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聴いてない 第126回 レッド・ホット・チリ・ペッパーズ

ロックフェスの常連、レッチリことレッド・ホット・チリ・ペッパーズ。
きっと「待ってました!ぜひ聴いてね!」という前向きなコメントがたくさん来るんだろうなぁと思ってるんですけど、どうでしょう?

ところでレッチリ、その「By The Way」1曲しか聴いてません。
聴いてない度は2。
どういうバンドなのかもどんな評価なのかも全然知りません。
聴いてない・知らないアーチストについては、ある程度ネットで調べてからでないと何も書けないのだが、どうやらかなり勘違いしていたことがあった。

まず彼らのデビューが84年であること。
実はもっと後の90年代以降に登場したグループだと思っていたのだ。
84年と言えばヴァン・ヘイレンの「Jump」やカルチャー・クラブ「Karma Chameleon」、イエスの「Owner Of A Lonely Heart」などが大ヒットしていて、ロマンティックスやネーナなんかがチャートに登場したのもこの年だ。
自分にとっては洋楽街道ネコまっしぐら(←大スベリ)、バリバリのリアルタイムである。

なのでメンバーももっと若い人たちだと思っていたのだが、主なメンバーはすでに40代後半で、後から加入したジョン・フルシアンテだけが70年生まれだそうだ。
まあレッチリが日本で流行りはじめたのは89年くらいかららしいので、デビュー当時から彼らを追っていた日本人リスナーはそれほど多くはないと思われるが・・・

以下、ネットで仕入れたレッチリ概論。
結成のきっかけはアンソニー・キーディスとマイケル・バルザリー(芸名フリー)がロサンゼルスの学校で出会ったことである。
ちなみにフィル・スペクターやスラッシュ、レニー・クラヴィッツも同じ学校の出身。
二人はハイレル・スロバクとジャック・アイアンを加えてバンドを結成し、レッド・ホット・チリ・ペッパーズと名乗る。
84年デビューアルバムをリリース、85年にセカンド・アルバム「 Freaky Styley」をリリース。
88年ハイレルが薬物過剰摂取で死亡。
その後ジョン・フルシアンテとチャッド・スミスが加入し、89年に4枚目のアルバム「Mothers Milk(母乳)」を発表。
ここでスティービー・ワンダーのカヴァー「ハイヤー・グラウンド」がヒットし大ブレイク。
90年代以降もライブで人気を博し、日本ではフジロック・フェスティバルにも登場。
また2006年には「Snow」が映画「デスノート the Last name」の主題歌に採用された。

ううむ・・・・こうなることは予想はしていたが、やはり全部知らない話だなぁ・・・・
「母乳」の頃にバンドの名前も覚えたと思うのだが、それがすでに20年近く前の話と聞いて驚愕。
そんな前の話でしたっけ・・・

「By The Way」がヒットしていた頃、会社の同僚から突然「レッチリとか聴きます?」と聞かれたことがあった。
そいつには自分が洋楽を聴くことなんか話したことはなかったのでちょっと驚いた。
どうして自分が洋楽を聴くことを知っていたのかたずねてみたら、「コージー・パウエルが亡くなったのを掲示板に書いたじゃないですか」と言われて納得。

話せば少し長くなるのだが、こういうことだ。
10年くらい前から自分の所属部署内ではLANを構築し各自が1台ずつ端末を持つようになった。
今の若い人にとっては当たり前のオフィス環境だろうけど、我が社はその頃ようやくそうした状況になったのである。
で、外出や離席といった居場所の情報を、フリーソフトの掲示板機能を使って表示していた。
そのうちに「二日酔い」「万馬券」などといったどうでもいい情報を書き込むヤツが出てきて、徐々に運用が混沌としていったのである。
そんなある日、コージー・パウエル死亡のニュースを知ったあたしは、自分の居場所欄に「Cozy Powel Is Dead・・」と書いたのである。
洋楽を聴かない人間にとっては意味不明の情報だったはずだが、そいつはそれを覚えていた、というわけだ。
でも結局レッチリは聴いてなかったんですけど。

