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聴いてみた 第85回 ベック

その昔、旅行先でも音楽を聴くために、いつもカセットテープを厳選して15本くらい持っていったものだ。
レンタカーのカーステレオでテープを聴くのである。
15本も持っていくとそれだけで結構な重さになるんだが、当時は当たり前のように荷物に詰め込んでいた。
そのうちテープで音楽を聴くこと自体もしなくなったので、旅行にもテープを持っていかなくなり、今ではMP3プレイヤーすら持っていかない。
で、旅先では何を聴くのかというと、地方のFMを聴くのである。
最近は地方色の強い番組を聴くのもそれなりに楽しみになっている。

で、先月福岡を旅行中の間はLOVE FMという局をずっと聴いていた。
確か木曜の午後だったが、ツェッペリンの「フィジカル・グラフィティ」から4曲くらいオンエアされ、けっこう感動した。
FMでツェッペリンを聴くなんてあまりなかったからだ。
DJは英語で「マイ・フェイバリット・アルバム」と紹介していた。

で、続けてFMを聴いていたらベックの特集みたいな番組をやっていた。
このベックはその昔ロッドやコージーとバンド組んだり夜道でペイジをぶん殴ったりしたベックではない。
「ジェフじゃないほう芸人」のベックだ。
流れてきた曲は幻想的なサウンドで、なかなかよかった。
番組の終わりに曲紹介があったのだが、その幻想的な曲は「Blackなんとか」というところまでわかった。
(「なんとか」は聞き取れなかった)

旅の終わりに大名で中古CDショップがあったので入ってみた。
CDを物色中、ふとあの時聴いたベックの曲が思い浮かんだので、「Blackなんとか」が収録されているアルバムを探してみた。

あった。
それが今回聴いてみた「Guero」である。
FMでベックを聴かなかったら絶対に買っていない貴重なアルバムだ。(なんだそれ)

Guero

「Blackなんとか」はたぶん「Black Tanbourine」だろう。
他の曲も幻想的なサウンドなんだろうか。
旅を終えて期待して聴いてみることにした。

・・・・・聴いてみた。

ウワサどおりけっこういろいろな音がする。
ロックありヒップホップありテクノありブルースありボサノバありプログレありクイタンサキヅケなんでもあり、ありありのオール伏せ牌ピンピンのサブロクアルバム。(意味不明)
曲ごとにサウンドや調子はバラバラなのでつかみどころがない感じだが、曲調は暗めのものが多い。
前半では「Girl」が軽快でいい感じ。

初めて聴くベックの声だが、想像していたよりもキーが低く、粘った発声だ。
どこかスティングに似ている気がする。
もちろんキーはスティングとはかなり違うが、発音のしかたとか声の伸ばし方とかに、スティングに似たものを感じるのだ。
特に「Missing」の伸び気味のボーカルはスティングに似ている。
曲調もスティングが好みそうな感じなのだが。

さて「Black Tanbourine」だ。
あの幻想的なサウンドが聴けるはず・・・・

・・・
・・・・
・・・・・違うなぁ。
これFMで聴いた曲じゃないじゃん。
確かもっと荘厳でじょわーんじゃらーんとしたギターがあって民族音楽のような曲調だったはずだが、「Black Tanbourine」はビートの効いたロックでぼんぼんべんべんと古くさい音がする。

ということは、どうやら自分は間違えてしまったようである。
うーん・・・
今さら大名まで取り替えにも行けない。
しかたがないのでそのまま続けて「Guero」を聴く。

「Broken Drum」はゆったりしたピアノのバラード。
いい曲なんだが、ギターの音をあえてわずかにずらして、不協和音を作り出している。
このアルバムはこんなミリ単位のはずし音が多い気がする。

