« 聴いてみた 第54回 フランク・ザッパ | トップページ | 聴いてない 第126回 レッド・ホット・チリ・ペッパーズ »

見ていない 第22回 ボキャブラ天国

流浪の文科系語学バラエティ番組、「ボキャブラ天国」。
名前や時間を変えながら7年にわたって放送された人気番組である。
しかしなぜかまともに1時間正視したことがほとんどない。
たまに部分的に見たことはあったが、目的意識を持って見たことは実は一度もない。

「ボキャ天」が最初に放送されたのは1992年10月、「タモリのボキャブラ天国」というタイトルだった。
この時は水曜夜7時半からの30分番組で、ファンの間ではこれを「初代」と呼ぶらしい。
その後「タモリのSuperボキャブラ天国」「タモリの超ボキャブラ天国」「新ボキャブラ天国」「続!ボキャブラ天国」「歌うボキャブラ天国」などと名前を変え、内容や曜日や時間も変えて放送された。
基本的にゴールデンの時間帯には家にいないので、見たことがあったのもおそらくは深夜枠の時だったと思う。
それでもほとんど真剣に見たことがなかったので、個人的には「いつの間にか名前が変わり曜日も時間も変わっていた」という状態だった。
タイトルの変遷は全く覚えていない。

タモリがずうっと司会をやっていたと思っていたが、それは実際には97年3月までで、4月の改編によりヒロミが司会に変わったそうだ。
それ以前のシリーズではヒロミはパネリスト側だった。
谷村新司が司会をつとめたシリーズもあったらしいが、これは見ていない。
主なパネリストにはヒロミのほか山口美江・大島渚・うじきつよし・赤坂泰彦など、最近あまりテレビでは見かけない人が多い。
各パネリストの評価を「シブイ」「インパクト」「知的」「バカ」のマトリクス上に表す、という方針だったようだが、このあたりはもしかすると「欽ドン」が原点にあるような気がする。(違うかな?)

「ボキャ天」の人気を支えたのが、「キャブラー」と呼ばれる、ネタを演じる当時の若手芸人たちである。
(この構成は初代からではないようだが。)
爆笑問題・ネプチューン・海砂利水魚・キャイ~ン・オセロ・ロンドンブーツ1号2号など、今では冠番組を持つコンビが多い。
まあ一方で極楽とんぼやつぶやきシローなど、見るかげもなくなってしまった人たちもいるようだが・・

キャブラーのことも、それほど注意して見ていたわけではなかった。
ネタがおもしろいかどうかだけに注目していて、誰がどう演じるかはさほど興味がなかったようだ。
爆笑問題が人気があったことはなんとなく覚えている。
またヒロミが意外につぶやきシローを高く評価していたことも、かすかに覚えている程度である。

「ボキャ天」の基本コンセプトは簡単に言うとダジャレである。
ただしその内容はいわゆるオヤジのカマす脱力なダジャレとはかなり違う。
視聴者から投稿されたネタ(ダジャレではあるけど)を、若手芸人らが演じてテレビでも笑いのとれる水準にして盛り上げる、という不思議な番組である。
見ていた時はそれなりに笑ったし、つまらないとは思っていなかったのだが、なぜか毎回楽しみに見るという意欲はほとんどわかなかった。

この番組が成立したのは、映像に文字(スーパー)をかぶせることを徹底したからである。
文字で元ネタを表示しないと、音声だけではどういうダジャレなのかが理解できない。
タレントのボケやツッコミやトークについて、あえて音声にかぶせて文字を入れる手法は、90年代頃からバラエティで盛んに使われるようになった。
最近ではネットの影響で文字にフェイスマークがつくことも多い。
今でも「くどい」「鬱陶しい」と批判もかなりあるようだが、個人的には笑うところが文字でも確認できてありがたい手法だと思っている。(あまり耳が良くないので。)

「ボキャ天」を見ていなかった理由には、タモリの存在は特に当てはまらない。
特にファンでもないが嫌いではなく、「笑っていいとも!」「タモリ倶楽部」「トリビアの泉」などは見ているし、若い頃はタモリのオールナイト・ニッポンをよく聴いたものだ。
「やる気のある者は去れ」が信条だそうだが、こういうことを言える人もあまりいないよね。
ただこの人の場合、ビートたけしと組んで番組をやると、お互いに普段持っているチカラの半分くらいしか発揮できなくなる、というのは不思議な現象である。
二人とも長くテレビ芸人のトップに居続けているが、この状況は昔からほとんど変わっていない。
テレビを見ている我々視聴者にも、お互いのやりにくそうにしている心境が伝わってきて、見ていて気の毒に思うことすらある。
明石家さんまが加わって3人ならなんとか番組になる、というのが実態であり、局側も二人だけの番組を作ろうとはもう考えなくなっているのだろう。

