのである。

3. Sometimes You Can't Make It on Your Own
前の曲の続きのような、どこか憂いのあるメロディ。
ボノが亡くなった父親への思いを綴った曲で、2005年のグラミー賞でソング・オブ・ジ・イヤーを受賞している。

4. Love and Peace or Else
一転して重いリズムと暗いサウンド。
聴いていてあまり楽しくない。
キーボードをブライアン・イーノが担当しているらしい。

5. City of Blinding Lights
ボノがニューヨークについて歌った曲。
エッジのギターは80年代の頃のような音がするが、少し角がとれたような印象を受ける。

6. All Because of You
シンプルなリズムで、ノリは「Vertigo」に近い。
エンディングも「Vertigo」同様、ギターをぎゅんと絞り上げて終わる。
「焔」の頃のサウンドにも似ている。

7. Man and a Woman
これも少しもの悲しい旋律。
気のせいかストーンズのようにも聞こえる。

8. Crumbs from Your Table
哀愁に満ちた旋律を、やや騒々しいオアシスのような音で奏でる。
ボノの途上国救済活動に対する思いが込められた曲だそうだ。

9. One Step Closer
タイトルは「物知りに一歩近づいたってことさ」という意味らしいが、これはノエル・ギャラガーの言葉がもとになっているそうで、歌詞カードにもノエルへの謝辞が書いてある。

10. Original of the Species
これもiPodのCMで使われたそうだが、聴いたことはなかった。
壮大なバラードだが、中盤以降は少し音がやかましく感じる。

11. Yahweh
ラストはやや明るめの曲。
タイトルは旧約聖書中の唯一の神の名で、「みだりに唱えてはならない」とされるそうだ。
あえてボノはこの名を連呼しているので、大丈夫か?とも思うが、特に挑戦的な意味ではなく祈りである、というようなことをボノ自身が語っているらしい。

聴き終えて思ったのは、「Vertigo」のサウンドだけがやや変わっている、という点。
「Vertigo」のノリは嫌いではなく、むしろ好きなほうだが、ポップ三部作にあったようなはじけた曲である。
アルバムの中でこんなノリは「Vertigo」「All Because of You」くらいで、他の曲は大半がもの悲しい落ち着いたイメージだ。
なのでU2のポップな面をアルバム全体に求めると、物足りないと感じるかもしれない。

それなりに聴いてきたU2だが、冒頭にも書いたとおり不思議なことにアルバム単位での評価になると、それほど高い点数を付けたくなる作品は少ない。
自分はこのバンドを曲単位で聴いてきた、ということを再度認識させられた。
「Vertigo」はいい曲だが、アルバム全体にこのノリを求めようとも思わないし、かと言ってこのアルバムを総合的に高く評価できるかというと、それもまた微妙だ。
なぜかはまだよくわからない。

ジャケットはメンバーが並んで座っている、公演告知宣伝用のような写真。
ポーズもなんだか若手パンクバンドのようでひねりもなく、彼らのアルバムの中では地味なほうだ。
歴代のジャケットを並べて見てみると、ポップ三部作はジャケットも派手なことがよくわかる。(全然好みじゃないが・・・)
21世紀のU2はあまりジャケットのデザインに凝らなくなっているようだ。

というわけで、「How to Dismantle an Atomic Bomb」。
決して悪くはないのですが、どこか腕組みをして考え込んでしまうような、そんな感覚が残りました。
自分は今後も自分の好みに合うU2を求めて、名もない通りをうろつきながら終わりなき旅を続けることになりそうです。

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コメント

SYUNJIさんお久しぶりです。
>決して悪くはないのですが、どこか腕組みをして考え込んでしまうような

記事を読んで全くの同感な感想がアラフォー世代の感じ方なのかな(笑)
POP三部作は私も好きですね、+αで「War」と「The Unforgettable Fire」ですね。

たしかに2000年以降はパワーダウンの感じが否めない・・・

はっ、このアルバムに対しての感想が余りにも薄い!!!

投稿: ボレロ | 2012.08.11 17:50

ボレロさん、ぷく臭のコメント感謝です。

>POP三部作は私も好きですね、+αで「War」と「The Unforgettable Fire」ですね。

うーん、自分の場合ポップ三部作はちょっと・・という感じです。
いい曲もあるんですけどね。
「ヨシュア・ツリー」があまりにも売れすぎてたので必要以上に評価してるところもあるんですが、これと「魂の叫び」、+αで「War」かなぁ・・・

>たしかに2000年以降はパワーダウンの感じが否めない・・・

まあさすがに彼らもそれなりに歳をとってきてますし、ボノ自身「昔のU2はただ音のでかいフォークバンドだった」と発言していますね。
自分はU2にいったい何を求めて聴いているのか、未だによくわからないという状態です。

