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聴いてない 第125回 ヴァン・モリソン

あたしがBLOGを始めたのは2003年の末でした。
まだ日本ではそれほどBLOGというメディアが知られておらず、丁寧に「ウェブログ」と呼ばれていた頃です。
たまたま自分自身のホームページを持とうかと考えていた頃で、ニフティがウェブログのサービス「ココログ」を開始したのも同じ時期でした。
あたしは長くニフティ会員だったので、ニフティから盛んに「あなたもココログでウェブログ始めませんか?!」といったムダに熱いメールが日々やってきていました。
調べてみるとどうやらユーザーとしてはテキストを準備するだけで、ページ構成やデザインなどもテンプレートが用意されててお手軽そう。
しかも掲示板を設置せずともコメントがページ単位でもらうことができ、トラックバックという不思議な機能もついている。
ニフティ会員なら無料のコースもあるし、始めることにしました。

最初はネタもなくて音楽に関係ない適当な文書や、昔友人のサイト向けに作った連載ものを転載したりしましたが、反応も少なくあまり楽しくありません。
もっと多くの人と交流するにはどうしたらよいのだろうか?
自分の身の振り方を真剣に悩んだあたしは(脚色)、「聴いてない音楽を紹介してアドバイスを受ける」という、非常に依存的なもたれかかりBLOGを始めることにしました。

当時はまだ同じココログユーザーの中でも音楽ジャンルのBLOGはあまり多くなかったのですが、その中で自分とほぼ同時期に音楽BLOGを始めた方からコメントをいただきました。
それがhello nicoさんとgetsmart0086さんでした。
以来お二方とは今でも交流を続けさせていただいており、あたしはお二人のことを勝手に「ココログ同期生」と呼んでいます。(レベルはあたしとは全然違いますが・・)

そんな同期生のひとりであるgetsmart0086氏と、今週実際にお会いする機会に恵まれました。
あたしが四国を旅行することになり、その途中でお時間をとっていただいたのです。
いつも文面から匂う知的な雰囲気に、あたしもぷく先輩も「ヤツはただ者ではない・・」と低い声でうなっていました。
実際お会いしたご本人は予想どおりただ者ではなく、あたしのような脆弱でおポンチなただの町人とは対極にあるような、知性と品格とパワーを兼ね備えた精悍な方でした。
この時の模様は、いずれあらためて「行ってみた」シリーズでご紹介いたします。
ゲッツさんすいません、このネタもかなり引っ張るつもりですんで、よろしくお願いします。

さて今日の話題。
今さらですが、こんな自分でも聴いてないアーチストについて書くことはけっこう心苦しさを覚えるものです。
4~5人で会話していて、自分だけが知らないことについて盛り上がってしまった時は、愛想笑いを浮かべながらも胸中は決しておだやかでなく、「この話題早く終わらないかな」と思うことがありますよね。
あーいう感覚です。
自分だけが知らない専門用語について、会議中に議論が白熱してしまったような・・・
終電近くの南三局で気がついたら自分だけヤキトリで一人マイナスな状態だったような・・・
東海道線のボックス席に全然知らない3人組の騒々しい女性たちと一緒に座ってしまったような・・・
(いまいち伝わらない)

聴いてないアーチストはまだまだたくさんいるのですが、今日採り上げるのはヴァン・モリソン。
非常に居心地が悪いです。
申し訳ありませんがまっっっっっったく聴いてません。
1曲も知らないので、聴いてない度1。
もしヴァン・モリソン検定受けたらマジメに0点です。
ジム・モリソンとは遠い親戚関係にある・・・わけないか。
全然別の世界の人でしょう。

ヴァン・モリソン。
とりあえずものすごく有名だということは知っているが、それ以外何も知らない。
顔もわからないので手の施しようがないのだが、聴いてないことがバレたらと思うと、夜も眠れない・・・
バレるもなにも「聴いてないシリーズ」なんだから聴いてなくて当然なのだが、「いちおう名前は知ってはいるけどね。ちょっと聴いてないだけなんだ」と遠くに見える山々を見つめながらつぶやかなくてはならないのである。
なのでちょっとネットで調べてみました。

