« 聴いてない 第141回 ザ・スミス | トップページ | 見ていない 第27回 大河ドラマ »

聴いてみた 第71回 U.K.

昨日からツイッターなんか始めてしまったSYUNJIといいます。
こんなツールをあたしのようなヒッキー中年に持たせて平気なんだろうか・・
まだ使い方がよくわからず往生してますが、そんなうろたえブロガーが今回聴いてみたのはU.K.。
昨年夏に中野のレコミンツで買っておいたファーストアルバム「憂国の四士」を聴いてみました。

Uk

U.K.については、予備知識は全然ない。
従って「聴いてないシリーズ」でも採り上げてこなかった。
ただエイジアの2枚目のアルバムが流行った頃、雑誌の読者欄に「ジョン・ウェットンが参加したU.K.というグループが好きになりました」という投稿があり、これでグループの存在を知った経緯がある。
ジョン・ウェットンがその前にクリムゾンにいたことを知ったのはもっと後になってからだ。

メンバーはジョンの他、ビル・ブラッフォード、アラン・ホールズワース、エディ・ジョブソン。
プログレを勉強すると必ず名前が出てくる人たちである。

アルバムは78年発表で、エイジア結成の4年前だ。
今回期待したのも実はそのあたりにある。
難解なプログレと、ポップなエイジアの中間あたりの音が聴けるのではないかと思ったのだ。
エイジアがプログレ・ファンからは厳しい評価なのは十分承知しているが、自分はエイジアの3枚目までは全部好きだ。
サウンドもジョン・ウェットンのボーカルも、自分の好みに合致している。
一方でクリムゾンの「太陽と旋律」のジョン・ウェットンは、自分には全く別人に聞こえる。

そんなド素人のミーハーな期待を、果たしてU.K.は受け入れてくれるのでしょうか。

・・・・・聴いてみた。

1.In The Dead Of Night 闇の住人
テンションの高いナンバーだが、リズムがロックのものとは少し違う。
7拍子とのことだが、アタマの中で合わせにくい。
いかにもプログレといった転調はあまりないのでわりと聴きやすいが、ベースのホールド感に比べてドラムが少し軽いのが気になる。
中盤以降のキーボードやギターのメロディはポップでいい。

2.By The Light Of Day 光の住人
1曲目と切れ目なく続き、タイトルも対になっているので、組曲として聴くべきなんだろうが、雰囲気はかなり違い、はかなげで青白い音がする。
こっちはかなりプログレ臭が充満しており、クスリっぽいサウンドで終わる。

3.Presto Vivace And Repris 光と闇
これも前の曲からつながっているが、またしても非常にリズムがとりづらい。
と思ったら1曲目と共通の旋律だった。
ELPイエスを思わせるやたら高度なパートの音が並んでいるが、ボーカルやコーラスは案外軽い作りだ。

4.Thirty Years 若かりし頃
寂しいアコースティックギター、沈みゆくボーカル、もの悲しい調べ。
暗いなぁ。
スティングの「フラジャイル」を思い浮かべたが、ジョン・ウェットンはスティングほどの歌唱力ではなさそうだ。
と思ったら転調してドラムやキーボードなどいろいろな音が鳴り出した。
この展開はやはりイエスに似ている。
思ったより長く、後半は少し飽きが来る。

5.Alaska アラスカ
ファンファーレっぽい音で始まるのだが、全然明るくない。
どこがアラスカなのかわからない・・
でもってやはり転調。
アップテンポの中、不協和音スレスレのキーボードが鳴り続ける。
どこがアラスカなのかわからない・・

6.Time To Kill 時空の中に
同じテンポで次の曲へ。
ところどころその後のエイジアを予感させる部分もあるが、まだプログレの枠内にはきちんと収まっている。
後半はエレクトリック・バイオリンが曲を支配。
この曲はめずらしく唐突に終わる。

7.Nevermore ソーホーの夜
前半がよりエイジアに近い。
ボーカルにコーラスがついているが、あまり調和がうまくいっていない気がする。
何度か転調があり、後半は夜空を思わせる幻想的なサウンド。
8分の大作だがエンディングは静かに終わる。

8.Mental Medication 瞑想療法
ミドルテンポなリズムだが、楽曲の調和がなく転調も細かいので散漫な印象。
一瞬終わったかと思わせてさらにテクニック披露合戦のような音が続く。
ジョンのボーカルがリズムも音もいまいち楽器に合っていない。

