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聴いてみた 第56回 トッド・ラングレン その2

中高年ほのぼのロック登山道案内シリーズ、今日はトッド・ラングレンの2回目。
前回の「Healing」を電車で聴いてる最中にチカラいっぱい眠くなってしまい、SLシータップ並の睡眠学習効果を感じたあたしですが、性懲りもなくもう少しトッドの世界にふれてみたいと考え、再び三軒茶屋へ。
祥お嬢からは「Hermit of Mink Hollow(ミンク・ホロウの世捨て人)」が良いとのアドバイスを受けていたので、まずそれを探す。

ありました。
梅田ではあれだけ探して全然見つからなかったが、三軒茶屋ではあっさり発見できた。
799円。
どのCDも値段が99円単位というアメリカ風な設定がこの店の特徴である。
ちなみにアルバムタイトルと同じ名の曲はない。

Mink

前回は申し訳ないけどチカラいっぱい眠くなってしまったトッド・ラングレン。
今回はトッド作品の中でもポップで聴きやすいと評判のアルバム、果たして自分にはどのように聞こえるのでしょうか。

・・・・・聴いてみた。

1. All the Children Sing 子供たちの歌
この曲だけは聴いたことがあり、非常にポップだと思っていた。
イントロやポイントごとに聞こえるしゃらしゃら~んとした音、意外にまとまりのあるコーラス(全部トッドだそうだが)、どれもいい感じだ。
スピードのわりにやわらか感にあふれた名曲である。

2. Can We Still Be Friends? 友達でいさせて
この曲にもしゃりしゃりした広がりのある音が聞こえる。
コーラスもそれなりに厚みを感じるが、前の曲に比べて多少危うい感じがある。

3. Hurting for You 傷ついた心
雰囲気や構成は2と同じような曲。
テンポもゆっくりなのだが、トッドの歌はテンポの早い曲のほうがうまいと思う。

4. Too Far Gone 夢の彼方に
明るいのか暗いのか、ちょっと微妙な一曲だ。
コーラスもややユラユラしていて不思議なムード。

5. Onomatopoeia 擬声
これは一種の童謡と言ってもいいのではないだろうか。
犬や猫の鳴き声など様々な音とともに歌は進む。
「みんなのうた」とか「ピンポンパン」でかかりそうな曲。
ちなみに日本語はこうした擬態語が非常に豊富で、世界の言語の中でもトップクラスだという話を聞いたことがある。
雨音ひとつとっても「ざーざー」から「しとしと」まで、降り方や強さをそれぞれ細かく表す言葉が存在するのは日本語の特徴らしい。

6. Determination 決意
一転高揚感にあふれた80年代を彷彿とさせるシャープなロック。
歌詞の後追いコーラスが非常に秀逸だ。
この曲はドラムがよく聞こえる。

7. Bread
ミドルテンポのどこか哀愁に満ちたナンバー。
後半はギター音を左右に振り回すアレンジもある。

8. Bag Lady
ピアノで始まるバラード。
構成が少し複雑な気がする。
タイトルは直訳すると「かばん女」だが、これはいわゆるホームレスの女性を歌っているらしい。

9. You Cried Wolf うそつき
タイトルのわりにけっこう楽しそうなメロディ。
途中サックスが聞こえ、アルバムの中では一番ハジケた感じがする。

10. Lucky Guy
ほとんどピアノだけの弾き語りだが、間奏にクイーンを思わせるギターのような音が聞こえる。
キーボードかな?
曲全体がクイーン、特に「オペラ座の夜」あたりの雰囲気である。

11. Out of Control
これも一転して軽快なロックである。
間奏のギターはこれまたブライアン・メイのようだ。
トッドなりにめいっぱい絶叫しているのだが、まあ当然メタルの領域には及ばず、かわいい感じだ。
「がんばってるね、トッド」と応援したくなる。

12. Fade Away
ラストはエコーのきいた壮大かつファンタジックなイメージ。
エンディングにふさわしい情感たっぷりの旋律。
まさに映画のエンドロールのBGMのような曲である。

ロックありバラードありポップスありのバラエティ・アルバムで、構成としては非常に優れている。
前回聴いた「Healing」とは全く雰囲気が違うが、断然こっちのほうがいいと思う。
楽器も歌も全てトッド本人によるものだそうだが、このクリエーターとしての才能はやはりすごいものがあると感じる。
ボーカルはところどころ危なっかしいのだが、早いテンポの曲やコーラスが厚い曲ではそれほど気にならない。

