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聴いてみた 第48回 プリテンダーズ

今回聴いてみたのはプリテンダーズ
昨年モンスリー師匠の案内で大阪は梅田の中古CD店を巡り歩くイベントがあったのですが、その時に買ったプリテンダーズの「Get Close」、ようやく聴いてみました。

Getclose

バンドとしては4枚目となるこの作品、大ヒットの「Don't Get Me Wrong」が収録されており、おそらくアルバムとしても最も売れたものだろう。
クリッシー・ハインドはアメリカ人だが、バンドデビューはイギリスであり、サウンドも初めはパンクの影響を受けた荒っぽいものだったらしい。
この作品ではポップな音になっており、時代の流れにうまく乗った形でヒットした、ということのようだ。
プロデューサーにはボブ・クリアマウンテンを起用しており、彼の功績も大きいと思われる。
・・・といったあたりがネットで得られる評価なのだが、果たしてどうなのだろうか。

・・・・・聴いてみた。

1. My Baby
この曲がプリテンダーズの中で一番好きだ。(全部で3曲くらしか聴いてなかったけど)
イントロの美しいギターはケルト民謡の音を使ったものだそうだ。
エンディングに歓声が入っているのだが、録音そのものがライブというわけではなさそうで、スタジオ録音に歓声をかぶせた演出なのではないかと思う。
メロディは意外に単調なのだが、細かい音の仕込みが聞こえて飽きない。

2. When I Change My Life
この曲も音がきれいだ。
川の流れのような印象を受けるのは、ワルツのようなテンポだからだろうか。
クリッシーの低い声にマッチしており、80年代の曲という感じがする。

3. Light of the Moon(月の光)
リズムはけっこう単調だが、かなりいろんな音が聞こえる。
アレンジも相当きいていて、あちこちでサウンドが少しゆがんだりする。
プリテンダーズってもう少し素朴で正統なロックだと勝手に思っていたのだが、こんな曲もあるのか・・と思う。

4. Dance!
この曲はもっと変わっている。
聞こえるのはほとんどギターサウンドなのだが、これもかなり音をいじっており、左右に振り回したりモワモワとひずませたりしている。
「ダンス!」というかけ声が繰り返されるが、調子そのものは思ったほど楽しい感じではなく、むしろ踊りにくいんじゃないかと思う。

5. Tradition of Love(愛の伝説)
これも楽しい感じではないが、エコーのせいか音に奥行きがあり、ボーカルも左右のあちこちから次々にやってくる壮大なイメージの曲だ。
エンディング近くに「どこかで聴いたことがある・・・」というメロディがコラージュされているような気がするのだが、思い出せない・・・

6. Don't Get Me Wrong
ご存じ大ヒットソング。
「んちゃか・んちゃか・んちゃか・んちゃか」という、レゲエを早くしたような独特のリズム、こっちのほうがずっと踊りやすいような気がする。
楽しいサウンドだが、歌詞は意外にナイーブで、少し不安な女性の気持ちを歌った内容である。
クリッシーのごついイメージとはちょっと違うような歌だ。

7. I Remember You
なんとなく脳天気なレゲエっぽいリズムとキーボード。
このキーボードはけっこう大きな音でビブラートをきかせて鳴り続けており、慣れないと少し耳障りだ。

8. How Much Did You Get for Your Soul?
このファンキーな曲は聴いたことがある。
ビートに乗せて短いフレーズで呼びかけるように歌うクリッシー。
予想どおりエンディングはバシっと終わる。

9. Chill Factor
この曲だけブルース調なのだが、聴いて思い出したのはパット・ベネターだ。
パットのアルバムに全編ブルースというのがあったが、サウンドといい声の感じといい、かなり近いものを感じる。
コーラスの太いオトコの声はちょっと違うような・・・

10. Hymn to Her(聖歌)
静かな歌い出しで始まるバラード。
中盤から徐々に盛り上がってくる壮大な音に、「ああ80年代ってこういう曲がいっぱいあったなぁ・・」と感慨にふけることができる中年殺しな一曲。

11. Room Full of Mirrors
ラストはアップテンポに走り抜けるロック。
夜の街をクルマでとばすような疾走感。
目の前をよぎるネオンやヘッドライト・・・といったイメージ。
エンディングはかなり淡泊で、曲調も明るくはないので、これで終わるのはちょっと中途半端だ。

通して聴いてみると、かなりバラエティに富んだアルバムだと感じる。
ポップあり、ロックあり、レゲエ調あり、ファンクあり、ブルースにバラード。
繰り返しになるが、プリテンダーズはもっとギター中心の伝統的ロックが多いのかと思っていたが、このアルバムはそうではないようである。