「ボキャ天」は人気番組だったので、ネットでも当時のネタや思い出を語るサイトや掲示板があちこちにあり、You Tubeでもかなりの映像が見られるようだ。
ただ、何度も書いてきたことだが、バラエティ番組はやはり人気のある時にリアルタイムで楽しむものである。
ネタだって当時は旬だったものが、今では意味不明になっていることもあるだろう。
ということで、見てこなかったことに後悔や不満は実はそれほどないのですが、みなさまの思い出や好きだった芸人など、教えていただければと思います。

| |

« 聴いてみた 第54回 フランク・ザッパ | トップページ | 聴いてない 第126回 レッド・ホット・チリ・ペッパーズ »

コメント

SYUNJIさん、こんにちは。

「ボキャ天」時間がある時には見ていました。それなりに面白かった記憶があります。
爆笑問題は凄かったと思います。だから今も生き残って活躍しているのでしょうね。
でも、「ボキャ天」自体、段々と惰性で続いているようになり面白くなくなりましたが・・・。

最近の、短いネタを披露するお笑い番組もたまに見ますが、その出てくる若手芸人の半数以上が「どこが面白いの?なぜ笑えるの?」としらーとしてしまう芸人ばかりで、「ボキャ天」時代とその内容も違うので比較するのもおかしいとは思いますが、ちょっと芸人の資質が違うような気がします。
笑えないのは、自分が年を取ってしまって若者との感性が違う・・と言えばそれまでですけどね。(苦笑)

投稿: Junk | 2008.10.19 14:40

ボキャブラ大好きだったルドルフです。
キャブラーの中では、とくにブーマーとデンジャラスが好きでした。
お気に入りのネタは、爆笑問題の「ティナ・ターナー」です。(←わかる人にはわかる)

でもSYUNJIさん、「見てない」というワリにスゲー詳しい気がするんですが・・・少なくとも長く見ていたはずの私より(笑)

ところで、ついこのあいだボキャブラ復刻版の特番が放送されたのご覧になられました? 評判も良く、ネットでもかなり話題になっていましたよ。記事で触れられていないところをみると・・・見てない?

投稿: ルドルフ | 2008.10.19 17:49

ボキャ天、、結構楽しみにしていました、、だいまつです。

ネプチューンと爆笑問題が大好きでした。
しかし、きっちり毎週見ると言う訳ではなくて、いつの間にか、見なくなりました。

と言うのも、位置づけが出来てしまった感じがして、面白い人たちしか見たいと思わなくなったし、その人たちが番組を持つようになったからでしょうけれども、、。

自分の中では、この番組は、、たけし、タモリ、さんま、、などの後釜的な人を見つけ出すという番組だったのかな?と思います。

やっぱ、中でも爆笑は別格だと思いますね、、。

投稿: だいまつ | 2008.10.19 20:45

7年間も続いていたとは全然知りませんでした。たぶん最初の2年くらいしか見ていなかったと思います。

僕もJunkさんと同様に、最近の短いネタのオンパレードものにはあまり笑える物がないし、エンタの神様については、不快感さえ感じるものも多くなりました。(リビングで子供が楽しんでみているので、目に入ってしまうんです。)

最近の若手のお笑いが全て嫌いかというとそうではなく、M-1なんかは楽しく見ています。僕は、ダジャレやギャグ一発で笑いをとるものをだんだんと敬遠するようになってます。M-1は掛け合い漫才の醍醐味を味わえますので楽しみにしています。

当時は僕も座布団をもらっていたようなネタはよく考えているなと感心していましたし、ボキャ天を楽しんでいましたが、今の瞬間芸の流れを作った番組だと思いますので、今となっては少し恨めしい感じをもってます。

投稿: getsmart0086 | 2008.10.19 20:53

Junkさんコメント感謝です。

>爆笑問題は凄かったと思います。だから今も生き残って活躍しているのでしょうね。

この二人は昔から役割がものすごくはっきりしていますね。
この世代のコンビとしてはむしろ珍しいと思います。

>笑えないのは、自分が年を取ってしまって若者との感性が違う・・と言えばそれまでですけどね。(苦笑)

そうですねぇ・・
エンタやレッドカーペットを見てても、「客席の若い女はなんでも笑うなぁ・・」と極めてじじくさい感想をもらしてしまいます。

ルドルフさん、こんばんは。

>ボキャブラ大好きだったルドルフです。

そうだと思いましたよ。
そのうち「ぼくたちボキャブラ大好き芸人でーす選手権!」てのがあっちのBLOGで始まります。
(スベっているがヨソのBLOGの企画なので気にしない)

>でもSYUNJIさん、「見てない」というワリにスゲー詳しい気がするんですが・・・

いえ、断片的な記憶はあるんですが、それをネットで得た情報で裏打ちしてるような状況ですね。
ブーマーとデンジャラスは全然覚えてませんし・・

>ついこのあいだボキャブラ復刻版の特番が放送されたのご覧になられました?

