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聴いてみた 第69回 ピーター・ガブリエル

今回聴いてみたのは、85年の大ヒットアルバム、ピーター・ガブリエルの「So」。
実は2年くらい前に中古でCDを買ってあったのだが、なんとなく今まで聴く気にならず放置していたものだ。
ピーター・ガブリエルのアルバムを聴くのはもちろん初めてである。

ジェネシスだということくらいは知っているが、ジェネシス時代の顔のまわりに花びらをつけた西川のりおのフラワールームみたいな写真を見たくらいで、音は全く聴いていない。
今回調べてみてちょっと驚いたのは、75年にはすでにジェネシスを脱退していることだった。
あまりに個性的なファッション?が、他のメンバーからは支持されず浮いてしまったことが原因らしい。

So

「So」にはいくつかエアチェックした曲も入っているので、まあ素人が聴くならここからだろうと思って、三軒茶屋で買っておいたのだ。
なお発音に忠実な表記は「ゲイブリエル」らしいが、この記事では当時の呼称に統一します。
アドリアン・アドニスが本当はエイドリアン・アドーニスだというのと同じですね。(そうかなぁ)

大ヒットとはいえ、そこはプログレ出身のピーター・ガブリエル。
果たしてあたしはこのアルバムでもやはり置き去りにされてしまうのでしょうか。

・・・・・聴いてみた。

1. Red Rain
この曲はエアチェックはできなかったが、聴いた記憶はかすかにある。
物憂げなサウンドに濁りのあるピーターのボーカル。
いい雰囲気でスタートである。
ドラムでスチュアート・コープランドが参加しているとのこと。
(さっき初めて知りました)

2. Sledgehammer
初の全米1位を獲得した大ヒットナンバーなのだが、これもエアチェックはしていない。
聴いた記憶というより、MTVで見たことをぼんやり覚えている程度。
映像の中身は全く覚えていない。
ノリはいいが楽しいという旋律ではなく、不思議な音楽だ。
スポーツ新聞っぽい表現になるが、古巣のジェネシスと1位を争った曲としても知られる。

3. Don't Give Up
これはエアチェックしており、ケイト・ブッシュとのデュエットだということも知っている。
もの悲しいピーターのパート、静かだがツヤのあるケイトのパートがうまく組み合わせてあり、秀逸な構成だ。
今までそれほど意識していなかったが、名曲である。

4. That Voice Again
リズムがソリッドで力強いが、今ひとつ手応えがない・・
こういう曲調は思ったよりも苦手だ。

5. In Your Eyes
この曲もエアチェックしている。
ピーターが思ったより多彩なボーカルを聴かせる。
リズムはなんとなくエスニックで民族音楽のような感じだ。

6. Mercy Street
ボーカルにコーラスが当てられており、賛美歌のようだ。
やや眠たげなピーターの声はどこかエルトン・ジョンポール・サイモンスティングを思わせる。
けっこう長い曲だが、エンディングはいつの間にか終わる感じ。

7. Big Time
この曲も聴いているはずだが、あまり覚えていない。
躍動感に満ちているが、サウンドはけっこう辛口な印象だ。
こういう展開だと、やはりと言うべきか、ジェネシスに通じるものがあると感じる。
ここまで聴いてだんだんわかってきたのだが、あまり楽しそうな曲がない。

8. We Do What We're Told (Milgram's 37)
無機的でプログレっぽい前半と、水に漂うようなピーターのボーカルの後半。
2つの曲をくっつけたような小作品。

9. This Is The Picture (Excellent Birds)
これもアジアの民族音楽のようなリズムとサウンド。
盛り上がりもなく湿った感じでエンディング。

やはりプログレの人なので、難解なところはあちこちにあるが、思ったよりも聴きやすいところは多い。
主にヒット曲に限られるが、「Red Rain」「Don't Give Up」「In Your Eyes」はどれも味わいのあるいい曲だと思う。
アップテンポな曲よりは、こうした物憂げで寂しげな曲のほうが好みにはあっているようだ。
「Mercy Street」を聴いて思い浮かべたのは、夜中に東岡崎の薄暗い宿の部屋から遠くに見える愛知環状鉄道・・である。(全然伝わらない)
かなり昔だが、仕事でひとり東岡崎の変な宿に泊まった時に、愛知環状鉄道の窓のあかりが遠くにゆっくり動いているのを見て、ものすごい寂しさ切なさに襲われたことがあったのだよ。

