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読んでみた 第32回 Sportiva

スポーツ情報についての自分の取り組みは、同世代の男性に比べれば相当淡泊なほうではないかと分析している。
スポーツ新聞はほとんど買わないし、特定の競技雑誌などもあまり読んだりはしない。
プロ野球のペナントレースの順位やK-1グランプリの組み合わせや長谷川穂積の破壊力、岡崎朋美のオリンピック出場や浅尾美和と安藤美姫の新しいコスチュームなんかは気になるけど、デビスカップの結果やマスターズの予選状況やイブラヒモビッチの動向などは全く追いかけていない。

そんなスポーツ情報にも疎い三流中年のあたしが今回読んでみたのは「Sportiva」。
イタリア語で「スポーツ好き」を意味する、集英社発行の月刊誌である。

創刊は2002年。
日韓共催ワールドカップに合わせての創刊だったとのこと。
判型はA4変型判、発行平均部数は40000部。
2006年の資料では60000部以上は刷っていたので、やはり最近は部数を落としているようだ。
これはこの雑誌に限った話ではないけど・・・
40000部刷って実売はどれくらいなのだろうか。

Sportiva

2010年1月号は定価600円。
表紙は特集でもある松井秀喜である。

「Sportiva」、書名は知ってはいたが、読むのは初めてだ。
今後の松井のエンゼルスでの活躍も気になるところだが、果たしてこの雑誌はどんな切り口なのだろうか。

・・・・・読んでみた。

1月号目次はこんな感じである。


松井秀喜ヤンキース伝説
 ・独占メッセージ 長嶋茂雄 「愛弟子・松井へ贈る言葉」
 ・松井秀喜名場面集 「ゴジラ伝説2003~2009」
 ・Wシリーズ翌日インタビュー
  松井秀喜 「試合に出続けられれば、40本打てる可能性はある」
 ・ヤンキース関係者が語る
  オレたちが松井を好きな理由
   デレク・ジーター/マリアノ・リベラ
   C.C.サバシア/レジー・ジャクソン ほか
 ・[データ] 最強スラッガー メジャー7年間の足跡
 ・元同僚が語る「ゴジラ松井の真実」 広澤克実&槙原寛己
 ・各界著名人が語る「親愛なるゴジラ松井様」
  亀梨和也/テリー伊藤 大友康平/大橋未歩
 ・祝・世界一! ものまね 「ゴジラ松井とゆかいな仲間たち」
 
TOYOTAクラブW杯
 ・「バルセロナは磐石か」
  1.指揮官グアルディオラのサッカー論
  2.イブラヒモビッチ&メッシ・インタビュー
  3.南米王者エストゥディアンテスとベロンの野望
  4.[検証]Jクラブはなぜ負けたのか?
 
涌井秀章vs江夏 豊
 「エースの自覚―僕の試合でリリーフはいらない」
 
イビツァ・オシム「蹴球原論」
 「オシムジャパンが目指していたもの」
 
月刊・浅尾美和&菅山かおる

公式サイトには「20代後半~30代の男性を中心に幅広い層の読者を獲得。スーパープレイヤーへのインタビュー、鋭く深い競技分析などはスポーツ誌として当然のこと。本誌はさらにスポーツにまつわるサブカルチャーやエンターテインメントを追求する総合スポーツ誌です。」などと書いてある。
まあウソではないだろうが、表現としては若干誇張気味に思う。

読んでみてところどころ感じたのは「軽さ」である。
編集サイドとしてはそう受け取られるのは不本意かもしれないが、この雑誌を読むにあたって意識せざるを得ない存在が「Number」だ。(版元は文芸春秋)
説明不要の総合スポーツ雑誌だが、すでにその地位やイメージを確立して久しく、ここに切り込んで勝負するのも相当に根性のいる話だと思う。
ちなみに10年ほど前に同じ路線で「ゼッケン」という雑誌があったが、こちらは早々と廃刊になっている。
そういう意味で、「Number」と比較すると「Sportiva」の軽さは、わずかなものではあるがすぐにわかる。

具体的には記事やページ内容に顕著だ。
「Number」にもライトなページがないわけではないが、たとえば1月号の松井秀喜特集にしても、「ゴジラ松井ナイスガイ語録」「祝・世界一! ものまね ゴジラ松井とゆかいな仲間たち」「ゴジラ松井4コマ漫画 風間やんわり・作」といった週刊SPA!みたいな記事が並んでいる。
「ナイスガイ」というリスキーな表現もあまり構わず使っているフシがあり、しかも記事の中身は東スポが出典である。
キライではないが、やや脱力な路線でもある。

