聴いてない 第132回 グリーン・デイ
同じ「聴いてない」にしても「まあそのうち聴くだろう」という根拠のない楽観アーチストもあれば、「聴いてない」ことをあまり公にしたくない超大物までいろいろなのですが、グリーン・デイは前者の代表。
ベスト盤は持ってますが、オリジナル盤は1枚も聴いてない。
ベスト盤も「よぉしグリーン・デイを聴いてみよう!」というわりとはっきりとした意欲に満ちて買ったもので(例により中古ですけど)、何気なくついふらふら買ってしまい後悔・・というケースとは明らかに違う。
グリーン・デイ、結成は80年代後半らしいが、自分にとっては90年代以降のバンドという位置づけである。
最初に聴いたのは「スタック・ウィズ・ミー」。
MTVで見たのだが、映像よりもサウンドがずっと印象に残った。
というかPVはもうどんな映像だったのか覚えていない。
その後「マイノリティ」が大ヒットした際、アルバムも聴いてみたくなった。
ところがなぜかしばらく放置してしまい、気がついたらベスト盤が出て、しかも中古に出回るところまでキャリアが進行してしまった。
・・・まあいいやってことであまり深く考えずベスト盤購入。
それなりに気にいってしまったが、やっぱりこれで満足。
「アメリカン・イディオット」も出た頃は「ああこれは聴かねばならんな」などと思ってはいたのだが、ツェッペリンやらイエスやらクリムゾンやらワフー・マクダニエルやらキラー・トーア・カマタやらの宿題を優先しているうちに年月が経過。
今もベスト盤を聴きながらこの文章を書いてますが、サウンドとしては正直好きな部類。
さてグリーン・デイ。
アメリカの3人組ということくらいしか知らないので、今回もあらためてネットで少し調べてみた。
メンバーはビリー・ジョー・アームストロング、マイク・ダーント、トレ・クールの3人。
ビリーだけ本名で、あとの二人は芸名や愛称らしい。
トレ・クールの本名は「フランク ・エドウィン・ライト3世」って、ホントかよ?
なんか中世の貴族みたいな名前だ・・・
全員カリフォルニア州出身、年齢も1972年生まれで3人同じ。
じゃあ「昭和47年生まれ芸人」てことですね。
バンドは87年結成で、89年より「グリーン・デイ」を名乗っている。
今年は5年ぶりの新作が予定されていて、プロデューサーはニルヴァーナを手がけたブッチ・ヴィグという人とのこと。
このバンド、ベスト盤を聴く限りでは、メロディが聴きやすく工夫されていて、ボーカルもあまり投げ捨てがなく、楽曲としてはかなり誠実で、楽譜に忠実に歌っていると思われる。
サウンドはソリッドでシンプルだし、ボーカルにもさほど厚みのないコーラスを当てたりしている。
少なくともやたら絶叫したり不可解な転調を繰り返したりといったことはない。
自分にとってはこの路線が好みには合致しているのだ。
このあたりはコアな70年代ロンドン・パンクなどを聴いてきた人からすれば、評価や好みは分かれるところかもしれない。
パンクが基盤にあるというよりも、シンプルなアメリカン・ロックにパンクの要素を取り込んだ、という感じである。
なおベスト盤の裏ジャケはメンバーのモノクロ顔写真なのだが、パンクというよりコミックバンドみたいな表情になっている。
一番好きな曲は「マイノリティ」。
愚直そのものと言える歌詞は、どこか不器用でかわいい印象すら感じるし、わかりやすく親しみやすいサウンド、思ったよりマジメなボーカルとコーラスなど、好みの要素があちこちにある。
ベスト盤全部がこのノリでもないのだが、どれも聴きやすい曲だ。
いろいろ意見はあるだろうが、どこかで聴いたような音が聞こえるのは確かである。
「Brain Stew」って曲は、イントロがシカゴの「長い夜」にそっくりだ・・・
「Good Riddance」は確かにオアシスにも似ている。
また「アメリカン・イディオット」にもオアシスに似たアレンジの曲があり、オアシス側から抗議があったそうだ。
ギャラガー兄弟はグリーン・デイのことが嫌いらしい。
というかこの兄弟はそもそもキライな人たちが多いようですけど。
ベスト盤のあとに発表された問題作が「アメリカン・イディオット」である。
今までの彼らの歴史上最も売れたアルバムであり、米英それぞれで1位を獲得。
イラク戦争を起こしたブッシュ政権を批判する内容が若者に支持された、というのがヒットの理由らしい。
聴いてはいないが、手榴弾を握るメッセージ色の強いジャケットは印象に残っている。
パンクにしては方向性が社会派にすぎるような気もするが、21世紀のパンク像とはむしろこういうスタイルなんだろう。
反抗的な姿勢を装っているが、根はみんないいヤツ、なんてところでしょうか。
ということでグリーン・デイ。
聴くとすれば「マイノリティ」収録の「ウォーニング」、あとは名盤「アメリカン・イディオット」でしょうか。
初期から今に至るまで、サウンドにそれほど変化がないようなら、どこから聴いてもたぶん大丈夫な気がしますが、隠れた名盤などあればぜひご紹介下さい。
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