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読んでいた 第2回 男組

シリーズ2回目は「男組」。
検索するとそっち系のお店やジャニーズグループに関するサイトもたくさん表示されますけど、漫画のほうです。

「男組」は70年代に少年サンデーに連載された学園ドラマ漫画・・・なのだが、いわゆる青春恋愛ものとは違い、主人公の流全次郎とその仲間が巨大な悪に立ち向かう様を描いたシリアスな劇画(死語)である。

原作は雁屋哲、作画は池上遼一。
雁屋哲は「美味しんぼ」の原作者としても有名だが、「美味しんぼ」は描き手の個性が極限までつぶされている珍しい漫画だ。
「男組」は作画者の池上遼一の画力により、それなりのバランスが保たれていると思う。

その「男組」。
舞台は青雲学園という名前こそ青春ドラマど真ん中な学校なのだが、出てくる学生たちはほとんどがとてもカタギとは言えないようなキャラクターばかり。
主人公の流全次郎は父親殺しの罪状を背負った少年刑務所所属?の学生で、手錠をはめて登校し中国拳法を使って不良学生と戦う・・という話で始まるのだが、敵役は神竜剛次という闇組織の長の息子で、警察すらも自由に扱い、政界の黒幕である「影の総理」を後見人に持つという、もはや学生同士の対決でもなんでもない対立構造。
これに流の少年刑務所仲間や、神竜側の朽木威作や桜魔子や鳥川といった毒キノコっぽい手下どもが加わり、組織的な全面抗争を繰り広げる。
設定としては同じく青春漫画の名作「愛と誠」に通じるものもあり、70年代特有の左寄りな思想が色濃く投影された作品である。
「大衆は豚だ!」という神竜の名セリフは、後に様々な漫画でオマージュやパロディの対象となっている。

連載当時も読んでいたが、読み始めたのは終盤になってからで、連載が終わって数年経った頃、神田の古本屋で単行本25巻を数回に分けて購入した。
今は処分してしまい手元には残っていないが、「アストロ球団」同様、ほとんどの場面やセリフを覚えてしまうほど読んだ。

この漫画の良さはストーリー展開の巧みさと画力の高さにある。
前半こそ正義の流と悪の神竜というわかりやすい対立構造だが、次第に彼らを覆う巨悪の構造が明らかになり、それはやがて二人の共通の敵になっていく。

ターニングポイントは流が神竜によって(実は影の総理の指示)軍艦島刑務所という最果ての地の収容施設に送られるあたりからである。
ここで流は父親の親友南条に出会い、新しい拳法の必殺技を伝授され、南条の死を乗り越えて軍艦島を脱出する。
一方神竜は影の総理から、流の軍艦島脱出を「失態」と取られてしまい、伊豆の山荘に幽閉されてしまう。
だが神竜も影の総理の命に背き、山荘支配人の怪人・伝場を始末し、朽木の助けにより山荘を脱出する。

この時点から二人は全く異なるベクトルではあるが、影の総理という巨大な悪にそれぞれ立ち向かって戦うことになっていく。
しかし理念が全く相容れない二人は、影の総理を倒す前に結局対決せざるを得なくなる。
対決の最中に、流は父親を影の総理の放った刺客によって殺され、神竜は母親が影の総理の裏切りにあって自殺したことを互いに告白。
最後は神竜の突き出す刀を肩で受け止めた流が、南条直伝の必殺技で神竜を倒す。
力尽きた神竜の短刀を譲り受けた流は、神竜との約束を果たすため、影の総理主催の園遊会会場に一人乗り込む・・・

漫画は流が神竜の短刀を手に、影の総理めがけて突っ込んでいくカットで終わっている。
ここで使われた詩は「ワルシャワ労働歌」とのこと。
兄弟と書いて「はらから」と読ませる、この言葉をこの漫画で知った次第。

作品やテーマの評価については個々の判断に譲るが、個人的に秀逸だと思うのは登場人物が死ぬシーンにあると確信する。
若干趣味の悪い見方ではあるのだが、後半から終盤にかけて多くの流の仲間や神竜の子分が死んでいく。
このシーンがどれも非常に読み手の心を打つのである。

