聴いてみた 第49回 マイケル・シェンカー・グループ
今回聴いてみたのは、今さらながらマイケル・シェンカー・グループ。
80年代から彼の名前も顔も知ってはいたが、なぜか勝手に遠ざけてしまっていた。
チャートに頻繁に登場するようなアーチストではないというのも理由のひとつだ。
聴いてないシリーズを始めて4年半ほどですが、マイケル神は非常に早い登場だったのです。
それだけ「聴いてない自覚」は充分すぎるほどあったのだが、それでも全く聴く気は起こらなかった。
で、先日近所の中古CD店を久々に訪問し、安かったので衝動買いしてみました。
買ったのは「Michael Schenker Group」。
一応バンドとしてはファースト・アルバムということらしい。
UFOにいたマイケルが精神的に疲弊して一時期失踪し、このアルバムで復活をとげたので、「帰ってきた神」という扱いのようだ。
マイケルにしろクラプトンにしろ、ロック界で神と呼ばれる人はけっこう浮き沈みが激しいもんなのだね。
神をつとめるのもラクじゃないってことでしょうか。
さてメンバーにはサイモン・フィリップスやドン・エイリーがおり、プロデュースはあのロジャー・グローバー爺である。
役者がそろったこのアルバム、果たして帰ってきたフライングVはどんなプレイを聴かせてくれるのでしょうか。(知ったかぶり)
・・・・・聴いてみた。
1. Armed And Ready
比較的直球なロック・ナンバー。
マイケルのギターは振り幅は大きくはないが、かなりイイ感じだ。
これが噂のフライングVですか・・・
全部聴いてみた後でわかるのだが、この曲が一番楽しそうだ。
2. Cry For The Nations
この曲だけ実は聴いたことがあった。
去年富士宮に行った時、クルマの中でルドルフ・コレクションを聴いて発覚したのだ。
自分が聴いてたくらいだから相当有名な曲のはずだ。
ギターは高音のリフにポイントがある。
ボーカルやリズム隊との一体感はものすごく堅い。
3. Victim Of Illusion
この曲はやや低めのぎんぎんとしたリフから始まり、間奏には高音の刻み。
どうやらマイケル神の本領はこのシンプルではかなげなサウンドにあるようだ。
4. Bijou Pleasurette
もの悲しい調べのインストナンバー。
3曲目までとは違い、ここで初めてギターが二重三重に重ねられている。
5. Feels Like A Good Thing
躍動感に満ちたリズムに、ボーカルの後を追うギター。
この曲のギターはなんとなくペイジを思わせる。
6. Into The Arena
これもインスト。
小刻みなリズムの連続だが、サウンドは結構いろいろでいくつかの章に分かれて構成されている。
エンディングは壮大だが、マイケルのキレ気味なギターがからまっており、最後まで非常に聴かせる一曲だ。
7. Looking Out From Nowhere
雰囲気は「Cry For The Nations」に少し似ている。
ギターばかり注意して聴いていたが、ボーカルのゲイリー・バーデン、シャウトの声量は少し足りないように思う。
この人の声はポール・スタンレーに少し似ている。
8. Tales Of Mystery
哀愁漂うバラード。
全体をホールドするのはアコースティックギターの音色なのだが、後方真ん中あたりにやはりマイケルがいて、高低差のあるエレクトリックなサウンドを響かせている。
エンディングが若干物足りない。
9. Lost Horizons
イントロの「ばんばん!・・・・ばんばん!・・・・」というリズムは、ツェッペリンの「Good Times Bad Times」を思わせる。
途中も「幻惑されて」のような進行があり、ところどころで「大丈夫なのか?マイケル・・・」と思わせる曲。
あたしが勝手に不安がってるだけですが。
それなりに盛り上がって来るのはいいのだが、ツェッペリンほど楽しそうではない。
フライングVの存在感はものすごく大きく、ボーカルやコーラスやドラムとの組み合わせはかなりがっちりしている。
聴いてみて退屈だと思う曲は全くない。
これは「聴いてみたシリーズ」でもわりと珍しい現象だ。
マイケルのギターもさすが神と呼ばれるだけあって重厚で多彩なサウンドである。
楽曲としての堅さは非常に水準が高いと思う。
各パートが突出してすごいといった印象ではないのだが、総合的な楽曲としてのレベルはとても高いと思う。
ボーカルのゲイリー・バーデン、声量や迫力はそれほど鋭いものは感じないが、嫌いなタイプではない。
評価の大半はマイケル神に向けられるので、ネットでもボーカルを絶賛するようなサイトは見あたらなかったが、ギターや他の楽器との相性もいい感じである。
ただ、アルバム全体を覆う雰囲気はどこか憂いに満ちていて孤高で寂しいイメージだ。
楽しく愉快な音楽というジャンルではないのは当然だが、パープルやツェッペリンのような毒っぽい波動もそれほどなく、悲哀・孤独・寂寞・悲嘆・歯医者といった悲しい漢字を当てたくなるような切ない感覚。
いや、歯医者はあたしが苦手なだけですけど。
これがマイケル神の持ち味なんだろうか。(決して悪くはないが・・)
そんなわけで、初めてまともに聴いてみたマイケル・シェンカー・グループ。
この音なら他のアルバムでもまず問題なく聴けそうな気がします。
今まで遠ざけていたのがアホらしくなってきました。
次はコージー在籍時のサウンドをチェックしてみようかと思います。
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