使っていた 第4回 カセットインデックス
郷愁のEMIシリーズ、前回はカセットテープの巻でしたが、テープを買ってエアチェックで録音して、その後何をするかというと、そう、インデックスを作るわけです。
ここでいうインデックスとは、カセットテープとともにケースに入れる、曲目を書いておく台紙のこと。
今のナウいヤングのみなさんには何のことやらでしょうけど、このインデックスにも当時のナウいヤングは凝っていたのです。
カセットテープを買うと基本的にインデックス用紙も付属なのだが、その付属しているデフォルトものは案外書きにくかったりデザインが気に入らなかったりするので、あえて市販のものを買ったりすることがあった。
特に90分テープの場合、テープ片面の曲数が多いとデフォルト台紙では書ききれなかったりするので、折り畳んで使うインデックス用紙を使ったりした。
文字で説明すると今ひとつ伝わらないスね。
実物はこんなヤツです。
SONYのテープばかり使っていたので、市販品もSONY製が多かった。
近所にSONY製品を扱う専門ショップがあり、そこで買ったものだったと記憶している。
枠線だけの無機的なデザインのものや、風景など写真つきのものがあった。
さらにインデックスをより美しく演出するための素材のひとつとして、インレタがある。
インスタントレタリングシートが正式名称だと思うが、台紙の上に乗せてこすると文字が台紙に貼り付いて、印刷したように美しく見えるというもの。
これも文字で説明してもうまく伝わらないので、実物をどうぞ。
要するに手書きでないきれいな書体で、インデックスのタイトル(アーチスト名・アルバム名など)が作れるという画期的な商品だ。
若い頃から字の汚いあたしですが、手書きでインデックスにアーチスト名を入れた時は、あまりのヘタ字に絶望したものです。
なのでインレタを使い始めてからは、作ったインデックスをながめるのも楽しくなった。
インレタは市販のインデックスに付属しているものを使っていたが、もともとデザイン用品なので画材店などに売っており、これを買うこともたまにあった。(結構値がはるものだったような気がするが。)
ただし。
インレタの弱点は文字数が限定されることにある。
アルファベットのシートだと、突出して使用頻度が高いのが「E」だ。
BEATLESやQUEENなんていきなり「E」を2つ使うし、とにかく英語表記は「E」が多いのだ。
当然シートも「E」が多めに作ってはあるのだが、すぐに枯渇するので、「E」欲しさに新しいシートを調達しなければならず、コストがかさんでやむを得ずまた手書き・・という状態だった。
上の写真でも左側のインレタはすでに「E」を使い切っている。
「F」と「L」を重ねて「E」を作るということまでやっていたなぁ。
さすがに曲名全てにまでインレタを使う根性はありませんでしたけど。
その後Macを買い(!)、クラリスワークス(!)でインデックスを作るようになったので、インレタは不要となった。
ただ実際にクラリスで作ったインデックスはせいぜい20本程度だと思う。
Macに挫折したのと、MDを使うようになってカセットテープを卒業したのがほぼ同じころだ。
インレタとともにインデックスを彩る素材が、アーチストの写真である。
当時の音楽雑誌にはまさにカセットインデックス用のページがついていることがあり、これを使うのだ。
実物がいくつか残っているのでご紹介しよう。
ビートルズはやはり人気があったので、様々な雑誌からゲットできた。
ポールとリンゴのカップリング写真はなかなか貴重な感じだ。
これはカルチャー・クラブである。
「戦争のうた」の頃の写真。
多少人気にかげりが出てきた頃だ。
ELO。
「コーリング・アメリカ」の頃の写真。
左はケニー・ロギンス。
右は誰だかおわかりでしょうか?