特にページを割いているのが、流の腹心の弟分である高柳と少年刑務所仲間5人の死。
影の総理の放った特別戦闘機動隊と下水道の中で戦い、5人が次々に命を落とし、最後は高柳が立ったまま絶命。

主人公側の流の仲間が次々と死ぬという設定は、こうした少年漫画にもストーリー展開としてよくある手法なんだが、一方で敵役の神竜も影の総理との戦いにより朽木という副官を失う。
この朽木が死ぬシーンも実に壮絶で、映画のような高度な描写なのである。
詳細はぜひ作品を読んでいただきたいのだが、影の総理軍団と朽木組の銃撃戦の中、味方が全滅し最後に残った朽木が全身に銃弾を浴びるコマがあり、血潮を吹きながら空中をさまよう朽木、背景に薄雲がかかった太陽・・・という、ジョン・ウーばりのスローモーションがページ上に見事に表現されている。

こうして流・神竜双方に感情移入させてから二人の対決を見せ、最後は主人公が巨悪にむかって玉砕?という持っていき方は、当時の少年漫画の中でも非常に精度の高いものだったと思う。
まあ「アストロ球団」も展開中に死人の出る物騒な漫画だったけど、やはり少年漫画でも人が死ぬシーンは記憶に残るものだ。
そうやって70年代の少年は命の大切さを漫画から学んでいたのね。(そうか?)

で、今回「男組」を調べたら、なんと映画化もされていたのだった。
一作目は主演星正人、ヒロイン山際涼子役はなんと山口智子!・・・と思ったが、発表は75年。
唐沢寿明の妻であるほうの山口智子は当時11歳なので、これは別人である。
ちなみに星正人はあの「刑事くん」の主演俳優。
二作目は「男組 少年刑務所」というタイトル、主演舘ひろし、山際涼子役は竹井みどり。
76年の作品なので舘ひろしはすでに26歳なのだが「少年」を演じていたことになる。
まあこの手の映画は原作を超えるような評価になることはあまりないようで・・

というわけで、「男組」。
この漫画はおそらく元少年にほぼ限定でしょうけど、読んでおられた方のご感想などお聞かせいただければと思います。

 

 

 

 

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コメント

SYUNJIさん、こんばんは。
「男組」ですが、一度も読んだことがありません。
医者においてあった少年サンデーで「サバイバル」
「まことちゃん」などと並んで連載されていた
のをおぼろげながら覚えています。
ドラえもんで育ったためか、そもそも劇画が
苦手です。

少年サンデーといえば、80年代に「うる星やつら」や
「タッチ」でラブコメ&アニメブームを作りましたが、
それ以前は「男組」をはじめとする上記のような「濃い」
マンガを連載していた歴史があるのですね。

>>原作は雁屋哲

「美味しんぼ」は50巻くらいまで読みました。山岡と
栗田が結婚するくらいまでです。ここで描かれる食文化
に相当影響されましたが、その後、雁屋氏の主張もやや
偏りがあることを知りました。まあ、偏っているくらい
の方が、インパクトのあるマンガを描けるということ
なのでしょうねえ。

投稿: モンスリー | 2011.04.17 21:53

モンスリーさん、コメント感謝です。

>医者においてあった少年サンデーで「サバイバル」「まことちゃん」などと並んで連載されていたのをおぼろげながら覚えています。

そうです、「男組」の連載終盤の頃ですね。
「がんばれ元気」「赤いペガサス」「プロゴルファー猿」なども同じ頃ですね。

>それ以前は「男組」をはじめとする上記のような「濃い」マンガを連載していた歴史があるのですね。

当時のサンデーはマガジンよりも軽い印象がありましたが、「男組」は少し異質だったかもしれません。

>雁屋氏の主張もやや偏りがあることを知りました。

「美味しんぼ」はそれほどまじめに読んでませんが、確かに雁屋哲氏の主張がやや強すぎる回が時々ありましたね。
同じサンデーで雁屋哲原作・長谷川法世画の「突き屋」という漫画があってこれは好きでした。
半年間程度の連載だったんで、作品自体あまり知られていないようですが・・