さて。
レッチリ、ジャンルとしてどういった音楽をやってる人たちなのだろうか。
ウィキペディアによれば「ファンクとヒップホップをパンク・ロック、ハードロック等と混ぜ合わせたミクスチャー・ロックと呼ばれるバンドのひとつ」とある。
あまりよくわからない。
なんとなく荒っぽいサウンドのイメージがあるが、XTCのファーストでパウンドをくらった自分としては、パンクの文字が混じっているのが心配なところだ。
「By The Way」だけだとパンクの香りはあまりしない気がするが・・・

レッチリと言えばライブ、と言われるほど彼らのライブには何かしらあるらしい。
「イチモツを靴下で隠しただけ、または場合によっては全裸」というスタイルで演奏したり、客が暴れて暴動放火騒動に発展したり。
またその「ほぼ全裸」姿をCDジャケットに載せてしまったり、やっぱりメンバーが薬物中毒になっちゃったり、かなりお下劣な方面の話題で有名になっていったバンドだそうだ。
決してそっち系だけに興味があるわけではないのだが、これまで聴いてみたシリーズで採り上げた中で、自分に合うと感じたアーチストは、そうしたわかりやすい展開のバンドが多い。
レッチリは果たして自分に合う音楽なのだろうか・・・

というわけでレッド・ホット・チリ・ペッパーズ。
聴くとしたらやはり自分の場合「By The Way」からとしたいところですが、もっと彼ららしいおすすめアルバムがあれば、教えていただきたいと思います。

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見ていない 第22回 ボキャブラ天国

流浪の文科系語学バラエティ番組、「ボキャブラ天国」。
名前や時間を変えながら7年にわたって放送された人気番組である。
しかしなぜかまともに1時間正視したことがほとんどない。
たまに部分的に見たことはあったが、目的意識を持って見たことは実は一度もない。

「ボキャ天」が最初に放送されたのは1992年10月、「タモリのボキャブラ天国」というタイトルだった。
この時は水曜夜7時半からの30分番組で、ファンの間ではこれを「初代」と呼ぶらしい。
その後「タモリのSuperボキャブラ天国」「タモリの超ボキャブラ天国」「新ボキャブラ天国」「続!ボキャブラ天国」「歌うボキャブラ天国」などと名前を変え、内容や曜日や時間も変えて放送された。
基本的にゴールデンの時間帯には家にいないので、見たことがあったのもおそらくは深夜枠の時だったと思う。
それでもほとんど真剣に見たことがなかったので、個人的には「いつの間にか名前が変わり曜日も時間も変わっていた」という状態だった。
タイトルの変遷は全く覚えていない。

タモリがずうっと司会をやっていたと思っていたが、それは実際には97年3月までで、4月の改編によりヒロミが司会に変わったそうだ。
それ以前のシリーズではヒロミはパネリスト側だった。
谷村新司が司会をつとめたシリーズもあったらしいが、これは見ていない。
主なパネリストにはヒロミのほか山口美江・大島渚・うじきつよし・赤坂泰彦など、最近あまりテレビでは見かけない人が多い。
各パネリストの評価を「シブイ」「インパクト」「知的」「バカ」のマトリクス上に表す、という方針だったようだが、このあたりはもしかすると「欽ドン」が原点にあるような気がする。(違うかな?)

「ボキャ天」の人気を支えたのが、「キャブラー」と呼ばれる、ネタを演じる当時の若手芸人たちである。
(この構成は初代からではないようだが。)
爆笑問題・ネプチューン・海砂利水魚・キャイ~ン・オセロ・ロンドンブーツ1号2号など、今では冠番組を持つコンビが多い。
まあ一方で極楽とんぼやつぶやきシローなど、見るかげもなくなってしまった人たちもいるようだが・・

キャブラーのことも、それほど注意して見ていたわけではなかった。
ネタがおもしろいかどうかだけに注目していて、誰がどう演じるかはさほど興味がなかったようだ。
爆笑問題が人気があったことはなんとなく覚えている。
またヒロミが意外につぶやきシローを高く評価していたことも、かすかに覚えている程度である。

