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読んでみた 第23回 ブラック・ナイト リッチー・ブラックモア伝

みなさん、こんばんは。
パープル・ファミリーのもめ事ファンのSYUNJIといいます。
今回そんなあたしにとって、まさに教典とも言うべきナイスでファンキーな本を発見しました。
ブラック・ナイト リッチー・ブラックモア伝」。
もう題名だけで笑いが止まらない、リッチー御大の波乱と闘争といたずらに満ちあふれた半生を綴った幸せの福音書です。
自分でも何を言ってるのかよくわかりません。
あらかじめお断りしておきますが、今日のエントリは終始こんな調子で非常におかしなテンションですので、どうかご了承下さい・・・

Blackmore

ジェリー・ブルームス著、上西園誠訳、416ページの超大作。
はっきり言って重いです。
電車の中で立って片手で読むのは苦痛ですが、御大のためなら耐えられるでしょう。
発行は我らがシンコーミュージック・エンタテイメント、定価2800円。
黒っぽい装丁は読む前からわくわくさせてくれます。
しかも見返しは紫色というベタな演出。
さすがシンコー、スキがありません。

リッチーのステキな悪の教典、実は出版されたことは不覚にも知りませんでした。
図書館の新刊コーナーにふつうに置いてあったのを発見。
おそらく自分が一番乗りで借りています。
もう返すつもりはありません。(ウソです)
いやあM市立図書館のバイヤー(っているのか?)、実にグッジョブなチョイスです。
のびるよ、この子は!!(偉そう)
税金の有効な使い方をよくわかってます。

御大の蛮行狼藉の大ファンを自認するあたしですが、まだまだ知らないエピソードもたくさんあるはずです。
果たしてあたしはリッチー検定に見事合格できるのでしょうか。

・・・・・読んでみた。

生い立ちからアウトローズなどの下積み時代を経て、パープル、レインボー、またパープル、またレインボー、ブラックモアズ・ナイトまでを18章に分けて克明に記録している。
本人へのインタビューが中心ではあるが、時代ごとの関係者や業界人の証言も多数登場しており、相当切り込んだ素晴らしいルポルタージュだ。

結論から言って全編大爆笑である。
3ページに1回くらい笑えます。そんなのあたしだけでしょうけど。
音楽活動におけるリッチーのすごさは今さら説明の必要なんかないだろう。
たくさんの伝説や逸話が紹介されているが、やはり楽しいのは他のミュージシャンとの関係話だ。

たとえばクラプトン
この二人の関係はけっこう微妙だ。
お互い若い頃、リッチー自身はクラプトンの音楽性には大して興味はなかったそうだが、クラプトンはリッチーも同じ日のライブに出演することを知ると、ひどくいらいらしたらしい。
リッチーが一人で全部の客を引きつけてしまい、他のバンドやギタリストはやりにくくてしょうがなかった、ということのようだ。
神様と呼ばれたクラプトンも、リッチーの腕のすごさは脅威に思っていたということだろう。

リッチーのクラプトン評価は意外と厳しく、ヤードバーズやクリームで不動の地位を築いてきたクラプトンについて、「たいがいのパブに行けば、あのくらいの腕のやつはざらにいた」という意見だった。
後にクリームの前座をパープルがつとめた時、リッチーのものすごい演奏がメインのクリームを完全に食ってしまい、クリームはパープルの人気を気に入らずツアー同行からはずしたこともあった。
ただ二人は決して仲が悪かったわけではなく、リッチー36歳の誕生日にはクラプトンからアヒルのおもちゃ(木製)をもらい、数日間はアヒルをひきずって歩くリッチーの姿が見られたそうだ。

たとえばペイジ
この本には残念ながら思ったほどジミー・ペイジの名前は出てこない。
でもリッチーは下積み時代にはペイジのことはむちゃくちゃ意識してて、同じ日のライブにペイジも出演することを知ると、「ジミーが来てる。負けられない!」と言ったらしい。
残念ながらペイジを殴ったりしたことはないようだが、若い頃からライバルとして尊敬していたようだ。

