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聴いてみた 第62回 ローリング・ストーンズ その3

音楽にも映画にもうといSYUNJIです。
最近公開されたクリント・イーストウッド監督の映画「チェンジリング」。
もちろん観てません。
「チェンジリング」ってタイトルの映画、実は30年くらい前にもあったんです。
全然別の話だそうですけど・・・
で、30年前の「チェンジリング」、ラジオで毎晩宣伝してたんだけど夜中に聴くとすんげえ怖くって、「お父さん・・・うらめしい・・・」とか言うんですよ。
本編観てないのに宣伝だけですっかりビビリまくっていたのでした。

そんなビビリなあたしですが、しばらくほったらかしだったストーンズ能率学習塾。
聴いてないシリーズの中でも最大の課題であり、本来は最優先で学習すべき題材。
わかってはいるんですが、なかなか足が向かず、今日も黙って学習塾の前を通り過ぎ、時間をつぶして頃合いを見計らって家に帰る小ずるい小学生のような心境で日々を過ごしてきました。

なんだか極めて危険な兆候なので、あらためて心を入れ替えストーンズにトライしてみることにした。
で、選んだのがモンスリー師匠ご推薦の「Let It Bleed」である。

Let_it_bleed

バンドの歴史的にはターニングポイントに位置するもので、ブライアン・ジョーンズ在籍の最後のアルバムとのこと。
リリースは69年だが、この年にブライアンは亡くなっているので、遺作ということにもなる。
また一方でミック・テイラーが登場した最初のアルバムでもあるらしい。
さらにキースがリード・ボーカルを初めて担当した曲もあるそうだ。
いろいろな意味で変革しつつあった頃のストーンズが聴ける名盤、ということですね。

曲がり角に来ていたストーンズ、果たしてあたしも無事に角を曲がることができるのでしょうか。

・・・・・聴いてみた。

1. Gimme Shelter
イントロの旋律はどこか悲しげだが、このメロディはすばらしい。
本編はちょっと騒々しい感じのサウンド。
よく聴いていくといろいろな音がある。
女性コーラスがかなり幅をきかせており、途中でバックでなく前に出てきてソロのように歌っている。
この声はメリー・クレイトンという人のものだそうだ。
ドラムがかなり強く、ノリのいい曲である。

2. Love In Vain(むなしき愛)
一転アコースティックギターの調べにミックのブルース調バラード。
間奏のちりちりちりという音はライ・クーダーによるマンドリン。
どこかカントリーのようにも聞こえる。
この曲はオリジナルではなくカバーだそうだ。
実はフォリナーにも同名の曲があるが、全く別の曲である。

3. Country Honk
クルマのクラクションで始まる、今度こそカントリー風のサウンド。
アコースティックギターとバイオリンで構成されていて、サビもみんなでわいわい歌う、ライブ感たっぷりの曲である。
ストーンズはこんなこともやっていたのか・・・

4. Live With Me
イントロのベースが渋い。
高揚感にあふれたストーンズらしい音。
ピアノとサックスがサウンドの中心にあると思うが、どのパートも不思議とよく聞こえる。
聴く度に中心にある楽器が変わって聞こえるような感じだ。
ベース、ドラムとともに非常にタイトな進行。

5. Let It Bleed
アルバムのタイトル曲だが、ボーカルも含めどの楽器も全部打楽器である。
ピアノもギターも主張がとても強い。
後半チャーリーも負けじとシンバルを連打。
難しい構成ではないが、聴きどころは多いと思う。

6. Midnight Rambler
ぷわぷわのブルース・ハープ(でいいの?)で始まる、ちょっと下から歌いあげる怪しいナンバー。
中盤徐々に盛り上がり、ピッチもどんどん早くなる。
大きなサビもなくいったん静まり、終わりかな?と思ったところで元のスピードにて再開。
ドラムやギターによるばしっ!ばしっ!というアクセントがあり、ミックのボーカルがどんどんヤケクソになる。
最後は意外にあっさり終了。
少し置いて行かれた気分になる。