ヴァン・モリソンはアイルランドのソウル・シンガーであり、1965年にゼムというグループでデビュー。
アイドル化を嫌ってソロに転向したあとに名作アルバムを次々と発表。
ただしセールス的には浮き沈みも激しく、また離婚や麻薬中毒といった挫折も経験。
80年代以降もコンスタントにアルバム作成を続けており、2000年にはロックの殿堂入りも果たしている。
「ブルーアイド・ソウル」とは、この人のためにあるような言葉である。
・・・といったところが概論のようだ。
ううむ・・・しつこいようだが全く知らなかった話ばかりである。
21世紀に入っても毎年のようにアルバムが出ているそうで、これにもかなり驚いた。

ヴァン・モリソンはザ・バンドのラストコンサート「ラスト・ワルツ」にも出演している。
かなり前だが、この映画をほんの少しだけ見たことがある。
社内で忘年会をやった時に、会社の上司がBGVとして流していたのを見たのだ。
なのできちんと全部見たわけではなく、クラプトンやジョニ・ミッチェルが出てきた場面をかすかに覚えている程度だ。
ヴァン・モリソンが出てきた場面はもちろん覚えていない。
ちなみにこのビデオを持ってきた上司は元ミュージシャンで、名前を出せばほとんどの人が知っている人気バンドの、元メンバーである。

ネットでヴァン・モリソンを調べていて驚くのは、採り上げている文章の絶賛度が非常に高いことだ。
リンク先のみなさんもそうだし、音楽評論家からレコード会社サイトから一般人と思われる人まで、とにかく評価が高いのである。
まあふつうアーチストをネットで採り上げる時は絶賛したいがゆえに書くんだろうから、そうなるのも必然だろう。
かなりの数のサイトやBLOGを見させてもらったが、「いまいち」とか「自分には少し合わなかった」などの表現は見つからなかった。
ということは本当にすばらしいアーチストだということなんでしょうね。
これだけ絶賛されているアーチストなのに、全く聴いてないのはまずいのではないか?
・・・といった感じで、ぼんやりとネットで検索するうちに不安がどんどん拡大していったわけです。(毎度のこと)

ヴァン・モリソンは実は一度も来日していないそうである。
日本国内で生モリソンの歌や演奏を聴いた人は誰もいない、ということになる。
もともとマスコミ嫌いで、さらに飛行機も嫌いなため外国にあまり出たことがないらしい。
これでは日本まで来るのは難しいだろう。
来日もしてないのに、この人気ぶり・絶賛ぶりはやはり驚くばかりだ。
ザ・フーも来日してしまった今、「日本の土を踏んでいない最後の大物アーチスト」と言われているらしい。
本人は日本のことは嫌いじゃないんですかね?
あまり興味がないのだろうか・・・

ということでヴァン・モリソン。
グダグダ言ってないで聴いてみりゃいいじゃん、ということなんでしょうけど、「ソウル」「アイリッシュ」「ケルト」などのキーワードを出されても、悲しいかなイメージがほとんどわきません。
こんなシロウトが聴いても平気なんでしょうか?
おそらく各方面から絶賛コメントをいただけるものと思われますので、参考にさせていただくつもりであります。

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コメント

貴様と俺とは同期の桜 同じ航空隊の庭に咲く
咲いた花なら散るのは覚悟 見事散りましょ国のため♪

同期のゲッツです。

先日はお時間をとっていただきありがとうございました。ブログの文章から予想した通り、ウィットに富んだ批評家精神を持つ知的な方でした。

>実際お会いしたご本人は予想どおりただ者ではなく、あたしのような脆弱でおポンチなただの町人とは対極にあるような、知性と品格とパワーを兼ね備えた精悍な方でした。

これ。最近のマスコミのパターンのように、最初だけ持ち上げといて落とすための布石でしょうか。かなりびくびくしています。

とりあえず首脳会談前の事務局調整により、次回は銀座に決定(?)しましたので、その節はよろしくお願いします。

八塩圭子似の美人の奥様にもよろしくお伝えください。

さて、ヴァン・モリソンですが、好きなアーティストの一人です。ただ、自分が成人してから聞き出したからそう思うのかも知れませんが、10代前半に聞いたら見向きもしなかったかもしれません。それだけ地味なアーティストということです。先日お会いしたときに京都の話になりましたが、年齢が上がってくると神社仏閣のような地味なものの価値がわかってくるように、今の歳になるとこういう音楽が良くなってきます。

とりあえず入門編は、SYUNJIさんもリンクを張っている「Moon Dance」が良いと思います。スティングの「ブルー・タートルの夢」がOKならこのアルバムは聴けると思います。アルバム数が結構ありますので、XTCのように失敗しないためにも、是非「Moon Dance」からでお願いします。

