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聴いてみた 第53回 XTC

とある夏の休日の夜。
携帯が鳴ったので出てみると、かなり騒々しい場所から断片的に聞き覚えのある声が聞こえてきた。

ざわざわざわざわはははははしゅんじさんざわざわはははざわざわざわさびしいよざわざわどわはははざざざはやくこいざわざわざわあーはははガチャ。

・・・・発信は名古屋の「世界の山ちゃん」からであった。
「早く来い」って言われても。

そんなあたしが今日聴いてみたのはXTC。
どんなバンドなのか未だによくわかっておらず、「プログレかなぁ」などとぼんやり思っていたが、どうやら違うらしい。
そもそも「えっくすてぃーしー」でいいのか「えくすたしー」と読むのかすらわかっていない。

XTC、実は90年代に1曲だけ聴いている。
「The Disappointed」という曲をMTVから拾ったのである。
プロモ・ビデオは確か中世の貴族のような扮装をした人たちが次々に登場するような内容だったと思う。
曲はわりと気に入っており、当時アルバムも聴いてみようかとも思っていた。
結局聴きませんでしたけど。

久しぶりに図書館でCDを物色したら、目にとまったのがXTCの「ホワイト・ミュージック」。
78年の作品で、彼らのデビュー・アルバムである。

Xtc_2

「The Disappointed」はこのアルバムよりも10年以上あとの曲になるが、まああの路線のバンドだったら聴けそうな気もしたので、イキオイで借りてみた。

だが。
聴く前にネットで少し調べてみたら、「アバンギャルド・パンク」などといった紹介があった。
いまいち意味がよくわからないが、「The Disappointed」はパンクのイメージとは少し違う。
プログレという説明は見つからないので、パンクの部類に入るのだろう。
この時点でかなり不安な黒雲があたしの心の中に。

アバンギャルドなパンクバンド、XTC。
脆弱リスナーなあたしは果たして最後まで聴き通してエクスタシーを感じることができるのでしょうか。

・・・・・聴いてみた。

うーん・・・
はぁぁ・・・・
えーと・・・・・

これ、無理っス。(←上田桃子調)
この音楽は申し訳ないが自分には合わない。
パンクなんてプログレよりもさらに聴いてない分野なんだが、少なくともこのアルバムはキツイです。

なんつうか、まずサウンドが雑だ。
ボーカルがシャウト系なのだが、リズムや楽器の音に合わせてポイントポイントでシャウト、というロックの基本系をさらにはずしている。
これがパンクの戦略的な構成だとは思うが、シャウトが多用されてて雑に聞こえるのである。
ここぞというところで効果的に叫ぶ、という意図がなく、小節の終わりにそれぞれボーカル投げ捨て、という感じなのだ。

アンディ・パートリッジのボーカルは相当粗野だ。
また曲の中に不協和音が多い。
パンクだから当然なのだろうが、楽器やコーラスとのハーモニーは彼らにはあまり重要ではないようだ。
基本は早いビート、強いビートなのだが、聴いてて気分が高揚するものがない。
率直に言って「騒々しい」「ざわざわざわははは」という年寄りな感想だ。(半分意味不明)

これまで聴いてきた音楽の中で、一番近いと思ったのはブームタウン・ラッツである。
あっちもそんなにたくさんは聴いてないが、ブームタウン・ラッツはもう少し音にバラエティや広がりが感じられる。
XTCも注意して聴くとけっこういろいろな音はしてるのだが、その組み合わせが自分には合わないのだろう。
ボブ・ゲルドフもそれほど歌のうまいヒトではないが、これは完全に好みの問題である。

聴いてみたシリーズもすでに50回を超えているが、今回が最も苦しい音楽だ・・・・
ニール・ヤングバグルスもかなりキツかったが、XTCの「ホワイト・ミュージック」はそれ以上である。
この後彼らはメンバーチェンジしたりトッド・ラングレンがプロデュースしたりでいろいろ変遷していったようだ。
90年代のアルバムだと、もう少し聴きやすくなっているのだろうか?