7. You Got The Silver
これがストーンズ初のキースのリード・ボーカル。
ミックよりもやや乾いた声で、見た目の雰囲気よりずっとキーが高い。
曲はアコースティックで始まるフォークっぽい感じだが、終盤はキースが熱くシャウトする。

8. Monkey Man
この曲が一番ギターがしっかりしている。
間奏のところでギターサウンドが掛け合いになるが、この雰囲気はすばらしい。
これまで聴いてきたストーンズのサウンドの中でも最も調和が感じられ、もう少し聴きたいと思わせるギターバトルである。
ボーカルは最後に絶叫になってしまいちょっと聴きづらいが、サルなんだからいいじゃん、ということでしょうか。

9. You Can't Always Get What You Want(無情の世界 )
ラストもアコギによるバラード。
イントロは賛美歌のようでもある。
中盤キーボードとドラムが合流し、一気にストーンズな世界に。
ただしこのドラムはチャーリーではないらしい。
女性バックコーラスがところどころ当てられているのだが、ストーンズのボーカルとコーラスってのはハーモニーはあまり重視してないように思う。
とにかくみんなでわあっと盛り上がるんだよ!という感じ。

いろいろな曲があるが、どっぷりブルースという感じではなかったのでかなり聴きやすい。
終始ワイルドでバイオレンスな押しの曲ばかりかと思っていたのだが、どちらかというと静かな立ち上がりの曲が多い。
冗長な曲がないのも聴きやすい理由のひとつだろう。
曲単位での盛り上がりがきっちり設定されており、それがまたとても自然である。

アルバムの構成も緻密に計算されており、ラストに「無情の世界」を持ってきて盛り上がって終わる、という仕掛けは真っ当ではあるが良いと思う。
個人的には「Gimme Shelter」「Live With Me」「無情の世界」が好みだ。

内容はこのとおり堅調なアルバムだが、そこはストーンズ。
周辺にも様々な話題や伝説を持っているようだ。
本国でのリリースは1969年12月5日だが、翌日の12月6日には、あの「オルタモントの悲劇」が起きている。
また「Let It Bleed」はビートルズの「Let It Be」のパロディだという伝説があるが、「Let It Be」発売は70年なので、この説は事実ではないようだ。
でもこの2大バンド、どこかでお互いの次のアルバム情報なんかをやりとりしていた、なんて話もありそうである。
ビートルズは実質この頃は崩壊寸前だったので、ジョンが「なあミック、やってらんねえよ。ポールのヤツ、『なすがままに』とか歌ってんだぜ!」なんて愚痴ってたりして・・・

そんなわけで、聴いてみました「Let It Bleed」。
全ての曲になじんだわけではありませんが、これは聴いて良かったです。
オリジナルのスタジオ盤としてはまだ2枚目なので、まだ道のりは果てしなく遠いのですが、また他のアルバムも聴いてみようと思います。

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聴いてない 第131回 ジョーン・ジェット

男どもを従えた女性ロッカーの中でも最も豪傑と言われるジョーン・ジェット。
バンド名はブラックハーツだが、やっぱり聴いてません。
決して嫌いなタイプではなく、また聴いてる曲はけっこう好きなのだが、アルバムは全く聴いてないので、聴いてない度は3。

ジョーン・ジェット&ザ・ブラックハーツ名義で聴いてるのは以下のシングルである。

・I Love Rock N' Roll
・Crimson And Clover(クリムゾンとクローバー)
・Do You Wanna Touch Me(恋するタッチ)
・Fake Friends
・Good Music

基本的に80年代前半にヒットした曲だけ聴いている状態。
この中では「I Love Rock N' Roll」「Crimson And Clover」「Fake Friends」が好きである。
90年代以降の活躍は全く知らない。
「I Love Rock N' Roll」については、アル・ヤンコビックがパロディを歌っている。
タイトルは「I Love Rocky Road」だったと思うが、本家をまねて作られたプロモ・ビデオを見たことがある。

