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聴いてみた 第78回 ジェフ・ベック・グループ その3

ジェフ・ベック予備校秋の特別講習2回目。
本日はモンスリー講師ご指導のもと、バンド名と同じタイトルで1971年発表の通称「オレンジアルバム」を聴いてみました。

グループとしては4作目、第2期では2枚目のアルバム。
前作はタイトルが「間に合わせ」だったこともあってかベック自身も出来にあんまし満足しておらず、同じメンバーで今度こそと気合いを入れて作ったのがこのみかんアルバムとのこと。

Orange

セールスとしても前作よりも成功したようで、バンド経営も順調に進行かと思いきや、この翌年ベックはメンバーのボブ・テンチ以外の3人をクビにし、カーマイン・アピスとティム・ボガートとの活動に入る。
従ってジェフ・ベック・グループ名義では感動の?ラストアルバムでもある。

同じメンバーによる連作が非常に珍しいベックのアルバム。
果たしてあたしはベックの作った甘いみかんをこたつで味わうことができるでしょうか。

・・・・・聴いてみた。

1. Ice Cream Cakes
オープニングは粘りのあるブルース系ロックである。
ボブ・テンチの声はやはりちょっと好みからははずれている。
この曲ではベックのギターは左側から聞こえるが、右からのキーボードのほうが主張が強い気がする。
不思議な構成で今ひとつ落ち着かない。

2. Glad All Over
アップテンポでファンクな雰囲気。
時々聞こえるドラム(ウッドブロック?)の「こっ」という音がコミカルだ。
コージーはこんな音も出せるのか・・

3. Tonight I'll Be Staying Here With You(今宵はきみと)
この曲はボブ・ディランのカバーだそうだが、原曲はもちろん知らない。
ブルースに少しフォークやカントリーのテイストが混じった感じの曲だ。
前の2曲に比べてベックが少し前に出てきている。

4. Sugar Cane
ピアノを基調とした規則正しいリズムに、どこかELPフロイドっぽい不協和音スレスレのギターとボーカル、コミックバンドのようなコージーのドラム。
案外単調でサビがどこだかわからず、かえって不思議な構成だが、ベックの作品だそうだ。

5. I Can't Give Back the Love I Feel for You(帰らぬ愛)
壮大なオープニングでベックのギターがうなる。
これこそベックの作品かと思ったら、ダイアナ・ロスのカバーとのこと。(作者はダイアナとも別の人)
思ったより短い。

6. Going Down
ジャズっぽいピアノとロックなドラムにベックのギターがからみ、楽曲としてのまとまりが意外に高い。
ギターの音幅が一番広くとってあるのがこの曲である。
コージーのドラムは少し軽いが、ようやくおもしろくなってきた感じだ。
ボブ・テンチには悪いが、こういう曲をロッドに歌ってほしいなぁ。
もう少しテンポアップしてもいいと思う。

7. I Got to Have a Song
今度はスティービー・ワンダーのカバーだが、残念ながらこれも元の曲は聴いてない。
けっこうアクティブな曲で、コージーのドラムの音がいい。

8. Highways
これまた妙な進行だが、ベックのギターはこの曲が一番切れ味がいい。
もう少しギターソロが長いといいんだが・・
エンディングはキーボード主導で終わってしまうのも物足りない。

9. Definitely Maybe
ラストにベックによるインスト作品。
音は直線ではなくカーブを描く変化球である。
少し暗くてもの悲しいサウンドだ。
ベックのギターに別のトラックでベックのギターを積み重ねている部分があるけど、どっちもキーが高くてやかましい音に聞こえる。
あっさり終わるところもどこか違和感が残る。

うーん・・・
全曲ベック弾きっぱなし、というわけではないし、ドラムやキーボードにも聴きどころはあるのだが、自分の求めている音とは少し違うところに位置しているようだ。
前作「ラフ・アンド・レディ」に比べセールス的には断然こっちのほうが売れたそうだが、それはなんとなくわかる。

これでBBAも入れて6枚ベックのアルバムを聴いたことになるが、ベックのギターは思ったよりも高いキーでびゅーびゅーと勝負を挑んでくる。
楽曲自体は案外正統派で、その中でもわんもわんと音をカーブさせて独自の世界を築くタイプのギタリストだと感じる。

しかしだ。
あえてジミー・ペイジとツェッペリンを比較対象に持ってきて恐縮だが、自分はペイジのすんげえ変な曲の中で奏でる思いっきり怪しいサウンドのほうが圧倒的に好みだとはっきりわかるのだ。
自分はコージーのドラムもロッドのボーカルも好きだが、それでもジェフ・ベック・グループのアルバムよりはツェッペリンの初期のアルバムを選んでしまうだろう。
おそらく演奏技術はペイジよりもベックのほうが全然上、と評価する人が多いと思われるが、自分にはあまりそのへんは関係ないらしい。
今のところツェッペリンのアルバムならどれでも繰り返し聴く気にはなるが、ジェフ・ベック・グループのアルバムにはそこまでの強い情動がない。

では3大ギタリストのもう一人、エリック・クラプトンと比べるとどうだろうか?
まあクラプトンも数ある作品のほんの一部しか聴いてないんで比較もできないのが正直なところだが、聴いてる範囲ではクラプトンのほうが音が多様な気はする。
気がついたら鑑賞実績で一番遅れをとってしまったのがクラプトンという状態だ。
早いうちにクラプトン補習を受ける必要がありそうだ。

ジャケットになぜオレンジなのか不明だが、りんごを使ったこともあるからベックは果物が好きなんだろう。(適当)
デザインとしては「ラフ・アンド・レディ」のほうが優れていると思う。

というわけで、ベックのみかんアルバム。
好みの点ではやはりりんごアルバムになりますが、みかんもそれほど苦手な印象は残りませんでした。
ベック全盤制覇などという野心は全く持ってませんが、もう少し学習を続けてみてもいいかなと思います。

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コメント

SYUNJIさん、こんばんは。
ベック連戦、お疲れ様でした!