「ボキャ天」の基本コンセプトは簡単に言うとダジャレである。
ただしその内容はいわゆるオヤジのカマす脱力なダジャレとはかなり違う。
視聴者から投稿されたネタ(ダジャレではあるけど)を、若手芸人らが演じてテレビでも笑いのとれる水準にして盛り上げる、という不思議な番組である。
見ていた時はそれなりに笑ったし、つまらないとは思っていなかったのだが、なぜか毎回楽しみに見るという意欲はほとんどわかなかった。

この番組が成立したのは、映像に文字(スーパー)をかぶせることを徹底したからである。
文字で元ネタを表示しないと、音声だけではどういうダジャレなのかが理解できない。
タレントのボケやツッコミやトークについて、あえて音声にかぶせて文字を入れる手法は、90年代頃からバラエティで盛んに使われるようになった。
最近ではネットの影響で文字にフェイスマークがつくことも多い。
今でも「くどい」「鬱陶しい」と批判もかなりあるようだが、個人的には笑うところが文字でも確認できてありがたい手法だと思っている。(あまり耳が良くないので。)

「ボキャ天」を見ていなかった理由には、タモリの存在は特に当てはまらない。
特にファンでもないが嫌いではなく、「笑っていいとも!」「タモリ倶楽部」「トリビアの泉」などは見ているし、若い頃はタモリのオールナイト・ニッポンをよく聴いたものだ。
「やる気のある者は去れ」が信条だそうだが、こういうことを言える人もあまりいないよね。
ただこの人の場合、ビートたけしと組んで番組をやると、お互いに普段持っているチカラの半分くらいしか発揮できなくなる、というのは不思議な現象である。
二人とも長くテレビ芸人のトップに居続けているが、この状況は昔からほとんど変わっていない。
テレビを見ている我々視聴者にも、お互いのやりにくそうにしている心境が伝わってきて、見ていて気の毒に思うことすらある。
明石家さんまが加わって3人ならなんとか番組になる、というのが実態であり、局側も二人だけの番組を作ろうとはもう考えなくなっているのだろう。

「ボキャ天」は人気番組だったので、ネットでも当時のネタや思い出を語るサイトや掲示板があちこちにあり、You Tubeでもかなりの映像が見られるようだ。
ただ、何度も書いてきたことだが、バラエティ番組はやはり人気のある時にリアルタイムで楽しむものである。
ネタだって当時は旬だったものが、今では意味不明になっていることもあるだろう。
ということで、見てこなかったことに後悔や不満は実はそれほどないのですが、みなさまの思い出や好きだった芸人など、教えていただければと思います。

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聴いてみた 第54回 フランク・ザッパ

あたしは常に素人で洋楽を聴き続ける日本の人間です。
今回聴く音楽は常にとても変わっているたぶんきっと。
あなたは言う、わたしにとても「変わった感じ」腕をひろげ腕をひろげゆらゆらぐるぐる、長い間ずっとわたしは孤独孤独孤独孤独な時間を過ごす。

・・・・今日は翻訳ツール調なデタラメ日本語で始めてみました、SYUNJIといいます。
普段話している日本語もだいたいこんなもんです。
そんなカタコトのあたしはある日三軒茶屋のCD屋でぷく先輩にたずねてみました。
フランク・ザッパって、どうスか?」
ぷく先輩はしばらく間を置いて一言、「不思議。」
不思議な先輩が不思議って言うんだから相当不思議なんだろうなぁ。
そんな浅はかな感想を抱きつつ、そのお店でついにザッパに手を出してみました。

買ったのは通称「貞子」と呼ばれる名盤「Hot Rats」。

Hotrats

鬼のように多作なザッパにあって比較的難易度の低い初心者向けな定番だそうだ。
60年代末期の作品でありながら古くささを感じさせないフュージョン・サウンドは、今でもザッパファンから高い評価を得ているらしい。
クリムゾン・キングの宮殿」が「アビー・ロード」を蹴落としてチャートの1位に立ったという都市伝説?があるが、その宮殿を破壊して1位に立ったのがこの「Hot Rats」とのこと。

いずれにしても自分にとって初めてのザッパ、果たしてどんなインパクトを与えてくれるのでしょうか。

・・・・・聴いてみた。

1. Peaches en Regalia
ころころしたリズムに乾いたギターの音がして、次々といろいろな楽器の音が聞こえる。
暗いわけではないが明るいとも言えない、非常に不思議なサウンドだ。
でも曲は意外と短い。
うろたえているうちに終わってしまった。