XTCは英国特有のひねくれセンスに満ちあふれており、これがアメリカ人には理解しづらいようで、アメリカではあまり人気がないらしい。
だったらあたしなんかとうてい理解できませんね。
ドシロウトが手を出してはいけないアルバムだったようです。

というわけで、どこかの国の野球チームのように惨敗に終わったXTC。
なんで岩瀬をあんなに使ったんかなぁ。(←おっさんの言うことはだいたい同じ)
明日図書館に返しに行きますが、おそらく今後聴くことはなく、どんな音だったか全く思い出せなくなるのも時間の問題だと思われます・・・
もし次回XTCに再度挑戦するなら、やはり「The Disappointed」が収録された「Nonsuch」というアルバムではないかと思いました。

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聴いてない 第124回 スティーブ・ミラー・バンド

あなたがたった1曲だけ聴いてるその曲が、実はそれほどそのアーチストの特徴を表していないとしたら?
あなたはとてもじゃないけどそのアーチストについて語る自信などないでしょう。

・・・・なんとなく女性誌のようななれなれしい語りかけから始めてみました。
みなさまこんばんは、聴いてないシリーズのSYUNJIです。
ええ、いろいろ書いてみたんですけど、結局聴いてないです、スティーブ・ミラー・バンド。

さてスティーブ・ミラー・バンド。
スティーブ・ミラーがやってるバンドだということは知ってますが、それ以外にほとんど情報を持ち合わせておりません。
たまにリトル・リバー・バンドやシルバー・バレット・バンドやビーバー・ブラウン・バンドやトム・ロビンソン・バンドと間違えてしまうくらい何もわかっていない。(投げやり)
なおJ・ガイルズ・バンドというのもあるが、このバンドの場合リーダーはJ・ガイルズではない。

リアルタイムで聴いてるのが、たぶん最大のヒット曲「Abracadabra」。
80年代から洋楽を聴き始めた人の中には、同じようにこの曲しか知らないって方も多いんじゃないでしょうか。
「Abracadabra」はプロモ・ビデオもかすかに記憶が残っており、確か暗い中で火のついた棒のようなものをジャグリングのようにくるくる回す・・・という映像があったと思う。
この時もスティーブ・ミラーが実はブルースの大御所だとは全く知らず、80年代に山のようにわいていたエレクトリカル・ポップ・バンドだと思っていた。
もう1曲聴いてるのは「Rock'n Me」で、こちらは「なつかしのポップス大全」のようなCDにあったものを90年代に聴いている。
えーと従って「聴いてない度」は3になる。が、まあ実質2程度と言ってよいだろう。

バンド名もデビュー当時は「スティーブ・ミラー・ブルース・バンド」と名乗っていて、その名のとおりどっぷりブルースなバンドだったらしい。
その後リズム&ブルース、カントリー、フォーク、サイケ、ポップロックなどにも活動の幅を広げ、今でも本国ではコンサートをふつうにやってるそうだ。

スティーブ・ミラーとボズ・スキャッグスの関係は、ボズの記事を書こうと思って調べて初めて知った。
彼らが同じバンドにいたのは有名な話らしいが、実はそれ以前にハイスクール時代の同級生だそうだ。
またスティーブの作品にはポール・マッカートニーが「ポール・ラモン」という変名?で参加したこともあるらしい。

ネットでスティーブ・ミラーについて調べていくと、他にも幼少の頃にレス・ポールからギターの手ほどきを受けたとか、マディ・ウォーターズやバディ・ガイなどの超ビッグ・ネームなブルースマンとの交流話も見つかる。
超ビッグ・ネームなどと書いてますが、実はこのあたりの人たちの名前を覚えたのは去年のロック検定の受験勉強でのことでした・・
なのでどれくらいビッグなのか、なんにもわかってないんですけど。

いずれにしろスティーブ・ミラー、日本での知名度や人気はそれほどでもないと思うが、本国での評価は想像をはるかに超えるところにあるのだろう。
現在64歳だそうだが、全くの現役でライブの評判も非常にいいようだ。
日本に久しぶりにやってきてオカネを稼いで帰る、といった話は当分なさそうである。

「Abracadabra」が売れていた当時、雑誌で「スティーブ・ミラーは日本嫌いで、日本のマスコミの取材にも応じないらしい」という記事を見たことがある。
この「日本嫌い」な話はネットでもぽつぽつ見つかるので、真偽のほどは不明だが、当時からそういう噂はあったのだろう。
そんなもんかと思っていたが、実は80年代にFMステーションでスティーブ・ミラーが新しいアルバムについて語るインタビュー記事を見たこともあるのだ。
たぶん86年の「Living in the 20th Century」というアルバムだと思うのだが、「Baby」という言葉がタイトルに入っている曲が4つもあり、聞き手がそれを質問すると、本人は「そうなんだ。別にねらってやったわけではなく、好きな曲を入れていったらこうなったんだ」と答えていた。

