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聴いてみた 第59回 レインボー その4

レインボー自動車教習所、そろそろ学科も終了して路上にも出たいところですが、まだ「やっさん」ことグラハム教官の修了検定をパスしておりません。
今日はぜひグラハム教官のハンコをもらって帰りたいと思います。
しかしグラハムのアタマを黒く染めてカフスボタンをはずしたシャツの上にスカイブルーのジャケットを着せると、ホントに教習所の教官にいそうな感じである。
つーかそれがやっさんそのものなんですけど・・

Down_to_earth_2

さて「ダウン・トゥ・アース」。
おそらく幼い頃に姉に何度か聴かされたことはあったはずで、脳内刷り込み効果はできているように思う。
メンバーは世界の御大ことリッチー・ブラックモア、やっさんことグラハム・ボネット、ドラムを抱えた渡り鳥コージー・パウエル、爺さんことロジャー・グローバー、そしてドン・エイリーの5人だ。
このアルバムではロジャー爺さんはプロデュースもしてるらしい。
ドン・エイリーという人は実はあまりよく知らないのだが、最近はパープルに参加してギランとともに日本にも来てるようだ。

アメリカ市場を意識したとされるこのアルバム、果たしてあたしは無事にグラハム教官のハンコはもらえるのでしょうか。

・・・・・聴いてみた。

1. All Night Long
1曲目からやっさんの魅力全開の名曲である。
かなり以前から知っている曲だったが、今回聴いてみてイントロのやっさんのシャウトに初めて気づいた。
楽曲の構成は案外ふつうなのだが、意外にコーラスが厚く当てられていて、サウンドに奥行きを持たせている。
リッチーのギターよりもやっさんのボーカルとコージーのドラムが目立つ秀作である。
歌詞はステージを見に来た妙齢の女性を気に入って我慢できなくなったやっさんの心情が吐露されている。
いや、詞を書いたのやっさんかどうか知りませんけど、終盤やっさんのテンションがぐわっと上がるのだが、言ってることはナンパのセリフそのものなのである。
「ヘイ彼女、ワイン飲む?名前なに?今一人?」とか、「彼女星座なに?おうちまで送ってあげようか?」とか、少し前まで中世や文明や神の教えなどを神秘的に歌っていたレインボーなのだが、かなりの方向転換のようだ。
この路線もおもしろいですけどね。

2. Eyes Of The World
ご存じビッグ・バン・ベイダーのテーマソング。
イントロを聴いただけで会場の喧噪と花道のレスラーをぺちぺち叩いて若手にどつかれるバカな客とベイダーのカブト?から出る煙のスプレーが鮮やかに思い起こされる。
この曲は御大のギターワークがかなり長く聴けるが、時々混じるキーボードやピアノの音もなかなかいい感じである。
6分45秒の大作だが、長さをあまり感じない。

3. No Time To Lose
これはほとんどやっさんのボーカルのための曲だろう。
リズムやサウンドはよくあるロックンロールで、しかもけっこう安っぽい感じのバックコーラス入り。
レインボーにしては軽い気もするが、やっさんのシャウトが好きなら「買い」の一曲だ。

4. Makin' Love
ロニー時代に聴けた中近東っぽいリズムとギターが、このアルバムにもあった。
この曲はおそらくやっさんよりもロニーのボーカルが似合うだろう。

5. Since You Been Gone
ここまでのレインボー史上最も明るく楽しくポッピーなのがこれ。
イントロからしてジャーニーとかスティクスにも通じそうだ。
アメリカ市場をかなり意識しての選曲らしいが、実際にはイギリスでヒットしたカバー曲とのこと。
途中やっさんが柔らかく語りかけるような声を出してるが、はっきり言ってヘンだ。
でも曲自体は好きである。(ミーハー)

6. Love's No Friend
どんよりしたブルース調のナンバー。
シャウトしないやっさんのボーカルはどこか違和感がある。
ホワイトスネイク以降のカバもそうだが、やっさんも高音と普通音でかなり感じが変わるので、別人かと思う時がある。
この曲はコージーのドラムがなかなかいい感じだ。