この作品ですが、いわゆるキャッチーな曲
というのが、「Going Down」だけという様相
ではありますが、前作よりさらに練られた感じ
もあり、どちらも捨てがたい作品です。あえて
言いますと、前作よりボーカルが控えめに感じられる
ところもあり、ベックのギターが強く感じられる
と思います。
前回も書きましたが、「Definitely Maybe」は
ベックしかなし得ない演奏ですね。

さて、
>>ツェッペリンのアルバムならどれでも繰り返し聴く気にはなるが、
>>ジェフ・ベック・グループのアルバムにはそこまでの強い情動がない。

ここがペイジとベックの間にある、圧倒的な商才の
差ではないかと思います。

>>聴いてる範囲ではクラプトンのほうが音が多様な気はする。

語弊がありますが、クラプトンはボーカルにも重きを置いて
おり、時期によっては最新のサウンドを取り入れています。
もちろんベックも最新のトレンドを追求していますが、
鋭角なサウンドになるため、クラプトンの方が(しかも
ボーカル入りのため)、より親しみやすいのは私も強く
感じるところです。

ですが、老いても「3大ギタリスト」。ベックとクラプトンを
見習って、ペイジも本格復帰してほしいものです。

投稿: モンスリー | 2010.10.19 21:12

モンスリーさん、今回もお世話になりました。

>あえて言いますと、前作よりボーカルが控えめに感じられるところもあり、ベックのギターが強く感じられると思います。

そう言われればそんな気もします。(主体性なし)
ベックがバンマスとしてグループ全体を統制してきた感じでしょうか。

>ここがペイジとベックの間にある、圧倒的な商才の差ではないかと思います。

うーん、結果的にそういうことになるんでしょうかね。
ペイジ(ツェッペリン)の音って決して大衆的ではないと思うのですが、やはりロックの様式としてどうあったら売れるかを、ベックよりペイジのほうがわかってやっていた・・ということなんでしょうか。

>ですが、老いても「3大ギタリスト」。ベックとクラプトンを見習って、ペイジも本格復帰してほしいものです。

確かにそうですね。
ベックとクラプトンの現役感は誰しもが認めるところですが、すでに現役レベルには戻れない自らの不可逆性を自覚しているペイジ、そんなんたまに伝説っぽくシーンに再登場したほうがごっつ売れるやんけ・・って考えてるんでしょうか・・(失礼)

投稿: SYUNJI | 2010.10.23 18:15

こんにちは、JTです。

>楽曲自体は案外正統派で、その中でもわんもわんと音をカーブさせて独自の世界を築くタイプのギタリストだと感じる。

ツェッペリンと比べるとカヴァーも多いせいか、変な楽曲はないですねぇ。でも今聴いても、かっこいいとおもってますけどね、第二期ベックグループは。

とはいえセールス的にみれば、SYUNJIさんの評価は当たっている訳です。

モンスリー講師もおっしゃっていますが、ペイジとベックの間にある、圧倒的な商才の差なんですね。ペイジはスタジオミュージシャン時代が長かったので、その辺のにおい(売れる音楽)をかぎわける力があったんですね。

一方、ベックさんは自分がかっこいい、と思っている音楽を模索、選択していった結果セールスに結び付かなかったのではないかと思っています。

>ベック全盤制覇などという野心は全く持ってませんが、もう少し学習を続けてみてもいいかなと

『ブロー・バイ・ブロー』は聴かれたんでしたっけ。最後にこれだけでもよろしくです。

投稿: JT | 2010.10.24 07:49

JTさん、コメント感謝です。

>ツェッペリンと比べるとカヴァーも多いせいか、変な楽曲はないですねぇ。

比べること自体が意味ないかもしれませんが、ジェフ・ベック・グループのほうが音は正統派に聞こえます。というかツェッペリンてやっぱ変な音が多いです・・

>ペイジはスタジオミュージシャン時代が長かったので、その辺のにおい(売れる音楽)をかぎわける力があったんですね。

なるほど・・そういう理由もあったのか・・
意外にペイジさんも苦労人てことですかね。

>『ブロー・バイ・ブロー』は聴かれたんでしたっけ。最後にこれだけでもよろしくです。

すいません、これは聴いてないです。
聴いているのは「ワイアード」です。
次回は「ブロー・バイ・ブロー」を聴いてみようと思います。(いつになるやら・・)

投稿: SYUNJI | 2010.10.24 11:11

比べる時、ジェフ単体vsツェッペリン4人みたいな形になっちゃうのがね…
ペイジのイメージする音を、実現出来てしまう仲間を揃えたのは大きいでしょう

音作りの巧みさでは、スタジオワークの能力が高いのが大きいと思います
クラプトンが、ペイジと会うまでスタジオワークと言う物自体を知らなかった、と言っていたのが印象的

投稿: kh | 2011.03.29 03:05

khさん、はじめまして。
コメントありがとうございます。

>ペイジのイメージする音を、実現出来てしまう仲間を揃えたのは大きいでしょう

確かにそうですね。
ベックは「孤高」と表現されることが多いようですが、ペイジはそういうイメージはないですね。

>クラプトンが、ペイジと会うまでスタジオワークと言う物自体を知らなかった、と言っていたのが印象的

これも象徴的なエピソードですね。
やはり若い頃からペイジの商才はベックやクラプトンの先を行っていたということですかね。

投稿: SYUNJI | 2011.03.29 23:23

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