投稿: SYUNJI | 2012.08.11 21:07

オジキ、向学心の高いオジキのお姿に見習わねばと思っている、一向に音楽の幅の拡がらないあっしです…

このアルバム持っていますが、実は内容は全く覚えていません…
オジキの感想を拝読して聴きなおそうかと思ったのですが、段ボールの奥深くに入ってしまい、取り出せ無さそうなので断念…

>こういうモノクロなU2も好きなのである
僕にとってのU2はまさに、この風景が想起されるU2が好きなので、ヨシュア・ツリーでがっかりして、それ以降は完璧に見切りを付けたバンドなんですよね…

WARしか結局聴かないバンドなんです。

そうやって、どんどん幅が狭まって行く…


投稿: V.J. | 2012.08.12 17:01

V.J.若、コメント感謝です。

>向学心の高いオジキのお姿に見習わねばと思っている

いえ、U2はともかく、そもそもストーンズをこの歳になって今さら聴き始めている時点で向学心以前の問題じゃねーかよと思いますが・・

>ヨシュア・ツリーでがっかりして、それ以降は完璧に見切りを付けたバンドなんですよね…

若がU2を聴いてたというのもなんとなく意外ですが、「ヨシュア・ツリー」でがっかりしたパターンでしたか・・
こういう人は多いみたいですね。
確かに「ヨシュア・ツリー」は音楽性に明確な転換がありましたし。
人気も実力も高いけど、聴き続けるのが思ったより難しいバンドですね。

投稿: SYUNJI | 2012.08.12 22:32

ども、SYUNJIさん。

この頃の、、というか、ズーロッパ以降は、テレビで(主にBS)でライブを見てから、その直前に発売になったCDを買う、、というサイクルになっています。

自分の中では、アルバムを聞いて評価するバンド、、じゃなくて、もう完全にライブバンドになっています。
セットは、もうドンドン大規模で恐らく、一番ではないでしょうか、、。

この間、やはり360ツアーを見た後に、No Line on the Horizonを買ったんですが、以前の曲の中に新曲を入れこんで「お!新しいのもいい曲作っているじゃないの!」って思わせるのが巧いな、、と。

最近、CDが売れないと言いますが、こうしたCDの売り方もあるのかなって思っています。
ただ、これだけキャリアが長いと、それが一番難しいことだと思うのですが、それをやっているという事では凄いバンドですよ。

投稿: だいまつ | 2012.08.15 18:36

だいまつさん、コメントありがとうございます。

>自分の中では、アルバムを聞いて評価するバンド、、じゃなくて、もう完全にライブバンドになっています。

なるほど。
確かにライブの規模はU2がおそらく世界一でしょうね。
「No Line on the Horizon」はまだ聴いてませんが、評判いいみたいですね。

>ただ、これだけキャリアが長いと、それが一番難しいことだと思うのですが、それをやっているという事では凄いバンドですよ。

確かにその通りですね。
しかも長い間にサウンドがどんどん変化していますが、一定の評価を受け続けているのはすごいことだと思います。

投稿: SYUNJI | 2012.08.15 21:39

SYUNJIさん、こんにちは。
世界的ロックバンドのU2。ライブエイドの頃に
ボノが学生服を好んで着ていたのが信じられない
ほどの大物になりました。

これほどの大物ですので、私でも聴いたことのある
アルバムがあります。「闘」と「The Joshua Tree」
です。両作品とも、U2を代表する傑作だそうですね。

・・・・が、アメリカンな私には、前者のブリティッシュ
ビート、後者のヨーロッパ的広大さは難しかった
というのが正直なところです。特に、「The Joshua Tree」
はあれほどのヒットですのでリアルタイムで聴きましたが、

>>U2独特のもの悲しく曇った、奥行きのあるサウンド。

このあたりがどうにも(^^;)。ツェッペリンやブリティッシュ
プログレはOKなんですが、なぜU2になると途端に
苦手意識が出るのか、我ながらよくわかりません。

投稿: モンスリー | 2012.08.19 15:33

モンスリーさん、コメントありがとうございます。
そういやボノは昔学生服みたいな衣装を着ていたなぁ・・
最近は白旗を振り回すパフォーマンスはあるんだろうか・・

>「闘」と「The Joshua Tree」です。両作品とも、U2を代表する傑作だそうですね。

世代にもよると思いますが、我々80年代リスナーだとこの2つが代表作という評価が多いのではないですかね。

>前者のブリティッシュビート、後者のヨーロッパ的広大さは難しかったというのが正直なところです。

あれ、そうなんですか?
でも前者のブリティッシュビート、後者のヨーロッパ的広大さという評価も自分は全然そういう意識はなかったですね。
だとすると、もしかしたらモンスリーさんは案外ポップ三部作はイケるかもしれませんね。

投稿: SYUNJI | 2012.08.19 21:56

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