スティーブ・ミラーをネットでいろいろ調べていくと、変なことに気づいた。
「Fly Like An Eagle」という曲があるのだが、この邦題を「鷹の爪」と記述しているサイトや掲示板が意外に多いのである。
もちろん正しい邦題は「鷲の爪」であり、直訳すると「鷲のように飛べ」であるはずなのだが、日本語で「鷹の爪」という野菜もあるからだろうか、全く訂正もなく「鷹の爪」と書ききっている。
鷹の爪であれば「Fly Like A Hawk」だよね?
まああたしも鷲と鷹の見分けに自信はありませんが・・

というわけでスティーブ・ミラー・バンド。
鷹の爪も実は苦手なあたしですが、本国での評価をもう少し身近に感じてみてもいいかなぁと生ぬるいことをぼんやり考えております。
どこから手をつけていいものやら全くわかりませんが、おすすめの1枚があれば教えていただきたく思います。

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読んでみた 第26回 ブルーザー・ブロディ 私の、知的反逆児

いちおう音楽BLOGとして4年半続けてきたあたしですが、本文中に幾度かプロレスラーの名前を登場させたりしています。
その中でもっとも登場回数が多いのが、故ブルーザー・ブロディ。
これは自分がもっとも好きだったレスラーであることに他なりません。
そんなブロディに関する書籍を今週図書館で発見しました。

「ブルーザー・ブロディ 私の、知的反逆児」
バーバラ・グーディッシュ&ラリー・マティシク/著

Brody

版元は東邦出版、発売は2008年2月、定価1800円、256ページ。
二部構成で、前半の手記をブロディの妻であるバーバラ女史が、後半の伝記を友人でありWWFのプロモーターもしていたラリー・マティシク氏が手がけている。

手記はフランク・グーディッシュ(ブロディの本名)とバーバラの出会いから、ブロディの死を語るに至った決意、死亡時とその後の混乱、夫や父親としてのフランクの姿などが綴られたものである。
夫の死亡連絡(実際には到着後に真相を知らされた)を受けてプエルトリコに向かう際の動転した様子や、関係者の混乱ぶりなどが非常にリアルに記されている。
ブロディを刺したのはホセ・ゴンザレスというレスラーだが、この事件に興行師として大きく関わっていたのはカルロス・コロンである。
この人自身もレスラーであり、日本にも来てブッチャーとタッグを組んで馬場や鶴田と戦っていたことを覚えている。

一方伝記はラリー氏やスタン・ハンセン、テリー・ファンクら周囲の人間によるブロディ談話が随所に埋められた秀逸なドキュメントである。
著者がいずれもアメリカ本国で生活している人たちなので、内容もアメリカでのブロディの生活や信条が中心となっている。
馬場や猪木の名前も出てくるが、日本の関係者の談話は基本的に採り上げられていない。

さてそのプロレス。
我が国でもK-1や総合格闘技の台頭により、プロレス自体の人気凋落ははっきり現れており、ゴールデンにテレビ中継がなくなってどれくらいになるのか、思い出せないほどの状況だ。
加えてユセフ・トルコやターザン山本やミスター高橋など、身内の者がプロレス界の内幕を洗いざらい明らかにしてしまい、本国ではとっくにWWFが「演出ありきの総合エンターテイメント」としての定義を確立させて成功しているにも関わらず、日本では未だに全日本・新日本といった老舗団体が従来の興行スタイルを維持したままである。
(むしろハッスルやインディーズ団体のほうがその点の割り切りが早かった)

で、この本もブロディのたどってきたプロレスが、実は全て演出の上で成り立っていたことを前提に書かれている。
もはや「常に真剣勝負で強い者がチャンピオン」という昭和の前提は誰も信じていない。
たとえフィニッシュが事前に設定されていたとしても、結果として勝ち負けではなくプロセスで客を呼べるレスラーがのし上がっていく、という構造を、ブロディの哲学と理念と葛藤の紹介により明らかにしている。