7. Danger Zone
再びやっさんのシャウト。
御大のレロレロとしたギターはかなり手前に聞こえる。
この曲はパートごとの印象がはっきりしている。

8. Lost In Hollywood
ノリは完全に「A Light In The Black」路線。
御大もコージーもこういう曲でこそプレイが光るというもんである。
アルバムのラストにこれを持ってきたのは秀逸な編集だ。
できればリッチーとコージーの聴かせ場が、それぞれもう一盛りあったらよかったのに・・・と思わせる名曲。
「ハリウッドで全てを失った」という地名を入れたタイトルも、アメリカ市場を意識したものだろうか。

ボーカルがやっさんに変わったので、全体の印象がそれまでの3枚と異なるのは明らかなのだが、そもそも音楽としての方向性もかなり変えてきたのがこのアルバムのようだ。
アメリカ市場をターゲットにした戦略としての変化なのだが、評価はけっこう割れるような気がする。
レインボーってボーカルによって好みが分かれることが多いと思うのだが、このアルバムの場合、仮に全曲ロニーが歌ったとしたら、評価は前の3枚に及ばなかったんじゃないだろうか。

ただグラハムの声は決して嫌いではない。
ロニーに比べて粘りけが少なく、コブシも少ないので、ストレートで金属的な印象は強い。
でもレインボーという名門バンドの雰囲気を大幅に変えるようなマネはしておらず、どのパートともきちんとマッチしている優れたボーカリストだと思う。
アルバムに静かなバラードがないのであまりよくわからないが、シャウトしない曲や低音の部分においては、やはりロニーのほうがうまいと感じる。
グラハムのソロ「孤独のナイト・ゲームス」はけっこう好きだ。
(この曲は西城秀樹がカバーしていた)

そういう意味ではグラハムというボーカルを調達して、新しい方向性の音楽に乗せたリッチーの経営手腕は見事だ。
ただしリッチー御大はやっさんのファッションセンスだけは大嫌いだったようで、御大の福音書には「ギターでグラハムのアタマを殴る寸前だった」と書いてあったが、他にもグラハムの衣装が気に入らず、本人に黙って全部捨てちゃったりしたこともあったらしい。
なんかこういうことが積み重なって、やっさんもバンドやめちゃったのでは・・・

アルバムを通しで聴いてずっと気になっていたのだが、やはり同じように感じていた人はいるようで、いくつかのサイトにも書いてあった。
ドラムの音がどこか全体的に弱いのである。
三頭体制の頃の鋭いドラムの音ではなく、なんか曇った音に聞こえるのだ。
コージーが目立ちすぎることを嫌ったリッチーに指示されて、ロジャー爺さんがドラムの音量を少し小さくして編集した、なんてウワサもあるようだが、ホントのところはわからない。
まあギターもなんとなく小さく聞こえるので、新しいボーカルを売り出すためのリッチーの親心、といった見方もできそうだ。(ホントかよ)

というわけで、レインボー自動車教習所も4コマ目が終了しました。
やはりレインボー、どのアルバムも自分の好みにはきちんと合致してきます。
やっさんはこの1枚であっさりレインボーを去ってしまい、MSGに転職するのですが、もう少し辛抱して次のアルバムでも歌ってくれたらよかったのに・・・と思いました。
実は歴代のボーカルで一番好きなのはジョーなのにアルバムを全然聴いてないというねじれ国会状態なので、早いうちにジョー時代のアルバムも制覇したいと思います。

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コメント

SYUNJIさん、こんばんは。

リアルタイムで聴いた事もあり、レインボーの中でこのアルバムが最も好きかも・・・のJunkです。
「オール・ナイト・ロング」と「シンス・ユー・ビーン・ゴーン」は離れられない楽曲となっています。
それまでのアルバムと違って、どこかとっつきやすく聴きやすいサウンドなのも、個人的には好評価なのかも知れません。