好みとしてはやはり「All the Children Sing」が一番いい。
ラストの「Lucky Guy」「Out of Control」「Fade Away」と続く3曲もいい感じだ。

聴いていてちょっと驚いたのは、アルバム全体が短いこと。
35分くらいしかないようだが、あまりに早く終わったので、MP3プレーヤーの電池が切れたのかと思ってしまった。
まあトッドに限らず70年代のLPって短いのが多いですけど・・・

ジャケットはトッドの顔写真を多少加工しただけのもので、インパクトはあまりない。
前回聴いた「Healing」もそうだが、もうちょっとジャケットに凝ってみてもいいんじゃないかと思う。
トッドのアルバムはけっこう顔写真や似顔絵があるようだけど、ジャケットで買わせようという野心はほとんどないんじゃないかと思いますけど・・・

そんなわけで、再びトライしてみましたトッド・ラングレン。
いやー1枚目であきらめずに聴いてみてよかったと思います。
おすすめいただいたみなさん、ありがとうございました。
こんな感じのアルバムだったら、もう少し聴けるんじゃないかと思わせるような名盤でした。

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聴いてない 第127回 スペシャルズ

あたしが本格的に洋楽エアチェックを始めたのは79年なのですが、やはりその黎明期に聴いた曲やアーチストは、非常に克明に記憶に残るものです。
その後やたら聴くことになるボストンやフォリナー、一方その後全然聴くこともなかったイアン・マシューズやドナ・サマーやD.D.サウンドやSOSバンドなど、当時はとにかくやみくもに録音し、毎晩サルのように聴いていました。
今でもテープに録った曲順まで覚えていたりします。

そんな79年の末に録音したのがスペシャルズの「ギャングスター」。
もうおわかりかと思いますが、その後全然聴いてません。
もう1曲「ラット・レース」を録音しているので、聴いてない度は3。

スペシャルズの場合、2曲しか聴いてないにも関わらずイメージは意外と鮮明である。
なぜか?
そう、それは彼らが音楽だけでなく「2トーン」というファッションを伴って登場したからだ。

スペシャルズは黒人白人混成であり、これを表す2トーンのジャケットデザインや衣装なども含めて人気が出たバンドである。
リーダーはジェリー・ダマーズという黒人だそうだが、その昔プロモ・ビデオに映っていた歯の抜けたおっさんがたぶんジェリーだろう。
ボーカルは白人のテリー・ホールで、どこかオールドな雰囲気のヘアスタイルだった記憶がある。
スペシャルズとしてのアルバムは2枚しかなく、バンドは解散分裂し、90年代に一瞬復活したらしいが、かつての盛り上がりを再現することはできなかったようだ。

スペシャルズの音楽はスカと呼ばれる「引き」のリズムにパンクの要素を取り入れたもので、ルーツはジャマイカのレゲエにある。
彼らが登場したのはイギリスのコヴェントリーという工業都市で、多くのジャマイカ系移民によって工場が稼働していたという土地らしい。
実際には「ジャマイカ移民が多かったのでレゲエやスカが流行ったのです」という単純な話ではないとは思う。
パンクもレゲエも日本人には音楽のジャンルのひとつとしての捉え方がふつうだと思うが、現実には不況や差別という苦境逆境から生まれた社会的な胎動なのだ。
ロックも基本的には同じ源流によるもののはずだが、このあたりの感覚はぬるい日本で暮らしているとなかなか理解しづらい。
というかあたしはレゲエとスカの違いもはっきりとはわかっていませんが・・

レゲエやスカといったジャンルにも縁遠い自分だが、聴いているスペシャルズの2曲はけっこうカッコイイと思う。
今聴いても思ったより古くさくないし、2トーンのセンスも悪くないと感じている。
2曲どちらにも感じるのは実はテクノである。
スカ・ビートが当然ベースにあるのだが、キーボードの音が意外に印象的で、当時流行のテクノっぽいサウンドも採り入れられている曲だなぁと勝手に思っていた。

「ラット・レース」はデキシーズ・ミッドナイト・ランナーズの「ボーン・イン・ダウン」という曲にもサンプリングされていた。
イントロはラジオをチューニングしている設定なのだが、パープルの「スモーク・オン・ザ・ウォーター」などとともに「ラット・レース」がラジオからノイズ混じりで流れ、突然スイッチを切って「ボーン・イン・ダウン」の歌が始まる・・という、文字にするとなんだかすごくわかりにくいんだけど、そういうアレンジに使われたのだった。