あたしはBLOGの記事を書きためては毎週アップするという雑誌編集みたいなマネをしてるんですが、実は今回の記事を書いていたのは8月頃だったんですよ。
で、記事書いた後で復刻版放送のニュースを知って驚いたんですが、番組はやはり見ませんでした・・

だいまつ親分、コメント感謝です。

>ネプチューンと爆笑問題が大好きでした。

やはり爆笑問題の人気が高いですね。
彼らは先に人気者になったウンナンやダウンタウンと同じ世代ですが、出遅れた分、アカデミックな個性を生かして上昇していったと思います。
深夜にやっていた「笑う犬」の頃のネプチューンは好きでしたね。
「ナニコレ珍百景」もゴールデン行っちゃったんだよなぁ・・

>その人たちが番組を持つようになったからでしょうけれども、、。

結局今芸人に求められているのは、漫才やコントの才能の他にアドリブやMCの才能なんですよね。
「たけし、タモリ、さんま、、などの後釜的な人を見つけ出すという番組」という見方は当たっていると思います。

ゲッツさんこんばんは。

>7年間も続いていたとは全然知りませんでした。

あたしも新聞で「流浪のバラエティ番組」などと紹介してたのを見て、「あ、まだ続いてたんだ」と気づく状態でした。

ちなみにずーっと連続ではなく、初代と「super」との間は半年空いていたそうです。

>エンタの神様については、不快感さえ感じるものも多くなりました。

そうですねぇ・・
決まったセリフを連呼するだけなのに、なぜ会場が笑いにつつまれるのか不可解な芸人もいますし・・

>M-1は掛け合い漫才の醍醐味を味わえますので楽しみにしています。

あたしはサンドウィッチマンの漫才が以前から好きだったのですが、M-1グランプリ獲得以降今ひとつ波に乗れてないコンビがちょっと多いので、今後の彼らが心配です。(マネージャーかよ)
それにしてもみなさんけっこうボキャ天見ておられるんですね・・

投稿: SYUNJI | 2008.10.19 22:41

SYUNJIさん、こんばんは。
先日、会社で購読している夕刊にジェフ・ベック来日
公演発売の広告が掲載されており、思わず「おおっ、
買わなければ!」と叫んでしまったところ、同僚に
「そんなんだけは知ってるんやな」と言われてしまい
ました。
自慢でも何でもありませんが、会社でドラマやバラエティ
の話題には全くはいることができないのです(といって
も何の不自由もありませんが)。

で、「ボキャブラ天国」ですが、そういわれてみれば、
そういう番組もあったなあという程度しか知らず、
よって内容もさっぱりです(^^;。
タモリ氏出演の番組といえば、深夜にやっている
「タモリクラブ」での「空耳アワー」の総集編を
友人に見せていただき、げらげら笑ったことが
あります。

>>みなさまの思い出や

というわけで、

>>うじきつよし

私はこの人に似ているといわれたことがありますが、
それはともかく、この人が司会をしていたNHK衛星の
ロック番組は本当におもしろかったのですが、

>>赤坂泰彦

この人は確かDJ赤坂ですよね!?、この人が司会を
するようになってからぱっとしなくなりました。

投稿: モンスリー | 2008.10.21 22:09

モンスリーさん、コメント感謝です。
ベックはクラプトンとのジョイントもあるようですね。

>会社でドラマやバラエティの話題には全くはいることができないのです

あたしもドラマはダメですね。
アニメやゲームの話題になると、どの世代にもついていけない状態ですが・・

>で、「ボキャブラ天国」ですが、そういわれてみれば、そういう番組もあったなあという程度しか知らず、よって内容もさっぱりです(^^;。

そうでしたか。
全然まじめに見ていなかったんでよく知らないんですが、この番組、人気があったはずなのに名前や放送時間がけっこう変わっていったのが不思議なところです。

>「タモリクラブ」での「空耳アワー」の総集編を友人に見せていただき、げらげら笑ったことが
あります。

番組もコーナーも長寿ですね。
全て記録してサイトに掲載してる熱心なファンもいるそうです。
あたしはたまにしか見ませんけど・・

投稿: SYUNJI | 2008.10.21 23:28

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 見ていない 第22回 ボキャブラ天国:

« 聴いてみた 第54回 フランク・ザッパ | トップページ | 聴いてない 第126回 レッド・ホット・チリ・ペッパーズ »