2. Willie the Pimp
この曲はボーカル入りだが、この声も変わっている。
イントロはバイオリンの音が聞こえるが、清く正しく美しく・・という感じではない。
やはり不思議なサウンドだ。
実験チックなサウンドは、どこか後期のビートルズを思わせる。
ベースが思ったよりよく聞こえ、曲全体をホールドしているのがわかる。
長い長いギターがうねるように続くが、音そのものの振り幅はそれほどでもなく、構成は比較的シンプルである。

3. Son of Mr. Green Genes
行進曲調のイントロで始まり、中近東の民族音楽っぽいサウンドが進む。
この曲はキーボードの音がけっこう多彩だ。
「ぴろぴろぽろぽろぽろろろろん」といったタラちゃんの足音みたいなキーボードがところどころ混じる。
中盤は2曲目同様にギターとベースとがスクラム。
この曲のほうがベースの裏メロがはっきりしている。
進むにつれて調子がだんだん軽快になっていく。
終盤はピアノの音が響き、ジャズっぽい展開。
ラストは映画のように壮大に終わる。
構成は複雑だが、転調箇所がはっきりせず、聴いているうちにいつのまにか違う章に進んでいるといった感じだ。

4. Little Umbrellas
この曲も不思議な雰囲気。
次はどうなるんだろう?という不安と期待を思わせて、想定外の方向に行ったまま帰ってこない、という状態。
この曲はわりと短い。

5. Gumbo Variations
サックスを主体としたファンクなサウンド。
これがずっと吹きっぱなしで鳴りやまない。
途中かなりハジケた箇所があるが、慣れないと少し不安。
この曲も意外にベースがよく聞こえる。
後半ようやくバイオリンが登場。
ここまで7分以上。
長い・・・すまんが少々退屈だ。
バイオリンもかなり辛い旋律である。
いつの間にかサックスがいなくなった。
10分過ぎあたりからバイオリンの刻みが細かく過激になってきた。
12分くらいでギター参上。
このまま行くのかと思ったらドラムソロがある。
この展開はなかなかいい感じだが、またバイオリンが戻ってきてかなりキツイ音を出し始めた。
一瞬の静寂のあと、ようやくエンディング。
長いよ、ザッパ・・・

6. It Must Be a Camel
ピアノのイントロで始まるのだが、ドラムのリズムと微妙にずれたままサックスが続く。
全体的にサウンドがどこか不協和音だ。
リズムも細かい転調が続く。
ついていくのがやっと、という状態。
いろいろな楽器が通り過ぎるので、いまいちまとまりに欠けたまま目の前を通りすぎるパレードを見ているような気持ち。
エンディングは油断しているとどこで終わったのかわからないくらいにあっさりである。

うーん・・・
これ、ロックとは少し違いますよね。
正直、自分にはやや難しいです。
ジャズっぽいサウンドは好みとは言えないし、ギターもバイオリンもサックスもなんとなく散漫に感じる。
どういうところが聴きどころなのか、つかみきれないままどんどん進んでしまい、気がついたら終わっていた。
数あるザッパ盤の中でもわかりやすくとっつきやすいのがこのアルバム、という話らしいのだが、自分にとっては残念ながら決してそういう感覚にならなかった。

最近思うのだが、ミーハーな自分はやはり音楽に「調和」を求めているような気がする。
リズムとサウンド、ギターとベース、ボーカルとコーラス・・・
こうした安心感を与える調和がおそらく自分の好みであることが最近ようやくわかってきたのだ。
古くはもちろんビートルズであり、またザ・フーにも同じ感覚はある。(あまりたくさんは聴いてませんけど)
ツェッペリンは非常に微妙で危ういサウンドだが、少なくとも前期の音楽はスレスレのところで絶妙な調和を生み出している。
もっと簡単に言えば、それはボストンやジャーニーやクイーンに代表されるわかりやすいサウンドなのだろう。