「祝・世界一! ものまね ゴジラ松井とゆかいな仲間たち」はちょっと痛いページだ。
ものまね芸人?によるヤンキースのメンバーのものまねのコラージュだが、題材がマニアックなわりにその点を感心させるような企画でもない。
昭和の小学生向け学習雑誌のノリであり、これで喜ぶ20代30代読者ってのもあまりいないだろう。

江夏と西武の涌井との対談は、組み合わせとしては興味深いが、中身はわりと平坦である。
これは二人の対談そのものがつまらないということではない。
優勝請負人・江夏と、沢村賞投手・涌井である。
この組み合わせであれば、企画も構成も「Number」では全く違うものになっているはずである。
世代を超えた投手論を盛り立てるような編集になっていないのだ。

オシムのインタビュー記事もあるが、ふつうにインタビューしてるやりとりが記述されているだけで、さほど内容の濃いものではない。
記者の視点とか感想とか、そういうこの雑誌を読んだ人だけが得られるようなものを置いておく姿勢は、やはり編集方針として必要ではないかと思う。
ふだんのマスコミで知ることのできるオシムがそこにいてしゃべっているだけで、意外性も何もなかったのは残念である。

「月刊・浅尾美和&菅山かおる」は連名タイトルにはなっているが、写真は浅尾美和が2ページと1/4、かおる姫は1/4ページしかない。
人気でもビーチバレー選手としてのキャリアの点でも浅尾美和のほうが上なのは明らかで、どうしても扱われ方はこうならざるを得ないのがかおる姫のつらいところかもしれないけど、この差はやはり露骨だよなぁ。

総合スポーツ雑誌ではあるが、記事の二大潮流はやはりサッカーと野球だ。
バックナンバーの見出しを見ても、他の競技はこの二つに比べると少ない。
競技の人気度から言えば当然ではあるが、どうもこの雑誌は最近はプロ格闘技にはあまりページを割かない姿勢のようだ。
ネットで調べたところ、以前は亀田一家にかなり肩入れしていたが、その後のバッシング騒動で後退せざるを得なかったらしい。
気の毒な話である。

「Number」の話ばかりで恐縮だが、その編集方針にも直結する工夫であると確信しているのが、書体である。
記事に重みとリアリティを持たせることを、「Number」は明朝体で表現している。
もし全ページがゴシックだったら、今の「Number」の持つジャーナルな雰囲気は半減するはずだ。(そうでもない?)
一方「Sportiva」にはこの点にいっさいのこだわりはない。
総合スポーツ雑誌として、記事構成に合わせて書体を変えているだけで、インタビュー記事では記者と選手の発言で書体が違うという、古典的ながら配慮の効いた編集方針である。
この方針に何ら間違ったところはない。
むしろ明朝体のページは非常に読みやすく、紙色も明るいので好感が持てる。

お気づきの方も多いと思うが、実は「Number」という雑誌は、この体裁面においてはかなり読みにくい。
特に明朝体はヤケに細い書体だし、黒いページに白文字で載せると見づらいし、紙質も湿り気が多いわりに光沢があり、またコシがないので持ちにくい。
それでも格闘技や野球の記事であれば読んでしまうのは、文章にチカラがあるからだ。

「Sportiva」でもそうしたチカラのある書き手が時々登場してくるが、ツッコミのゆるい編集や合間に差し込まれている軽いページが、それをうち消すような感じなのだ。
こうしてトータルでは平坦な雰囲気となっており、ちょっともったいない。
「Number」「Sportiva」とも、なんとなく版元に対する世間のイメージがほぼそのまま投影されてるような気がするのだが、どうでしょうか?

というわけで、「Sportiva」。
雑誌として決して低い水準の編集ではないのですが、偉大な先輩である「Number」と比較してしまうと、どうしても相対的に軽い部分が浮いて見えるのが惜しいところです。
軽さを払拭して正攻法で勝負するか、むしろ軽さを武器に独自の路線を切り開いていくか、空前の雑誌不況のさなか岐路に立っているように感じました。
個人的には、K-1やプロレスも積極的に採り上げて、軽さ強調戦術で他誌と対戦してほしいと思います。(←無責任)

