« 見ていない 第31回 プロジェクトX | トップページ | 聴いてない 第157回 ジョニ・ミッチェル »

聴いてみた 第84回 ドリーム・シアター

「拡散」という言葉がこれほど急速に力を失うとは誰が想像しただろうか・・・と驚きを禁じ得ないSYUNJIといいます。
でもしばらく前から、「拡散希望」と書いてるツイートはスルーが常識なんだとか。
基本的にネットで発生した流行語はサバ並みのアシの早さですね。(←じじい)
その昔西麻布のホブソンズには真冬の深夜でも行列ができていたことなんか、今の若いヒトはきっと知らないよなぁ。
そんなことに感心しながら、もはやメディアとしての力を失いつつあるBLOGに、今日も腐敗した文章を綴る自分がいます。
意味不明だけどどうせ誰も読んでないからいいや。(投げやり)

このようにすでに思想が腐敗しているあたしが今回聴いたのはドリーム・シアター。
実は一度も聴いたことがなく、メンバーも全く知らないバンドである。
ファンの間ではドリムシと呼ばれるそうです・・・

そのドリムシ、ジャンルとしてはプログレッシブ・メタルとされるらしい。
・・・そんなのあり?
プログレとメタルなんてどっちも聴いてないけど、ホストと公務員とか、あざらしとカピバラくらい自然界では出会わない分野ではないのか?
と思ったけど、ドリムシは立派にどちらの分野も成立させているバンドとのこと。
そんなことは全く知らず、一切知識のないまま吉祥寺ユニオンで場当たり購入したのが「Through Her Eyes」というアルバムである。

Through_her_eyes

聴く前にものすごく簡単にドリーム・シアターの基礎学習。
中心メンバーはジョン・ペトルーシ、マイク・ポートノイの2人。
ボストンのジャズ系音楽学校であるバークリー音楽院の生徒だった彼らは、なぜかジャズではなくメタルバンドを結成する。
89年にドリーム・シアターとしてデビュー。
91年カナダ人ボーカリストのジェイムズ・ラブリエが加入し、翌年のアルバム「イメージズ・アンド・ワーズ」が大ヒット。
プログレとメタルの融合、他のアーチストのアルバムをライブで完全再現など、独特な技術と発想によって地位を確立。
しかし2010年、バンド創設者のひとりであるマイク・ボーノトイが脱退を表明。
現在は後任ドラマーのマイク・マンジーニが加入し、活動を続けている・・・のだが、脱退したマイクはバンド側に復帰を申し入れるも、バンド側からはお断りの回答があったというコゲくさい展開に。
メンバー写真を見て「あれ?日本人がいるの?」と思ったら、ベースのジョン・マイアングは韓国系アメリカ人なのだった。

さて「Through Her Eyes」はスタジオとライブ音源をまぜて編集した来日記念盤である。
買う時にあまり深く考えなかったのだが、同じ曲で異バージョンが続けて収録されていたりで、入門編としては少々ハードルが高いのかもしれない。
ひととおりドリムシ(←気安く使う)を聴き倒したファンが、コレクションとしてやはり手元に置いておくという位置づけのようだ。
調べていくうちに不安が増してきたが、まあ聴いてみなければ何もわからないと思い直し、聴くことにした。
ドリーム・シアターはどんなリスナーに対しても平等なのである。(身勝手)

プログレとメタルという、自分にとっては「ゴルフと美容院」くらい縁遠いジャンルを、超絶テクニックにより融合させているドリーム・シアター。
果たしてあたしも彼らのシアターでドリームを見ることができるのでしょうか。

・・・・・聴いてみた。

1. Through Her Eyes (Radio Edit)
2. Through Her Eyes (Alternate Album Mix)
バージョン違いの同じ曲が連続している。
ゆったりと流れるいい曲なんだが、バージョンの細かい違いが素人にはよくわからないので、同じ曲を2回聴いているようでややくどい。
2曲目のほうにはテレサ・トマソンという女性ボーカルが参加している。

3. Home (Radio Edit)
一転重たいサウンドのイントロ。
しかしボーカルにドス黒いヤバさがなく、楽器の重さに比較して軽い印象だ。
モトリーやナイト・レンジャーを思わせる音もところどころある。
聴いていてなんか不整合な感覚がするのだが、どうもドラムの音もてんてんと乾いて軽いのがそう思わせているようだ。
この曲はあちこちにちょっとインドっぽい旋律がある。