プロレスは興行であり、プロモーターのチカラは絶大である。
レスラーがプロモーターの意向に逆らえば次からはお呼びがかからなくなり、プロモーター同士の横のつながりで他の興行にも出られなくなることもあるだろう。
その団体や興行のトップレスラーをあっさり負かしてしまうようでは困るのである。
ブロディもそうした「仕込み」「演出」と無縁だったわけではもちろんないだろう。
ただこの本には、そういう状況の中でも興行として成功させる最良のシナリオを、常にブロディは持っていたことをうかがわせる表現が随所に見られるのだ。

客を呼べるレスラーであることを充分自覚していたブロディは、自分を安売りするようなことはなかったようだ。
もちろん「あっさり負けてくれ」と言われてころころ負けてしまっては、ブロディの価値も下がってしまうどころか、興行そのものもどんどんダメになってしまう。
これはプロモーターや相手レスラーのためにもならない。
ブロディはそれを知っていて、常に興行側に戦いを挑んできたのだ。

これまでも多くのプロレス本を読んできたが、明らかにゴーストが書いてると思われる「レスラーの著書」だったり、特定のレスラーや団体にやたら肩入れした話ばっかだったり、ムチャクチャな暴露本でかえってどこまでがホントなのかわからないような、プロレスさながらのフィルターがかかった内容のものが大半だった。おもしろかったけどね。
しかしこの本に関しては、まずプロレスの興行としてのあり方をストレートに提示した上で、ブロディがいかに知的にギリギリのところまで反逆(創意工夫と言ってもよい)を試みたかが記されており、非常にリアリティを感じた。
刺した張本人のゴンザレスや、深くかかわっていたカルロス・コロンの証言がないのは取材の限界だろうが、それを割り引いても単純なブロディ絶賛本ではないところが、質の高さを感じさせるのである。

自分も含め、多くの昭和の少年はプロレスの様々な矛盾や疑惑に気づいてはいた。
悪役レスラーの露骨な反則の最中、なぜかリング内のゴミを拾っていて肝心の反則現場を見ていないジョー樋口・・・
タイトル戦で最後は必ずベルトを持って帰ることになっているハリー・レイスやリック・フレアー・・・
マードックの子牛の焼き印押しを必ず受けてしまう藤波・・・
それでも対戦を前にわくわくさせるレスラーやカードはたくさんあり、結果がどうあれ興奮させられたものだ。
その中で突出して強さや技を受けた側の痛みがものすごく伝わる「説得力のある」レスラーがブロディだった。

ブロディが亡くなって20年が経った。
自分はブロディの死を、「ズームイン!朝」で知った。
パンを食いながらテレビを見ていたのだが、徳光アナがブロディ死亡を伝えた時、持っていたパンを本当にタタミの上に「ぽとっ」と落としてしまったほどの衝撃だった。
その日の夕方、東スポを買ったらやはり1面にブロディ死亡の記事が出ていた。
やはり本当だったんだ・・・
そう思ってアパートでひとりチカラなく東スポの記事を読んだことを鮮明に覚えている。

この本の書名は少し変わっていて、「私の、知的反逆児」と句点が入っている。
何かの間違いかとも思ったが、あえて句点を入れたのだろう。
意図はわからないが、目を引くタイトルではある。
訳者は田中雅子という人だが、自分が読んだ限りでは、日本語としてあるいはブロディに関わる文章として、おかしいと感じた箇所は全くなかった。
もともと訳者はプロレスにかなり詳しい人か、または入念な下調べや校正が行われたものと思われる。
東邦出版は格闘技や音楽関連書籍をたくさん出している版元だが、こうした訳本が出せるのはさすがだと思う。

というわけで、読んでみた「ブルーザー・ブロディ 私の、知的反逆児」。
ブロディがもし今も存命であったなら、おそらくはレスラーとしては引退後、プロモーターとして手腕を発揮していたことでしょう。
あるいはジェシー・ベンチュラのように政治家になっていたかもしれません。
日本でただプロレス中継を見ていただけの自分にとっては、ある意味ビジネス書とか啓発モノを想起させるようなところがあります。
今はプロレスそのものからは遠ざかりつつある自分ですが、この本は元昭和のプロレス好き少年であれば間違いなく楽しめる一冊です。