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コメント

SYUNJIさん、こんばんは。
スポーツはほとんど見ません。朝のニュースで松井の
活躍を見るくらいですが、今年も少なく、シーズン後の
移籍ネタばかりで残念でした。
同僚が、サッカーの話しで盛り上がっていてもさっぱり
わかりません。

さて、こんな雑誌が販売されているとは全く知りません
でした。創刊後7年経過ですと、最近では健闘している
ほうなのでしょうか。

>>世代を超えた投手論を盛り立てるような編集になっていないのだ。

コンセプトの違いというか、積み重ねているものの違いと
いうか、難しいですなあ。
音楽雑誌に当てはめてみても、往年のミュージック・ライフ誌
のミーハー路線は今ひとつと思いつつ、最近のレココレ誌の
代わり映えのしない特集&わざと小難しい記事にも閉口
しているという自らの傲慢さを実感しておりますので、
雑誌社側が読者ターゲットの想定と記事の方向性を決定
するのはシンドイ時代になったなあと思います。

とりあえず、浅尾美和のウェアでも立ち読みしてみるかと
思う41歳中年オヤジでした(お後がよろしいようで・・・・)

投稿: モンスリー | 2009.12.20 19:08

モンスリーさん、コメント感謝です。

>同僚が、サッカーの話しで盛り上がっていてもさっぱりわかりません。

あたしも同じですね。
Jリーグ発足当時はアントラーズやフリューゲルスを応援してたりしたのですが、最近は日本代表選手くらいしかわかりません。

>創刊後7年経過ですと、最近では健闘しているほうなのでしょうか。

そのとおりだと思います。
でもここで業界の死神のあたしが採り上げたことで、今編集部は大騒ぎになっているはずです。(馬鹿)

>雑誌社側が読者ターゲットの想定と記事の方向性を決定するのはシンドイ時代になったなあと思います。

まっっっったくそのとおりです。
音楽雑誌なんて、どうすれば若い人に買ってもらえるのか・・
とりあえずどこの版元も70~80年代ネタで中年をターゲットにしてつないでいるのが正直なところではないかと・・

>とりあえず、浅尾美和のウェアでも立ち読みしてみるかと

ぜひおすすめします。
上の浅尾美和カレンダーをそのままクリックしていただいて結構です。(笑)

投稿: SYUNJI | 2009.12.20 22:34

ども、SYUNJIさん。

私は書店で2~3回チラッと見た事がある程度ですね。
やはりナンバーに内容で負けていると思います。
ナンバーならば、最初の1ページの単位のコラムでも楽しめますし、巻末くらいのページ半分の格闘技や競馬、マイナースポーツの雑感みたいな記事もタイムリーに取り上げられていて書き手も短い文で伝えようとしている部分が自分としては好きです。
後、時折の特集別冊がなかなか良いと思っています。
そのメリハリが良いのではないかと自分では思っているのですが、スポルティーバは恐らくテレビのジャンクスポーツみたいな取り上げ方も良いのかな?という考えの編集では?、、

自分はどっちか言ったらNHKのBS当たりで流しているドキュメント的な番組が好きなので、スポルティーバに手が伸びないのはそうした指向なんだろうと思います。

後、ナンバーもスポルティーバも結構ネットの上で記事を読むことも多くなりました。
もちろん特集記事などはネットには載りませんけれども、、。

投稿: だいまつ | 2009.12.21 11:39

だいまつさん、コメント感謝です。

>ナンバーならば、最初の1ページの単位のコラムでも楽しめますし、巻末くらいのページ半分の格闘技や競馬、マイナースポーツの雑感みたいな記事もタイムリーに取り上げられていて書き手も短い文で伝えようとしている部分が自分としては好きです。

同感ですね。
やはりNumberはスタイルが確立されていて、読み応えがある記事も多いですね。

>スポルティーバは恐らくテレビのジャンクスポーツみたいな取り上げ方も良いのかな?という考えの編集では?、、

ああーなるほど・・
そうであれば、もう少しくだけた編集でもいいのかもしれませんが、スポーツ新聞と変わらなくなるし、難しいところですね。
ジャンクスポーツはよく見ていますが、最近のアスリートはすっかりテレビ慣れしててトークがうまい人が多いと思っています。

>ナンバーもスポルティーバも結構ネットの上で記事を読むことも多くなりました。

Sportivaのサイトを見ましたが、これだけ多くの記事が読めるなら、雑誌は売れないのも当然という気がしますね。
あと、このサイトには格闘技のコラムがない・・

投稿: SYUNJI | 2009.12.21 23:00

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受信: 2010.02.27 20:58

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