うーん・・・・

「プログレにそういう点を求めたらいかんよ」その1。
残念ながらこちらが期待したようなミーハーなサウンドには答えてくれなかった。
そもそもその期待が間違いなんだけど、やはりプログレの壁は想像以上に厚いものがある。
難解で転調だらけというわけでもないが、ジャズにも似た音にはなかなかなじめない感じだ。

「プログレにそういう点を求めたらいかんよ」その2。
これも無理なお願いとは思うが、まず全体に明るくない。
楽曲としての調和が薄いし、ボーカルの作り込みが弱い。
そう、エイジアってのは確かにミーハーなんだけど、高度な演奏技術に裏打ちされた洗練度の高いミーハーなんだよなぁ。
楽曲が明るいしコーラスもしっかり作ってあるのだ。
自分が好きなサウンドは、U.K.にはやっぱりそれほど見あたらない。

それでもU.K.がクリムゾンやイエスと別の方向性を持っていたことはなんとなくわかる。
ネットでU.K.を調べても、「革新的」「プログレのニューウェーブ」などといった表現での評価が多い。
ただしその革新性は大衆性とも違ったものだ。(当然か・・)

もちろん今でもクリムゾンやELPやイエスになじんだわけでは決してないのだが、もうそろそろオレ様も少しはU.K.も聴けるかな?という「おごり」のような感覚があったことは確かだ。(大げさ)
U.K.も含めて、まだプログレ修行が足りないということですね。

このファーストアルバムの後、U.K.はアランとビルが脱退し、テリー・ボジオが新ドラマーとして加入。
テリー・ボジオの名前は最近知ったばかりだが、それはU.K.のキャリアでなく、昨年の来日ツアーのニュースをテレビで見たのだった。
ザッパのバンドにいたこともその時に知った。
U.K.のアルバムとしてテリー・ボジオ参加のセカンドを絶賛する人も多いようだ。

ということで、覚えたばかりの関節技をしかけようと思ったらあっさり逆をとられてやっぱりあっけなく敗北となったU.K.。
多少プログレを聴いた程度でかなう相手ではありませんでした・・
セカンドのほうがポップだという評価もあるようなので、しばらく温泉で湯治して痛めた関節を治療した後で、機会があったら挑戦しようと思います。

| |

« 聴いてない 第141回 ザ・スミス | トップページ | 見ていない 第27回 大河ドラマ »

コメント

こんにちは。UK、結構好きなんですがあんまり覚えていないんですよ。紙ジャケも持っているのですが。

超絶テクニシャンの集まりのはずですが、妙にリズム感が悪かったような気がします。

エイジャはまた来日するんですね。行ってみようかな。

投稿: ぷくちゃん | 2010.01.16 15:03

日本オイスター協会という団体からツイッターでフォローされたSYUNJIといいます。
先輩、我々の活動が公式に認められたようです。(誤解)

>超絶テクニシャンの集まりのはずですが、妙にリズム感が悪かったような気がします。

そうスか・・
リズム感まではわかりませんでしたが、やはり自分の好みの音とは少し違いました。
ちょっとドラムが軽い音に聞こえます。

>エイジャはまた来日するんですね。行ってみようかな。

これってやっぱりELPやイエス再結成で来日、よりもエイジアで来日するほうが儲かる(←下世話)んでしょうかね?
プログレ・懐メロ大会は案外評判はいいらしいですが・・

投稿: SYUNJI | 2010.01.16 21:03

>日本オイスター協会という団体からツイッターでフォローされたSYUNJIといいます。

おお、友よ!あっしもフォローされたのです。あれっていったい何?まあ、そんな思惑をよそに当日はカキを食いまくり、白ワインを飲みまくる私です・・・

投稿: ぷくちゃん | 2010.01.16 21:09

先輩もフォローされたんですか!(チャット状態)
きっとオイスターバーに行くとVIP扱いで、先輩が片手を挙げると白ワインが協会から寄贈されると思います。(妄想)
あっしはカキ鍋がいいですね。(U.K.はどこに・・)

