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聴いてみた 第83回 ザ・バンド

今日聴いてみたのは、ザ・バンドのアルバム「ザ・バンド」。
聴いてないことを告白した直後、楽天の社是並みに急いで新宿の中古CD屋でザ・バンドを物色。
皆様からのおすすめでもあり、またタイトルがわかりやすいので買ってみました。(単細胞)

The_band

慣例からすればデビューアルバムのタイトルになるところだが、これは69年発表の2枚目である。
ジャケットの色目から「ブラウン・アルバム」と呼ばれているそうだ。
なお録音はサミー・デイビス・ジュニアの自宅で行われたとのこと。

ファーストに比べ、よりポップな形でアメリカン・ルーツな音楽を表現している、ということなので、聴きやすいという評価が多いようだ。
アメリカン・ルーツがどんな音なのかよくわかっていないが、聴きやすいという評価を信用して聴いてみることにした。
果たしてどんな音楽なのだろうか。

・・・・・聴いてみた。

1. Across the Great Divide
オープニングは意外に楽しそうなリズミカルな曲である。
結構いろいろな楽器の音が聞こえる。
控えめに鳴り続けるキーボードは「明るいヴァニラ・ファッジ」といった雰囲気。

2. Rag Mama Rag
あれ?この曲のイントロはデキシーズ・ミッドナイト・ランナーズの「Show Me」という曲と同じ。
ということはケヴィン・ローランドがパクったということか?

3. The Night They Drove Old Dixie Down
静かだが奥行きのあるサウンド。
アコースティックギターにハーモニカはなかなかいい。
時々ロールなドラミングがあるが、これもいい。

4. When You Awake
ディラン風のフォークソングだ。
意外と楽しそう。
右奥のほうからキーキーと高いキーボードの音が聞こえる。

5. Up On Cripple Creek
コミカルなメロディに自由気ままなボーカル。
サビの部分にコーラスもあるが、ハーモニーは微妙だ。
ライブのノリに近い感じ。

6. Whispering Pines
ゆったりとした流れに高いキーのボーカル。
カントリーのようでもあるが、この曲もキーボードの音が思ったより高く賛美歌のように聞こえる。

7. Jemima Surrender
下から来るブルースを基調とした旋律。
ライブ感にあふれたガヤガヤしたノリで、みんな結構自由に歌っているので、調和には少し欠ける感じだ。

8. Rockin' Chair
これも乾いた感じの曲だが、バンジョーが効果的に登場する。

9. Look Out, Cleveland
他の曲ではあまり聞こえないようなエレキギターの音。
階段を下りるようなメロディがポップでいい。
この曲が一番聴きやすいと感じる。
エンディングが予想外に遮断系だ。

10. Jawbone
歪んだ風変わりなイントロ。
ソロをとるボーカルが二人いるが、立ち位置が少し違うのでレベルが均等ではない。
(一人が左やや手前、もう一人は右奥)
こういう構成のためライブ感が強いのだろうと勝手に納得。
曲自体はやはり今ひとつまとまりがない。

11. The Unfaithful Servant
やや疲労感漂うリズム。
明るい曲調のはずが、どこか物憂げな雰囲気で、夕暮れの荒野を思い起こさせる。

12. King Harvest [Has Surely Come]
キーボードがずっと鳴りっぱなしなのだが、やや濁っていて曲全体もまとまりがいまいち少ない。

「聴きやすい」という評価には確かに共感できる。
もっと暗めの重いブルースとか粗野で荒っぽいサウンドを想像していたが、どの曲も素朴でおだやかに進行する。
ロックというよりもフォークやカントリーのテイストが濃い。
全体を通じて感じるのはライブ感だが、これはアレンジが少なく演奏や歌唱の生音を大事にしている感じがするからだろう。
クレジットによるとボーカルはリチャード・マニュエル、リック・ダンコ、レヴォン・ヘルムの3人だが、リチャードの声が一番渋い。
ロビー・ロバートソンも歌えるギタリストだそうだが、このアルバムではメインでのボーカルはとっていない。
ジャケット写真だとむさいおっさん集団なんだが、この時彼らはまだ全員20代なのだった。

「ザ・バンドのライブはレコードとおんなじ」という、ホメてんのか皮肉ってんのかわかんない有名な評価があるそうだ。
彼らはおそらくライブでもレコードを忠実に再現するつもりではなかったと思うし、そもそものスタジオ盤もライブ感そのままを録音しているからこそ、こうした評価が出るのだろう。

圧倒されるほどの卓越した演奏技術や歌唱力というものは感じない。
みんな楽しそうに演奏して歌っているが、楽器の音の中で特に前に出ているものがなく、文字通り仲良く合奏という感じだ。
実際のザ・バンドの各パート間にはきっとハードな緊張もあったんだろうけど、このブラウン・アルバムを聴いた限りでは音にはあまり表れていないように思う。
この後多くのロックバンドは互いの楽器が競いあったりする緊張感のあるスタイルに変わっていったものと思われる。

