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聴いてみた 第55回 モトリー・クルー

「ロックは終わっている」という悲しい話が業界でも定説となりつつある。
CDにしても音楽本にしても、未だに60年代から80年代のアーチストがハバをきかせており、それを聴いたり読んだりしてるのもみーんな当時の若者で今は煮くずれたおっさん、というのがロックを取り巻く現状である。
大人のロック」などという本があるが、あんなのはおっさんをターゲットにした企画の典型なのである。
そういうあたしも世代としてモロにそのターゲットにされてるんですけど・・

で、その終わってるっぽいロックを延々いい歳こいて再履修している自分もどうかとも思うのだが、やはりこれからは自分の好きなジャンルになるべく絞って聴いていくほうがムダがないのではないか?とも考え始めている。
・・・・なんだかロックを聴く行為自体が「守りに入ってる」ようなことになってるのが変なのだが、そんな迷いの中で選んだ「聴いてないハード・ロック」の定番、モトリー・クルー
2曲しか聴いてなかったのだが、自分の中では雪道の途中で手袋を片方落としたまま拾いにも行かなかったような、そんな位置づけなのである。(全然伝わらない)

モトリーと言えば「Dr. Feelgood」「Theater Of Pain」のどっちかは聴いてみたいと思っていたのだが、先日中古で「Theater Of Pain」をついに購入した。
あの泣き笑いお面ジャケットのアルバムである。しかも539円。
「Dr. Feelgood」も以前中古CD屋で手にとったんだが、たまたまそのCDになんか書き込みがあって気にいらなかったんで買うのやめたんだよなぁ・・(←貧乏くさい)
「聴いてないシリーズ」で採り上げてから2年以上も経ってしまったが、今回やっと聴くことになったのである。

Motley

1. City Boy Blues
2. Smokin' In The Boys Room
3. Louder Than Hell
4. Keep Your Eye On The Money
5. Home Sweet Home
6. Tonight (We Need A Lover)
7. Use It Or Lose It
8. Save Our Souls
9. Raise Your Hands To Rock
10. Fight For Your Rights

CDによってはデモ版やリミックスなどボーナストラックが入ってるらしいが、自分が買ったのは標準リリース盤だと思う。
アルバム作成当時はメンバーの仲も精神状態も健康も最悪だったらしいが、果たして内容はどんな水準なのだろうか。

・・・・・聴いてみた。

聴いていてまず率直に思うのは、意外にポップでアイドル路線なんじゃないか?という点だ。
確かにハードでメタルな王道的楽曲をシャウト系ボーカルで歌うスタイルなのだが、ヴィンスの声は決して太くはなく、曲の構成もかなりまともだ。
メンバーの悪ーい素行にイメージがつい引きずられるのだが、やってる音楽は案外きちんとしているように思う。
ナイト・レンジャーやボン・ジョビほどのポップさはないけど、ガンズほどの毒っぽさもないような、そんなあたりではないだろうか。
もっともモトリーもデビュー当時はグラム路線だったりチープ・トリックっぽいバンドだったりしたそうなので、ポップアイドルっぽいと言ってもあながち大ハズレでもないのだろう。

さてこのアルバム。
前半はミドルテンポのナンバーが続くが、それほど激しくはない。
曲調は明るくはないが、リズムは軽快といった感じだ。
真ん中にバラードがあって後半はまたタイトなナンバーが続いて終わり、という構成である。

ひとつの目玉が「Home Sweet Home」だろう。
このメロディは聴き覚えがある。
ここまでのとげとげしい曲調からうってかわって、壮大なバラードである。
ハード・ロックやメタルの世界では、ふだんの野蛮曲調とは対照的な美しいバラードが、ライブでもアルバムでも効果的に使われることが多いが、この曲も典型である。
ただしそこはモトリー、単に美しいだけに終わらず、キレたギターやヴィンスのヤケクソシャウトが聴ける。
思ったよりこの曲は短いので、物足りない。
もう少し聴いていたいと思わせる名曲である。
知ってる範囲で雰囲気が近いと感じるのはエアロスミスの「アメイジング」だ。

ちなみに聴いていて不快だとか退屈だとか落胆といった感情は全くわかない。
自分の好きな路線のジャンルだし、なかなか爽快だったりもする。
ただこのアルバムに限って言えば、曲の長さがどれも今一つ短く、やや物足りない。
また楽曲自体あまりにも正統で、できれば2曲くらいはツェッペリンのような怪しいヒネリがほしいところだ。
ミック・マーズのギターソロももっと長く聴かせてほしいと思う。

そんな曲が集まってるアルバムなので、トータルの演奏時間もとても短く感じる。
聴いた後の達成感が心なしか希薄なのはやはり残念だ。
このアルバム作成当時はメンバーの仲も精神状態も健康も最悪だったらしいんで、あんましムリを求めたらいかんのかもしれませんが・・・