投稿: SYUNJI | 2011.04.18 22:19

男組・・・大学時代に熱中しました。
案外、実在っぽい人物描写が好きでした。
影の総理は児玉誉士夫?
乞食番長は時代は違えど、浅草弾左衛門?
流の最後はブルースリーの「ドラゴン怒りの鉄拳」のラストにも似て、好きだった。
その後の流の物語・・・読みたいなあ

投稿: 次郎 | 2011.10.25 17:57

次郎さん、はじめまして。
コメントありがとうございます。

>男組・・・大学時代に熱中しました。

自分は連載終了の頃は中学生でしたが、単行本をそろえたのは大学に入ってからでした。

>案外、実在っぽい人物描写が好きでした。

言われてみるとそのとおりですね。
堀田英盛は西郷隆盛そのものですし。

>その後の流の物語・・・読みたいなあ

単行本の最終巻には番外編の読み切りが3本ありましたが、神竜の番外編なんかもあったらおもしろそうですよね。

投稿: SYUNJI | 2011.10.27 23:13

お返事頂き恐縮です。
実を言いますと、男組にはどっぷりはまっておりました。
猛虎硬派山なんか、結構練習しましたもん・・・
男組も連載当初は池上氏の絵もへたくそでストーリーも学園ものなのか、スポーツものなのかいまいちよく分からなかったし、途中余分な登場人物もいましたが・・
軍艦島と影の軍隊あたりから、弾けましたね。
特に失明の流と李大広の対決はマンガ史に残る描写でしょう。
また、あなたの指摘どうり、朽木の死にざまとそのシーンなどは、鳥肌ものです。

この連載が終わった時、各界から多くの方がコメントを寄せました。
中でも記憶に残るのは、確か音楽評論家の渋谷陽一氏だったと思うのですが、
「男組の主人公は、やはり確かに、神流剛次であった。ただ、少年漫画誌という制約が流を主人公にしただけであった・・・」というようなコメントでした。

我、一粒の麦たらん・・・
当時の読者は皆あのラストのセリフ暗記しましたよね・・

男組の思い出語れて幸せです。
どうもありがとうございます。

投稿: 次郎 | 2011.11.01 12:51

次郎さん、再びコメント感謝です。
こちらも思い出がこんなところで語れてうれしいです。
記事にしたかいがありました。

>軍艦島と影の軍隊あたりから、弾けましたね。

そうですね。
このあたりから登場人物それぞれにドラマがあって話が奥深くなったと思います。
軍艦島の堂島所長とか鬼吠山荘の伝場とか殺人機械とか、悪役にも強烈なキャラがそろってましたね。

>朽木の死にざまとそのシーンなどは、鳥肌ものです。

それまで非情の悪役に徹していた神竜が朽木を失ったことで、読者の心にぐっと近くなったと思います。
この時の朽木のセリフがまた泣かせるんですよね。
「若にお仕えできて光栄でした!」

>当時の読者は皆あのラストのセリフ暗記しましたよね・・

そうですね。
他にもたくさん名セリフのあった漫画でしたね。
連載終了から30年以上たってますが、今の時代だからこそもっと評価されていい作品だと思います。

投稿: SYUNJI | 2011.11.02 23:04

はじめまして、
男組読んでたころは小学生でした。
Super visual comicで全巻そろえてたまに読み返します。名場面がありすぎて一言でかたれません。
全部映画にしてほしいです。
(特に軍艦島は当地でロケしてほしい。)
最初は太極拳の細やかな描写に圧倒され
軍艦島のスケール感に息を呑み
少年刑務所篭城戦の展開にはらはらしました。
仲間が次々亡くなっていくせつなさと
最後に「正義の暴力」で白いガクランで突っ込む雄姿は強烈でした。冷静に考えると、最後は一人で突っ込むより動物使いの長浜を活用して、壮大な
動物や鳥類を交えたほうがすごかっただろうなと思います。

投稿: katsu | 2011.12.03 10:23

katsuさん、初めまして。
コメントありがとうございます。

>全部映画にしてほしいです。
>(特に軍艦島は当地でロケしてほしい。)

そうですね。
今映画化だったら誰が流全次郎を演じるといいですかね?