>ネットでヴァン・モリソンを調べていて驚くのは、採り上げている文章の絶賛度が非常に高いことだ。

過去に「Moon Dance」に関する短い記事を書いたことがあるのですが、こう書かれてしまったので怖くてTBできませんでした。。。。

投稿: getsmart0086 | 2008.09.06 16:32

20代前半に、同僚から借りて全く判らず、、返してしまった経験がある、、だいまつです、、。

そう、、今では、ゲッツさんの言う、、神社仏閣の価値が判りつつあるので、、今度は聞いてみても大丈夫かな?と思います。

で、、自分。スティングの「ブルータートルの夢」は全くもって大好き。(変な表現になってしまった)
期待できます、、。

岩手は秋、、枯れていくモノにも美があると思い始めたこの頃の私なら、、聞けるかな、、。

ちなみに判らなかったアルバムは、、ヴィードンフリースというアルバムのようです、、。

投稿: だいまつ | 2008.09.06 21:14

同期のゲッツさん、先日はお忙しい中ありがとうございました。

>ブログの文章から予想した通り、ウィットに富んだ批評家精神を持つ知的な方でした。

いえ、単に聴いてない自慢のスカタン(死語)BLOGですが・・

>次回は銀座に決定(?)しましたので、その節はよろしくお願いします。

了解しました。
知り合いに東海地区No.1の肝臓の大きな酒豪のマンゴー食いブロガーがいますので、銀座に呼びつけますから・・

>八塩圭子似の美人の奥様にもよろしくお伝えください。

八塩圭子・・・・そんな風に見えました??
これは初めて聞く例えですね。
若い頃は片平なぎさとかアン・ルイスとか言われてましたが・・
そう言えばあたしがミック・ジャガー似というデマもどこからか流れたようですけど・・

さてヴァン・モリソン。

>スティングの「ブルー・タートルの夢」がOKならこのアルバムは聴けると思います。

ぐぐっ・・
このアルバムは自分としてはちょいと微妙ッスね・・
悪くはないんですが、ポリスとの違いに結局なじめなかったのが正直なところです。
ヴァン・モリソンもあの感じなんでしょうか?(やや不安)

>XTCのように失敗しないためにも、是非「Moon Dance」からでお願いします。

わかりました。
銀座での同期会では無事報告できるよう精進いたします。(この軽薄さで4年半)

だいまつ親分、コメント感謝です。

>今では、ゲッツさんの言う、、神社仏閣の価値が判りつつあるので、、今度は聞いてみても大丈夫かな?と思います。

自分の場合、神社仏閣の価値がわかってきたかどうか不明ですが、学生の時よりも京都が楽しくなったことは確かですね。
こんなんでヴァン・モリソンも聴けるのか不安ですが。

>ちなみに判らなかったアルバムは、、ヴィードンフリースというアルバムのようです、、。

ゲッツさんおすすめの盤よりも年代が新しいようですね。
Amazonのレビューに「ファルセット・ボーカル」と書いてあるんで、これは自分には少し厳しいかもしれません・・

投稿: SYUNJI | 2008.09.06 21:46

毎度お世話になります。

ヴァン・モリソンの記事2本書いてたので2本ともTBさせていただきました。そのうち1本の本文中でSYUNJIさんの名前を出していたので読み返してビックリです(笑)3年前の記事なのに、いつかSYUNJIさんがヴァン・モリソンを取り上げることを予見してたのです(←バカ)

>本人は日本のことは嫌いじゃないんですかね?
あまり興味がないのだろうか・・・

おそらく「中国の一部」ぐらいにしか思ってないんではないでしょうか。

投稿: カナ | 2008.09.07 03:23

SYUNJIさん、こんばんは。
>>日本ではそれほどBLOGというメディアが知られておらず

私は「BLOG」をどのように発音するのかわからずに、長い間
「ビーログ」と呼んでおりました。

さて英国の吟遊詩人ヴァン・モリソンですが、私は少し聞いた
ことがあります。といいますのも、妻が結構好きなんです。
私が友人から聞かせていただいた音源を、私より妻が気に入っ
てしまったのです。
特に70年代の作品を気に入っており、「まるで大木が歌っている
よう」とソウルフルなところがいいそうです。
ちなみに私に聞かせてくれた友人も大ファンです。

妻によるとおすすめアルバムは、SYUNJIさんが掲載されている
「Moondance」のほか、
http://www.hmv.co.jp/product/detail/2664524
http://www.hmv.co.jp/product/detail/2664527

