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聴いてみた 第61回 XTC その2

今日は世間では楽しいバレンタイン・デーなんだが、逆チョコってのはなんだよ!
ホワイト・デーがあるんだからこれ以上余計な企画立てんじゃねーよ!きぃー!!
・・・って怒ってるのはきっと鉄板でモテないヤツなんだろうなぁ。
ええ、あたしのことです・・・
最近では義理チョコですらないボラチョコってのもあるようですが・・・

そんな鉄板中年のあたしですが、XTCについて再び聴いてみる機会がやってきました。
前回は「ホワイト・ミュージック」を聴いてそのパンクさに耐えきれず腕をとられ三角締めで惨敗。
どうやら最もきついアルバムから聴いてしまったようでした。

今回聴いてみたのは「Nonsuch」。
自分の普段からの三流ド素人ぶりを見かねた遠方の旧友富美男氏が、直々にXTCのCDをたくさん貸してくれたのである。
「次に会った時までに返すように」
富美男氏は低い声で言い残し、去っていった。
一人取り残されたあたしに襲いかかる不安と期待・・・
迷った末の選択が「Nonsuch」だった。

Nonsuch

このアルバムを選んだのは、唯一聴いている曲「Disappointed」が収録されているからだ。
義理で参加した立食パーティー、予想どおり知ってる人も全然いなくて適当にローストビーフとかパスタなんかを取って壁際で地味にもそもそ食っていたところに、かなり前に一度だけ会ったことのある人を見つけてすがる思いでその人にかけよった・・・ような心境。(めんどくせえヤツ)

未だにその音楽性もよくわかっていないXTC。
果たしてあたしはXTC主催の立食パーティーで新しいビジネスチャンスに出会えるのでしょうか。

・・・・・聴いてみた。

1. Ballad of Peter Pumpkinhead
ポップである。
一言で言うとそんな曲なのだが、「ホワイト・ミュージック」で投げっぱなしパンクをがなりたてていたXTCとは全く違う。
実にメロディアスで楽しそうで、「ポール・マッカートニーを思わせる」というJTさんのご指摘どおりである。
これは期待がもてそうなオープニングだ。

2. My Bird Performs
この曲はかなり秀逸な構成だ。
流れるギター、トランペットに加え、ボーカルもコーラスもおだやかに進行。
雰囲気のあるいい曲である。

3. Dear Madam Barnum
さらに楽しそうな調べとリズム。
コーラスも意外にいい。
途中にライブっぽい歓声などが効果として聞こえる。

4. Humble Daisy
これもポール・マッカートニー風の作品だ。
ほぼ全編コーラスによるボーカルなのだが、けっこう構成は複雑で音が右から左にざーっと通り過ぎたり、プログレっぽい転調もある。

5. Smartest Monkeys
これは曲調は決して楽しくはない。
途中でやや古い感じのキーボード音がある。
今一つ盛り上がりにかけたまま終了。
やはり難しい曲もあるにはあるなぁ・・・

6. Disappointed
唯一聴いたことのある名曲。
構成は単純で、わかりやすいリズムとメロディが特徴なのだが、よーく聴くと裏メロのベースラインとか超低音のバスコーラスとか、かなり工夫されているサウンドだ。
アウトロが次の曲とつながっている。
タイトルは「失望した人たち」という意味で、歌詞は失望した人たちの様子を歌う、案外がっかり系な内容だった。
曲の雰囲気とはあまり合っていない気がする。

7. Holly Up on Poppy
うーん・・・
これはモロにポール・マッカートニーである。
基本のボーカルラインが思いっきりポールで、声も似せてるんじゃないか?と思えるほどである。
途中にちょっと寂しげな短調の小節をまぜてみたりするワザも、ポールに大きく影響を受けているように感じる。
ボーカルが本当にポールに変わったとしても、ウイングスの小曲として何ら違和感がない、といったところだ。