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聴いてない 第123回 38スペシャル

先日三軒茶屋の中古CD店内で、キャロル・キングになじめなかったことをぷく先輩にほのめかしたら叱責され、あまりの聴いてなさぶりに「このままでは何も聴かないうちに人生が終わります」と医者から見放された患者のようにぷく先輩から罵倒されたSYUNJIですけど、みんな元気?(場内無反応)
どのくらいの知名度なのか想像がつきませんが、聴いてない38スペシャル。
5曲しか聴いてませんが、これは多いのか少ないのか今ひとつわかりません。

聴いているのは「Caught Up In You(想い焦がれて)」「If I'd Been The One(愛は消えても)」「Back Where You Belong(想いは果てしなく)」「Has There Ever Been A Good Goodbye」「Somebody Like You」である。
従って聴いてない度は3。

38スペシャルは70年代にフロリダで結成された、アメリカ南部の泥臭い音楽をやっていたバンドだそうだが、80年代に方向転換。
中心人物はドニー・ヴァン・ザントという人で、レイナード・スキナードのロニー・ヴァン・ザントの弟である。
と言われても、レイナード・スキナードは1曲も聴いてないので、この情報を仕入れたところでどうしようもないのだが。
自分が聴いてる38スペシャルの曲はいずれもボーカルがドン・バーンズで、方向転換後のバンドしか知らないということになる。
そのドン・バーンズが脱退し91年には解散したが、97年に再結成。
今はどうしてるのかわからない。

ヒットしていた当時、雑誌で彼らの演奏する姿の写真を見たことがあるが、長髪とヒゲを振り回してギターを弾く二人が写っていた。
南部のバンドってのはなんとなくヒゲ系が多いような気がしますが、どうなんでしょうか?
といっても南部のヒゲで他に思い当たるのはZZ TOPくらいなのだが・・・

子供の頃モデルガンに興味があった人なら、38スペシャルがどういう意味なのかはすぐわかるだろう。
カタギの日本人の実生活には全く縁のない話だが、これは38口径の拳銃のことである。
その昔(今でも?)少年漫画雑誌にはモデルガンの広告がたくさん載っていた。
それほど興味はなかったのだが、毎回見ているうちに「スミス&ウエッソン・チーフスペシャル」「コルト・ガバメント」「ワルサーP38」「バイソン・マグナム」なんてのは覚えてしまった。
当時の漫画の中にも拳銃の名前ってたまに出てきてましたね。
「ルパンIII世」のワルサーは有名だし、「ワイルド7」のオヤブンが持っていたのはバイソン、「ドーベルマン刑事」の加納が持っていたのはブラックホークである。

名前は物騒だけど奏でる音楽は非常に美しい38スペシャル。
産業ロックと揶揄されるムキもあるが、あたしは好きです。産業上等。(←意味不明)
そのわりにアルバムは全然聴いてないですけど。
彼らのサウンドの美しさは、ツイン・ギターにあるようだ。
「想い焦がれて」のギターサウンドはとても親しみやすい。
驚いたことにこのバンドはドラムも二人だそうだ。

さてその「想い焦がれて」には思い出が二つある。
ひとつは学校の体育祭で、よそのクラスの女子が踊りのBGMにこの曲を使っていたこと。
この風景を少し高いところから後輩の女の子と二人で見ていたのだが、自分の中では勝手に「もしかしてオレたちって、今いい雰囲気?」と思っていて、踊りもそっちのけでワクワクしていたのだった。
しかしすぐあとでそれは自分の勝手な思いこみであったことが判明し、がっかりしたことを覚えている。

もうひとつの思い出は、この曲をエアチェックした60分テープをクルマで聴こうと思ってカーステレオのデッキに入れたら、ちょうどこの曲のあたりでテープがデッキの中にからんでしまったこと。
あわてて引きずり出したのだが、テープはぐっちゃんぐっちゃん。
なあ、ぐっちゃんぐっちゃんだったんだろ?(by四丁目の夕日←誰もわかんないって)
幸いテープは切れなかったので、別のテープに全部録音しなおしたのだが、さすがに「想い焦がれて」だけは途中で激しくぐっちゃんぐっちゃんに音が乱れてしまい、後で聴く度に悲しい気持ちになった。
それでもこの曲は好きだったので、消す気にはならなかったのである。