まずはいつものとおりプロフィールをネットで調査してみました。
ジョーン・ジェットは1958年9月22日生まれ、ペンシルバニア州ウィンウッド出身。
今50歳ってことは宮崎美子とか樋口可南子と同じくらいの年齢ですね。
フィラデルフィア出身と書いてあるサイトもあるが、ウィンウッドという町がフィラデルフィア郊外に位置するらしい。
「名古屋生まれ」と言ってるけど実は大府市出身、てのと似たようなものかな?(違うかもしれない)

本名はジョーン・マリー・ラーキン。
元ランナウェイズのギタリストで、このバンドにはチェリー・カリーやリタ・フォードもいた。
ランナウェイズは「チェリー・ボム」しか知らないが、75年から79年の間に5枚のアルバムを出したそうだ。
ちなみにこのあたりの情報は英文ウィキペデイアを自動翻訳して調べたのだが、「ランナウェイズ:チェリー・ボム」という部分は「家出:桜爆弾」と訳されていた・・・

80年代初めにザ・ブラックハーツを結成し「I Love Rock N' Roll」が大ヒット。
この前後で映画女優なんかも経験し、1987年には「Light Of Day(愛と栄光の日々)」という映画でマイケル・J・フォックスとも共演している。
日本では主に80年代が活躍時期だが、90年代以降も現在まで活動を続けているそうだ。

元ランナウェイズであることは有名なので知ってはいたが、それ以外の情報は初めて知るものばかり。
映画にも出ていたのか・・・
ちなみにジョーン・ジェットはベジタリアンとのこと。

ジョーン・ジェット、聴いてる範囲で言うと、メロディよりノリを重視したサウンド、という気がする。
「I Love Rock N' Roll」「Do You Wanna Touch Me」などはジョーンとバックコーラスの掛け合いでサビが構成されていて、体育会系の雰囲気が充満している。

この手のアーチストの場合、バンドの他のメンバーの顔が全く見えてこない、という特徴がある。(と思いませんか?)
ブラックハーツもそうだけど、プリテンダースやブロンディ、ハートにしてもとにかく男どもが全く目立たないのだ。
名前全然知らないし、そもそもそれぞれバンドの人数すら正確に答えられない。
あたしが知らないだけなのかもしれませんが・・・

さて「姉御」「女傑」「姐さん」と形容されるジョーン・ジェット、魅力は聴いてみて女性とわかる限界までドスのきいた野太い声とストレートなサウンドなのだが、一方でものすごい美貌の持ち主でもある。
かなり濃い目のアイラインや、あまり手をかけていないような黒髪はクリッシー・ハインドにも通じるものがあるが、力強さを感じさせる点ではジョーンのほうが上だと思う。

もし飲んでる最中にカチコミがあったら、クリッシーは奥のソファーに座ってタバコふかして全く動じず、騒ぎがそろそろ収まる頃にゆっくり立ち上がり「もうそのあたりでいいんじゃない?」とか言いそうなんだけど、ジョーン・ジェットの場合は最前線で金属バットなんかで応戦して敵が全員たたきのめされて終了、ってな感じでしょうか。(相変わらずイメージが貧困)
いずれにしてもアイラインなんかしなくてもこの人は充分美しいと思いますけど。

そんなわけで、ジョーン・ジェット。
アルバムを聴くとしたらやはり81年の「I Love Rock N' Roll」からでしょうかね。
感覚的にはアルバムよりも曲単位で評価されることが多いような気がするのだが、「ジョーン・ジェットと言えばコレ」というアルバムがあれば、教えていただきたいと思います。

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聴いてみた 第61回 XTC その2

今日は世間では楽しいバレンタイン・デーなんだが、逆チョコってのはなんだよ!
ホワイト・デーがあるんだからこれ以上余計な企画立てんじゃねーよ!きぃー!!
・・・って怒ってるのはきっと鉄板でモテないヤツなんだろうなぁ。
ええ、あたしのことです・・・
最近では義理チョコですらないボラチョコってのもあるようですが・・・