8. Crocodile
サビの部分にわりと特徴がある。
ひらがなで書くと「くろ!こ!だぁーーーいる!」となるのだが、旋律はけっこう微妙で不協和音スレスレである。
やはりただのポッピーなアルバムで終わらないところがXTCなのか?

9. Rook
細かく刻まれるピアノの音と、トランペットやストリングスの音が交互にやってくる。
ただピアノの音はちょっと騒々しい感じで聴きづらい。
静かに終わるエンディングなのだが、期待していた音階ではなかった。

10. Omnibus
前の「Rook」と路線は似ている。
トランペットとベースが中心。
これも少し騒がしい調子である。

11. That Wave
どこか粘りけのあるサウンド。
バックボーカルはかなり声が低くアレンジされており、おそらくテープ回転数をいじっているのだろう。
エンディングもおどろおどろしく、楽しい曲ではない。

12. Then She Appeared
この曲も前の曲のアウトロとつながっている。
またポール調の曲だ。
バックコーラスの「うーうーーうーうーー」という部分は「Disappointed」と同じような感じだ。
メルヘン調のキーボードがやはりポール・マッカートニーである。

13. War Dance
核となるラインはアコースティックなギターなのだが、ふかふかなクラリネット?の音が少し古風な印象を持たせている。
テンポはいいがこれも楽しい調子ではない。

14. Wrapped in Grey
静かにピアノから始まるバラード。
途中からやや転調し上向き加減に変わる。
ストリングスが加わり、やや壮大な雰囲気だが、この転調はあまり長くなくはっきりとはしていない。
エンディングはちょっと中途半端な終わり方だ。
乗ろうとした電車のドアが閉まっちゃったような気分。

15. Ugly Underneath
ちょこちょこしたリズムで少しテクノっぽいサウンドだが、ところどころ驚くほど美しい音が聞こえる。
ラストのキーボードなど、プロコル・ハルムのように感動的だ。
短い曲だが、端から端までこの美しい調子であれば最高だったのだが・・・

16. Bungalow
ゆったりとした流れだが、旋律はかなり微妙。
ヴァニラ・ファッジのような波打った音もする。
賛美歌のように荘厳なコーラスもあるが・・

17. Books Are Burning
ラストを飾るのは、このアルバムでは珍しい?ブルース調のナンバー。
辛すぎず重すぎず、ほどよい感じではある。
間奏にもギターを多用するなど、仕込みは案外堅調だ。

17曲の大作なのだが、思ったほど冗長な感覚はない。
XTCの中でもメロディ作りに凝ったアルバムらしく、アメリカの市場も意識した戦略でもあったようだ。
このアルバムの発表後、7年もの間バンドとしては停滞してしまったとのこと。
売り上げがどうだったのか知らないが、メンバー自身はこのアルバムの出来をどう思ったんだろうか。

サウンドとしては、ポール・マッカートニーを思わせる箇所が何度も登場するので、聴きやすいとは思う。
だが全ての曲が聴きやすかったとも言えない、というのが正直な感想。
やはり聴いていていいなと思うのは「Disappointed」だ。
アルバム全体がこんな調子なのかと期待していたのだが、そうでもないようである。
日本での評価は知らないが、とりあえず曲に邦題がひとつもついていない。
XTCがそういう扱いなのか、90年代以降邦題があまり流行らなくなったのか、よくわからないが・・

というわけで、とりあえず聴いてみたXTCの「Nonsuch」。
まだ全然なじんではおりませんが、「White Music」とは全く違うし、はるかに聴きやすかったことは確かです。
次は「Skylarking」「Oranges & Lemons」あたりに挑戦しようと思います。

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コメント

すこしづつ暇になって出張を入れてみたぷくちゃんといいます。ゼップへのコメント少し待っていてください。

さて逆チョコ、本当にやっているやつを見ました。それも嬉しそうに・・・・本当にこの風習早くやめてほしいです。(って本当に都会でも流行っているのか?)

投稿: ぷくちゃん | 2009.02.14 20:20

逆チョコはやらなかったですが、ホワイトデーのお返しには、ハッカ飴を予定しています、、と周囲に宣伝し、顰蹙を買っていた、、だいまつです。

さて、そんな逆チョコも結局は菓子会社の自作自演じゃないでしょうか、、。

XTC。アップルビーナスしか聞いたこと無いですが、それは結構良かったですね。

なんだかんだで、お返し考えるのも大変、、。

投稿: だいまつ | 2009.02.14 21:32

先輩、ZEP聴いたんだから、コメント早く早く!(←自己中心)

>さて逆チョコ、本当にやっているやつを見ました。それも嬉しそうに・・・・

これ、結局待てど暮らせど義理以外はもらえない男にとっては、むしろありがたい風習なんでしょうかね。
「ほら、今年は逆チョコ!」なあんて言いながら、引きまくってる女性のおびえた目にも全く気づかずチョコを押しつけるキモイ中年男が全国に拡大展開・・・
あ、妙にリアルですがあたしじゃないですよ。