あの当時、何故か弾けもしないベース・ギターに関する市販の教則本を購入した際、レッスン曲のサンプルとして「シンス・ユー・ビーン・ゴーン」のベース音のみが入ったレコードが付いていて、ベース音だけ聴くと異様だなぁ~と思ったのを覚えています。

「シンス・ユー・ビーン・ゴーン」のPV?を観ていると、やはりG・ボネットはどこか浮いた感じがして違和感ありますね。

投稿: Junk | 2009.01.17 18:46

Junkさんコメント感謝です。

>それまでのアルバムと違って、どこかとっつきやすく聴きやすいサウンドなのも、個人的には好評価なのかも知れません。

そうですね、確かにサウンドはロニー時代に比べると親しみやすいと思います。
自分はロニーの大げさなボーカルもリッチーのヤケクソギターも好きなので、僅差ですが「虹を翔る覇者」が今のところ1番です。

>「シンス・ユー・ビーン・ゴーン」のPV?を観ていると、やはりG・ボネットはどこか浮いた感じがして違和感ありますね。

確かにそうですね。
やっさんだけファッションセンスが違うし、一人だけリーゼントだし・・
名門バンドのレインボーも、このPVだとなんだかやっさんのバックバンドみたいだなぁ・・

投稿: SYUNJI | 2009.01.17 21:29

Down to Earthの記事がUPされていると黙っていられないルドルフです。お待たせしました(←自意識過剰)
音楽的なことについてはいまさら申すことはございません。今度お会いしたときでもタップリお話しましょう。んで、

> ドラムの音がどこか全体的に弱いのである。

私はこれを初めて聞いたとき(LPの時代です)、ほかの同時期のアルバムとの比較でも、ものすごく音が悪く感じました。CDになっても悪いままですねー。リマスター盤て出ているのかしら?

> ただしリッチー御大はやっさんのファッションセンスだけは大嫌いだったようで、

ファッションについてはグラハムばかりがターゲットにされているようだけど、それは彼がヴォーカルで目立つからであって、よくよく見てみると、5人とも趣味がバラバラで、私にいわせれば「全員ヘン」。とくに酷いのがドン・エイリー。この人、ほんとミュージシャンなの?というくらいダサダサのファッションしてますよ。

まぁ、でもグラハム先生も相当痛い人であることは認めます(苦笑)。この人、あるインタビューでファッションのことについて「なぜハードロックっぽい格好をしないのか」と聞かれ、「長年ロンドンというモードの最先端に住んでいたので、長髪のダサいファッションなんてできるか!」とのたまったことがあります。ファッションには相当自信のある人だったようです・・・(あいたたた)

投稿: ルドルフ | 2009.01.17 22:18

ルドルフさん、お待ちしておりました。

>私はこれを初めて聞いたとき(LPの時代です)、ほかの同時期のアルバムとの比較でも、ものすごく音が悪く感じました。

そうか・・要するに音の悪いアルバムだったんスね。
もしそれがリッチーの策略だったとしたら怖い・・

>5人とも趣味がバラバラで、私にいわせれば「全員ヘン」。

わはははは!あーははは!
いやーさすがルドフィー、ミュージシャンのセンスについては鋭いですね。
改めてYou Tubeで以下を検証してみました。
・Since You Been Gone
・All Night Long

この2曲は同じセットのようなので同時期撮影と思われます。
ドン・エイリー、あんまし映ってないけど確かにダサダサ。
なんか予備校生みたいなカッコしてますね。
コージーは黒のスタジャンですが、他の人との調和は全くなし。
爺さんもなんだか地味なシャツに白いネクタイがハンパだし・・帽子もファッションというよりカモフラージュのように見えるし。
そう考えると最もいい感じなのはむしろリッチーのような・・

そのうちあっちのBLOGで「ミュージシャン・ファッションチェック選手権!きぃー!!」って企画が始まりますから、ご期待下さい。

投稿: SYUNJI | 2009.01.18 10:10

SYUNJIさん、こんばんは。
全く関係ありませんが、紅白の録画をみていて、
石川さゆり「天城越え」のイントロでメタルギタリスト
が登場しました。元メガデスのマーティ・フリードマン
だそうです。こちらのブログでも何度か名前が挙がった
人でしょうか。

さて、レインボー第4弾を拝見しました。コメント
がいつも以上に振るっていて爆笑です!