リッチーと言えばいたずら。
実際やられたほうはたまったもんじゃないような度を超したいたずらを、バンドのメンバーやスタッフや一般人にまでしかけてきた、という話がとにかく何度も出てくる。
若い頃は移動中のクルマの窓から小麦粉入りの袋を通行人に命中させることに熱中。(ひでぇ・・)
レインボー時代には新入りのトニー・カレイに、あたかも霊のしわざと思わせる手のこんだいたずらをしかけて結局追い出したり。(ひでぇ・・)
ホテルの壁灯の中にうんこを仕込み、メンバーが夜ホテルに戻ってあかりをつけると、熱でどんどんニオイがひろがってきて、しかけられたメンバーはどこから臭ってくるのかわからず、パニックになってフロントに訴える、といういたずらも。(ひでぇええ・・)
今の人権団体が聞いたら卒倒しそうな御大の華麗なる蛮行の数々、本当に素晴らしいですね。

メンバーとの諍いはいつの時代にもあったようだが、やはりレインボー時代の話が一番おもしろい。
ロニー・ジェイムス・ディオをクビにした後、かつての盟友かつ宿敵のイアン・ギランにレインボー加入を依頼するくだりは本当に爆笑ものである。
リッチーはこの件でわざわざギランの家をたずね、夜も酒を飲みながら話しこんだ。
ギランは「いやあたずねてきてくれるなんてうれしいよリッチー」とけっこう喜んだのだが、リッチー自身はホントにこれがイイ話なのか疑問にも思い、心の中は「くそっ!オレはいったい何をやってるんだ」と葛藤していたのだった。
結局ギランはレインボーには加入はしなかったんですね。
御大の揺れ動く胸中がつぶさに表現された感動秘話だと思う。

デヴィッド・カバーディルとの確執はもっと野蛮で楽しい。
三頭体制の頃、リッチーはカバがことあるごとにマスコミにリッチーやレインボーをけなすような発言をしていたことが許せなかった。
カバがホワイトスネイクのニュー・アルバムについて聞かれると「レインボーよりもいいよ」といった答え方をする、といったことがいちいち気にさわったらしい。
そんなある日、たまたまあるコンサート会場でカバと激突。
ライブが終わったリッチー、通路で女と話し込むカバ発見。
血が上った御大、襟首つかんでつまみだそうとしたがカバは背が高く(爆笑)、二人はもみあいになって廊下に倒れ込む。
「クソ野郎」「死ね」(原文ママ・大爆笑)の罵声が飛び交うすぐそばに、なぜか非常にくつろいでガールフレンドと会話中のクイーンのロジャー・テイラー。(大爆笑)
結局カバはリッチーめがけてパンチを出したところ、止めに入ったプロモーターをぶん殴ってしまった、というエピソード。

このバトルの描写はとにかく笑えるのだが、現場の状況説明で「ロジャー・テイラーとベースの男がいた」というリッチーの証言の表現に、非常にリアルなものを感じた。
おそらく本当にリッチーは著者にそう話したのだろう。
「ベースの男」とはもちろんジョン・ディーコンだが、リッチーにしてみれば印象の薄いジョンの名前が出てこなかったか、本当に知らなかったんだと思う。
訳でもここを「ロジャーとジョン」と直さなかったのは秀逸な編集だ。

巻頭と真ん中あたりに写真ページが少しあるのだが、やはりリッチーって笑顔の写真が少ないですね。
若い頃の写真でもほとんど笑っておらず、いつもこんな表情で道行く人に小麦粉をぶつけていたのだろうか。
怖い・・・

リッチーが実はアバのファンだという話はかなり有名だが、この本にもそれはちゃんと書いてある。
アグネタとのコラボのような企画も話としてはあったそうだ。
パープルやレインボー時代のリッチーだと、アバとのコラボなんてちょっと想像しにくいが、ブラックモアズ・ナイトをもう10年も続けているのを思えば、案外実現しても受けは良かったかもしれない。