そう考えると、ザッパの音はやはり素人リスナーの自分にはまだ難しいようだ。
不協和音と言うわけではもちろんないのだが、自分の好みとする「調和」からはかなり距離がある。
聴き慣れていないだけかもしれないが、ハードルは相当高いものを感じた。

というわけで初めて聴いてみたフランク・ザッパ。
「貞子」はわかりやすいと評判のアルバムのはずでしたが、残念ながらそう簡単にはいかないのがザッパなのでしょうか。
もう少しハードなサウンドのほうが、むしろ自分には合っているのかも・・・と思いました。

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食べてみた 第5回 さぬきうどん

全国に名物と呼ばれる食べ物は数多くありますが、全てが地元に定着しているものかというと、そうでもないこともあります。
札幌と言えばラーメンと連想しがちですが、札幌市民は実はそれほどラーメンを食べていない、なんて話もあるようです。
じゃあ大阪の人はお好み焼きとかたこ焼きを毎日食べておるのか?
京都の人は八つ橋ばかり食べてはるのか?
神戸の人は牛肉ばかり食べとるのか?
悩みは尽きません。(大げさ)

そんな旅人の悩みをよそに、地元の方にがっちり定着している揺るぎなき名物の代表と言えば、さぬきうどん。
ゲッツさんによれば「1日1回はうどん、というのは香川県民なら当たり前。2回以上の人もふつうにいる」とのこと。
うどん屋の数もガチでハンパなく多く、中には客が器を持ち込んだり、客がネギを店の横の畑から抜いて切ってうどんに入れて・・という超セルフな店もあるそうです。
県外の人間には想像もつかない深いUDONワールド香川。
うどんは大好物というわけではありませんが、やはり香川に来たら食べてみたいと思い、旅行中にうどん屋に行ってみました。

ゲッツさんは事前におすすめの店を丁寧に教えてくれました。
これだけ店の数があると、やはり味や麺のコシや雰囲気やシステムやロケーションも様々なようです。
そのおすすめの中で、今回の観光コース途中にある店をピックアップして行くことにしました。

しかし。
このセッティングは意外に難しかったです。
まず観光コース途中におすすめ店が都合よくあるかどうか、というと、けっこう人里離れたところに人気店がぽつんとあったりして、なかなか立ち寄るのも大変です。
こちらは旅の最中で時間もある程度限られていますので、人気店で行列して時間を使ってしまうのも厳しい状況。
また自分は小食なのでそれほどたくさんは食べられません。
ふつうに食事して、合間にちょっと小腹がすいたところでうどんを一杯、なんてぷく先輩っぽいマネはできないのです。

これは綿密に計画を立てて行かねばなりません。
そんな過酷な条件の中、選ばれたのが善通寺市の「長田in香の香」という変わった名前のお店。
ここはゲッツさんのご紹介にもあったお店です。
こんぴらさん参りの後、高松に戻る途中で寄ってみました。

Nagata

場所は国道から少し入ったところですが、駐車場は広くてわかりやすく、時間も多少早かったせいか行列もありませんでした。
メニューは釜揚げうどんと冷やしうどんです。
中はテーブルといすがややアバウトに置かれていて、雰囲気は公民館の会議室にしつらえた食事スペースという感じです。
ただ「雑然」「無造作」というワイルドさはそんなにありません。
客も一定の秩序を保って思い思いに食っています。

釜揚げのだしは麦茶のような容器に入って各テーブルにどんと置かれていて、客が好みの量を器に入れる仕組み。
冷やしうどんのだしは少し変わった形の土瓶に入っています。
この店には生醤油で食べるメニューはないようです。

レジ前で注文すると数字の書かれた札を渡され、しばらくするとうどんが運ばれてきます。
この店は客が自分でだしを汲んだりネギを切ったりというセルフ作法はありませんでした。
常連だけに通じる符丁や独特の作法などもなく、システムが理解できずまごついてしまうこともなかったので、観光客にとっては食べやすい店と言えます。

さて香川に来てはじめてのさぬきうどんです。
これが冷やしうどん。

Nagatahiyasi

そしてこっちは釜揚げです。

Nagatakama

果たして味はどうでしょうか。

・・・・・食べてみた。

コシの強さはさすがにさぬきうどんです。
だしも魚のうまみが効いていて、うまいです。
だしの味は関東で食べるかつおだしのそばつゆとはやはり違いますね。
魚の味がはっきりしていて、少し苦みがある気がしました。