>冷静に考えると、最後は一人で突っ込むより動物使いの長浜を活用して、壮大な動物や鳥類を交えたほうがすごかっただろうなと思います。

あの終わり方は漫画のエンディングとしてのひとつのありかただったと思いますが、伊庭や大田原など生き残った者の力も最大限に発揮して影の総理を総力戦で倒す・・という展開でもよかったかもしれませんね。
いずれにしてもこうしてこの作品について多くの方々と語れるのはとてもうれしいです。
記事書いてよかったです。

投稿: SYUNJI | 2011.12.03 21:10

はじめまして、久しぶりに“男組”でぐぐったらたどり着きました。

ところで、ドラえもん17巻の「主役はめこみ機」に男組がちらっと出ています。ドラえもんと桜魔子のコラボですわ。
F先生のチョイスが絶妙としかいえないですわ

http://blogs.yahoo.co.jp/shironeko4677/archive/2011/01/16

投稿: hammer69_85 | 2011.12.04 23:01

hammer69_85さん、初めまして。
コメントありがとうございます。

>ところで、ドラえもん17巻の「主役はめこみ機」に男組がちらっと出ています。

これは知りませんでした。
確かにすごいコラボですね。
いろいろある中からこのシーンをなぜ選んだんでしょうね?
一応版元に配慮してるようですけど、中でもF先生は「男組」「がんばれ元気」が好きだったんでしょうか・・?

投稿: SYUNJI | 2011.12.06 22:10

>今映画化だったら誰が流全次郎を演じるといいですかね?

原作の流に似てるトキオの長瀬君がいいです。
しかし鎖の長い手錠とか最近見ませんね。

適当にキャスティングしてみました。

南条 五郎:渡辺 謙
李大広:ジェットリー
神竜 剛次:小栗旬
朽木 威作:松山ケンイチ
影の総理:麿赤兒

想像すると楽しくなりますね。

誰か映画監督の人にその気になってほしいです。特に三池崇史監督はクローズZEROの実績もあるからいけそうな気がします。


投稿: Katsu | 2011.12.21 21:11

>原作の流に似てるトキオの長瀬君がいいです。

なるほど、いいかもしれませんね。
こちらもいろいろ考えてみました。
山際涼子:堀北真希
桜魔子:中島美嘉
流統太郎:渡哲也
大田原源蔵:小川直也

確かに想像すると楽しいですね。

>特に三池崇史監督はクローズZEROの実績もあるからいけそうな気がします。

この人、来年公開予定の「愛と誠」を撮ってるそうですね。
これが当たれば、「男組」もいけると思います。

投稿: SYUNJI | 2011.12.22 22:51

SYUNJIさんはじめまして
正月休みに友達から男組全25巻を借りました
私も何巻か持っているのですが現在ほとんど手元になかったので

久しぶりに読むと当時子供だった自分には理解出来なかった台詞やストーリーがとても新鮮で、読み終えた後の興奮が冷めやらず
誰かと共感したくなり、ここに辿り着いたしだいです