著者は本の最後で、宿敵イアン・ギランがもっとも鋭くリッチーという人間を分析していたことを明かしている。
ギランによればリッチーは「とても不安定で心のどこかに壁を作り人と交わるのを嫌う」が、「関わったプロジェクトに対する貢献度の高さ」や「ギターの腕前は誰よりも高い能力を持っている」ことを認めている。
ギランが「煎じ詰めて行き着いた結論」にはうなりました。
「あの男がいなかったら、人生ってやつは退屈になるんじゃないか?」

ということで、大笑いさせてもらった「ブラック・ナイト リッチー・ブラックモア伝」。
これまでビートルズやツェッペリンやクラプトンの伝記本などいろいろ読んできたが、やはりこの本はそれらとはステージが全然違う。
ますます御大のファンになりました。(薄っぺらい・・)
リッチーと著者の名誉のために言っておくが、もちろんリッチーの音楽に対する情熱や演奏技術の素晴らしさもたくさん書いてあるんですよ。(もう遅いよ)
多くの人が音楽も性格も行動も頭髪も「この世の人間とは思えない」という評価をしている、リッチー・ブラックモア。
これを超えるような爆笑本はもう出ないんじゃないかと本気で思います。

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コメント

ハードカバーを図書館で借りても期間内に読む時間がなく結局未読のまま返してしまうことが多いぷくちゃんといいます。

さすが読書家SYUNJI・・・・

リッチーのアバ・ファンってのは知っていました。私、パープルがZEPと似たような人気、いやそれ以上の人気を日本では誇っていたのは、案外リッチーの作曲技術の腕前だと思っていました。

メロディラインが実はPOP。アバに似たようなところを見つけていたのではないでしょうか。

ところで選手権へのコメントは?(←元祖おねだり妻)

投稿 ぷくちゃん | 2008.05.17 12:26 午後

こんにちは、SYUNJIさん。

これでしたか、もうひとつのミュージシャン本は。

>「あの男がいなかったら、人生ってやつは退屈になるんじゃないか?」

なるほど。

SYUNJIさんのブログ読んだだけで、本書を読んだ気にさせてくれます。面白かったです。

人から聞いたリッチーのエピソードがあります。
その人は名古屋のレインボーのコンサートに行ったのですが、アンコールでリッチー以外のメンバーはステージに出てきたのですが、リッチーが出てこなかったそうです(ドラムはイントロ部分を叩いていたそうですが)。でアンコールは中止となったそうです(笑)。

投稿 JT | 2008.05.17 02:04 午後

読書家ぷく先輩、コメント感謝です。
あたしは読書家といった人種から対極にいるようなヤツです。
「大地」も「デカメロン」も読んでいませんので・・

>私、パープルがZEPと似たような人気、いやそれ以上の人気を日本では誇っていたのは、案外リッチーの作曲技術の腕前だと思っていました。

同感です。
今でも日本でCMに使われるのは圧倒的にパープルのほうが多い(というかツェッペリンてCMに使われたことあったっけ?)のですが、やはり日本ではパープルのキャッチーさが認められているのだと思います。

JTさん、コメント感謝です。
はい、読んだのはこの本です。
感想を世界中に発信したくてウズウズしていました。

>SYUNJIさんのブログ読んだだけで、本書を読んだ気にさせてくれます。面白かったです。

いやいや、あたしの文章なんて本書のおもしろさの1/1000も表現できてませんよ。
ぜひお近くの書店でお求めを・・(おめえ買ってねえじゃんかよ!byぷく)