4. Home (Live)
同じ曲のライブ版。
イントロのインドっぽいギターにラジオ番組のようなノイズと観客の手拍子を重ねている。
スタジオ版よりもアレンジのような細工が入れられたりしていて、造りはライブと思えないほど緻密だ。
ギターもドラムもライブのほうがしっかりしており、楽曲としてのまとまりも強い。
ちょっとインギーっぽいギターだ。
ただムードとしては暗く、あまり楽しい曲ではない。

5. When Images and Words Unite (Live)
Pull Me Under~Under a Glass Moon~A Fortune in Lies~Only a Matter of Time~Take The Time
切れ目なく続く5曲目。
途中にシングル曲のメドレーがある・・ということだが、全部初めて聴くのでどの部分がどの曲なのか全然わからない。
ポイントはやはりギターにあるようだ。
インギーっぽいと書いたが、イエスに似た理系音も出している。
このぽりぽりした様式美サウンドは、ジョン・アンダーソンのヒラヒラの白い衣装を思わせるプログレの音である。(若干知ったかぶり)

聴くまでは「プログレ・メタル」なんて意味が全然わからなかったが、なるほど聴いてみると両者の要素がそこかしこに存在するのがわかる。
リズムや旋律はメタルで、サウンドにプログレを注入するという、非常に高度な音楽をやっている。
世の中にはこういう音楽もあるんだなぁ・・と比較的素直に感動。

しかし。
好みかと言われると極めて微妙。
楽曲構成やサウンドの緻密さはすごいと思うが、「好み」という感覚には至っていない。
インギーのサウンドもそうだが、「すごい!」とは思うが「いい!」「好き!」「次も聴く!」「金も使う!!」「フルーツ頼む!!」となるかどうかは別の話だ。
中年になってからけっこういろいろな音楽を聴いてみたのだが、「すごい」と「いい」が感想として同居したケースはあんまりないことに気づいた。
ツェッペリンレインボーはわりと同居してる例だと思うが、ザ・フーは「いい」と思っているが「すごい」とは感じなかったし、イエスは「すごい」と思ったけど「いい」とはまだなっていないのだ。
このあたりが音楽の難しいところだ。
まあ「すごい」「いい」のいずれも自分の主観でしかないのだが。

ということで、ドリーム・シアター。
大型免許もないのに生コン車を200mほど動かしてしまったような状態で、よかったのかどうかもはっきりしませんので、機会があればスタジオ盤からきちんと勉強してみようと思います。

| |

« 見ていない 第31回 プロジェクトX | トップページ | 聴いてない 第157回 ジョニ・ミッチェル »

コメント

マイク・ボーノトイ脱退後のドリムシはまだ聴いていません。。
というか、怖くて聴けません。。どう変わっちゃったんだろう??
個人的には演奏はスゴイ、特にメタル系は・・ただボーカルがどうもねぇっと感じるドリムシです。。

投稿: かぁ | 2011.07.18 23:34

かぁさん、はじめまして。
こんな辺境の偏差値の低いBLOGにコメントありがとうございます。

>というか、怖くて聴けません。。どう変わっちゃったんだろう??

やはり創設者のひとりであるマイク・ボーノトイ脱退の影響は大きいんでしょうか?
ド素人の自分には、ドラマーが変わってもサウンドにはそれほど影響がないようにも思えますが・・・

>個人的には演奏はスゴイ、特にメタル系は・・ただボーカルがどうもねぇっと感じるドリムシです。。

自分はこの1枚しか聴いてませんのでなんとも言えないのですが、ボーカルに重厚感はあまり感じませんでした。(むしろそれがこのバンドの魅力?)
ごらんのとおりの素人BLOGですが、他にも聴いてないアーチストがたくさんいますので、ご指導いただけたらと思います。

投稿: SYUNJI | 2011.07.19 22:25

> ファンの間ではドリムシと呼ばれるそうです・・・

初めて聞いた・・・
ドリシーでは?

やっぱimages & wordsあたりから行くべきでしょう。これスゴイですよ。

投稿: ルドルフ | 2011.07.22 06:33

おっと、ルドっち意外なコメント感謝です。
ドリムシ(気安く使う)聴いてたのね。
「ドリムシ」と表記してるファンのサイトやBLOGはけっこう簡単に見つかりますけど・・

>やっぱimages & wordsあたりから行くべきでしょう。これスゴイですよ。

そうスか・・なんかスゴイような気がしてきました。(主体性ゼロ)
このバンドは、プログレとメタルのどっち側からの評価が高いんでしょうね?