日本ではほぼ同時期に流行っていたのがマッドネスだ。
マッドネスは2トーンを全面に押し出したバンドではないが、曲調はやはりスカであり、スペシャルズと同じ2トーンレーベルに所属し、メンバー同士の仲もよかったらしい。
マッドネスはホンダ・シティのCMにも登場したので、日本ではマッドネスのほうが知名度が上だったかもしれない。
ちなみにマッドネスは全然聴いていない。

2トーンはスペシャルズだけが流行らせたものではないと思うが、この頃のファッションには確かに影響が大きかった。
当時自分はまだ高校生だったが、普段学校では比較的清楚な雰囲気の女の先輩たちが、合宿ではそろって2トーンのミニなんかをはいてきて、「すごい流行だ・・」と感じたものである。
先輩たちがスペシャルズを聴いていたかどうかは不明だが。

そんなわけで、かなりコアな位置づけのスペシャルズ。
スペシャルズそのものだけでなく当時の2トーン・ムーブメントにどのように反応していたのか、みなさまの若かりし頃の思い出を語っていただければと思います。

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行ってみた 第8回 笠間・水戸

これと言った趣味を持たないわたくしですが、実は比較的若い頃からなんとなく興味があるものが菊の花です。
・・・・・今場内がかなりどよめいていることと思いますが、まあそうでしょうね。
菊と言えば年寄りとか葬式とか墓参りとか皇室とか、そういうフレーズばかり連想させる花だったりもしますが、あたしも別に育てたり同好会に参加したりしてるわけではありません。
秋になると全国で菊の品評会やら鑑賞会などが開かれることが多いと思いますが、毎年研鑽を重ねた方が手塩にかけて育てた見事な菊の花は、芸術の域に達しているものも多いです。
特に鉢から斜め下方に流れるように枝がのびて花をつける「懸崖」と呼ばれる様式?は、見る者の心を掴んで離しません。(そうか?)

あたしも目的意識を持って菊を見に行ったりしたことはなかったのですが、ネットでぼんやり関東のニュースなんかをながめていると、茨城県笠間市で「菊まつり」なるイベントが開催されるという情報を発見しました。
これは行かねばなるまい・・・
笠間の菊がオレを呼んでいる・・・
なぜか熱病のような義務感に襲われたあたしは、そのままネットで周辺の宿を検索してしまいました。

というわけで、今回は「どうしちゃったんだこいつ」的な関東甲信越小さな旅シリーズ、笠間・水戸の巻です。

さて笠間。
我が家から行くにはクルマか鉄道なのですが、現地での移動手段を考えるとやはりクルマのほうが便利です。
しかも今回NEXCO東日本のサイトでイイ感じの企画を発見しました。
ドラ割いばらき」という、茨城県内の高速道路が2日間乗り降り自由で3800円となるものです。
その他にお茶や弁当などの特典がついたり、各地の施設で割引がきいたりします。
連休をねらって運用する企画で、同じようなことは山梨県でもやっているようです。
高速道路がこのように周遊券風に使えるのは便利です。
高速料金が安くなるならと利用することにしました。

我が家から笠間を目指す場合は、まず都内を抜けなければなりません。
かなり朝早い時間に家を出たのですが、首都高はやはり渋滞。
みんな考えることは同じなようですが、どうにもなりません。
ようやく都内を抜けて常磐道に乗り、友部サービスエリアで「ドラ割」特典のお茶や黄門様ストラップ(やや脱力)を受け取ります。

インターを降りて30分くらい走ると笠間市内です。
町のあちこちにも地元の方が育てた菊が飾られており、菊まつり自体は100年の歴史があるそうです。

Inari

菊まつりのメイン会場は笠間稲荷神社です。
境内に入ると菊がずらりと並んでいて、壮観です。
ふつうの鉢植えもありますが、富士山や鶴や五重の塔などを模した菊も見事です。

Fujisan

Turu

Gojuunotou

菊人形をたくさん展示しているコーナー?もありました。
今年の出し物は篤姫の生涯を順番に菊人形で表すもので、マネキンの着物の部分が菊で覆われています。

Ningyou

見慣れてくるとあまり気に留めなくなりますが、生花なので時々花を取り替えているようで、その作業も含めて見せていました。
花の取り替えははたから見てもかなり大変そうです。