>アンコールでリッチー以外のメンバーはステージに出てきたのですが、リッチーが出てこなかったそうです

そうですか・・それはきっとリッチーはいたずらの仕込みに入ったか、楽屋でカバを発見したかどちらかではないかと思います。

投稿 SYUNJI | 2008.05.17 06:18 午後

SYUNJIさん、こんばんは。

実に面白そうな本ですね。音楽関係よりワイドショー的な内容に興味を惹かれます。(おいおい)
けっこうおちゃめな人間だったのですね、リッチー。

リッチーと言えば、80年代初め頃に音楽雑誌のインタビュー記事で、記者相手に紙に書いた数字をズバリ当てるという「黒魔術?」を披露して得意げだったのを今も覚えています。
当時10代だった私、「おぉー!凄いー!」と驚愕しました。

今では、そんなマジックをよくTVでやっていますが。(苦笑)

投稿 Junk | 2008.05.17 06:54 午後

Junkさん、コメント感謝です。

>けっこうおちゃめな人間だったのですね、リッチー。

う~ん、おちゃめと呼ぶには少し度を越したいたずらが多いみたいですけど・・
日本人には理解しづらいですが、どうやら英国人特有のユーモアセンスというのもあるようで、コージーとはいたずらする時だけは気が合い、このセンスにもついていけなかった米国人トニー・カレイは、彼らのあまりのひどさに父親に電話して「アメリカに帰りたい・・」と泣きを入れて航空券を送ってもらったそうです・・(爆笑)

>当時10代だった私、「おぉー!凄いー!」と驚愕しました。

おおー!そうなんですか?
そんなの見せられたら、あたしゃ今でもたぶん「凄いー!」と言ってしまうと思いますが・・

投稿 SYUNJI | 2008.05.17 09:57 午後

ナイスな本ですねぇ。
さすが、シンコー。ここ、以前からリッチー本を何種類か出していましたよね。どれも読んだことありませんが・・・

でもこれは、そんな私でも読みたいです。グラハム・ボネットやドン・エイリーなど、第二期レインボーのことも書かれているでしょうから(実際のところどうですか?)。

> この本には残念ながら思ったほどジミー・ペイジの名前は出てこない。

私の勝手な想像ですが、リッチーという人は今に至るまでジミー・ペイジをむちゃくちゃ意識している(成功を妬んでいる、ともいう・・・笑)のではないか、と。おそらく、ジミーの話題を出すことは、それ即ち、自分のいやらしい部分をさらけ出すことになり、これまでもこれからも、(インタビューなどを含めても)敢えて振れないようにしている(いた)のではないか、と思うんですよ。

ぜーったい、意識してないわけないですよ。(←妙な確信)

投稿 ルドっち | 2008.05.19 10:06 午前

リッチーが、アバファンっていうのはきいたことがあったのですが、本当だったんですね。

この本、読んでみたいです。
新刊なんですね。図書館、探してみようと思います♪

投稿 はまっこ | 2008.05.19 12:07 午後

ルドっちさん、コメント感謝です。

第二期レインボーですが、例の「リッチーはグラハムのセンスが気に入らなかった話」が書いてありました。
ただリッチーがギターでグラハムのアタマをぶん殴ったというのは、本人によると「殴る寸前だった」とありました。
真相はいかに・・・

>ぜーったい、意識してないわけないですよ。(←妙な確信)

同感です。(知り合い?)
確かシンコーのパープル本だったと思いますが、リッチーの「ペイジをライバルと思ったことはない」という発言を読んだことがあります。
まあそう言ってしまうところが、充分ペイジを意識してる裏返しでもあるんでしょうけど・・
ツェッペリン本も何冊か読んだことがありますが、こっちはパープルの話はまず出てきませんね。
ペイジがリッチーについて公に語ったことなんてあるんでしょうかね?

はまっこさん、こんばんは。

>リッチーが、アバファンっていうのはきいたことがあったのですが、本当だったんですね。

リッチーは真剣にコラボも考えていたようです。
他のメンバーが引くくらい入れ込んでいたという話ですが・・
実現していたら、ブラックモアズ・ナイト以上のインパクトだったでしょうね。

投稿 SYUNJI | 2008.05.21 12:06 午前

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