そんな鉄板中年のあたしですが、XTCについて再び聴いてみる機会がやってきました。
前回は「ホワイト・ミュージック」を聴いてそのパンクさに耐えきれず腕をとられ三角締めで惨敗。
どうやら最もきついアルバムから聴いてしまったようでした。

今回聴いてみたのは「Nonsuch」。
自分の普段からの三流ド素人ぶりを見かねた遠方の旧友富美男氏が、直々にXTCのCDをたくさん貸してくれたのである。
「次に会った時までに返すように」
富美男氏は低い声で言い残し、去っていった。
一人取り残されたあたしに襲いかかる不安と期待・・・
迷った末の選択が「Nonsuch」だった。

Nonsuch

このアルバムを選んだのは、唯一聴いている曲「Disappointed」が収録されているからだ。
義理で参加した立食パーティー、予想どおり知ってる人も全然いなくて適当にローストビーフとかパスタなんかを取って壁際で地味にもそもそ食っていたところに、かなり前に一度だけ会ったことのある人を見つけてすがる思いでその人にかけよった・・・ような心境。(めんどくせえヤツ)

未だにその音楽性もよくわかっていないXTC。
果たしてあたしはXTC主催の立食パーティーで新しいビジネスチャンスに出会えるのでしょうか。

・・・・・聴いてみた。

1. Ballad of Peter Pumpkinhead
ポップである。
一言で言うとそんな曲なのだが、「ホワイト・ミュージック」で投げっぱなしパンクをがなりたてていたXTCとは全く違う。
実にメロディアスで楽しそうで、「ポール・マッカートニーを思わせる」というJTさんのご指摘どおりである。
これは期待がもてそうなオープニングだ。

2. My Bird Performs
この曲はかなり秀逸な構成だ。
流れるギター、トランペットに加え、ボーカルもコーラスもおだやかに進行。
雰囲気のあるいい曲である。

3. Dear Madam Barnum
さらに楽しそうな調べとリズム。
コーラスも意外にいい。
途中にライブっぽい歓声などが効果として聞こえる。

4. Humble Daisy
これもポール・マッカートニー風の作品だ。
ほぼ全編コーラスによるボーカルなのだが、けっこう構成は複雑で音が右から左にざーっと通り過ぎたり、プログレっぽい転調もある。

5. Smartest Monkeys
これは曲調は決して楽しくはない。
途中でやや古い感じのキーボード音がある。
今一つ盛り上がりにかけたまま終了。
やはり難しい曲もあるにはあるなぁ・・・

6. Disappointed
唯一聴いたことのある名曲。
構成は単純で、わかりやすいリズムとメロディが特徴なのだが、よーく聴くと裏メロのベースラインとか超低音のバスコーラスとか、かなり工夫されているサウンドだ。
アウトロが次の曲とつながっている。
タイトルは「失望した人たち」という意味で、歌詞は失望した人たちの様子を歌う、案外がっかり系な内容だった。
曲の雰囲気とはあまり合っていない気がする。

7. Holly Up on Poppy
うーん・・・
これはモロにポール・マッカートニーである。
基本のボーカルラインが思いっきりポールで、声も似せてるんじゃないか?と思えるほどである。
途中にちょっと寂しげな短調の小節をまぜてみたりするワザも、ポールに大きく影響を受けているように感じる。
ボーカルが本当にポールに変わったとしても、ウイングスの小曲として何ら違和感がない、といったところだ。

8. Crocodile
サビの部分にわりと特徴がある。
ひらがなで書くと「くろ!こ!だぁーーーいる!」となるのだが、旋律はけっこう微妙で不協和音スレスレである。
やはりただのポッピーなアルバムで終わらないところがXTCなのか?

9. Rook
細かく刻まれるピアノの音と、トランペットやストリングスの音が交互にやってくる。
ただピアノの音はちょっと騒々しい感じで聴きづらい。
静かに終わるエンディングなのだが、期待していた音階ではなかった。

10. Omnibus
前の「Rook」と路線は似ている。
トランペットとベースが中心。
これも少し騒がしい調子である。

11. That Wave
どこか粘りけのあるサウンド。
バックボーカルはかなり声が低くアレンジされており、おそらくテープ回転数をいじっているのだろう。
エンディングもおどろおどろしく、楽しい曲ではない。

12. Then She Appeared
この曲も前の曲のアウトロとつながっている。
またポール調の曲だ。
バックコーラスの「うーうーーうーうーー」という部分は「Disappointed」と同じような感じだ。
メルヘン調のキーボードがやはりポール・マッカートニーである。