だいまつ親分、コメント感謝です。

>さて、そんな逆チョコも結局は菓子会社の自作自演じゃないでしょうか、、。

まあそうでしょうね。
チョコのやりとりは日本固有の習慣のようですし。
今日逆チョコをカマした男は、来月もまたチョコを女子に渡し、結局女子からはもらえずに歳をとるんでしょうか・・

>XTC。アップルビーナスしか聞いたこと無いですが、それは結構良かったですね。

えーと・・アップルビーナス・・
・・・ありました。借りてます。
結構よかった・・そうですか。
では聴いてみます・・・

投稿: SYUNJI | 2009.02.14 22:18

このアルバムでのトランペットの使い方は普通のバンドとは全然違いますよね。『Nonsuch』はXTCらしくて、いいアルバムだと思いますし、僕も好きなアルバムです。

聴きやすいのは、前作の『Oranges & Lemons』の方が上だと思います。たぶん、『Oranges & Lemons』は彼らとしてポップ路線をやり切った感があるのではないでしょうか。

話は変わりますが、ロバート・プラントがグラミー取ったのにはビックリしました。YouTubeで何曲か聴いてみましたが、いい曲でした。アルバムも買ってみたいと思っています。

それとパクリ疑惑があるあの曲も受賞してましたね。いい曲ではあると思いますけど、そういう疑惑がある曲を受賞させるのはどうなんだろうと思いました。

投稿: getsmart0086 | 2009.02.15 15:39

毎度お世話になります。

わたしもgetsmart0086 さんと同様に、「Oranges & Lemons」をオススメします。POP路線を極めたアルバムだと思います。「アップルビーナス」にもそれはそれは感動して、世界にこんな美しい音楽はそうはないと思えるぐらい好きなんですが、上級者向けといえばそうかも。

今年は逆チョコって宣伝されてましたが、じゃあホワイトデーには逆チョコあげた相手がお返ししてくれるんですかね?理屈が破綻してると思います。お菓子メーカーも必死ですね。逆チョコだけでなく友チョコ、マイチョコなんてのもあるそうです。コーナー作る書店の現場も大変ですよ(笑)。

でも最近でも節分の恵方巻きとか、コンビニの宣伝で定着しましたからね。あれもヘンな習慣ですけど。無言で家族そろって同じ方向むいて海苔巻き1本食べきるなんて・・・笑わずに1本食べきるなんて無理です。

投稿: カナ | 2009.02.15 17:49

ゲッツさん、コメント感謝です。

>聴きやすいのは、前作の『Oranges & Lemons』の方が上だと思います。

そうですか。
前回の記事の際も「Oranges & Lemons」を推薦する方が多かったですが、こっちのほうが人気があるみたいですね。
このアルバムも借りてますので、聴いてみます。

>話は変わりますが、ロバート・プラントがグラミー取ったのにはビックリしました。

曲は聴いてませんが、ツェッペリン再結成を拒み続けての受賞だそうですね。
プラントはどこかで「ツェッペリンはペイジのバンド」と思ってるところがあるんじゃないですかね。
「20代でやってた歌を60過ぎても平気で歌えるのはミック・ジャガーとポール・マッカートニーだけ」という話があります。
プラント自身「このトシになってヘイヘイマーマ♪でもないだろ」と発言していたのを雑誌かなにかで見たことがありますが・・

カナさん毎度です。

>わたしもgetsmart0086 さんと同様に、「Oranges & Lemons」をオススメします。

そうですか・・
お二人がおっしゃるのならこれは間違いないですね。(←依存体質)
ジャケットがなんとなくチカチカしてて躊躇したんですが・・

>お菓子メーカーも必死ですね。逆チョコだけでなく友チョコ、マイチョコなんてのもあるそうです。

手切れチョコとか絶縁チョコなんかも出そうな感じですな・・
そういや我々の業界の「サン・ジョルディの日」ってのが全然定着しませんね。
この際「義理本」でも「逆本」でも構わないんで、なんかやらないといかんですね。
愛する人には買い切りで!
大好きなあなたにパターン配本!
オビの裏には恋占い!
4月23日は返品受けません!
・・・とかやりゃあいいんだよなぁ。(かなりマジ)

>でも最近でも節分の恵方巻きとか、コンビニの宣伝で定着しましたからね。

10年くらい前に初めて聞いた時は、どこかの特殊な家系だけに伝わる奇習なのかと思いました。
我が家は今でも指定の方角を向いての一気食いはしてませんけど。
ふつうに切って食べてますが、これでは御利益はないのかな?