「Farewell Ride」はもっとずらし加減が強い。
ブルース基調の重いリズムなんだけど、鳴ってるギターはやっぱり濁った和音だし、ブルースハープのサウンドはちょっとツェッペリンっぽい。
悪くないが、試しに全部ずらさずに演奏してみたらどうだいベック、と言いたくなる曲だ。

「Rental Car」「Emergency Exit」「Send A Message To Her」と、後半から終盤にかけて暗くずれた曲が続く。
結局最後まで明るい曲はなかった。

うーん・・・
「Blackなんとか」を間違えたこともショックだったが、初めて聴いたベックのアルバム「Guero」自体が、今ひとつ好みのサウンドではなかったことも少し残念だ。
とすると、自分が聴いたベックの幻想的な「Blackなんとか」は、正しくはなんという曲なんだろう?

You Tubeで調べてみてすぐわかった。
自分がFMで聴いたのは「Blackhole」だ。
これはデビューアルバム「Mellow Gold」に収録されていた。
買うならこっちのアルバムだったのね・・・

「Guero」、せっかく買ったので4回くらい聴いてみた。
XTCレディオヘッドほどの拒絶感はないんだが、高揚感や充足感といった感覚もそれほどわいてこない。
ただし思ったほど投げやりなシャウトとか雑なコーラスとか派手な転調はないので、「聴きにくい」という感情までには至らなかった。
ゲームの効果音を採り入れたり逆回転サウンドを付けてみたり、いろいろ組み込まれているが、旋律そのものはわりとシンプルではないだろうか。

「Guero」とは南米(スペイン語)のスラングで「白人の男の子」という意味だそうだ。
白人でありながらヒップホップなどいろいろな音楽を採り入れてみた、ということを「Guero」という言葉で表現してみた、という話。
確かに様々なジャンルのサウンドが散らばっていてまとまりはないけど、この人はジャンルなんて無意味だと確信して音楽やってる気がする。
「こういうの好きなんだからなんだっていいじゃん」とでも言いたげな構成である。

You Tubeで再度「Blackhole」を聴いてみたが、地味なメロディなのにボーカルとギターとバイオリンが交差して実にいい。
やはりこの曲の存在感は突出してるじゃないか!
なぜかキレ気味にそう感じてしまった。

というわけで、ベック。
「Guero」は微妙な評価となってしまいました。
もう少し明るめの曲調があったらよかったのになぁ。
どう考えても「Blackhole」が自分の好みに合致するので、デビューアルバム「Mellow Gold」だけは早々に聴いてみようと思います。

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コメント

SYUNJIさん、こんにちは。久しぶりにコメントしてみます。

BECK、ぜんぜん知りません。記事に出てきたBlackholeという曲を聞いてみましたが、民族音楽を取り入れてるところがツェッペリンぽいかな、という素人丸出しの感想を抱いてしまいました。

さて、実はコメントしたのにはワケがあります。かな~り前からずっと気になってはいたのですが、いやでもこれは言うのは無粋なのだろうかと、結局言わずじまいでおりました(元々僕は滅多にコメントしないし)・・・

えっと、でも敢えて言ってみます。空気を読めずにスミマセン。転調って用語の意味をたぶん勘違いされてるんじゃないかな~。

投稿: ajina | 2011.10.18 16:32

ajinaさん、コメントありがとうございます。

>民族音楽を取り入れてるところがツェッペリンぽいかな、という素人丸出しの感想を抱いてしまいました。

あーそう言われるとそんな気もしますね。(主体性なし)
この曲もそれほど明るくはないですが、いい曲だと感じました。

>転調って用語の意味をたぶん勘違いされてるんじゃないかな~。

いえ、お気遣いいただいてすみません、そうかもしれません。
楽器や声楽を全く勉強してませんので、正しい意味は理解していないと思います。

ご指摘を受けて少しネットで調べてみましたが、まずウィキペディアの説明は全然理解できませんでした。
自分は、「転調」とは曲の途中でメロディやリズムが「割と大胆に」変わること、だと思って使っていました。
なのでBLOGでも「イエスは転調のバンド」などと書いてしまっています・・・が、そういうことではない、のでしょうか・・?