ジュリアン・レノンです。
今どうしているのだろう・・・
このバンドはご存じの方も多いだろう。
メン・アット・ワーク。
中央がリーダーのコリン・ヘイ。
この写真でバンド名を当てた方はかなりの洋楽通ではないだろうか。
38スペシャルである。
これはイエスだ。
80年代の彼らはこんな感じだったのだね。
週刊FMのストーンズ特集。
まだビル・ワイマンがいた頃の写真。
これはミュージック・ライフのものだが、ロバート・プラントとナックが上下に並んでいる貴重なページである。(そうでもねえよ)
当時の編集センスがかいま見えるレイアウトですね。
結局これらはカセットインデックスに貼ることはせず、かと言って捨てることもできずそのまま残っているという状態。
また特にインデックス用ページに限らずアーチストの載っているグラビアページをカセットの大きさに切り抜いて保存しておく、ということもやっていた。
こんなチープな趣味で集めた写真が100枚くらい残っている。
できれば全てのカセットにアーチスト写真を貼りたかったのだが、意外に雑誌に写真が載らない人たちも多く、なかなかうまくいかないものだった。
ボストンやカーズはなかなか写真がなくて苦労した記憶がある。
今にして思えば、アーチストの写真ときれいな書体を組み合わせてインデックスを作るなんてのは、それこそMac(クラリス)を使って簡単にできそうな話である。
コアなアーチストだってネットで探せば顔写真くらいは見つかるだろうし。
もし今でも音楽を聴く主流メディアがカセットテープだったら、EXCELやWORDでも使って凝ったインデックスを作っただろうなぁ。
というわけで、カセットインデックス。
こんな文化を体験したことを共有できるのはおそらく限られた世代の方々だけではないかと思いますが、みなさまのインデックス製作の情熱はどのようなものだったのか、教えていただけたらと思います。
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コメント
twitterの楽しさが分からないゲッツです。
当然インレタ使ってました。同世代の男子はかなり高い確率で使っていたと思います。
用途としてはSYUNJIさんが書いているように、アーティスト名とアルバムタイトルがメインですが、一度だけ曲名もインレタで書いたことがありました。一度だけですけど。
ご想像のとおり、あまりにも手間がかかることと、コストがかかるので、一度で嫌になりました。それに、曲名はカセットを並べたときに見えるわけではないので、満足感もいまいちなんですよね。
投稿: getsmrt0086 | 2010.03.14 16:02
SYUNJIさん、こんばんは。
これまた懐かしい話題です。
>>カセットテープを買うと基本的にインデックス用紙
>>も付属なのだが、その付属しているデフォルトものは
>>案外書きにくかったりデザインが気に入らなかったりする
そうでした。私の場合、初期の(といってもいつ頃か説明
が難しい)TDKのインデックスが苦手でしたので、
そのせいもあってソニーをひいきにしました。
市販のインデックスカードは買いませんでしたが、インレタ
には挑戦したことがあります。が、もともとものぐさなため、
1,2個挑戦して、すぐに手書きに戻りました。なお、
ボールペン等で書くと間違ったときに消せないので、
鉛筆(というかシャープペンシル)を多様していました。
>>インデックスを彩る素材が、アーチストの写真である。
これもやりました。なぜかオフコースではしなかったの
ですが、今や自分の中での黒歴史となったアルフィーでは
多用しました。
>>FM-STATIONのストーンズ特集。
>>まだビル・ワイマンがいた頃の写真。
これはおそらく、「Steel Wheels」の頃ですね。1989~1990年
頃かと。そのころにはまだFM誌は健在だったのですね。
何もかもみな懐かしい・・・・
投稿: モンスリー | 2010.03.14 16:20
自分も、たまにインデックスにレタリングシート使っていた、、だいまつです。
自分がカセットを編集してあげると、自分の字が結構綺麗に書いてくれていると向こうが喜んでくれて、自分も嬉しくなったことがあります。
自分はTDK派でしたが、付属のインデックスに不満はありませんでした。
ボールペンで書くときの間違えられないという緊張感で書く、、あースペルが、、。
と言う事もありました。
ま、それでもそんなにはこだわってはいませんでした。
パステル色のインデックスを買って使ったりもしていました。
選ぶのも楽しかったですね。
今思うと、カセットテープって手間でしたが、一連の作業がとても楽しかったですね。
本当に十代後半の良い思い出です。
今の十代世代と比べて、絶対自分の音楽に対する思い入れは強かったはずだと、なんだか妙に強く思うこの頃ですね、、。
投稿: だいまつ | 2010.03.14 18:05
こんばんは。
自分もレタリングシート使っていました。その作業するのが楽しみでした。
SYUNJIさんが書かれてあるように、特定の文字だけが早く無くなるのがほんと困った問題でした。(笑)
市販のインデックスカードは買わなかったですが、たまにカセットテープを買うとおまけで付いていて、書き損じ等があったらたまにそれを使っていましたね。
いやぁ、懐かしいです。
投稿: Junk | 2010.03.14 18:19
カセット・シリーズという鉱脈を掘り当てレギュラー陣のコメントを集めている宿敵に悔し涙を流しているぷくちゃんといいます。
さて、私もカセットの装丁にはこだわりました。FM誌のLPの広告でタイトルがちょうどカセットの背表紙の大きさにぴったりだと歓喜の涙を流したものです。
インレタの組み合わせももちろん駆使し、「O」から「Q」を作った思い出もあります。(←技師?)
