聴いてみた 第77回 ジェフ・ベック・グループ その2
先週、ルドルフ編集長主催の全国出会い系ブロガー決起集会に参加し、ぷく先輩・sugiさんにお会いする機会に恵まれました。
ぷく先輩は大切な用事を涙ながらに振り切って今回の集会に参加したとのことで、その熱き想いに参加者全員が胸を打たれたのでした。
最近はあたしも時々思い出したように音楽の記事を書く程度に堕落しておりましたが、今後は音楽ブロガーとして初心にかえって日々精進する決意をあらたにいたしました。(←適当)
そんな軽ーい決意のあたしが今日聴いてみたのはジェフ・ベック・グループの「Rough And Ready」。
1971年の作品である。
グループのアルバムとしては3枚目の鑑賞となるが、この作品はいろいろな意味でベックにとって転機となったものでもあるようだ。
すでに第1期グループは解散しており、ロッド・スチュアートやロン・ウッドとは袂を分かつ形になっていた。
さらにカーマイン・アピスやティム・ボガートとの活動も、ベックの自動車事故のため頓挫。
ベックは全治3ヶ月の重傷だったそうだ。
気を取り直してあらためてグループ第2期として発表したのがこのアルバムである。
メンバーだけでも何かと話題のアルバムだ。
クライヴ・チャーマン(チェイマンと表記しているサイトもある)とボブ・テンチという黒人ミュージシャンの加入、さらには渡り鳥コージー・パウエルも参加している。
そうした情報とともにアルバムの存在はもちろん知っており、いつかは聴かねばならないと思っていた。
で、今回図書館でCDを借りたのだった。
ちなみにタイトルは「間に合わせ」「拙速」などという意味らしい。
果たしてどんな音がするのだろうか。
・・・・・聴いてみた。
1. I Got The Feeling
オープニングにふさわしい、何かが始まりそうなリズム。
終始鳴っているチャカポコなギターとピアノの組み合わせがおしゃれな感じだ。
転調がところどころある。
基本的にボーカルの後の間奏が明るい調子で、他の部分は辛口なサウンド。
2. Situation
疾走感に満ちたリズムだが、ロックのノリとはやはり少し違う。
ベックのギターが歌うようにしゃべるように流れる。
3. Short Business
ノリのいい佳作。
ボーカルを含めた各パート同士のバランスが最もとれている。
短いのとエンディングが淡泊なのは惜しい。
4. Max's Tune (Raynes Park Blues)
これはキーボードのマックス・ミドルトンの長いインスト作品。
どこか憂いを帯びた流れの中で、ベックのギターがこもった音を出している。
というか曲全体がこもって聞こえるなぁ。
自分の耳が悪いのか?
ジャズっぽいノリなため、コージーのドラムはちょっと物足りない。
5. I've Been Used
やや奥行きのある音がする。
つかみどころがなく不思議な曲だ。
3分過ぎたあたりに遠くからベックのギターがうねる。
6. New Ways / Train Train
自分が持つベックのイメージに一番合致するのがこれだ。
ギターとドラムがイキイキしている。
途中転調があり、ほぼベックとコージーだけの掛け合いみたいなコーナー?がある。
終盤右から入ってくるベックのギターは圧巻だが、サウンドに今ひとつまとまりがない。
ボブ・テンチのボーカルは悪くないが、もう少し声量があれば・・とも思う。
コーラスが中途半端に当たる箇所があるが、これは不要だ。
7. Jody
これも奥行きのある深い音だが、途中の転調からギターがかなりイジられており、どこかスティーリー・ダンのような感じがする。
ベックのギターはロックというよりフュージョンの音だ。
コージーのドラムは精緻だが思ったほど前に出てきていない。
聴き終えた。
思ったより短い。
ノリのいい曲も多いが、ハードロックの範疇ではないだろう。
当たり前だが、コージーのドラムはレインボーの音とは全く違う。
ベックのギターを中心にジャズやフュージョンの香りもあちこちに感じられ、都会的で洗練された印象だ。
ただし好みの音楽なのかと問われると難しい。
ボブ・テンチのボーカルも今ひとつ声量が足りず聴き応えが少ない。
コーラスを当てている曲もあるが、印象はあまり変わらなかった。
またインストの「Max's Tune」も冗漫で明るい音でもなく退屈な感じである。
曲の中にいい感じのサウンドやメロディが時々あるんだけど、なぜか長続きしてくれない。
ベックのギターを聴くならこのアルバムでもいいのだろうが、バンドとしての楽曲はやはり第1期の「トゥルース」「ベック・オラ」のほうが楽しい。
ロッドのボーカルが聴けるからだ。
ベックは「ロッドが歌ってくれるなら他のメンバーは誰でもよかった」などとヒドイことを言っていたらしいが、一方のロッドも脱退時には「ベックとやっていて得るものが何もなかった」などとすてきなコメントを残していたようだ。
この二人の関係もよくわからなくてファンクだ。
ロックバンドはやはりこうでなくてはいけない。
アルバムジャケットはベックの作品の中では一番の出来ではないだろうか。
メンバーのポートレイトだけなんだが、全員モノクロでデザインとしても渋く、ベックとコージーの挑戦的な表情が非常にいい。
この二人はそもそも顔つきが似ているのだが、コージーのほうがワルな顔をしている。
勝手な想像だが、どこのバンドにいてもコージーは劣勢に立たされて追い出されたなんてことはなかったんじゃないだろうか?