メロディやリズムが途中で大胆に変わるわかりやすい例は、ビートルズの「We Can Work It Out」ですかね。
もしかして、あれは「転調」と言わないんでしょうか?

「転調」の意味をネットで質問してる人もけっこういましたが、回答の内容がやはりほとんど理解できません・・
正しい「転調」の意味を教えていただけたらと思います。

投稿: SYUNJI | 2011.10.19 23:33

一昨晩に聴いたBlackholeがどんな曲だったかもう忘れてしまったので、聴きかえしながらこのコメントを書いています、ajinaです。

転調と言うのは、曲の「調子」が変わるということではないんです。リズムパターンが変わったり、テンポが変わったり、メロディーが変わったりするんではなくて、むしろそれらはそのままで、キー(調)が変わることです。

キーっていうのは、カラオケでオリジナルだと自分の声域が合わないからって「キー」ボタンで上げ下げするじゃないですか。あのキーです。メロディーは同じで、音が上がったり下がったりしますよね。あれを曲の途中で意図的に上げたり下げたりするのが転調です。

小室哲也はよく転調を使っていて、僕がぱっと思い浮かぶのは、微妙な時代の曲で恐縮ですがtrfの「寒い夜だから」。これは後半のサビで転調して音を高くすることで「こみあげてくる」感じを狙っているようです。カラオケで「あぁ、このキーなら大丈夫」と思って歌い始めると、転調がある後半でひどい目に遭うと言う(笑)。

あと、僕がバンドでコピーしてる曲では、KANの「愛は勝つ」は巧妙に転調しているようです。一応自分も演奏してるのに「ようです」って(笑)

洋楽ブログにベタなJ-popのサンプルですいません。他に思い浮かなかった。ではでは。

投稿: ajina | 2011.10.20 01:30

連投すいません。「寒い夜だから」のクリップがYoutubeのAVEX公式チャンネルにありました(つまり著作権は問題ない)ので、ご参考まで。
http://www.youtube.com/watch?v=_WNuc7Im4V8
1分36秒頃から始まるサビと、4分5秒頃から始まるサビを聴き比べるとわかりやすいと思います!

投稿: ajina | 2011.10.20 01:49

ベック、ほんといろーんな雰囲気の曲をやりますよね。
それこそ、同じ人の作品とは思えない程。
なので、好きな曲と苦手な曲と結構差があります。
声は好きですが、そうか、スティングに似ていたからか(笑)。

で、「なんでもハ調に聞こえる病」(笑)の私も転調ソング考えてみました~。
「転調」の「調」は「ハ長調」とかの「調」ですね。
懐かしのチャポ部屋っぽい所ではデュラン・デュランの"View To A kill"などいかがでしょう。
でも、これだとイマイチわかりづらく、それこそ「途中で曲調が変わる」という意味に取られそうですね。
わかりやすい所だと、ノーランズの「恋のハッピーデート」。
サビは同じメロディに聞こえるのに、
前半は鍵盤でいうと、「ラソファ#ソ ラソファ#ソ」で、
後半は「ドシ#ラシ# ドシ#ラシ#」となってます。
わざわざ「鍵盤」と書いたのは一部の管楽器の「ド」と鍵盤の「ド」は違うので。
同じメロディーなのに、調が変わるだけで一気に演奏が難しくなったりもします(>_<)。

投稿: YAGI節 | 2011.10.20 03:22

ajinaさん、コメントありがとうございます。
転調、ようやくわかりました。
曲の途中でキーを変えるのが転調ですね。
曲全体の調を変えるのは移調というそうですね。

どうも自分と同じように「リズムやメロディが途中で変わる」意味で「転調」を使っている人もけっこういるようです。
「恋を抱きしめよう 転調」で検索するとあちこちに自分と同じように勘違いしてる文章が見つかります。(←負け惜しみ?)
・・・じゃあリズムやメロディが変わるのは何というんだろう・・?