このアルバム、当時日本だけでなく世界中で売れていたことを実感している。
発売の翌年に初めてロンドンに行ったのだが、現地のタワーレコードの外に向けたガラス窓に、このアルバムの写真がでっかく貼ってあったことを強烈に覚えているのだ。
その店で買ったのはもちろんピーター・ガブリエルではなく、ビートルズだったけど。

結局80年代には多くのプログレミュージシャンがポピュラーなマーケットを意識して作品を残しており、セールス的にも成功している。
イエスしかり、ジェネシスしかり、エイジアしかり。
本人にどのくらい意識があったのか不明だが、ピーター・ガブリエルもこのビジネスモデルを踏襲して成功を収めたということになるのだろう。
古くからのピーターのファンにとって、このアルバムはどういう評価になるのか知りたいところだ。

というわけで、20年以上たってようやく聴いてみたピーター・ガブリエルの「So」。
気に入った曲は半分もありませんが、それでも予想よりもハードルはやや低かった、という感じです。
ヒットしていた当時の感性だったら、また違った感想になっていたかもしれません。
ただ、このあとどうするかは全く考えていない状態です。

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コメント

こんにちは。
24年も前のアルバムでしたか~。なつかし~。
発売当時、レンタルで借りて、カセットテープ(死語?)に
ダビング(死語?)して聴いた記憶が。
ピーター・ガブリエルできちんと聴いたのはこのアルバムだけです。

「スレッジハンマー」と「ドント・ギブ・アップ」は
プロモーション・ヴィデオも素晴らしかったですね。

投稿: 木曽のあばら屋 | 2009.09.05 23:21

木曽のあばら屋さん、コメントありがとうございます。
24年も前のアルバムを今頃初めて聴いてるヤツもあまりいないと思いますが・・
当時アルバムを借りようとも全く思いませんでした。

>発売当時、レンタルで借りて、カセットテープ(死語?)にダビング(死語?)して聴いた記憶が。

あたしはだいたい当時の展開はほぼ同じでしたね。(ピーター・ガブリエルは聴いてませんでしたが)
その前に「FMでエアチェック」という行為が前提でしたが・・

「スレッジハンマー」、You Tubeで見直しましたが、映像はほとんど覚えてませんでした。
なんか日本の幼児番組っぽいしかけがあちこちにあって結構おもしろいですね。
ピーター・ガブリエルで検索したら2009アカデミー賞のインタビュー映像がありましたが、風貌がドリー・ファンク・ジュニアのようでした・・

投稿: SYUNJI | 2009.09.06 09:20

ども、SYUNJIさん。

やっとネットが繋がって、そして記事を見たら自分がとても好きなアルバムが取り上げられていたのでびっくりです。

自分は高校時代に、友達からカセットテープを貰って聞きましたが、当時は本当にそればかり聴いていましたね。

自分は、全体的なアルバムのつくりとして、ベースとドラム。ここら辺をしっかり抑えているなと思っています。この後、スティングとかがピーターガブリエルが起用したマヌ・カチェというドラマーを自分のアルバムにも参加させたり、ベースはキングクリムゾンのトニーレビン。スティックベースという変わった楽器でやっています。