モトリー・クルーとハノイ・ロックスのファンの間では有名な話だそうだが、このアルバム発表の前年、ヴィンス・ニールは酔っぱらい運転で事故を起こし、同乗していたハノイのドラマーのラズルが亡くなってしまった。
ヴィンスは有罪とハノイ・ファンからの恨みという二重の十字架を背負うこととなり、再起不能かとも思われたらしい。
まあ事故と曲作りや録音の前後関係はわからないが、この十字架を背負いつつも翌年これだけのアルバムは出すことができたというわけですね。

しかもこれに懲りずその後もクスリやアルコールにもメンバー全員がどっぷり溺れ、若干反省の意味も込めて作ったのが「Dr. Feelgood」だという話。
そう考えると底力のあるバンドである。
実際彼らの活動は未だにちゃんと続いていて、今年も日本に来てライブをやったそうです。

というわけで、初めて聴いてみたモトリー・クルー。
意外にポップで重くないサウンドにいささかとまどいましたが、悪くなかったです。
欲を言えばもう少しアレンジやくどいギターソロなどヒネリがあったら良かったなぁ。
次は「Dr. Feelgood」を今度こそ聴いてみようかと思います。

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コメント

次から次へと音楽の幅を広げていくのに驚嘆しているぷくちゃんといいます。このアーチスト、当然ながら全く知りません。

私、近頃思ったのですが、たまに自分に合ったアーチストもいますが、それはまれで今でも繰り返し良く聴くのは70年代後半までの音楽。

考えてみれば自分の聴く時間、能力にも限界があるので、もう新しいものを聴くのもやめようかな・・・(このブログに対する挑戦状?)

投稿: ぷくちゃん | 2008.11.08 11:05

3連発ぷく先輩、コメント感謝です。
そもそもあたしは間口の狭いリスナーなので、幅を広げるのもたやすいというだけの話ですけど・・

>たまに自分に合ったアーチストもいますが、それはまれで今でも繰り返し良く聴くのは70年代後半までの音楽。

そうですね。
自分の場合80年代ばっか聴いてきたのですが、この歳になってツェッペリンやフーやレインボーなんかを聴くようになりました。
90年代以降は全くダメですね。

>考えてみれば自分の聴く時間、能力にも限界があるので、もう新しいものを聴くのもやめようかな・・・

あたしから見れば、あれほど多くの映画を観て音楽を聴いてライブも行こうとしてる先輩の許容量のほうが驚嘆ですよ。
でもモトリーは意外によかったですので、機会があればぜひどうぞ。ぐぐぐぐ(←背後から先輩の手をつかんで無理矢理Amazon広告をクリックさせようとしている)

投稿: SYUNJI | 2008.11.08 14:04

SYUNJIさん、こんばんは。
>>なんだかロックを聴く行為自体が「守りに入ってる」
>>ようなことになってるのが変なのだが、

耳の痛い話ではありますが、スティングもずいぶん前から
「ロックは保守的だ」なんて発言してますからねえ。。。

>>ヴィンス・ニールは酔っぱらい運転で事故を起こし、
>>同乗していたハノイのドラマーのラズルが亡くなってしまった。

今回紹介されたアルバムですが、85年発表なんですね。この
時点でそういうエピソードを持っているということは、
相当なやんちゃ者ですなあ。

>>チープ・トリックっぽいバンドだったりしたそうなので

そのチープトリックですが、「アット武道館」の映像盤が
ついに発売されるらしいので、大してファンでもないのに
買おうかどうしようか、迷っております。

あ、肝心のモトリークルーについての感想がなくて、
申し訳ありません!

投稿: モンスリー | 2008.11.09 18:02

こんばんわ~SYUNJIさん
Mクルーは、私もPV(Smokin' In The Boys Room)を
見てから興味を持ちました。おもしろいのww
「Home Sweet Home」のバラードも好きです。
そうそう悪がき達が大人になったって感じです。

もともとPOP&ROCKが大好きな私なので、HRの中で
お気に入りは限られています。ヒットしたのとか、PVが
面白いとか・・・でもBONJOVIは昔から好きでした。

新しいジャンルを聞くというのは、とても大変だと
思います。それにしてもぷくちゃんさんといい
みなさんのブログには圧倒しますね!!wobbly

私のブログでも記事を取り上げていますよ~
よかったらまた遊びに来てください

投稿: のの@北海道 | 2008.11.09 23:34

SYUNJIさんこんばんは。

「聴いてない」シリーズでもおそらく自分はコメントしてたであろうと思っていちおう昨日確認しました。
SYUNJIさんの感想が予想通りで安心しました。
時間が短くて達成感が薄いのはしょうがないですね。
当時のLAメタルのアルバムといえばこのくらいの時間が普通だったんです。
私は当時リアルタイムで聴いたのですが、3rd以外に1st、2ndも既に揃っていたので全部繋げて約3倍の時間聴けたのでそれは感じなかったです。
来日公演直前のリリースだったんで、短くて曲を覚えやすくてむしろありがたかったかも(笑)