この店にはかき揚げやちくわ天などのトッピングはほとんどなく、純粋にうどんだけ楽しむというスタイルでした。
平日の昼だったので、客もおそらくほとんど近所に住んでいるか働いている方でしょう。
客層は様々でしたが、女性もかなり多いようでした。

長田in香の香


翌日に行ってみたのは、高松の屋島というところにある「うどん本陣 山田家」です。
こちらもゲッツさんのご指導で寄らせていただきました。

Yamadaya

店の構えは想像以上に高級な造りで、昔の造り酒屋の建物を改造してうどん屋にした店だそうです。
昨日の庶民的な「長田in香の香」とは違って、中は畳敷きの広い客間で、敷地には小さな庭もあり、格調高い和食店という趣です。
値段もこちらは少し高い感じで、メニューには定食もありました。
システムはふつうの和食店と全く変わらず、席について注文し、料理は席まで運ばれてくるスタイルです。
商標登録されている「釜ぶっかけ」を注文。

Yamadayakama

・・・・・食べてみた。

この店のうどんは少し柔らかめで、太さも「長田」より細い感じです。
だしはやはり魚の味が濃いです。
味は全く問題ありませんが、ふつうに和食店でうどん定食を食べる状態ですので、「四国に来る前にイメージしていたさぬきうどん」を食べているという実感はやや薄いのが正直なところです。
雰囲気は落ち着いており、ゆっくりうどんを楽しむならばこの店はおすすめですね。

うどん本陣 山田家


さて最後に行ったのが高松の中心、丸亀町商店街の「都由」。
「つゆ」と読むそうです。

Tuyu

この店はゲッツさんご紹介の中にはなく、飛び込みで入ってみました。
午後1時を回っており、昼のピークをすぎていたため客はほとんどいませんでした。
昼時のピークを過ぎてしまうと、ゆでたてでない麺が出されることもあるため、こういう時間にうどん屋に入ってはいけないという話を本で読みましたが、果たしてどうなのでしょうか。

店は商店街の小料理屋という感じで、カウンターにテーブルが少し。
常連さんがカウンターにひとりいて店の方と楽しそうに話しています。
うどんに宇治の抹茶を練り込んだ麺がメニューにありました。
これはさぬきうどんでも珍しいのではないでしょうか。
そば屋でこんな変わりそばが出てくることはありますが、うどんではあまり見かけないように思います。
その抹茶うどんとさぬきうどんと天ぷらとがセットになった定食を注文。

Tuyuuji

・・・・・食べてみた。

ここのうどんは今回の3店で一番細いです。
そのせいなのか時間帯のせいなのかわかりませんが、麺の固さやコシも少し弱いです。
宇治抹茶麺は抹茶の香りがしてさわやかですが、ややちぢれていて、つるつるというよりちゅるちゅるという音が出ます。
おいしい麺ですし自分の好みですが、さぬきうどんとしてならもう少し太くてもいいかなというところです。

だしはこの店が一番濃い味がしました。
魚の味がかなり強く、ふだんわりと薄味好みの自分にはちょっとしょっぱいと思うレベル。
少し水で割ってもよかったのですが、薄めてかえって変な味になっても困るのでそのまま食べました。
天ぷらは揚げたてで非常にうまかったので、うどんのコシやだしの濃さがちょっと惜しいと感じましたが・・・

都由


そういうわけで、さぬきうどん。
やはり自分としては「長田」がいちばんうまかったですね。
地元密着な雰囲気も観光客には楽しい感覚ですし、麺のコシやだしの味も濃さも一番自分好みでした。
それでいてシステムがわかりやすかったのもありがたかったです。

ただやはり本当に深いさぬきうどんの世界を味わいたければ、郊外にあって地元の方だけが行列しているディープな店で、シンプルなうどんをセルフで食うのがいいんでしょうね。
次に四国に行った時には、そういう名店にぜひゲッツさんに連れていってほしいと思います。

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