さて。
ザ・バンドを調べると、必ず名前が見つかるのがディランクラプトンである。
ザ・バンドは最も影響を受けたアーチストがエリック・クラプトンであるとされており、一方クラプトンはザ・バンドのデビューアルバムについて「人生を変えた一枚」と評している。
クラプトン自身はザ・バンドに入りたかったと公言していたそうだが、もしクラプトンが加入していたら、パワーバランスはかなり微妙なものになっていったのではないかと思う。
グループの一員として仲良く合奏、というスタイルを果たしてクラプトンがとれたのかどうか?
結局クラプトンがどんどん前に出て行ってしまい、他のメンバーがバックバンドっぽくなってしまう展開だったんじゃないか?
などと親戚でもないのにいろいろと考えてしまいましたが・・

というわけで、ザ・バンド。
まとまりのない感想ですが、拒否感や苦手意識といった感覚はありませんでした。
好みの音楽となるかどうか、他の作品をもう少し聴いて確認してみようと思います。

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コメント

ご機嫌いかがでしょう、
ルドフィーです。

> 拒否感や苦手意識といった感覚はありませんでした。

あら意外。
SYUNJIさんは、カントリー系ってダメな印象しかないんですが。

The Night They Drove Old Dixie Down・・・ザ・バンドの楽曲の中で一番好きかもしれない。懐かしいっす。

SYUNJI杯(麻雀)はいつ?

投稿: ルドルフ | 2011.05.25 06:15

おっと、久しぶりだな中野のルド。
レートはピンピンのサブロク、割れ目ぶっ飛びなんでもアリアリのオール伏せ牌、祝儀は片手1本だ。

>SYUNJIさんは、カントリー系ってダメな印象しかないんですが。

そうスねぇ、ブルースやカントリーはたぶん苦手だったと思うんですけど、ザ・バンドは意外にそうでもなかったです。
ただ好みと言われるとまだ微妙・・

>SYUNJI杯(麻雀)はいつ?

あら、いつから中華街がそっち系のイベントに・・?
P先輩の意向を確認しておきます。
といってもあたしゃもう10年以上やってないんで引退同然なんですけど。
先輩は雀荘で焼きそば注文するクチかも・・

投稿: SYUNJI | 2011.05.25 22:18

こんばんは、JTです。

おお、セカンド買われましたか。ぜひ聴き込んで下さい!はまりますよ。

>クラプトンはザ・バンドのデビューアルバムについて「人生を変えた一枚」

ブラインド・フェイスも当初イギリス版『ザ・バンド』を目指していたらしいです。クラプトンとウィンウッドが曲作りをしていた所に、ジンジャー・ベイカーがやってきてしまって、結局ああなっちゃたと(笑)。

クラプトン作の「プレゼンス・オブ・ザ・ロード」にその残り香が少しだけ感じ取れます。

>クラプトン自身はザ・バンドに入りたかったと公言

このおっさん、ストーンズにも入りたかった、といってましたが...。

投稿: JT | 2011.05.26 01:39

JTさん、こんばんは。聴いてみました。

>ぜひ聴き込んで下さい!はまりますよ。

意外に拒否感はなかったのですが、ハマる予感もまだそれほどありません・・
もう少し聴かないといけませんね。

>ブラインド・フェイスも当初イギリス版『ザ・バンド』を目指していたらしいです。

え、そうなんですか?
ブラインド・フェイスとザ・バンドでは方向性がかなり違うように思いますが、それはジンジャー・ベイカーのせい?

>このおっさん、ストーンズにも入りたかった、といってましたが...。

そうスか・・意外に大企業志向なクラプトン。
あちこちで入りたいって公言したのにどれも実現してないってことは、やはり受け入れられない理由があったんですかね。
ストーンズにもし加入してたらなんかモメてたような気がするよなぁ・・話としては楽しそうだけど。

投稿: SYUNJI | 2011.05.27 23:18

ジャケットから『ブラウン・アルバム』と呼ばれていたとは、はじめて知りました。録音場所もウッドストックの”ビックピンク”からハリウッドの”サミーデイビスJr邸”になったいきさつが気になるところです。
1曲目の邦題が<ロッキー越えて>なので、旅をしながら西部に移ったのでしょうか?

<ホエン・ユー・アウェイク>や<クリプル・クリーク>など、アメリカ南部の土の匂いがする音楽に充ちあふれてます。

11曲目<アンフェイスフル・サーヴァント>は確かに、”どこか物憂げな雰囲気で、夕暮れの荒野”が広がりますね。

このアルバムを聴いていると、のんびりした田舎の広い国道をドライヴしたくなります。

投稿: かまぼこRock | 2011.05.29 15:00

かまぼこRockさん、コメント感謝です。

>録音場所もウッドストックの”ビックピンク”からハリウッドの”サミーデイビスJr邸”になったいきさつが気になるところです。

すいません、あたしもこのあたり気になったんでいろいろ調べてみたのですが、経緯はわかりませんでした。
どなたかご存じないですかね?

><ホエン・ユー・アウェイク>や<クリプル・クリーク>など、アメリカ南部の土の匂いがする音楽に充ちあふれてます。

イメージは確かにそうですね。
アメリカ南部に行ったことはありませんが・・

>このアルバムを聴いていると、のんびりした田舎の広い国道をドライヴしたくなります。

同感ですね。
本当はそういう鑑賞がしたかったのですが、今回聴いたのはいずれも周りがおっさんだらけの通勤電車内でした・・

投稿: SYUNJI | 2011.05.29 21:19

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