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聴いてみた 第88回 ヤードバーズ

若い頃なんとも思わなかったことが、加齢とともにものすごくこたえる・・といった経験、みなさまもおありだと思います。
昨日は青葉台でとてもうまいラーメンを食ったのですが、ここ数年で豚骨スープ系はなぜか下痢する傾向にあり、鶏系を選択しておだやかな午後を過ごすはずでした。
しかし。
その鶏系ラーメンに乗っていたチャーシュー(非常にうまかった)がどうもダメだったようで、数時間後にはバリウム検査後にもらう下剤の数倍はあろうかという効果を発揮しやがってあっさり大ゲリ。
たった1枚のチャーシューでこのザマ・・
若い頃は新宿東口の熊本ラーメンをひいきにしていた自分。
もちろん豚骨ラーメンでゲリなんてしたことなかったんですけど・・
いったい何が自分のカラダに起きているのか不明ですが、余生は「豚脂」を徹底的に避けて過ごさねばならないようです。
長い間お世話になりました・・
ぷく先輩、中華街であたしに「SYUNJI、豚の角煮もっと食えよ!」と紹興酒片手にカラまないよう切にお願い申し上げます。

さてそんな豚脂OPP芸人のあたしですが、同時にここ数年はジェフ・ベックの作品を意外に聴いてきました。
だからというわけでもなかったのですが、さらにさかのぼってヤードバーズなんか聴いてみようかと思い、吉祥寺のユニオンでズサンに購入したのが、「GREATEST HITS」。

結局ド素人なんでまたベスト盤から入ってしまいました。
さてヤードバーズというバンドは、「3大ギタリスト輩出」だけが取りざたされてしまい、バンド自体の楽曲や歌詞について正当な評価を受けていないことが多いようだ。
なぜかというと、バンドの中だけでなく外側のマネージャーやレコード会社との間でもモメ事が絶えず、オリジナル・アルバムを思うように残せていない、というのが大きな要因とのこと。
公式アルバムとしては、クラプトン時代のライブ盤、ベック時代のスタジオ盤、ペイジ時代のスタジオ盤の3枚しかないそうだ。
おまけにそれぞれの時代ごとに版権も異なり、未だに3大ギタリスト各時代の曲をまとめたベスト盤というものも存在しない。
なのでビートルズやストーンズキンクスといった同時期のバンドに比べて評価材料が少ない、ということらしい。
そうだったのか・・

で、今回買ってみたのは1989年発売のCDだが、似たようなベスト盤は他にもあるようだ。
ジャケットの右端はベックだが、次長課長の井上みたいな顔をしている。

Yardbirds

1.For Your Love(C)
2.Heartful Of Soul
3.You're Better Man Than I
4.Shapes Of Things
5.Still I'm Sad
6.I'm A Man
7.The Train Kept A-Rollin'
8.Evil Hearted You
9.Good Morning Little School Girl(C)
10.A Certain Girl(C)
11.Jeff's Blues
12.I Wish You Would(C)
13.Putty
14.Got To Hurry(C)
15.I'm Not Talking
16.I Ain't Got You(C)
17.Sweet Music(C)
18.Heartful Of Soul (Sitar Version)

(C)と付けたのがクラプトン時代、それ以外はベック時代のテイクである。
と言われてもギターサウンドを聴いただけでは「おおこの音はベック、こっちは間違いなくクラプトン!」などといった判定は自分にはもちろんつかない。
なおペイジ時代の曲はない。
うーん・・事情はわかったけど「2大ギタリスト」になってしまっているのはやはり残念だ。
ペイジのギターが聴きたければ別の盤を聴くしかない。
どうせ聴いても「おおお、これぞペイジのギター!」なんてわかるわけがないけどね。

・・・・・聴いてみた。

「For Your Love」がバンドとしての最初のヒット曲であることは知っていたので、これはクラプトンのギターだとわかる。
この曲は途中でメロディが変わり、また元に戻るという3部構成になっている。
最初に聴いた時はなんだか変な曲だなぁと思ったが、今回あらためて聴いてみると意外に味わい深くていい感じだ。
ただしクラプトン自身はこの曲は気に入っておらず、ヒットしたのにバンド脱退となったそうだ。

「Still I'm Sad」はレインボーのカバーを先に聴いていたのだが、元の曲のほうがテンポも遅く哀れな感じがする。
というかレインボーのほうは完全にリッチーのギタープレイによってロックのインストになっちゃってるので、全然違う曲だと思う。

「Jeff's Blues」はどこかウキウキ調のベックのブルース。
なんかベックって自分の名前がついた曲多いスね。
BBAの時には「Jeff's Boogie」、JBGの時にも「Beck's Bolero」ってのがあったし。
ちなみにこのCD全18曲の中で、作者にベックの名前があるのはこの曲だけである。
(クラプトンは1曲もない)