Kiku1

Kiku2

Kiku3

菊でムダにテンションの高まったところで時刻は正午。
で、門前のそば屋松月庵に入ってみました。

Sobaya

この店オリジナルの「古式そば」なるものがあるそうなので注文。

Kosikisoba

ふつうのそばよりもかなり太く、太さはうどんくらいあります。
食ってみるとものすごい歯ごたえ。
感覚的にはほうとうのような感じ。
適当に入ってみた店だったのですが、うまかったです。

笠間稲荷神社

笠間は焼き物の町でもあります。
あたしはほとんど興味はありませんが、妻はけっこう好きなようで、以前行った常滑や瀬戸などはお気に入りの町のようです。
この日は「笠間ストーンフェスティバル」という石の展示イベントと、「匠のまつり」という焼き物販売会が開かれていたので、会場に移動してみました。

広い公園の中にプロからアマチュアまでいろいろな陶芸家の方が、テントで焼き物を並べて販売していました。
このイベントは数年前にも来たことがあります。
公園の外にも焼き物の店やギャラリーが点在しており、陶芸や焼き物が好きな方にとっては魅力的なところだと思いますが、規模から言えば常滑や瀬戸よりは小さい感じです。

Mattya

公園内の美術館のカフェで抹茶なんぞを飲んでみました。
今回の旅はとことんじじい趣味です。

宿に行く途中に「お菓子博物館」がありました。

Kamejirusi

亀印製菓という会社が運営する菓子製造工場&ショップです。
会社もお菓子も全然知りませんでしたが、駅の土産店にもけっこう置いてあったりするので、地元では有名なお菓子のようです。

この日は水戸駅前のホテルメッツ水戸に泊まりました。

ここはJR東日本が経営しているようで、眼下に水戸駅の線路が広がる「トレインビュープラン」なる宿泊プランを利用。
朝食付き1泊13500円で、特典として特急の絵はがきや時刻表やsuikaペンギンメモ帳などがもらえます。
部屋は最上階の角部屋で、確かに線路を行き交う特急「スーパーひたち」やら常磐線普通列車などがよく見えます。
部屋に置いてある説明書にも、ご丁寧に「この部屋から以下の車両を見ることができます」などと書かれたページがあり、鉄道写真がでかでかと掲載されています。
まさに鉄道マニアのための珠玉のプランと言えそうですが、残念ながらあたしは鉄道マニアではないので、このプランの素晴らしさは今ひとつよくわかりませんでしたが・・・
しかもこの日関東は異様な冷え込みで、角部屋もかなり寒くカラダにこたえたようです・・(あーじじくせえ・・)

夕食は駅ビルの中華料理チェーンで食べましたが、ここの海鮮チャーハンは残念ながらかなり味が良くなかったです。
特にイカは明らかに冷凍ものを解凍したヤツで、もはや歯ごたえもなくユルユルのグラグラ。
歯が悪い人にはいいのかもしれない・・・などとなぐさめにもならない感想をもらしながら、じじくさい旅の1日目を締めくくることになりました・・・
あたしゃ全然グルメじゃないですけど、最近チェーンの中華料理店ではどうも痛いことが多いです。

翌日は日立・高萩あたりまで足をのばすことにしました。
紅葉には早いですが、花貫渓谷というところには滝や吊り橋など見所があるらしいので、水戸から高速道路で日立まで行くことにしました。

渓谷の途中、汐見滝という小さな滝のそばに吊り橋がありました。
吊り橋マニア(いつから?)のあたしとしては、ぜひ押さえておきたいところです。

Turibasi1

ところが。
まあ高さといい造りといい長さといい、祖谷のかずら橋とは全く比較になりません。
水面からの高さは10m程度で、踏み板も頑丈で下もほとんど見えません。
下から見るとこんな感じの橋です。

Turibasi2

Turibasi3

妻もこれなら余裕のようです。
一度かずら橋みたいなアドベンチャーな吊り橋を体験してしまうと、このくらいの吊り橋は物足りないことこの上ないです。

花貫渓谷

昼食は日立にある国民宿舎「鵜の岬」の中のレストランでとりました。

Kokumin

この国民宿舎、適当に走っていてたどり着いたのですが、非常に豪華で立派な建物です。
部屋はおそらくほとんどがオーシャンビューでしょう。
海鮮の定食を食べましたが、これはうまかったです。