でも、燃えるごみで捨てられた時にすべて破棄。もう遠い思い出です。
投稿: ぷくちゃん | 2010.03.14 19:08
塩ラーメンやドノヴァンよりもカセットのほうが集客力が断然高いことを実感しているSYUNJIです。
みなさんやはり塩ラーメンよりもカセットのほうがお好きなようで・・(どういう比較だよ)
ゲッツさん、コメント感謝なう。(←だから使い方違うって)
>当然インレタ使ってました。同世代の男子はかなり高い確率で使っていたと思います。
そのようですね。
今日コメントいただいた方はみなさんお使いだったようです。
>一度だけ曲名もインレタで書いたことがありました。
これはすごい根性ですね。
曲名は長いのもありますから、それこそ「e」はすぐになくなるでしょうね。
モンスリーさん、コメント感謝です。
>ボールペン等で書くと間違ったときに消せないので、鉛筆(というかシャープペンシル)を多様していました。
あーあたしも基本はそうです。
あと、2行になることを極端に嫌っていたので、長い曲名はものすごい長体をかけて書いたなぁ。
ポリスに「When The World Is Running Down, You Make The Best Of What's Still Around」って曲があって、ムリして1行にしたら全く読めなかったし・・
>これはおそらく、「Steel Wheels」の頃ですね。1989~1990年頃かと。
さすがに鋭い、その通りです。
切り抜きを見たら90年の週刊FMでした。
だいまつさん、コメント感謝です。
>自分はTDK派でしたが、付属のインデックスに不満はありませんでした。
なるほど。
付属ものはデザインの変化が早く、統一感が崩れるのが不満な点でした。
まあ汚い字でタイトル書くと統一感も何もないんですけど・・
>パステル色のインデックスを買って使ったりもしていました。
あ、これはあたしも使ってました。
パステル色というほどきれいな色ではなかったですが、光沢がなくて書きやすい紙のインデックスを使うことがありました。
>今思うと、カセットテープって手間でしたが、一連の作業がとても楽しかったですね。
そうですねぇ、つくづくそう思います。
今の若い世代には体験もできない話ですが、こうして1本1本作り上げたからこそ、未だに捨てられないんですよね。
Junkさん、こんばんは。
今回はみなさんと共感できる話が書けてよかったです。
>自分もレタリングシート使っていました。その作業するのが楽しみでした。
きれいな書体でインデックスを作る手段が他になかったですからね。
タイプライターを使ったことがありましたが、インデックスの台紙が小さすぎてうまくいきませんでした。
>たまにカセットテープを買うとおまけで付いていて、書き損じ等があったらたまにそれを使っていましたね。
そう、たま~にテープにおまけでインデックス付いていたなぁ。
水着のお姉さん写真のインデックスにひかれてついテープを買ってしまったことがありました。
ぷく先輩、元祖聴いてないシリーズのSYUNJIといいます。
>FM誌のLPの広告でタイトルがちょうどカセットの背表紙の大きさにぴったりだと歓喜の涙を流したものです。
先輩もけっこう凝りそうな印象ですが、やはりそうでしたか。
>インレタの組み合わせももちろん駆使し、「O」から「Q」を作った思い出もあります。(←技師?)
それはすごいな。
あたしは「O」から「C」を作ろうとして失敗した経験があります。
>でも、燃えるごみで捨てられた時にすべて破棄。もう遠い思い出です。
残念ですね・・
まあ持っていても何の役にも立たないものではあるんですけど。
投稿: SYUNJI | 2010.03.14 21:17
インデックス作り、「面倒臭い~」とか思いつつ、一生懸命やってました。
私もとーっても字がヘタなので、アーティスト名とタイトル名はインレタのお世話になりました。
アルファベットの型が抜かれた定規を見つけてからは、曲名すら自分の字で書く事は避けるようになりました。その定規を使うためには極細ペンを用いる必要があったのですが、シャープペン並に細いペンがある事に感動したっけ。
しかし、こすって滲んでしまったりと、苦労は絶えませんでした(>_<)。
レーベル用のアーティスト写真は私も保管していたのですが、昨年末にかなり処分してしまいました。
ちなみに無器用な私は、レーベルに貼りつけて失敗するのが恐ろしく、挟み込むだけで糊付けはしませんでした。
FM Station誌付録の鈴木英人さんのカセットレーベルが60枚程あったんですが、これもやはり処分しようと、昨年末にオークションに出してみたら1600円で売れました(私の前に出品していた人はもっと枚数があり5千円位で売れてた)。
落札者さんに「英人さん以外の付録のカセットレーベルも希望があればオマケでお付けします」とお伝えした所、「レーベル付けてないテープがたくさんあるので、下さい」との事でした。「今でもカセットレーベルを必要している人、いるんだなぁ」と感慨深かったです。
投稿: YAGI節 | 2010.03.16 00:58
カセット・シリーズという鉱脈を掘り当てレギュラー陣のコメントを集めている宿敵に悔し涙を流しているFM fan派のルドルフといいます。(←流用)
私の場合、インデックスはあまり凝らなかったなぁー。
それよりインレタ、なつかしいっす。
自分も文字が汚いほうだったし、当時はワープロも持っていなかったので、ことあるごとに使わせてもらいました。何に?と聞かれると思い出せないのですが。
投稿: ルドルフ | 2010.03.16 06:59
わははは!すげえ!さすがSYUNJIさん…物持ちがいいなあ!