「Sweet Music」はクラプトン時代らしいが、クラプトンもベックもギターを弾いていないという噂もあるらしく、よくわからない。

ラストの「Heartful Of Soul」はシタール・バージョン。
このテイクはビートルズの「ノルウェイの森」よりも早い時期に録音されており、厳密にはヤードバーズのほうがビートルズ(ジョージ・ハリスン)よりも早くロックにシタールを導入していたということになるらしい。
ただし実際には当時はシタール・バージョンは発売されず、ベックのギターによる別バージョンでヒットしたという因縁の一曲だそうだ。
聴き比べるとシタール・バージョンのほうがいいように感じるなぁ。

全般的にはシンプルで当時の英国ロック黎明期のいい音がする。
もっとのったりしたどろどろブルースを想像していたんだが、思ったよりもポップな路線だ。
クラプトンだから・ベックだからということではなく、純粋に古き良き時代の音楽として楽しめる内容だ。
あちこちに後のクリームやジェフ・ベック・グループにつながる音のカケラを感じることもできる。

ヤードバーズが他のバンドとは少し違ったのは、ギタリスト重視のスタイルを早くから確立していた、という点にあるようだ。
当時のバンドの多くは「ボーカル+バックバンド」的な形態をとっていた中で、クラプトンに人気が集中したヤードバーズはかなり特殊な存在だったらしい。
しかもそれがバンドの伝統として受け継がれている。
ここから3人のギタリストがそれぞれの方向性を目指して活動の幅を広げていったというのは興味深い話である。

最終的にはペイジがヤードバーズを乗っ取り?オリジナルメンバーのキース・レルフとジム・マッカーティが脱退するのを見届けてニュー・ヤードバーズを結成、その後レッド・ツェッペリンとなるのはご存じのとおり。
まあ運とかいろいろ要因はあろうが、クラプトンやベックにはうまくできなくてペイジにできたことは「バンド運営・経営」だろう。
バンド自体の掌握にリーダーシップを発揮し、ビジネスとしてバンドを成功に導くという商才。
この2つの才能を同時に持っていたのがペイジだった、ということのようだ。

というわけで、ヤードバーズ。
今回は入門編としてベスト盤から聴いてみましたが、やはりペイジ時代の音も聴いてみる必要がありそうです。
アルバム「Little Games」はあまり評判が良くないらしいですが、次に聴くとしたらおそらくこれであろうと思います。

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コメント

オジキ。
なんとなくブログ辞めたパイセンのものいいから、オジキは、ベックにクリソツなのでは?(秋山系)と踏んでいるV.J.と申します。

嬉しいっすね。
ヤードバーズ♪ 聴いて下さったなんて♪

>全般的にはシンプルで当時の英国ロック黎明期のいい音がする。

その感想だけで充分でございます。はい。
まぁ、KINKSやSMALL FACESと並び、YARDBIRDSは、僕のど真ん中のバンドなのです♪
ECが嫌らしいG.弾く前だし
BECKがバンドの一員として弾いているし
PAGEは…別にいいです(笑)

>当時のバンドの多くは「ボーカル+バックバンド」的な形態をとっていた中で、クラプトンに人気が集中したヤードバーズはかなり特殊な存在だったらしい

やっぱ、Vo.のキース・レルフが弱すぎる。と言うのが、逆に、ギターバンドとして引き立てる結果になったのかもしれませんが…

ボーカルがねぇ…(僕はダイスキですが)ってのが、俺達にもバンド出来んぢゃね?って思わせる結果を生んだかどうか知りませんが、Stonesなんかよりも全然、当時の米国のアンちゃん達にYardbirdsの与えた影響は大きいと思うのです。

黒く無いR&B→ギターがちゃがちゃ=USのガレージバンド。
お手本がYardbirdsなのかなぁ。ってね

Page期はあまりYardbirdsって感じがしないんで、このベスト盤で良いかと♪

投稿: V.J. | 2012.02.12 19:30

V.J.若、コメント感謝です。
ぷく先輩の評価はわかりませんけど、確かにむかーし若い頃、髪の毛を伸ばしていて大学の先輩から「お前ジェフ・ベックに似てるな」と言われたことはあります・・

>まぁ、KINKSやSMALL FACESと並び、YARDBIRDSは、僕のど真ん中のバンドなのです

おっと、そうだったんスか?
じゃあスモール・フェイセズも聴いとかないといけないですね。

>やっぱ、Vo.のキース・レルフが弱すぎる。と言うのが、逆に、ギターバンドとして引き立てる結果になったのかもしれませんが…

ネットでも同じように分析してるサイトが多いですね。
それでちゃんとスーパーなギタリストが次々に加入するというのもすごい話ですけど。

>Page期はあまりYardbirdsって感じがしないんで、このベスト盤で良いかと♪

そうスか・・
のちのツェッペリンの片鱗が多少はうかがえるという話なんで興味がわいたんですが・・

投稿: SYUNJI | 2012.02.12 20:35

SYUNJIさん、こんばんは。
お書きになっているとおり、ヤードバーズは権利関係が
めちゃくちゃでまともにアルバムを発売できない時期が
ながく、さらに日本では「3大ギタリスト」の看板を
全面的に出して、しかも彼らがビッグになってから
無理矢理売り出したため、バンドの本質と評価が悪い
方向に分裂してしまったと言われています。