80年代らしく音にかなりアレンジが効かせてあり、感覚的には懐かしさを覚える。
このあたりはセールスを意識したプロデュース戦略もありそうな気はしました。

感想。
初めてまともに聴いてみたのだが、案外ポップでいろいろな曲があり、クリッシーはかなり器用なアーチストだと感じた。
バラエティに富んではいるが、「When I Change My Life」「Hymn to Her」のようなおだやかな曲のほうがいい。
ムリしてロックやファンクをせんでも、バラードやポップで充分クリッシーの魅力は伝わるし、むしろそういった女性らしい包み込むようなやさしさにあふれた歌声のほうが好きだ。
ただやはり聴き慣れていたせいか、「My Baby」「Don't Get Me Wrong」を超えるような曲はなかったと思いました。

というわけでプリテンダーズ。
どこのサイトでも「アネゴ」「姐さん」など、どこか極道チックな表現で書かれるクリッシー・ハインド。
自分のイメージもそんなもんだったのですが、そういう面だけがクリッシーではない、ということがわかったのはかなり収穫だったと思いました。
この80年代っぽさにまみれたサウンドは、彼女らのキャリアの中でどう評価されてるのか、知りたい気もします。
次はデビューアルバムも聴いてみようかと思います。

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コメント

デビュー・アルバムはリアルで買いました。ポリス同様、パンクの仮面かぶっていたので。その中ではポリスぐらい聴きやすかったので・・・あの当時パンク(らしきもの)聴いていないと仲間外れでした。

さてその後・・・クリッシーは私のキンクスのレイ・デイビスを骨抜きにした女性としか思っていません。(爆)

もう振られた後のレイ。ひどい有様でした。

追記:先日、会えなかったから今年のニュースベスト5には入らないのでしょうね。(なんじゃそりゃ)

投稿: ぷくちゃん | 2008.05.05 09:04

先輩のレイ・デイビスへの限りなき入れ込みようにただならぬ男の決意を感じるSYUNJIです。(適当)

>もう振られた後のレイ。ひどい有様でした。

そうですか・・そんなことを世界中に知られてしまうレイさんも気の毒ですなぁ・・
で、結局先輩はプリテンダーズはデビューアルバム以降は聴いてない、ということスか?

>先日、会えなかったから今年のニュースベスト5には入らないのでしょうね。

先輩、毎年気が早いスね。
ベスト5入りを狙って年内に再度上京をお願いします。

投稿: SYUNJI | 2008.05.05 15:18

SYUNJIさん、こんばんは。

私、プリテンダーズ大好きです。何せ、デビー・ハリー、パット・ベネター、そしてクリッシー・ハインドという3女性を愛する男ですから。(笑)
デビュー作から、90年?の『PACKED!』までは熱心に聴いていましたが、それ以降はクリッシーのソロプロジェクトっぽくて、ほとんど聴いていません。

個人的には、それまでのアルバムにあったバンドとしてのパワー・熱気が薄れて、ちょっと洗練されすぎている感じがして、SYUNJIさんが聴かれた『GET CLOSE』はいまいち好きではありません。ヒットした「Don't Get Me Wrong」も大好きとは言えないですね。
プリテンダーズが、時代の流れに乗ってしまった・・って感じで。

>女性らしい包み込むようなやさしさにあふれた歌声のほうが好きだ。

う~ん、そうですか・・・そうなると、ちょっと困ったりします。(苦笑)
でも敢えて、70年代後半のパンク・ニューウェーヴの雰囲気がグッと来るファーストと、個人的には最高傑作と思っている良い意味でバランスよくまとまっている3枚目をお薦めします。

やはり3枚目までのバンド・サウンドが、私の中ではプリテンダーズです。

投稿: Junk | 2008.05.05 18:40

Junkさん、コメント感謝です。

>私、プリテンダーズ大好きです。何せ、デビー・ハリー、パット・ベネター、そしてクリッシー・ハインドという3女性を愛する男ですから。(笑)

そうでしたか・・デボラ・ハリーはあたしも好きですが、パット・ベネターはアルバムは全く聴いてません・・

>プリテンダーズが、時代の流れに乗ってしまった・・って感じで。

ネットでも同様の評価は多いように思いました。
デビュー当時からのファンにとっては、「Get Close」はややミーハーな感じなんですかね。
ミーハーなあたしにはむしろ聴きやすかったのかもしれません。

>70年代後半のパンク・ニューウェーヴの雰囲気がグッと来るファースト

これは聴かねばなりませんね。
これを聴いて初めてプリテンダーズを「聴いてみた」と言えそうですね。

投稿: SYUNJI | 2008.05.05 23:31

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