投稿: SYUNJI | 2009.02.15 21:46

あ〜よかった〜、無事聴いてもらえて! と、ひと安心。

XTCワールドご招待を無理強いした遠方の富美男といいますハイ(低い声で)。

ただ今こちらは猛吹雪。マイナス10℃の外界を眺めながら、改めて「Oranges & Lemons」を聴き直しつつ打っております。

そっか〜、ポール・マッカートニーなのですね、XTCは。

ビートルズの音は、中2で初めて聴いて以来、自分の中で唯一無比の絶対的なものとして君臨しておるので、自分の洋楽史は結局のところ「ビートルズ以上」を求めてきたんじゃないかという気はしていたのですが「Nonsuch」がポール似だという意見はとても新鮮でした。前作の「Oranges & Lemons」にも、もろ「SGT.Peppers〜」という感じの曲があって「もしやこいつら…」とは思ってたのですが。。。

1980年(たぶん)の「Black Sea」以来、XTCはきっちり発売順に聴いてきたので、自分的に大喝采だった「Oranges & Lemons」の次に「Nonsuch」を聴いたときは「お、これは第3期に入ったか?」と思いました。

ディープ・パープルみたいに「第◯期」とかハッキリ言われているわけじゃないけど、XTCの場合、そういう分け方をしたくなるくらい音が変わってきてるんですよね。しかもかなり劇的に。

なので、getsmart0086さんが書いておられた「Oranges & Lemons」でポップ路線はやり尽くしたんじゃないか? という意見に激しく頷いてしまいました。「Oranges & Lemons」、今もヘッドホンから流れてますが、これはスゴいアルバムですよ、やっぱり。。。

いや〜、こうなると「その3」が実に楽しみです。
「Black Sea」も忘れないでね!


投稿: 富美男 | 2009.02.18 23:37

富美男さん、この度はお世話になりました。
突然の訪問&大量のXTCに驚きました・・
で、結局「Nonsuch」を最初に選びましたが・・

>そっか〜、ポール・マッカートニーなのですね、XTCは。

こんな素人でもそう思える曲がいくつかありました。
やはり少なからず影響は受けてるんじゃないですかね。(知ったかぶり)

>XTCの場合、そういう分け方をしたくなるくらい音が変わってきてるんですよね。しかもかなり劇的に。

そうだったのか・・
まだ2枚しか聴いてませんけど、それでも全く違う音楽だったことはわかりました。
「Oranges & Lemons」は「Nonsuch」ともまた違う感じのアルバムってことでしょうか?
「劇的」ってのが気になりますね。

「その3」はたぶん「Oranges & Lemons」になると思いますが、今しばらくお待ちを。

投稿: SYUNJI | 2009.02.19 23:15

こんにちは、JTです。

>7. Holly Up on Poppy
>うーん・・・
>これはモロにポール・マッカートニーである。

うん、うん、確かにそうですね。
このアルバムしか聞いたことありませんが、単純にポール風の曲だけでなく、ちょっと(かなり?)ひねった曲があるのがXTCの魅力でしょうか。

私も「Oranges & Lemons」聴いてみようかな。

投稿: JT | 2009.02.21 14:37

JTさん、コメント感謝です。

>単純にポール風の曲だけでなく、ちょっと(かなり?)ひねった曲があるのがXTCの魅力でしょうか。

そうですね。
全曲楽しめた、というわけではなかったので、やはりヒネリがあったと思います。(なんだこの説明は?)
このヒネリに慣れればXTC検定3級もとれるんじゃないかと思いますが・・

>私も「Oranges & Lemons」聴いてみようかな。

今回XTCを大量に貸してくれた友人富美男氏によると、「Sgt.Peppers」な曲もあるようです。
みなさんの評価も高いですし、「Nonsuch」よりも聴きやすいかもしれませんね。

投稿: SYUNJI | 2009.02.21 21:19

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受信: 2009.02.15 17:56

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