当時確か中学生だった私は、池上遼一氏の画力に心を奪われ、太極拳やヌンチャク、蟷螂拳に憧れ、ついには「蟷螂拳入門」とかいう教則本まで購入してしまいました

それだけ池上氏の画は素晴らしかったのです、登場人物の動きや声、音までが本から伝わってきます

改めて1巻から読み進めると池上氏自身も登場人物たちとともに成長していったのがわかります
軍艦島あたりからの迫力は凄いですよね

ストーリーも画も登場人物のキャラの立ちっぷりも最高、大好きな漫画です

続きが読みたい気もしますがあのエンディングで良かったようにも思えます

投稿: チューブメン | 2013.01.08 13:28

チューブメンさん、初めまして。
コメントありがとうございます。

>当時確か中学生だった私は、池上遼一氏の画力に心を奪われ、太極拳やヌンチャク、蟷螂拳に憧れ、ついには「蟷螂拳入門」とかいう教則本まで購入してしまいました

これはわかりますねぇ。
自分は実技実戦にはのめり込みませんでしたが、「毒蛇吐信」「翻山越嶺」「雙龍出海」といった技の名前なんかは覚えましたね。

>それだけ池上氏の画は素晴らしかったのです、登場人物の動きや声、音までが本から伝わってきます

確かにそうですね。
記事本文にも書きましたが、画力の高さは映画にも通じるほどの説得力があったと思います。
こうして多くの方からコメントをいただけたことも大変うれしく思います。

投稿: SYUNJI | 2013.01.10 22:03

SYUNJIさん、はじめまして。
男組を初めて読んだのは小学校3年のころでした。
散髪屋に置いてあり、髪切るよりそちらに夢中になっていたものです。
思えばその後の私の人生に多大な影響を与えた作品であり、男とは、戦いとは、死とは、人生とは、仲間とは、という哲学を植えつけてくれた作品でした。
御多分にもれず、中国拳法という謎の武術に惹かれたのもこの作品とブルースリーの影響だったと思います。
今でも時々思い出しては一括まとめ買いの衝動に駆られます。
これほど熱くさせてくれた漫画にはその後出会っていません。
やはり池上先生の画力が素晴らしく、その後の作品は洗練はされましたが、ギラギラした粗削りな表情や動作はあの作品が一番ではないでしょうか。
今の時代柄とは少し相容れないとは思うものの、今読んでもグッとくる作品です。

投稿: さすら | 2013.06.10 18:49

さすらさん、初めまして。
コメントありがとうございます。

>思えばその後の私の人生に多大な影響を与えた作品であり、男とは、戦いとは、死とは、人生とは、仲間とは、という哲学を植えつけてくれた作品でした。

そうですねえ、ご指摘のとおり、そのくらいのチカラを持った素晴らしい作品だと思います。
自分は単純に感動しただけで、その後もさざ波のような人生ですけど。

>やはり池上先生の画力が素晴らしく、その後の作品は洗練はされましたが、ギラギラした粗削りな表情や動作はあの作品が一番ではないでしょうか。

同感です。
その後の作品では確かに画力は向上し洗練されましたが、どこか整然としすぎた感がありましたね。
同じく雁屋・池上コンビの作品に「ひとりぼっちのリン」がありますが、これももう一度読み返してみたいと思っています。

>今の時代柄とは少し相容れないとは思うものの、今読んでもグッとくる作品です。

これも同感ですね。
自分がこの記事を書いたのは2年前ですが、アクセス数はわりと高く、こうして多くの方からコメントもいただいており、影響力の大きさにもまた驚かされる作品ですね。

投稿: SYUNJI | 2013.06.10 22:18

やあ、こんなサイトがあるとはw

ラストについての様々な意見が出ていますが、現実路線でいく限り、あれしかなかったと思いますよ。作者自身もそう言ってたし。
つまり、神竜個人ではなくて、社会構造としての悪を倒すためには、学生上がりや下層階級(倉本の勢力)、暴走族ややくざ者などの周辺層では無理なので、個人のテロでしか倒しようがなかったということで。あれだけ周到に伏線をめぐらし、神竜の兄まで動員しながら、結局公安警察に負けて行く、やはり滅びの美しさでしょうか。死ぬ人の名の各話のタイトルに、連載当時泣かされました。影の総理はやっぱりシルエットから、田中角栄ですかね。
途中から巨魁が登場して、いささか木に竹を継いだ感もあり、神竜も霞みがちだった反省から、それならもっと明確に最初から総資本と対決させてみようと始まったのが男大空でした。絵としては物凄く革新的な試みで、残念ながら男組初期のどろどろした迫力は無くなった分、ギャグっぽい明るさは出ていました。池上漫画の最高傑作と思います。こちらは新興財閥が初めに壊滅し、その後教育と、コミューンという組織で対決し、ややきれい事で終幕を迎えました。やはり天皇家まで動員できる体制側を倒すのは困難だったようですw