投稿: SYUNJI | 2010.01.16 21:20

SYUNJIさん、こんばんは。
キンクリもドゥービーもシンディ・ローパーも
オフコースも一緒くたにして聞く本当のミーハー・
モンスリーです。

さて、UKですが、一度も聞いたことがありません。
キンクリは本体以外は聞かないことにしています。
というのも、キンクリはジャズと同じで公式音源を
全部聞くことができなほど大量に発売されています
ので、とても派生グループまで手が回らないのです。
とはいえ、「ProjeKct」シリーズというのは数枚
聞きましたが、キンクリのようなロック感が乏しく
個人的にはいただけませんでした。

>>残念ながらこちらが期待したような
>>ミーハーなサウンドには答えてくれなかった。

プログレとはいえ、売れているバンドは
どこかポップな部分があると思います。やはりUK
はマニアックなのでしょう。SYUNJIさんのレビューの
おかげで、手を出さずに済みそうです(^^;)。

投稿: モンスリー | 2010.01.17 20:14

モンスリーさん、コメント感謝です。

>さて、UKですが、一度も聞いたことがありません。

えええ~??意外ですね?
そうなんですか?

>とても派生グループまで手が回らないのです。

なるほどなぁ・・
でも「ワタシは全て聴いた。」という剛の者も世の中にはいるんでしょうね・・

>SYUNJIさんのレビューのおかげで、手を出さずに済みそうです(^^;)。

あーそれはとても危険です。
こんなシロウトのレビューなどアテになりませんよ。
きちんとプログレを修めた人が聴けばもっと違った評価になると思います。
来月ぷく先輩に白ワイン片手に語ってもらうことにします。

投稿: SYUNJI | 2010.01.17 22:02

U.K.ですか、一度も聴いたことがありません。メンバーを見ると、つわものぞろいのバンドですね。

きたる2/20には、SYUNJIさんとプログレマスターのぷくちゃんのお二人からU.K.の講義を聞きたいと思いますので、よろしくお願いします。

投稿: getsmart0086 | 2010.01.18 22:17

ゲッツさん、コメント感謝です。
あれ?ゲッツさんも聴いてなかったんスね・・

>メンバーを見ると、つわものぞろいのバンドですね。

そのようです。
ジョン・ウェットン以外の3人はエイジアの成功をどう思っていたのか聞いてみたいところです。

>きたる2/20には、SYUNJIさんとプログレマスターのぷくちゃんのお二人からU.K.の講義を聞きたいと思いますので、よろしくお願いします。

たぶんぷく先輩は白ワインでクラクラしながらU.K.説教をしてくれる予定なので、二人で正座して聞くことにしましょう。

投稿: SYUNJI | 2010.01.19 23:38

SYUNJIさん、こんばんは。
私もU.K.を聞くことができました。

全くの初挑戦でしたが、かなりイイです!
キンクリのリズム隊がいる割には、キンクリっぽさが
あまり感じられず、むしろウィキペディアをちょっと
書いてあるように、ELPっぽい曲もあります・・・・
といっても、これはキーボードが前面に出ている曲
が多いからかもしれません。
また、アルバム後半のギターはクロスオーバーというか、
ハードフュージョンというか、結構70年代後半の音で
これもよいです。

さきほどキンクリ要素が少ないと書きましたが、
全編を貫くビル・ブラッドードのドラムにはやはり
圧倒されました。「何をどう叩いてもブラッフォード」
と呼ばれる彼のドラム、そこかしこに必殺技を
繰り出しているようでたまりません。

しかし、2ndアルバム以降はブラッフォードが脱退
しているようですので、私はこの1stで十分満足
できました。

投稿: モンスリー | 2012.04.10 21:07

モンスリーさん、コメントありがとうございます。

>全くの初挑戦でしたが、かなりイイです!

そうスか・・あたしの感想とは全く違いますね。
どんな音だったかもうほとんど覚えておりませんが・・

>「何をどう叩いてもブラッフォード」
と呼ばれる彼のドラム、そこかしこに必殺技を
繰り出しているようでたまりません。

うーん、そうですか。
そこまでの感動はなかったなぁ・・
調べてみたら自分の聴いてきたプログレのアルバムの大半が、ビル・ブラッフォードのドラムでした。
イエスの「こわれもの」「危機」、クリムゾンの「太陽と旋律」「レッド」。

U.K.のドラムはどうも軽い音に聞こえたんですが・・(←ド素人感想)

投稿: SYUNJI | 2012.04.10 22:33

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 聴いてみた 第71回 U.K.:

« 聴いてない 第141回 ザ・スミス | トップページ | 見ていない 第27回 大河ドラマ »