Kaisen

さて水戸に戻り、偕楽園に行くことにしました。
岡山の後楽園、金沢の兼六園とならんで日本三大庭園に数えられる名園ですが、実は偕楽園だけは行ったことがなかったのでした。

Sakura1

ところが入ってすぐのところに桜が咲いています。

Sakura2

なぜこんな季節に?
地球温暖化か?
うろたえながら説明書きを見ると、これは「二季咲桜」といって春と秋の2回咲く桜だそうです。
そんな桜が世の中にあるんですね。
全然知りませんでした。
花はソメイヨシノなどに比べるとかなり地味ですが、花の少ないこの季節に見るとそれなりにインパクトがあります。

偕楽園は驚くほど広い庭園です。
水戸斉昭が造ったそうですが、さすがは御三家、財力も相当なものがあったことをうかがわせます。
駅前に千波湖という池があるのですが、それも全て園内に含まれるそうです。
梅が植わってる範囲だけが偕楽園だと思っていましたが、実際には道路や鉄道で分断されており、園内全てを徒歩で巡ると1日かかってしまうんじゃないでしょうか。

園内に「好文亭」という古い建造物があります。

Kobuntei

好文亭の中からは偕楽園が一望できるのですが、ここまで眺めの良い場所だとは思いませんでした。
偕楽園は谷のような地形に作られており、好文館がちょうど谷を見下ろす高台のような位置にあるので、眺めが良いのでした。
水戸の駅前にこんなに広いパノラマが展開していたとは全く知りませんでした。

Kairakuen

いずれにしても梅が有名な偕楽園。
紅葉にもやや早いこの季節は残念ながらどう見ても地味です。
これはぜひ梅の季節に来なければなるまい・・・
そんな想いを強くしながら水戸を後にしました。

偕楽園

帰りの常磐道もやはり渋滞。
最近は大洗にアウトレットができたり那珂湊にでかいショッピングセンターができたりで、茨城県東部がかなりの盛り上がりを見せているようです。
北関東自動車道経由で大洗方面からのクルマが友部で常磐道にどかっと合流するため、よけいに混雑するようになったと思われます。
ムリに渋滞の中を進むのも面倒なので、途中で常磐道を降りていったんつくば市の「LALAガーデンつくば」で食事をして時間をつぶすことにしました。
普段は料金がもったいないというケチな発想からムリしてでも高速道路を走り続けますが、こうした乗り降り自由な高速道路の使い方ができるのはやはり便利です。

「LALAガーデンつくば」は三井不動産が開発した商業施設で、系列は豊洲や横浜の「ららぽーと」と同じです。
どこか雰囲気も「ららぽーと横浜」に近い感じがします。
豆富創作料理 茂蔵」という豆腐料理のチェーン店で、カレーとチャーハンを食べました。
この時点でかなりぐったりです。
2時間ほど経って再び常磐道に戻りました。
まだ渋滞は続いていましたが、三郷から首都高に入る頃には解消していました。

そんなわけで、突然思い立ったじじくさい笠間・水戸の旅。
寒かったせいか帰ってきてから夫婦で風邪をひいてしまうというアホウなオチまでついてしまいました。
次回はぜひ梅の季節に行きたいと思います。

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聴いてみた 第55回 モトリー・クルー

「ロックは終わっている」という悲しい話が業界でも定説となりつつある。
CDにしても音楽本にしても、未だに60年代から80年代のアーチストがハバをきかせており、それを聴いたり読んだりしてるのもみーんな当時の若者で今は煮くずれたおっさん、というのがロックを取り巻く現状である。
大人のロック」などという本があるが、あんなのはおっさんをターゲットにした企画の典型なのである。
そういうあたしも世代としてモロにそのターゲットにされてるんですけど・・

で、その終わってるっぽいロックを延々いい歳こいて再履修している自分もどうかとも思うのだが、やはりこれからは自分の好きなジャンルになるべく絞って聴いていくほうがムダがないのではないか?とも考え始めている。
・・・・なんだかロックを聴く行為自体が「守りに入ってる」ようなことになってるのが変なのだが、そんな迷いの中で選んだ「聴いてないハード・ロック」の定番、モトリー・クルー
2曲しか聴いてなかったのだが、自分の中では雪道の途中で手袋を片方落としたまま拾いにも行かなかったような、そんな位置づけなのである。(全然伝わらない)