13. War Dance
核となるラインはアコースティックなギターなのだが、ふかふかなクラリネット?の音が少し古風な印象を持たせている。
テンポはいいがこれも楽しい調子ではない。

14. Wrapped in Grey
静かにピアノから始まるバラード。
途中からやや転調し上向き加減に変わる。
ストリングスが加わり、やや壮大な雰囲気だが、この転調はあまり長くなくはっきりとはしていない。
エンディングはちょっと中途半端な終わり方だ。
乗ろうとした電車のドアが閉まっちゃったような気分。

15. Ugly Underneath
ちょこちょこしたリズムで少しテクノっぽいサウンドだが、ところどころ驚くほど美しい音が聞こえる。
ラストのキーボードなど、プロコル・ハルムのように感動的だ。
短い曲だが、端から端までこの美しい調子であれば最高だったのだが・・・

16. Bungalow
ゆったりとした流れだが、旋律はかなり微妙。
ヴァニラ・ファッジのような波打った音もする。
賛美歌のように荘厳なコーラスもあるが・・

17. Books Are Burning
ラストを飾るのは、このアルバムでは珍しい?ブルース調のナンバー。
辛すぎず重すぎず、ほどよい感じではある。
間奏にもギターを多用するなど、仕込みは案外堅調だ。

17曲の大作なのだが、思ったほど冗長な感覚はない。
XTCの中でもメロディ作りに凝ったアルバムらしく、アメリカの市場も意識した戦略でもあったようだ。
このアルバムの発表後、7年もの間バンドとしては停滞してしまったとのこと。
売り上げがどうだったのか知らないが、メンバー自身はこのアルバムの出来をどう思ったんだろうか。

サウンドとしては、ポール・マッカートニーを思わせる箇所が何度も登場するので、聴きやすいとは思う。
だが全ての曲が聴きやすかったとも言えない、というのが正直な感想。
やはり聴いていていいなと思うのは「Disappointed」だ。
アルバム全体がこんな調子なのかと期待していたのだが、そうでもないようである。
日本での評価は知らないが、とりあえず曲に邦題がひとつもついていない。
XTCがそういう扱いなのか、90年代以降邦題があまり流行らなくなったのか、よくわからないが・・

というわけで、とりあえず聴いてみたXTCの「Nonsuch」。
まだ全然なじんではおりませんが、「White Music」とは全く違うし、はるかに聴きやすかったことは確かです。
次は「Skylarking」「Oranges & Lemons」あたりに挑戦しようと思います。

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聴いてみた 第60回 レッド・ツェッペリン「フィジカル・グラフィティ」

定額給付金をもらったら聴いてないCDをオトナ買いしようと楽しみにしてるSYUNJIといいます。(場内静寂)
世に言う名盤の中にも2枚組というのはたくさんあるのだが、昔からけっこう2枚組は苦手だったりする。
答えは簡単で「長い」からだ。
オムニバスとかベスト盤とかライブ盤ならともかく、通常のスタジオ盤2枚組はたいがい1枚目終わりあたりで飽きてしまうのである。

しかし相手がツェッペリンであれば飽きたなどと言っていられない。
全盤制覇に向けて避けて通れない巨大なる2枚組山脈、ツェッペリン後期最長の飛び道具、肉体のエアロゾル・アート、名盤エグゾセミサイル、ひとり民族大移動、アックス・ボンバー三つ又の槍、ご存じ「フィジカル・グラフィティ」である。(全然説明になってない)
久しぶりに図書館で借りてみました。