とは言っても、Us以降のアルバムを聴いていないので、こんど聴こうと思っています。

この記事も、工人舎のパソコンで書いているんですね。

投稿: だいまつ | 2009.09.06 10:27

だいまつさん、コメント感謝です。
ようやくピーター・ガブリエル聴いてみました。

>自分は、全体的なアルバムのつくりとして、ベースとドラム。ここら辺をしっかり抑えているなと思っています。

なるほど・・
全然意識してませんでした。
メロディとかボーカルという表層的な音ばかり気にしてましたね。

マヌ・カチェという名前は初めて知りました。
調べたら確かにスティングの「Nothing Like the Sun」に参加していますね。

>この記事も、工人舎のパソコンで書いているんですね。

BLOGへの記事登録は家にあるパソコンからですが、文章の原文は電車の中で工人舎を使って書いてます。
どうもまだ使い勝手がいまいちですが・・

投稿: SYUNJI | 2009.09.06 17:30

SYUNJIさん、こんばんは。
ピーター・ガブリエルですが、ソロ作品は
「スレッジハンマー」1曲しか知りません。

ジェネシスのリーダーですので、その時期の
作品は聞いております。しかし、実に微妙です。
私の好きなジェネシスというのは、

ピーター・ガブリエル脱退後に、フィル・コリンズが
リードボーカルとなって、ガブリエル時代の曲を演奏
しているやつ

何ともややこしいですが、コリンズが全面に出過ぎた
ジェネシスというのもあまり好きではないのです。
もう一つ付け加えますと、コリンズのソロもほとんど
聞いたことがありません。

ガブリエル時代のジェネシスは名曲揃いです。一昨年に
再結成された時も、コリンズ中心であるにもかかわらず、
何曲か演奏されていました。
ですので、ガブリエルのソングライティングというのは
実に素晴らしいと思うのですが、どうしても、演劇的な
要素を感じてしまい、ボーカルが苦手です。
演劇的といいましてもフレディ・マーキュリーとも
少し異なります。
私にとって何とも微妙な立場、というのが率直なところ
です。

投稿: モンスリー | 2009.09.13 20:04

モンスリーさん、コメント感謝です。

>ピーター・ガブリエルですが、ソロ作品は
>「スレッジハンマー」1曲しか知りません。

え、そうなんですか?
意外ですね。

>何ともややこしいですが、コリンズが全面に出過ぎたジェネシスというのもあまり好きではないのです。

なるほど・・微妙ですけど、ファンの心理とはそういうものなんでしょうね。
あたしはフィル・コリンズだけが目立つジェネシスしか知りませんが・・

>一昨年に再結成された時も、コリンズ中心であるにもかかわらず、何曲か演奏されていました。

再結成してたのは知りませんでした。
結局3人での再結成だったようですが・・
やはりピーター時代のジェネシスを勉強しておかないといけないようですね。

投稿: SYUNJI | 2009.09.13 21:44

学生の私が解説するのも何ですが、
その後のPeterの作品は
Mercy Streetのような
ようは「静」の曲が多いです。
あと、worldmusicにも眼を向けて
様々な楽器を取り入れた作品が増えます。
それを踏まえた上で聴いていくのが良いかと。

tony levin、Liveで見ました。
(サインももらいました)

投稿: Keith to Ascention | 2009.09.18 21:10

Keith to Ascentionさん、初めまして。
コメントありがとうございます。

>その後のPeterの作品は
>Mercy Streetのような
>ようは「静」の曲が多いです。

なるほど、そうですか。
曲調としては静かなほうが好みに合っていたので、もしかすると自分にも聴けるかもしれませんね。

>あと、worldmusicにも眼を向けて
>様々な楽器を取り入れた作品が増えます。

うーん・・このあたりはどうだろう・・あまり自信がありませんけど・・
アドバイスありがとうございます。参考にさせていただきます。
他にも聴いてないアーチストを山ほど書いてますので、ご指導いただければ幸いです。

投稿: SYUNJI | 2009.09.19 09:15

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