モトリーと言えば「Dr. Feelgood」「Theater Of Pain」のどっちかは聴いてみたいと思っていたのだが、先日中古で「Theater Of Pain」をついに購入した。
あの泣き笑いお面ジャケットのアルバムである。しかも539円。
「Dr. Feelgood」も以前中古CD屋で手にとったんだが、たまたまそのCDになんか書き込みがあって気にいらなかったんで買うのやめたんだよなぁ・・(←貧乏くさい)
「聴いてないシリーズ」で採り上げてから2年以上も経ってしまったが、今回やっと聴くことになったのである。

Motley

1. City Boy Blues
2. Smokin' In The Boys Room
3. Louder Than Hell
4. Keep Your Eye On The Money
5. Home Sweet Home
6. Tonight (We Need A Lover)
7. Use It Or Lose It
8. Save Our Souls
9. Raise Your Hands To Rock
10. Fight For Your Rights

CDによってはデモ版やリミックスなどボーナストラックが入ってるらしいが、自分が買ったのは標準リリース盤だと思う。
アルバム作成当時はメンバーの仲も精神状態も健康も最悪だったらしいが、果たして内容はどんな水準なのだろうか。

・・・・・聴いてみた。

聴いていてまず率直に思うのは、意外にポップでアイドル路線なんじゃないか?という点だ。
確かにハードでメタルな王道的楽曲をシャウト系ボーカルで歌うスタイルなのだが、ヴィンスの声は決して太くはなく、曲の構成もかなりまともだ。
メンバーの悪ーい素行にイメージがつい引きずられるのだが、やってる音楽は案外きちんとしているように思う。
ナイト・レンジャーやボン・ジョビほどのポップさはないけど、ガンズほどの毒っぽさもないような、そんなあたりではないだろうか。
もっともモトリーもデビュー当時はグラム路線だったりチープ・トリックっぽいバンドだったりしたそうなので、ポップアイドルっぽいと言ってもあながち大ハズレでもないのだろう。

さてこのアルバム。
前半はミドルテンポのナンバーが続くが、それほど激しくはない。
曲調は明るくはないが、リズムは軽快といった感じだ。
真ん中にバラードがあって後半はまたタイトなナンバーが続いて終わり、という構成である。

ひとつの目玉が「Home Sweet Home」だろう。
このメロディは聴き覚えがある。
ここまでのとげとげしい曲調からうってかわって、壮大なバラードである。
ハード・ロックやメタルの世界では、ふだんの野蛮曲調とは対照的な美しいバラードが、ライブでもアルバムでも効果的に使われることが多いが、この曲も典型である。
ただしそこはモトリー、単に美しいだけに終わらず、キレたギターやヴィンスのヤケクソシャウトが聴ける。
思ったよりこの曲は短いので、物足りない。
もう少し聴いていたいと思わせる名曲である。
知ってる範囲で雰囲気が近いと感じるのはエアロスミスの「アメイジング」だ。

ちなみに聴いていて不快だとか退屈だとか落胆といった感情は全くわかない。
自分の好きな路線のジャンルだし、なかなか爽快だったりもする。
ただこのアルバムに限って言えば、曲の長さがどれも今一つ短く、やや物足りない。
また楽曲自体あまりにも正統で、できれば2曲くらいはツェッペリンのような怪しいヒネリがほしいところだ。
ミック・マーズのギターソロももっと長く聴かせてほしいと思う。

そんな曲が集まってるアルバムなので、トータルの演奏時間もとても短く感じる。
聴いた後の達成感が心なしか希薄なのはやはり残念だ。
このアルバム作成当時はメンバーの仲も精神状態も健康も最悪だったらしいんで、あんましムリを求めたらいかんのかもしれませんが・・・

モトリー・クルーとハノイ・ロックスのファンの間では有名な話だそうだが、このアルバム発表の前年、ヴィンス・ニールは酔っぱらい運転で事故を起こし、同乗していたハノイのドラマーのラズルが亡くなってしまった。
ヴィンスは有罪とハノイ・ファンからの恨みという二重の十字架を背負うこととなり、再起不能かとも思われたらしい。
まあ事故と曲作りや録音の前後関係はわからないが、この十字架を背負いつつも翌年これだけのアルバムは出すことができたというわけですね。

しかもこれに懲りずその後もクスリやアルコールにもメンバー全員がどっぷり溺れ、若干反省の意味も込めて作ったのが「Dr. Feelgood」だという話。
そう考えると底力のあるバンドである。
実際彼らの活動は未だにちゃんと続いていて、今年も日本に来てライブをやったそうです。