いずれにしてもありがとうございました。
ご指摘をいただかなければ一生勘違いしたままだったと思います。

投稿: SYUNJI | 2011.10.21 23:39

YAGI節さん、コメント感謝です。

>ベック、ほんといろーんな雰囲気の曲をやりますよね。

まだアルバム1枚しか聴いてないですが、多様性がこの人の特徴だと感じましたね。

>懐かしのチャポ部屋っぽい所ではデュラン・デュランの"View To A kill"などいかがでしょう。
>わかりやすい所だと、ノーランズの「恋のハッピーデート」。

この2曲ではっきりわかりました。
(さすがチャポ部屋同窓生?)
あれが転調ですね。
楽器が使えるYAGI節さんならではのご説明ですね。

正しく転調を理解した上で自分が思い浮かんだのはMr.Bigの「To Be With You」ですね。
コーラスの「I'm the one who wants to be with you・・」で始まる部分が、一度キーがあがり、その後またキーが元に戻り、エリックのボーカルが遅れて重なる・・という秀逸な構成だと思います。

投稿: SYUNJI | 2011.10.21 23:49

SYUNJIさんがお求めのお言葉は「展開」だと思います、たぶん。展開が、クラシック系の由緒正しい音楽用語なのかどうかはわかりまへん。

そして「展開」「転調」「変拍子」はプログレの3種の神器、じゃないでしょうか。いえ、プログレについても全く詳しくないですけども。個人的には、アホっぽい単純なロックが好きなので。KISSとかAC/DCとかSLADEとか初期VAN HALENとかSuzi Quatroとか(ここにVAN HALENを混ぜたらファンの人に怒られそうですが)。

でわでわ。

投稿: ajina | 2011.10.22 00:37

ふふふ、別名「転調」のぷくと呼ばれている、50代間近のおっさんです。

クラシックの世界ではそれこそ転調は珍しくなく、我が家は奥方がピアノを弾くので、楽譜を見ているとシャープとフラットのあまりの数の多さに、「よくこんなの弾けるな」と口に出してはいませんが、驚いております。

それでも「転調」が多く出てくるのはやはり近現代で、プログレもその流れをくむのかなあ、と感じております。

そろそろ、ぷく組も結集しなければ・・・・

投稿: ぷくちゃん | 2011.10.22 09:21

ajinaさん、再びのコメント感謝です。

>SYUNJIさんがお求めのお言葉は「展開」だと思います、たぶん。

「展開」、ですか・・
なんとなく突然感や唐突感が伝わりにくい感じもしますが、正しくはそう言うんですね。
じゃあイエスは展開のバンドだ・・(合ってんのかなぁ?)

>KISSとかAC/DCとかSLADEとか初期VAN HALENとかSuzi Quatroとか(ここにVAN HALENを混ぜたらファンの人に怒られそうですが)。

ajinaさんもヴァン・ヘイレンのファンでしたか。
自分はどちらかというと第2期(とはあまり言わないけど)のサミー時代のファンです。

投稿: SYUNJI | 2011.10.22 23:57

(サバンナ高橋調で)ぷっくせんパァ~イ!いやああーお久しぶりですぅ、ホンマすかぁ~??(何が?)

>それでも「転調」が多く出てくるのはやはり近現代で、プログレもその流れをくむのかなあ、と感じております。

うーん、アカデミックな分析ですね。
プログレはやはりクラシックの要素を取り入れつつ進化していったということですかね。(←とってつけたような意見)
あ、転調ですんごい昔の歌謡曲を思い出しましたよ。
岩崎宏美の「鮮やかな場面」・・

ぷく組もこのあたりで一気に中央へ展開しましょう!(意味不明)

投稿: SYUNJI | 2011.10.23 00:09

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