そんなわけでほめてるくせに聴いてない38スペシャル。
ベスト盤だけ聴けば充分という気もしますが、聴くとしたらやはり「Special Forces」「Strength In Numbers」といったヒットアルバムでしょうか。
あ、その前にそもそもレイナード・スキナードも聴いておかないといけないのでしょうか・・・

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聴いてない 第122回 スコーピオンズ

「さそり」と聞いて美川憲一と長州力しか思い浮かばない昭和なあたしですが、そんなレベルなので当然聴いてないスコーピオンズ。
もはや誰も驚かないでしょうけど、全く聴いてません。
1曲も知らない。
よって聴いてない度は1。

スコーピオンズについて知っている情報を述べよ。
・ドイツのメタルバンドである
・リーダーはルドルフ・シェンカー
・弟のマイケル・シェンカーも一時期在籍していた
・ウリ・ジョン・ロートが在籍していたことがある(在籍中はウルリッヒ・ロート)
・ジャケットにヤバイのが多い

こちらからは以上です。スタジオにお返しします。

・・・・まあご覧のとおり、結局ほとんど知らないバンドであります。
そんなのスコーピオンズだけじゃないんですけど。
ここまで「聴いてみた」シリーズをやってきて、意外に自分の好みがハード系に寄っていることを再確認したので、もしかしてスコーピオンズも案外イケるんじゃないの?と甘~い考えでいるのですが・・・

まずはまじめにスコーピオンズ情報を仕入れることから始めましょう。
自分の場合、情報を仕入れたまま放置のアーチストも多いですが・・・

スコーピオンズ、結成は1971年、アルバムデビューが翌年。
ただしバンドの原型はすでに1965年にはできていたらしい。
リーダーのルドルフは弟想いで有名だそうで、弟マイケルが精神的に破裂しちゃったりバンドを脱退したり戻ったりしても決して責めたりしないとのこと。
日本での知名度はたぶんマイケルのほうが上だろう。
ルドルフ・シェンカーはギターもボーカルもこなす実力者ミュージシャンだが、マイケルやウリといった神技ギタリストや、クラウス・マイネの高品質ボーカルにより、相対的に評価が低くなりがちなのだとか。

アルバムは邦題が「蠍団」シリーズとなっており、「恐怖」「電撃」「復讐」「狂熱」などの大仁田っぽい文字がついた名前になっている。
で、ジャケットの絵がワイセツだという理由で差し替えられてばかりなのだが、いずれも日本では案外パスしちゃってふつうに売られたようだ。
有名な「Virgin Killer」「Animal Magnetism」の絵柄は、聴いてない自分でも見覚えがある。
ジャケットが有名でも中身の評価はそれに追いついてないアルバムもわりとあるみたいですけど・・・

バンドは現在も進行形で、90年代以降はデジタルサウンドに傾倒したりオーケストラと競演したりアコースティックなライブ盤を発表したり、意欲的な活動をしてるらしい。
評判はイマイチだそうですが・・

ここまでの情報はいずれも初めて聞く話ばかり。
現在進行形ってのも全然知りませんでした。
しかも最近よくある「懐かしのメンバーで再結成!!」ってなノリではなく、21世紀に入ってからも上記のライブアルバムなどを出して活動を継続してきている。
さらに驚いたことに昨年10月にも来日して、渋谷のライブハウスでオールスタンディングのライブを行ったそうです。
しかも一夜限り。

スコーピオンズを調べてるとわかるのだが、弟マイケルの情報もけっこう書いてあるサイトが多い。
ここ数年のマイケルは、ライブの途中で妙な言い訳とともに演奏やめて帰っちゃったり、ツアーの途中で失踪したりといった、やれやれな行動が多いようだ。
その一方でルドルフ兄さんは若干地味ではあるがちゃんとバンドを維持させており、堅実なドイツ人による堅実なバンド経営を見事に体現していると言えよう。

そんなわけで、メタルやワイセツジャケットといったアナーキーなイメージが先行して勝手に遠ざけていましたスコーピオンズ。
楽曲についてはまだ何の知識もありませんが、先日もマイケル・シェンカー・グループを1枚こなしたばかりなので、なんだかお兄さんのバンドも案外聴けそうな気がしてきました。(増長)
こんな初心者でも楽しめそうなアルバムがあれば、ご指導いただきたいと思います。


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