聴いてみた 第56回 トッド・ラングレン その2
中高年ほのぼのロック登山道案内シリーズ、今日はトッド・ラングレンの2回目。
前回の「Healing」を電車で聴いてる最中にチカラいっぱい眠くなってしまい、SLシータップ並の睡眠学習効果を感じたあたしですが、性懲りもなくもう少しトッドの世界にふれてみたいと考え、再び三軒茶屋へ。
祥お嬢からは「Hermit of Mink Hollow(ミンク・ホロウの世捨て人)」が良いとのアドバイスを受けていたので、まずそれを探す。
ありました。
梅田ではあれだけ探して全然見つからなかったが、三軒茶屋ではあっさり発見できた。
799円。
どのCDも値段が99円単位というアメリカ風な設定がこの店の特徴である。
ちなみにアルバムタイトルと同じ名の曲はない。
前回は申し訳ないけどチカラいっぱい眠くなってしまったトッド・ラングレン。
今回はトッド作品の中でもポップで聴きやすいと評判のアルバム、果たして自分にはどのように聞こえるのでしょうか。
・・・・・聴いてみた。
1. All the Children Sing 子供たちの歌
この曲だけは聴いたことがあり、非常にポップだと思っていた。
イントロやポイントごとに聞こえるしゃらしゃら~んとした音、意外にまとまりのあるコーラス(全部トッドだそうだが)、どれもいい感じだ。
スピードのわりにやわらか感にあふれた名曲である。
2. Can We Still Be Friends? 友達でいさせて
この曲にもしゃりしゃりした広がりのある音が聞こえる。
コーラスもそれなりに厚みを感じるが、前の曲に比べて多少危うい感じがある。
3. Hurting for You 傷ついた心
雰囲気や構成は2と同じような曲。
テンポもゆっくりなのだが、トッドの歌はテンポの早い曲のほうがうまいと思う。
4. Too Far Gone 夢の彼方に
明るいのか暗いのか、ちょっと微妙な一曲だ。
コーラスもややユラユラしていて不思議なムード。
5. Onomatopoeia 擬声
これは一種の童謡と言ってもいいのではないだろうか。
犬や猫の鳴き声など様々な音とともに歌は進む。
「みんなのうた」とか「ピンポンパン」でかかりそうな曲。
ちなみに日本語はこうした擬態語が非常に豊富で、世界の言語の中でもトップクラスだという話を聞いたことがある。
雨音ひとつとっても「ざーざー」から「しとしと」まで、降り方や強さをそれぞれ細かく表す言葉が存在するのは日本語の特徴らしい。
6. Determination 決意
一転高揚感にあふれた80年代を彷彿とさせるシャープなロック。
歌詞の後追いコーラスが非常に秀逸だ。
この曲はドラムがよく聞こえる。
7. Bread
ミドルテンポのどこか哀愁に満ちたナンバー。
後半はギター音を左右に振り回すアレンジもある。
8. Bag Lady
ピアノで始まるバラード。
構成が少し複雑な気がする。
タイトルは直訳すると「かばん女」だが、これはいわゆるホームレスの女性を歌っているらしい。
9. You Cried Wolf うそつき
タイトルのわりにけっこう楽しそうなメロディ。
途中サックスが聞こえ、アルバムの中では一番ハジケた感じがする。
10. Lucky Guy
ほとんどピアノだけの弾き語りだが、間奏にクイーンを思わせるギターのような音が聞こえる。
キーボードかな?
曲全体がクイーン、特に「オペラ座の夜」あたりの雰囲気である。
11. Out of Control
これも一転して軽快なロックである。
間奏のギターはこれまたブライアン・メイのようだ。
トッドなりにめいっぱい絶叫しているのだが、まあ当然メタルの領域には及ばず、かわいい感じだ。
「がんばってるね、トッド」と応援したくなる。
12. Fade Away
ラストはエコーのきいた壮大かつファンタジックなイメージ。
エンディングにふさわしい情感たっぷりの旋律。
まさに映画のエンドロールのBGMのような曲である。
ロックありバラードありポップスありのバラエティ・アルバムで、構成としては非常に優れている。
前回聴いた「Healing」とは全く雰囲気が違うが、断然こっちのほうがいいと思う。
楽器も歌も全てトッド本人によるものだそうだが、このクリエーターとしての才能はやはりすごいものがあると感じる。
ボーカルはところどころ危なっかしいのだが、早いテンポの曲やコーラスが厚い曲ではそれほど気にならない。
好みとしてはやはり「All the Children Sing」が一番いい。
ラストの「Lucky Guy」「Out of Control」「Fade Away」と続く3曲もいい感じだ。
聴いていてちょっと驚いたのは、アルバム全体が短いこと。
35分くらいしかないようだが、あまりに早く終わったので、MP3プレーヤーの電池が切れたのかと思ってしまった。
まあトッドに限らず70年代のLPって短いのが多いですけど・・・
ジャケットはトッドの顔写真を多少加工しただけのもので、インパクトはあまりない。
前回聴いた「Healing」もそうだが、もうちょっとジャケットに凝ってみてもいいんじゃないかと思う。
トッドのアルバムはけっこう顔写真や似顔絵があるようだけど、ジャケットで買わせようという野心はほとんどないんじゃないかと思いますけど・・・
そんなわけで、再びトライしてみましたトッド・ラングレン。
いやー1枚目であきらめずに聴いてみてよかったと思います。
おすすめいただいたみなさん、ありがとうございました。
こんな感じのアルバムだったら、もう少し聴けるんじゃないかと思わせるような名盤でした。
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