というわけで、初めて聴いてみたモトリー・クルー。
意外にポップで重くないサウンドにいささかとまどいましたが、悪くなかったです。
欲を言えばもう少しアレンジやくどいギターソロなどヒネリがあったら良かったなぁ。
次は「Dr. Feelgood」を今度こそ聴いてみようかと思います。

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読んでみた 第27回 アテス

さまよえる中年男性誌ハンターのSYUNJIといいます。
今日読んでみたのは雑誌「アテス」。
「生きることに意欲的な40代の男性へ発信する月刊雑誌」だそうだ。

Ates

版元は阪急コミュニケーションズ、12月号は680円。
判型はたぶんAB判、150ページ。
この雑誌はもともとはクリエイティブ志向な30代を対象にした雑誌「Pen」の増刊のような形で創刊されたものらしい。
創刊は2006年11月とあるので2周年ということになる。
が、存在は知っていたが開いたことは全くなかった。
「Pen」もほとんど読んだことはない。
歯槽膿漏の薬のような名前だが・・・(それは「アセス」。)

「アテス」の基本テーマは、「リノベーション」。
と言われても意味がわからないが、「リノベーション」て何?
ネットで調べたところによると、建築用語では「大規模な改修」という意味だそうです。
建て替えではなく、機能向上や価値を高めるための改修のことを「リノベーション」というらしい。
で、アテスによれば、時代を表す「キーパーソン」を採り上げ、さらに「グルメ」「健康」「スポーツ」「カルチャー」「マネー」「ファッション」などの付加価値の高い情報を紹介します、というのがこの雑誌のコンセプトのようだ。
それを「リノベーション」と呼ぶのはかえってわかりにくいのでは・・

生きることにも大して意欲的でないあたしですが、果たしてこの雑誌でリノベーションできるのでしょうか。

・・・・・読んでみた。

今月号の目次はこんな感じ。

ソフトバンクの正体。
・通信から球団まで、グループの全貌を知る。
・ソフトバンクはなぜ勝ち残れるのか?
・巨大企業を支える、5人のキーマン
・あのお兄ちゃんと、汐留本社潜入ルポ!
・天才か?異端児か?孫正義の真実とは?
 
第2特集
ぐっすり眠ることが成功の秘訣。
睡眠改善プロジェクト
 
とじ込み付録
40歳から始めるゴルフ!
目次にやや「!」が多く、ちょいと鬱陶しい。
表現としてはちょっとノリが昭和で古くさい感じがする。
文字数は短くていいが、これで長かったら「ビッグ・トゥモロウ」である。

全ページの半分近くを特集の「ソフトバンクの正体。」が占める。
当然内容は孫正義社長に関する情報が大半である。
今は孫社長が時代を表すキーパーソンということだろう。

中身はソフトバンクの歴史から事業内容紹介、幹部が語る孫社長の人物像、CMでおなじみの「上戸彩のお兄ちゃん」による本社案内、など。
さすがに取材先であるソフトバンクについて批判めいたことは書けないようで、かなり持ち上げた表現が多い。
事業紹介のページなんかスタートから「ソフトバンクの快進撃が止まらない。」である。
今シーズンのホークスの成績に照らすとすんごい皮肉な書き方だと思うけど・・

自分は残念ながら携帯もソフトバンクではないし、ネットのプロバイダもYahoo!ではない。
この企業の展開するサービスを有料で利用したことがないので、感覚的に「快進撃」なのかどうかはわからない。
携帯の料金設定にかなりムリがあって実際にはそれほど安くなかったとか、Yahoo!BBのサービス開始当初は会社の体制が万全でなくサポートも不十分で評判がとても悪かったとか、そーいうマイナス評価なウワサ話は覚えているのだが、今はどうなんだろう?