投稿: ワレサ | 2013.11.04 21:17

ワレサさん、初めまして。
コメントありがとうございます。

>ラストについての様々な意見が出ていますが、現実路線でいく限り、あれしかなかったと思いますよ。

そうかもしれないですね。
少年漫画のラストとしてはやや難しかったと思いますが・・

>死ぬ人の名の各話のタイトルに、連載当時泣かされました。

そうですねぇ、倉本や高柳や朽木は死の場面でも見せ場がたくさんありましたね。
堀田英盛は登場の頃に比べて見せ場がそれほどなく死んでしまったように思いましたが・・

>影の総理はやっぱりシルエットから、田中角栄ですかね。

ラストの4ページほど前の1コマで、最初で最後の影の総理の素顔?が出てましたけど、顔面傷だらけの怖いおっさんでしたね。

すいません、「男大空」は全く読んでいません・・
あの「北斗の拳」も影響を受けたとされる漫画だそうですけど・・

投稿: SYUNJI | 2013.11.06 23:18

はじめまして。
「男組」「池上遼一」で検索して、こちらに来ました。

自分が読んだのは、小学生のときで、すでに
「男組」は完結し、サンデーでは「男大空」を
やっている頃で、さかのぼって「男組」を立ち読みしてました。

「男大空」も、前半、主人公にとって割と悲惨な展開ですが、「男組」は全編通して主人公サイドが悲惨な展開ばかりで、それでも読み進めたのは、ストーリーの大きさと絵の巧みさゆえでしょうか。
終盤、主人公の味方がドンドン死ぬ展開でしたが、今でも覚えているのが、高柳の死ですね。その部分は何度も何度も繰り返し読みました(立ち読みでw)。
「闘士・高柳秀次郎」というサブタイトルは、今でも記憶にあります。
あれほど強い高柳が、多勢に無勢の中、流たちを逃がすために戦い、最期は立ち往生。
 その生き様・死に様を「闘士」の二文字で表現する潔さ。
 影の総理に突っ込む流よりも、高柳の方が、自分にはインパクトありました。

投稿: とおりすがり | 2015.12.09 14:57

とおりすがりさん、初めまして。
コメントありがとうございます。
4年前の記事ですが、今も一定のアクセス数があるので、「男組」の人気の高さがよくわかります。

>「闘士・高柳秀次郎」というサブタイトルは、今でも記憶にあります。
>あれほど強い高柳が、多勢に無勢の中、流たちを逃がすために戦い、最期は立ち往生。
>その生き様・死に様を「闘士」の二文字で表現する潔さ。

全く同感ですね。
五家宝連の5人はそれぞれ見せ場が作られていて、岩瀬と大杉と高柳は死んでしまいますが、高柳のキャラクターが一番魅力的ですね。
高柳の前に堀田と倉本も相次いで命を落としますが、二人は兄弟分ではなく流の同士という間柄で、描かれ方も高柳に比べると見せ場も少なく、犬死にという感じで気の毒な最期ですね。
それにしてもこの漫画はつくづく名作だと思います。

投稿: SYUNJI | 2015.12.10 22:29

 男組ファンの皆様、はじめまして。出版社の明月堂書店と申します。弊社は『ガロ』の系譜をひく版元(青林工藝舎)のグループ会社でもあり、かねてより池上遼一先生とは懇意にしてきました。
 このたび、雁屋哲先生・池上先生のインタビューを収録した『男組の時代 番長たちが元気だった季節』(横山茂彦著)を刊行しましたので、お知らせいたします。
 周知のとおり『男組』は雁屋哲先生原作、政治権力と暴力の関係をあますところなく明らかにし、男の生き方を世に問うた不朽の名作です。ひとりでも多くの方が『男組』をお読みいただき、その神髄に触れてほしいという思いで、この解説本を世に送ります。ご一読いただければ幸甚です。巻末に両先生と白井勝也氏(当時の「少年サンデー」編集長)のインタビューを収録しています。

投稿: 明月堂書店 | 2019.09.11 00:04

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