音楽の聴き方ですが、私は逆行してるかもしれません。
自分がかつて聴いてきたジャンルを半ば無視してまで新しいジャンルやバンド探しをしてしまう毎日です。
(大きなくくりでは同じ「ロック」というジャンルですけど。)
SYUNJIさんのように、聴かないできてしまった有名どころの音を再確認したいと思う気持ちもどこかにあるのですが、自分が聴かなかったのはその時縁がなかったから。
縁があればこの先でもきっと聴く機会が訪れると思って、その機会を待ちながら目先の気に入った音楽を追いかけてます。
それでか「大人のロック」は一度も買ったことがなく「GRINDHOUSE」とか買っちゃってますが。

こう思うようになったのは耳を患ってからなので、なにがきっかけで方向転換するかわからないものですね。

投稿: Saki | 2008.11.09 23:51

>なんだかロックを聴く行為自体が「守りに入ってる」ようなことに
>なってるのが変なのだが

はぁ~……、そうですか、うーん、なるほど……。
なんかもう「ロック」という言葉の持つイメージ(というか意味?)も
昔とは変わってしまっているのですね。
なんともいえない感慨をおぼえました。

ロックもかつてのジャズみたいになってるのかな?
っていうか、さらに遡るとクラシック?
ロックも、クラシックやジャズ並に成熟したって事でしょうか。
「退屈」って思う人もいるかもしれないけれど、どれも素晴らしい音楽で、
消える事はないですよね♪
ただ、もはや若者の音楽ではないのですね……。

投稿: YAGI節 | 2008.11.11 23:17

モンスリーさん、コメント感謝です。

>この時点でそういうエピソードを持っているということは、相当なやんちゃ者ですなあ。

ロック=やんちゃ者がやる音楽、という図式が支持されていたのはこの頃までじゃないですかね?
この後アクセル・ローズが出てきて、わりと早く失速してしまった時になんとなく時代の移り変わりを感じたもんです・・

>そのチープトリックですが、「アット武道館」の映像盤がついに発売されるらしいので、大してファンでもないのに買おうかどうしようか、迷っております。

「アット武道館」、姉が行ってるんですが・・
まあ映ったりはしてないと思いますけど。

ののさん、コメント感謝です。
今月に入ってから関東もかなり気温が低いです。

>でもBONJOVIは昔から好きでした。

あ、ボン・ジョビは嫌いじゃないんですけど、結局ベスト盤しか聴いてないです。
ナイト・レンジャーは結構好きだったんですが・・

>新しいジャンルを聞くというのは、とても大変だと思います。

そうですねぇ・・
おそらくジャズやソウルやクラシックには行かないように思います。
ロックが好きということになってますけど、みなさんに比べて聴いていた範囲がすごく狭いので・・
まあモトリーは悪くなかったんで、正直ほっとしています。

Sakiさんこんばんは。
コメントありがとうございます。

>当時のLAメタルのアルバムといえばこのくらいの時間が普通だったんです。

そう言えばそうですね。
メタルに限らず、昔のLPと言えば46分テープで充分な長さのものばかりでしたね。
今CDになってボーナストラックだのいろいろ入ってくるようになったことに慣れてしまうと、昔のアルバムはみんな短く感じてしまうようです。
関係ないけど、クイーンの「ライブ・キラーズ」がどうしても90分テープのA面に収まらず、悲しい思いをしたもんです・・

>こう思うようになったのは耳を患ってからなので、なにがきっかけで方向転換するかわからないものですね。

自分も耳を患ってわりと長いですが、とりあえず音楽を聴くことにはなんとか影響がない状態です。
自分がこれだけ聴いてない音楽を聴くようになったのは、BLOGを始めてからですね。
テレビ番組のタイトルじゃないですけど、まさにみなさんのおかげです。

YAGI節さん、コメント感謝です。
渡辺監督、重そうでしたね・・

>ロックも、クラシックやジャズ並に成熟したって事でしょうか。

そういう見方もできるかもしれませんね。
まあ少なくとも今の若いヒトは「洋楽」というククリ自体に意味を感じないらしいです。

>「退屈」って思う人もいるかもしれないけれど、どれも素晴らしい音楽で、消える事はないですよね♪

大丈夫です。
少なくとも自分は「聴いてない」だらけなので、今から聴いても当分退屈はしないはずです。
また、こうしてネットでロックについて共感したり情報を交換できるのはすごいことだと素直に思います。

投稿: SYUNJI | 2008.11.12 21:50

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