かなり昔だが、孫社長の演説を生で聞いたことがある。
そう、会社説明会です。
実はあたくし、学生の時にここの会社の説明会に行ったり面接を受けたりしたことがあるのです。
当時は会社の規模も事業内容も今とは全然違い、日本ソフトバンクという社名だった。
その頃普及し始めたBASICのパソコンソフトを、ソフト開発会社から集めてユーザーに紹介したり販売したり、という商売を展開するという説明だったと思う。
孫社長は当時から有名人で、自身の開発した電子辞典(シャープ製)で儲けたお金で起業した、ということも聞いた。

結局自分は内々定まではもらったのだが、志望としてはやはり出版社だったので、ソフトバンクには就職しなかった。
採用担当者から何度か電話がかかってきたのだが、「どこの会社にいくつもりなのか」とけっこうしつこく聞かれ、実はまだどこの出版社にも内定していなかったので、多少心が揺らいだことはあったが・・
で、あたしがソデにしたことで孫社長は一大決心の末に奮起し、今日の繁栄があるのでした。
いえ、それは妄想で、ソフトバンク繁栄とあたしとは全く無関係です。(当然)
あの時バンク(当時からケツ上げでこう呼んでいた)に入っていれば・・・とは、実は全然思っていないんですけど。

さて記事に戻るが、持ち上げ感はあるが書いてあることはそれなりにおもしろい。
「上戸彩のお兄ちゃん」役はダンテ・カーヴァーという人だが、別にソフトバンクの関係者ではなく役者だそうです。
で、このお兄ちゃんがバンク本社に出向いて中にある吉野家で牛丼食ったりラウンジでカクテル飲んだり・・というユルイ内容だけど、まあカタイ企業訪問ページになってないのはいいかもしれない。

2つめの特集は「ぐっすり眠ることが成功の秘訣。睡眠改善プロジェクト」。
ただしソフトバンク特集に比べてページ数もずっと少なく、盛りの薄い内容である。
他にゴルフのスイング指導や海外コースの紹介などがあるが、まあこれも埋め草的な印象が否めない。
その他連載ページが20ほど。
文章として悪くはないが、感覚的には共感するものも少なく、読み応えも今ひとつである。

体裁面はどのページも悪くない。
誤字はなかったし、レイアウトも自然だ。
ただターゲットを考えると、文字級数(大きさ)がちょっと小さい気もする。

これは自分の感覚だが、紙が他の雑誌に比べてほんの少しだけ厚い。
初めて手にする雑誌だったので、めくる時になぜか気になった。
680円は良心的な値段だが、そのわりにはいい紙を使っているように思う。

比較的薄い雑誌なので、広告ページも総量としては少ないほうだ。
ただ記事のような体裁で実は中身が広告、というハンパなページも少しある。
扱われているのがワインや高級腕時計なので、貧乏人としてはやや反感を覚えるページである。

感想。
全体としては悪くないのだが、やはり記憶や印象に残るようなページがない。
編集にアクがなくうまくまとまりすぎており、ツッコミどころもほとんどないのがかえって退屈だ。
生きることに意欲的な男性がターゲットらしいけど、言うほどガツガツもしてないし、ハナにつくような記事も思ったほど出てこない。
これまで読んでみた男性誌は、たいがいどこかハズしていて、楽しくはなかったけど記憶には残ったもんだが、「アテス」にはそれもない。
この印象の希薄さはなんだろう?

バックナンバーを見ると、過去には「タイガース」「トヨタ」「医療」「ジョンとヨーコ」などの特集が組まれたようだ。
これもそうハズした話ではなさそうだが、おそらくソツなく編集された記事になっていたと想像できる。

さて雑誌のサイトはどういうことになっているだろうか。
そう思って見てみたが、どうも様子が変だ。
「都合によりアテスオフィシャルサイトを終了させていただきました。」などと書いてある。
いやな予感がしたが、12月号奥付にやはり書いてあった。

「次号1月号をもって休刊させていただくことになりました。」

またかよ・・・
今回もまた無くなる雑誌を選んでしまったのだった。
こんなシリーズを続けているおかげで、日本の雑誌の状況がつぶさにわかるはめになってしまった。
あーあ・・・
発行部数がどれだけだったのか不明だが、やはり売れなかったようだ。
この内容だと生き残っていけないのが現実なのだろう。
編集のレベル自体は全く問題ないのが逆に残念だが。

というわけで、初めて読んでみたとたん休刊と知らされた「アテス」。
一流大学出身で期待も高かったけどとてもおとなしくて印象薄いままいつの間にかやめてしまっていた広報部の新入社員・・・という感じ。
履歴書の中身はとても華麗で字もきれいだったんだけど・・・なんてとこでしょうか。
今月末発売の号で最終だそうですので、最後を見届けてあげるのもいいかなと思っています。
でもたぶんそんなことは忘れてしまい、気づいた時には書店にも残っていないような結果になる可能性はとても高いです・・

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