っていうかネコの写真のインデックス、私も持ってた(笑)!見覚えがあるー。懐かしー。
その上のネオンサインが光っちゃってるタイプのビジュアルも、よくありましたよね~。
んービバ80年代。
私は、けっこう字を書くのが好きだったのでインレタは使わなかったです。
(インレタって「インスタントレタリング」の略だったんですね…はじめて知った)
私は、背表紙に当たる細い部分にピッタリのサイズの紙を、水色とピンクで作って
それを全部のカセットに入れることで統一感を図ってましたねー。
水色は普通の番組を録音したテープで、ピンクはライブ番組、という分類で。
(私以外見ないんだから、べつに統一感要らないんだけど…)
さらに番組ごとに、サウンドストリート月曜(佐野元春)は「A」、
火曜(坂本龍一)は「B」、水曜はあまり聴かなかったので飛ばして
木曜(山下達郎)は「C」とか、固定の記号を割り振って、通し番号入れてました。
達郎さんの番組はカセットの片面に1週ずつ毎週欠かさず録音してたので、
「C-57」とか、Cだけ異様に数が多いテープ群が、まだ実家にあります。
あれだけ時間かけて心血注いで(大げさ)やってたこと、今何の役にも立ってないなあ…。
投稿: moonlightdrive | 2010.03.17 10:17
レタリングシート懐かしいです。確かに特定の文字だけが早く無くなって、その文字欲しさに調達しなければなりませんでした。
アーティスト写真も雑誌から切り抜いて使ったり。ただし、貼り付けたりはせずに、ケースに挟んでいました。
時間はかかってましたが、楽しい作業でしたね。
因みに、自分はmaxell派でした。
投稿: メテオ | 2010.03.21 00:15
YAGI節さん、コメント感謝です。
>アルファベットの型が抜かれた定規を見つけてからは、曲名すら自分の字で書く事は避けるようになりました。
ああ!ありましたね、そういう定規。
昔はあれをテンプレートと呼んでました。製図用具ですよね。
全然使わないけど会社に置いてあるなぁ・・
>FM Station誌付録の鈴木英人さんのカセットレーベルが60枚程あったんですが、これもやはり処分しようと、昨年末にオークションに出してみたら1600円で売れました
げぇー本当ですか?
あたしは英人イラストには興味なかったんで、全く使わなかったです。
しまった・・残しておくんだった・・(セコイ)
ルドルフさん、コメント感謝です。
>私の場合、インデックスはあまり凝らなかったなぁー。
そうスか・・ガタイのいいルドフィーやぷく先輩がインデックスを丁寧にこしらえている絵を想像すると結構カワイイですけど。(←キモイ)
>それよりインレタ、なつかしいっす。
みなさん感想は同じですねー。
ところで21世紀の今、(大げさ)インレタはどういう場面で利用されとるんでしょうか?
moonlightdrive姉さん、こんばんは、物持ちのいい弟です。
>っていうかネコの写真のインデックス、私も持ってた(笑)!
マジすか?
ネコが好きで買ったわけではないですが、たぶん90分テープ用に使うつもりだったと思います。
SONYからFUJIのAXIAに宗旨変えしたんで、SONYのインデックスも使わなくなりました・・
>「C-57」とか、Cだけ異様に数が多いテープ群が、まだ実家にあります。
いやあいい話ですねぇ。
そう、誰に見せるわけでもないけど、自分なりの整理や統一感にはこだわりがありましたよね。
メテオさん、初めまして。
こんな辺境BLOGにコメントありがとうございます。
>アーティスト写真も雑誌から切り抜いて使ったり。ただし、貼り付けたりはせずに、ケースに挟んでいました。
そうか・・よく考えたらインデックスに貼り付けなきゃいけない理由も特にないですね。
スティクスのテープを作っていて、写真を先にインデックスに貼って、インレタで文字を打ったらスペルを間違えてしまい、泣きながら写真をはがしたことがありました。
>因みに、自分はmaxell派でした。
そうでしたか。
テープのメーカーやブランドにもそれぞれこだわりがあったのは、あの当時の多くの若者に共通する文化だったのではと思います。
投稿: SYUNJI | 2010.03.21 18:23