Physical

全曲で85分の一大感動巨編だが、ネットでも評価はかなり高く、「いろいろな曲があり退屈しない」などと書いてある。
本当か?絶対だな?
まあ自分の場合、不安材料は確実にある。
繰り返しになるが、後期のロバート・プラントの声がどうもダメなのだ。
ただ曲によってはどうやら声がまともな頃の録音のものもあるらしいので、そこが逆に安心材料となるかもしれない。

長く果てしない(85分ですけど)名曲の大海原に漕ぎ出したあたしは、果たして無事に向こう岸にたどり着けるのでしょうか。

・・・・・聴いてみた。

1. Custard Pie
トップを飾るこの曲、サウンドはギラギラしていて申し分ない。
うまそうなタイトルだが、訳詞を見れば実はとてもエロで猥雑な内容。
中盤から聞こえるブルースハープのようなぷわぷわな音はペイジの趣味だろう。
この感じはカバペーにもあったし。
しかしやはりプラントはダメである。最初からこれはキツイ。あー・・・

2. The Rover(流浪の民)
この雰囲気はまさにツェッペリンの本領発揮というところである。
うねるギターが実にいい感じだ。
のちのフォリナーあたりはこのサウンドに影響を受けたと見た。
プラントの声がまだまともに聞こえるのだが、録音されたのが実は少し前だったんじゃないだろうか?

3. In My Time Of Dying(死にかけて)
題名どおり、ややもったりとした進行のぐったりソング。
と思ったら途中から急展開、ボンゾのどばどばドラムにペイジのれろれろギターが炸裂である。
ツェッペリンてのは実に怪しいサウンドが多いのだが、楽曲としては異常なくらいまとまっていて、これがものすごいホールド感なのだね。
前期にはこんな雰囲気がどのアルバムにも充満しとったよなぁ。(しみじみ)
こういう曲がたぶん最も自分の好みに合っている。
古いゴスペルのカバーだそうだが、相当アレンジしていて原曲とはかけ離れたものとなっているらしい。

4. Houses Of The Holy(聖なる館)
アルバム「聖なる館」にはなかった、曲としての「聖なる館」がここにある。
やや軽い調子の曲で、ペイジのギターが聴けると思ったら案外早くフェードアウト。

5. Trampled Under Foot
これもテンポは良いがなんとなく大衆的な感じの曲だ。
ドゥービー・ブラザーズの「Long Train Runnin'」に似ているというウワサだが、まあ聴きようによってはそんな気もする、という程度。
繰り返されるリズムは確かにあまりツェッペリンぽくないですけど。

6. Kashmir
大作「カシミール」。
この曲はペープラですでに聴いているが、やはりオリジナルのほうが重厚で壮大だ。
オリジナルと比べてみてペープラのほうがいいと思う曲はあまりない、というのが多くのリスナーの正直な感想じゃないだろうか。
「サンキュー」はペープラ版も味わいがあってよかったけどね。
歌詞も雄大で荘厳な情景が目の前に広がるような、神話風な内容である。
構成はそれほど複雑ではなく、同じリズムとサウンドが延々と流れる中、プラントもそれなりにがんばって歌ってはいる。
ただちょっと8分半は長いかなぁ・・・申し訳ないが中盤からやや飽きが来る。

7. In The Light
幻想的な調べがかなり長く続き、プラントの重なった声がアカペラのように響く。
ようやく他の楽器が登場するが、調子はかなりオカルトチックだ。
中盤ペイジとジョーンジーが少し変わった旋律を奏で、再びプラントの妙な声。
音の組み合わせを明るくないほうへ無理に持っていっている感じ。
ラストの「 Light,Light,Light,In The Light・・」というあたりは別の曲をくっつけたようにも聞こえる。

8. Bron-Yr-Aur
ペイジ先生のアコースティック教本のような曲。
これは素晴らしい。
エンディングのもあ~んとした音がいいですね。

9. Down By The Seaside
なんとなくはかなげだけどゆったりほのぼのな曲。
ツェッペリンにもこんな曲があるのか・・・と感心してのんびり聴いていたら、やっぱ途中で転調。
でもわりとすぐにほのぼの調に戻った。

10. Ten Years Gone
静かなギターで始まる不思議な曲。
ちょっとつかみどころがない感じだ。
中盤からはハードな展開だが、やはりプラントの声が痛い・・・
やはり後期のプラントにはどうしてもなじめないのだが、あらためてそれを認識させられる。