>>ステージを見に来た妙齢の女性を気に入って我慢できなくなったやっさん

思わずエロな想像をしてしまったのは、私だけではないで
しょう(^^;)。

>>ベイダーのカブト?から出る煙のスプレー

ベイダーって、ダース・ベイダーではないのですね。
私はあの「フゴー」という呼吸音を想像しましたが。

>>しかもけっこう安っぽい感じのバックコーラス入り。

Tレックスもそうですが、こういうコーラスは狂騒感が
あって私は好きです。

というわけで今回も聞かずして、SYUNJIさんのコメントを
拝見し聞いた気になってしまいました。文中に「やっさん」
が連発されますので、なぜかボーカルの人が「ぐっさん」
に思えて仕方ありませんでした(^^;)。

投稿: モンスリー | 2009.01.18 14:49

モンスリーさん、コメント感謝です。
メガデスは聴いてないですが採り上げたことはないですね。
マーティー・フリードマンは今は元メガデスとしてよりも日本語と日本の歌謡曲に堪能な外国人として有名なんじゃないでしょうか。
バラエティ番組にもけっこう登場してますし。

>ベイダーって、ダース・ベイダーではないのですね。

ビッグ・バン・ベイダーはかなり前に活躍してたプロレスラーです。
登場する際のテーマソングにレインボーの「Eyes Of The World」を使ってました。
イントロがちょっと大げさなんで、プロレス向きだったんでしょうね。
誰が選んだのか知りませんが・・

>というわけで今回も聞かずして、SYUNJIさんのコメントを拝見し聞いた気になってしまいました。

それは危険ですね。
ロニーとは雰囲気違いますので、こちらもぜひお試し下さい。
あたしは正直ロクなこと書いてないので、この記事をご覧になったやっさんのファンの方は脱力してると思いますが・・

投稿: SYUNJI | 2009.01.18 21:55

こんにちは~
いつもそうですけど、今回も、記事もコメントもおもしろいですねー!!

記事を読みながら、1曲、1曲丁寧にアルバム聴きなおそうと思います♪

>グラハムのソロ「孤独のナイト・ゲームス」はけっこう好きだ。
(この曲は西城秀樹がカバーしていた)
そうなんですか、you tube にあるかな?探してみよう

投稿: はまっこ | 2009.01.20 13:42

はまっこさん、コメントありがとうございます。

>そうなんですか、you tube にあるかな?探してみよう

探してみたら、ありました。
これ、ドラムはコージーですね。
http://jp.youtube.com/watch?v=iYQBDArhf0I

ヒデキのほうはこちら。ライブのようです。
http://jp.youtube.com/watch?v=DMj91Kx7K1k

これは夜のヒットスタジオでしょうか。
http://jp.youtube.com/watch?v=tRUnaI9Xm7c&feature=related

投稿: SYUNJI | 2009.01.20 23:39

映像情報ありがとうございました!!

コージーがいますねぇ♪♪
相変わらずかっこいい。曲もいいですよね。

ヒデキのは、何故か、やっぱり聴くのは初めてでした。

投稿: はまっこ | 2009.01.23 23:16

はまっこさん、こんばんは。
この映像でのコージーの姿は、レインボー時代とあまり変わってないですね。
ちなみにキーボードはジョン・ロードだそうです。
ヒデキのほうがテンポが早いですね。
日本でヒデキのこの曲がヒットしたのか、あまり覚えてませんが・・

投稿: SYUNJI | 2009.01.24 21:10

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受信: 2009.01.19 13:03

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