日本では全く人気がありませんが、通には圧倒的な評価
を得るミュージシャン、それがモリソンのようです。

投稿: モンスリー | 2008.09.07 17:33

カナさん毎度です。
TBありがとうございます。

>いつかSYUNJIさんがヴァン・モリソンを取り上げることを予見してたのです(←バカ)

そうですか・・いや、実際聴いてないのは確かですが、それ以上に何も知らないので今まで書けなかったんですが・・
やはり「Moon Dance」の評価が高いようですね。

>おそらく「中国の一部」ぐらいにしか思ってないんではないでしょうか。

来日してる外タレ(死語)の中にもこう思ってる人もいるんじゃないですかね。
「ヴァン・モリソンを日本に呼ぼう会」のような運動みたいなのはあるのかなぁ?
ここまで待たせたなら、相当お客が集まる気もしますけど。

モンスリーさん、コメント感謝です。
おなじみのゲッツ氏に会って参りました。

>長い間「ビーログ」と呼んでおりました。

今だと「ウェブログ」とか「ビーログ」と呼ぶほうがかえってクールかもしれませんね。(適当)
どうでもいい話ですが、カタカナで「ブログ」と書くのはあまり好きではありません・・

>「まるで大木が歌っているよう」とソウルフルなところがいいそうです。

これはすごい表現ですね。
勝手にフォークシンガーっぽいイメージを想像してたんですが、少し違うみたいですね。

>日本では全く人気がありませんが、通には圧倒的な評価を得るミュージシャン、それがモリソンのようです。

そのようですね。
スティーブ・ミラーもそうでしたが、ファンが語るサイトの熱の高さに驚かされるばかりでした。

投稿: SYUNJI | 2008.09.07 22:44

ウィットに富んだ批評家精神を持つ知的な方、こんにちは。

>実際お会いしたご本人は予想どおりただ者ではなく、あたしのような脆弱でおポンチなただの町人とは対極にあるような、知性と品格とパワーを兼ね備えた精悍な方でした。

精悍!その表現は!色浅黒く、ゴルフやけでもしているんでしょうか?それともボタンを二つ、三つ開けて、じゃらじゃらネックレスを付けているのでしょうか?どっちにしてもゲッツ(←特許申請中)は「切れ者」だったのですね。「しれ者」の私とは違う・・・・

さて、ヴァン・モリソン。あまりの聴いていなさに昔、人のコメントだけで記事を書いたことがあります。

でもそんな私でも「ウェイブレンス」というアルバムだけは大好き。70年代後半。リアルタイムで買いました。このアルバムの中の曲は彼にしてはストレートなロックンロール。特に「熱狂のキングダムホール」は名曲です。この当時、かなり太っていたので丸太が声を出すというのは適当な表現だと思います。

追記:銀座は面子が怖そうなのでパスします・・・(へなちょこ)

投稿: ぷくちゃん | 2008.09.08 09:25

書き忘れていました。八塩圭子!アド街ック天国!関西学院大学准教授!金子達仁!上智大学!ルドフィー!(←唐突&どさくさ)

そうなんですか・・・それにしてもアン・ルイスに片平なぎさ!もう考えられないくらいのうらやましさ。いいですよね。

投稿: ぷくちゃん | 2008.09.08 14:48

あたしの数少ない生会見ブロガーを徐々に侵食しつつあるぷく先輩を脅威に感じるSYUNJIといいます。

>色浅黒く、ゴルフやけでもしているんでしょうか?

ええ、精悍な顔立ちにパンチと金のブレスレットで若い衆にスモガラのアメ車を運転させてました・・(デマ返し)

>でもそんな私でも「ウェイブレンス」というアルバムだけは大好き。

やはり先輩、ぬかりないですね。(何が?)
リアルタイムというのが驚きです。

>丸太が声を出すというのは適当な表現だと思います。

いえ、「大木が歌っている」という表現でしたが・・似たようなもんかな?

>追記:銀座は面子が怖そうなのでパスします・・・(へなちょこ)

なにを他人事みたいに言っているんですか。ゲッツさんとは、「次はぷくちゃんのおごりで銀座で豪遊しよう」という約束になっているんですよ。銀座は銀座でも戸越銀座かもしれませんが。(大パクリ)

投稿: SYUNJI | 2008.09.08 23:43

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受信: 2008.09.07 03:17

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