投稿: SYUNJI | 2011.07.22 22:43

SYUNJIさん、お久です。

私も「ドリムシ」は初耳でした。
自分はずっと「ドリシア」と略してました。
けどドリムシ検索すると案外多くてびっくりです。

DTは自分がRUSH好きだったからこそ出会ったバンドです。
1989年のBURRN!のアルバムレビューで1stアルバム(輸入盤)が紹介されており、高得点でしかもRUSHの影響が感じられる音と記されていました。
世間的にはRUSHもDTもメジャーではありませんでしたが、1991年に入会したNiftyの某音楽フォーラムにいたRUSHファンの間では知名度100%でした。すごいでしょ(笑)

全アルバムを聴いているわけじゃないですが彼らの音が私は好きです。
機会があればぜひアルバムを通して聴いてみて下さい。
ルドルフさんがおっしゃっていた1992年のImages & Wordsが一番有名で人気も評価も高いと思います。
個人的には2005年のOctavariumも聴きやすくていいと思います。

新加入のマイク・マンジーニはポートノイとはタイプが違うと思いますが、けっこうパワフルなドラミングをします。まじめな技巧派って感じですかね。
スティーヴ・ヴァイ(彼もバークリー音楽院出身)のバンドにいたこともある実力派なので、彼が加入でどう変わるか私は楽しみです。

投稿: Saki | 2011.07.23 01:56

Sakiさん、お久しぶりです。

>私も「ドリムシ」は初耳でした。

あれ、そうだったんですか?
でもドリムシっていかにも日本人リスナーが好みそうな略称ですね。

>DTは自分がRUSH好きだったからこそ出会ったバンドです。

うう、ラッシュも全く聴いてません・・
ラッシュもカナダのバンドですよね。
それくらいしか知識がありませんけど。

>1991年に入会したNiftyの某音楽フォーラムにいたRUSHファンの間では知名度100%でした。すごいでしょ(笑)

そうだったんですか・・さすがは某音楽フォーラム。
というか91年にすでに入会されていたのがすごいですね。
あたしがFROCKLに出入りするようになったのは95年くらいでした。

>ルドルフさんがおっしゃっていた1992年のImages & Wordsが一番有名で人気も評価も高いと思います。

なるほど、了解です。ありがとうございます。
次回がいつになるかわかりませんが、このアルバムから聴いてみることにしようと思います。

投稿: SYUNJI | 2011.07.23 09:26

ども、SYUNJIさん。

実は、昨日も車でImages & WordsやOctavariumを聞いていました。
ブログをやっていなかったら聞いていない音楽の筆頭で、一番気に入っているバンドですね。
Images & Wordsは自分でも傑作だと思います。Wait For Sleepから最後の曲になだれ込むところが車で運転していて丁度いいですね。一曲が長くても一時間くらい運転している事が多い自分にはそれ程苦にならず。

たしかにテクニックに全面という感じに受け取られる部分もあるけど、結構構成を考えて作りこまれたという印象を自分は感じますね。

投稿: だいまつ | 2011.07.24 09:25

だいまつさん、コメント感謝です。
昨日も大きな地震があったようですが、大丈夫でしたか?

>ブログをやっていなかったら聞いていない音楽の筆頭で、一番気に入っているバンドですね。

ええ~そうなんですか?
ドリーム・シアター、今までバンドの名前もかすかに知ってる程度だったんですが、「自分だけが聴いてない」典型だったんですね・・

>Images & Wordsは自分でも傑作だと思います。

みなさんこのアルバムの評価が高いですね。

>たしかにテクニックに全面という感じに受け取られる部分もあるけど、結構構成を考えて作りこまれたという印象を自分は感じますね。

なるほど・・
なんだかかなり聴けそうな気がしてきました。(単純)
次回はぜひこのアルバムに挑戦しようと思います。

投稿: SYUNJI | 2011.07.24 17:20

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 聴いてみた 第84回 ドリーム・シアター:

« 見ていない 第31回 プロジェクトX | トップページ | 聴いてない 第157回 ジョニ・ミッチェル »