というわけで、「Rough And Ready」。
悪くはなかったですが、やはり少し物足りない印象が残りました。
次回こそは80年代の「Flash」を聴いてみようと思います。
| 固定リンク | 0
コメント
SYUNJIさん、こんばんは。
ベックは、89年「Guitar Shop」=インストアルバムから
入りましたが、当時はボーカル入りの方がもっとよい
だろう、「ラフ&レディ」は名盤と書いてある!
とのことで、割と早々に聞いていたと思います。
が、「Guitar Shop」とまるで路線が違う、もっと
はっきり言えば、苦手な黒人音楽のような感じで、
それっきりになりました。
月日は流れて、5年ほど前にリマスター盤が出たときに、
この第2期のアルバムを2枚購入し、再挑戦しました。
結果・・・・いや~あらためて聞き直しましたが、かっこ
いいですなあ。「ファンクなベック」が今なら許せる、
というか、自分がやっとこさ第2期ベックに追いついた
ような感じです。黒っぽいリズムとソウルフルなボーカル
に、ベックのハードで、時に艶やかなギターが実に
マッチします。
ボーカルの問題もありますが、ここ数年名曲中心の
セットリストにしているベックのライブで、第2期の曲が
ほとんど(全く?)演奏されないのは残念です。
というわけで、第2期にはもう1枚「Jeff Beck Group」
(通称オレンジアルバム)があります。ここにはベック
でしかなし得ない名演「Definitely Maybe」が収録
されていますので、機会があればお試しください。
投稿: モンスリー | 2010.08.29 21:40
モンスリーさん、コメント感謝です。
>ベックは、89年「Guitar Shop」=インストアルバムから入りましたが、当時はボーカル入りの方がもっとよいだろう、「ラフ&レディ」は名盤と書いてある!とのことで、割と早々に聞いていたと思います。
あたしも同じくインスト(ワイアード)から入ったクチですが、ものすごく長い間放置してしまいました・・
>「ファンクなベック」が今なら許せる、というか、自分がやっとこさ第2期ベックに追いついた
ような感じです。
なるほど・・
自分はまだベックが何者なのかよくわかっていないレベルだと思うんですけど、もう少し聴いたらこのあたりの境地にたどりつけるんですかね?(知らんがな)
楽曲として悪くはないとは思うのですが、今のところは好みからは少しはずれているような感じですね。
>第2期にはもう1枚「Jeff Beck Group」(通称オレンジアルバム)があります。
そうだ、これもまだ聴いてませんでした。
「Flash」はネットでも評判があまり良くないんで、こっちから聴こうかな・・(気弱)
投稿: SYUNJI | 2010.08.29 22:29
お久しぶりです、昔からのベックファンの人はこのアルバムが一番好きとゆう人が多いですが私は未聴です、いわゆるフュージョンアルバムの(ブロウバイブロウ)からのファンなのであれこそベックの才能を最大限に引き出したアルバムだと思っています、(フラッシュ)はいいアルバムですね、好きな曲も多いです、何故評価が低いのか解らない・・・ナイル・ロジャースの無難なプロデュースが不評なのか?
携帯からの投稿で読みにくくてゴメンナサイ。
投稿: ボレロ | 2010.08.31 00:40
ボレロさん、コメントありがとうございます。
>昔からのベックファンの人はこのアルバムが一番好きとゆう人が多いですが私は未聴です
あ、未聴でしたか。
確かにネットではこのアルバムを一番にあげる意見がけっこう見つかりました。
>(フラッシュ)はいいアルバムですね、好きな曲も多いです、何故評価が低いのか解らない・・・
そうですねぇ・・
これもネットで見た範囲の話ですけど、たぶん古くからベックのファンである人の評価があまり高くないのではないかと思います。
いずれにしてももう少しベック学習を続けなくては・・
投稿: SYUNJI | 2010.08.31 22:40
こんにちは、JTです。
第1期ジェフ・ベック・グループとは明らかに方向性が変わっていますね。ヘビーなブルースロックでなくてファンキーかつブラックミュージック路線に変化していますね、後の『ブロー・バイ・ブロー』にも繋がる。
ベック自身の音楽志向性の変化によるものでしょうね。
第1期やBBAと比べるとやや地味ですが、今聴いてもかっこいいと思います。
>やはり少し物足りない印象
う~ん、そうですか。ベック自身もこのアルバムはタイトル通り「間に合わせ」「拙速」で作ったと言っていますので(笑)。機会があったらセカンドの『オレンジアルバム』も聴いてみて下さい。
投稿: JT | 2010.09.02 07:30
JTさん、コメントありがとうございます。
>ヘビーなブルースロックでなくてファンキーかつブラックミュージック路線に変化していますね
そうですね、よりジャズっぽくなったというか・・
1期のブルース系が好みだというわけではないはずなんですが、自分にとってはやはりロッドのボーカルがポイントだったのは間違いないです。
>機会があったらセカンドの『オレンジアルバム』も聴いてみて下さい。
了解しました。(←主体性なし)
しかしあのジャケット、なんでオレンジが一番上に・・?
投稿: SYUNJI | 2010.09.02 23:30