11. Night Flight(夜間飛行)
どこか軽くてアメリカンでポッピーなサウンド。
隠れた名曲との評価もあるらしいが、これはけっこうおもしろい。
ツェッペリンの多様性をよく表している。
ただしエンディングのあたりはちょっと・・・

12. The Wanton Song
辛口タイプのナンバーだが、ツェッペリンお得意の不協和音スレスレの怪しい音色だらけ。
ドラムの音が一番でかい。
時々サイレントなポイントでタメを作る技法がとられている。
ボーカルさえまともだったら、この曲を一番評価したいところだ。

13. Boogie With Stu
オールドなタイプのブギーなナンバー。
ピアノが中心で、ペイジのギターはマンドリンかバンジョーみたいな音がする。
というかギターじゃないのかな?とにかくぺこぺこと楽しい音だ。
プラントの声は他の曲に比べてマシなので、これもたぶん少し前の録音だと思う。

14. Black Country Woman(黒い田舎の女)
チューニング間違ってんじゃないのかと思うようなズレ気味のギター。(ウクレレか?)
「限りなき戦い」を素人が弾くとこんな調子かしら。
ドラムもなんかすごい乾いた音だし、プラントも楽器といまいち合ってないし、ヘンな曲だなぁ。

15. Sick Again
ドラムもペイジのリフもいい感じだし、相変わらず怪しい音ばかりだが楽曲としてはなかなか魅力的だ。
ただボーカルだけはもう勘弁してくれというレベル。
他に誰かいなかったのか?

どわー疲れた。
やっと聴き終わったぞ。
「長さを感じない」という評価も多いらしいけど、やっぱ長いス・・・
飽きた感覚は思ったほどでもなかったが。

全体の印象は前期の鉛のような重さがなく、やはりどこか軽い感じがする。
この後の「プレゼンス」ではまた鉛本来の重さが戻っているので、よけいにそう感じるのだろう。
各パート同士がケンカ寸前にぶつかり合って高い調和を生んでいるのが前期または「プレゼンス」のツェッペリンだと思うが、「フィジカル・グラフィティ」ではペイジにしろボンゾにしろ、そこまでの突出感がない。

自分の場合このアルバムは曲によって好みがかなりはっきりしそうだ。
通して数回聴いた範囲では「The Rover」「In My Time of Dying」「Bron-Yr-Aur」「Boogie with Stu」あたりが好きな部類に該当。
目玉は「Kashmir」だと思うが、好みかというと、それはやっぱり少し違う。

確かに音楽性は多様化しておりバラエティに富んでいるアルバムだと思うが、やや散漫な感じがしなくもない。
少し前に録音しておいた曲も入れてあり、それも含めて2枚組にした理由はよくわからないが、ふつうに1枚ずつ別に発売するか、もう少しセレクトして1枚にまとめるとかしたらよかったのではないか?
この内容であれば1枚ずつのリリースでもそれなりにインパクトのあるアルバムはできたんじゃないでしょうか。

ジャケットについては、パープルとは比較にならないほどアートなセンスを駆使しているのがツェッペリンだ。
このアルバムは、LPでは建物の窓のところが打ち抜いてある厚紙と、人の姿が写っている内袋を組み合わせたジャケットだったそうだ。
内袋をスライドさせると窓の中の絵も変わる・・という、小学館の学習雑誌の付録のようなしかけがあったとのこと。
CDではただの絵になってるので、こうした立体的な楽しみ方はなくなっている。

そういうわけで、なんとか聴き終えました大作「フィジカル・グラフィティ」。
やや疲れましたが、それなりに良かったとは思います。
最後に残った「イン・スルー・ジ・アウト・ドア」、いつになるかわかりませんが全盤制覇目指して聴いてみることにします。

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