と、私自身がまともに聞いてもいないのに、↑のような
ことをすらすらと書けてしまうのも、ある意味このバンド
にまつわる問題点のような気もします。

さて、私もクラプトン時代とベック時代の代表曲は
それぞれソロのアンソロジー集に収録されていたもの
を聞いておりますが・・・・
クラプトン時代は、どうにもブルースで苦手です。
逆にベック時代は、ベックのソロにつながるような
意欲的なギターにベック自身が取り組んでいるようで
こちらの方が好きです。
が、いずれにしてもちゃんと聞いていないため、
感想を述べることができません(^^;;;)。

投稿: モンスリー | 2012.02.12 21:18

SYUNJIさんお久しぶりです。
YARDBIRDS、ヤードバーズ、やーどばーず・・・
これだけのネームバリューなのに聴いたことが無いです、はい。
【The Train Kept A-Rollin'】はエアロスミスって思っていました・・・ 
昔、【欲望】ってゆう映画でヤードバーズが演奏するシーンで
ジェフベックがギターをぶっ壊していたのが印象的でした。多分リッチーさんはこれを見てマネしたのでしょう(笑)
世界的ギタリストが3人も在籍したバンド。
これぐらいの印象かなぁー
スイマセン、こんな感想で・・・

投稿: ボレロ | 2012.02.13 16:16

モンスリーさん、コメント感謝です。

>さらに日本では「3大ギタリスト」の看板を
>全面的に出して、しかも彼らがビッグになってから
>無理矢理売り出したため、

あーあーやっぱりそんな状態なんですか・・
でもそれなら日本での編集盤として「3大ギタリストがそろった名作!!」などといった商品が出てもいいんじゃないかと勝手に思います。

>クラプトン時代は、どうにもブルースで苦手です。
>逆にベック時代は、ベックのソロにつながるような
>意欲的なギターにベック自身が取り組んでいるようで
>こちらの方が好きです。

そうですか。
まだクラプトンとベックの聴き分けもできてませんけど、全般的にはこのアルバムはいい感じです。
ペイジ盤聴いてがっかりしたらイヤだなぁ・・

投稿: SYUNJI | 2012.02.14 21:35

ボレロさん、こんばんは。

>これだけのネームバリューなのに聴いたことが無いです、はい。

おや、そうでしたか。
そういう自分もマトモに聴いたのは今回が初めてでした。
悪くないです。

>【The Train Kept A-Rollin'】はエアロスミスって思っていました・・・ 

そうらしいですね。
でもエアロスミスも聴いてないので、カバーしてたことも知りませんでした・・すいません・・

>ジェフベックがギターをぶっ壊していたのが印象的でした。多分リッチーさんはこれを見てマネしたのでしょう(笑)

へぇーベックがそんなこともしてたんですね。
まあ映画用の演出でしょうけど・・
そういえば、ベックとリッチーの関係ってのはどんなものなんでしょうね?
リッチー本にはペイジやクラプトンの話は出てますが、ジェフ・ベックの名前は見たことないんですけど・・

投稿: SYUNJI | 2012.02.14 21:45

こんばんは、JTです。

ヤードバーズ聞かれましたか。JBGで再演した「Shapes Of Things」どうでしたか。あまりの違いに私は愕然としましたが。

「Jeff's Blues」は「The Nazz Are Blue」というベックのボーカル曲からバッキングだけを抜いた手抜きトラックです。オリジナルアルバムに入っているのでぜひそちらも聞いて下さい。

うん、ぜひオリジナルスタジオアルバムの2枚聞いて下さい。ベストではオミットされている変な曲が入ってますので(笑)。

投稿: JT | 2012.02.19 01:21

JTさん、コメントありがとうございます。

>JBGで再演した「Shapes Of Things」どうでしたか。あまりの違いに私は愕然としましたが。

えーと、すいません、同じ曲だと気づきませんでした。
聴き比べてみましたが、全然違いますね。
JBGではロッドとベックがやりたい放題といった感じですが、どちらかというとJBGのほうが好みではあります。

>うん、ぜひオリジナルスタジオアルバムの2枚聞いて下さい。ベストではオミットされている変な曲が入ってますので(笑)。

そうなんですか?
「変な曲」と言われるとかえって興味がわきますね。
なんだかヤードバーズって不思議なバンドですね。
どなたもペイジ期盤をすすめて来ないってのもやはり不安だなぁ・・

投稿: SYUNJI | 2012.02.19 18:39

再びJTです。

>どなたもペイジ期盤をすすめて来ないってのもやはり不安だなぁ・・

すみません、わかりにくい表現でしたね。
聞いてほしいオリジナルスタジオアルバムの2枚とは
ジェフベック期の「Roger The Engineer」と
ジミーペイジ期の「Little Games」のことです。

投稿: JT | 2012.02.20 00:16

JTさん、再びコメントありがとうございます。
すいません、「スタジオアルバム」って書いていただいてましたね。
クラプトン期はライブ盤しかないんでしたね。
変な曲も含めて聴いてみることにします。

投稿: SYUNJI | 2012.02.20 23:47

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