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聴いてみた 第49回 マイケル・シェンカー・グループ

今回聴いてみたのは、今さらながらマイケル・シェンカー・グループ
80年代から彼の名前も顔も知ってはいたが、なぜか勝手に遠ざけてしまっていた。
チャートに頻繁に登場するようなアーチストではないというのも理由のひとつだ。
聴いてないシリーズを始めて4年半ほどですが、マイケル神は非常に早い登場だったのです。
それだけ「聴いてない自覚」は充分すぎるほどあったのだが、それでも全く聴く気は起こらなかった。
で、先日近所の中古CD店を久々に訪問し、安かったので衝動買いしてみました。

Michael

買ったのは「Michael Schenker Group」。
一応バンドとしてはファースト・アルバムということらしい。
UFOにいたマイケルが精神的に疲弊して一時期失踪し、このアルバムで復活をとげたので、「帰ってきた神」という扱いのようだ。
マイケルにしろクラプトンにしろ、ロック界で神と呼ばれる人はけっこう浮き沈みが激しいもんなのだね。
神をつとめるのもラクじゃないってことでしょうか。
さてメンバーにはサイモン・フィリップスやドン・エイリーがおり、プロデュースはあのロジャー・グローバー爺である。
役者がそろったこのアルバム、果たして帰ってきたフライングVはどんなプレイを聴かせてくれるのでしょうか。(知ったかぶり)

・・・・・聴いてみた。

1. Armed And Ready
比較的直球なロック・ナンバー。
マイケルのギターは振り幅は大きくはないが、かなりイイ感じだ。
これが噂のフライングVですか・・・
全部聴いてみた後でわかるのだが、この曲が一番楽しそうだ。

2. Cry For The Nations
この曲だけ実は聴いたことがあった。
去年富士宮に行った時、クルマの中でルドルフ・コレクションを聴いて発覚したのだ。
自分が聴いてたくらいだから相当有名な曲のはずだ。
ギターは高音のリフにポイントがある。
ボーカルやリズム隊との一体感はものすごく堅い。

3. Victim Of Illusion
この曲はやや低めのぎんぎんとしたリフから始まり、間奏には高音の刻み。
どうやらマイケル神の本領はこのシンプルではかなげなサウンドにあるようだ。

4. Bijou Pleasurette
もの悲しい調べのインストナンバー。
3曲目までとは違い、ここで初めてギターが二重三重に重ねられている。

5. Feels Like A Good Thing
躍動感に満ちたリズムに、ボーカルの後を追うギター。
この曲のギターはなんとなくペイジを思わせる。

6. Into The Arena
これもインスト。
小刻みなリズムの連続だが、サウンドは結構いろいろでいくつかの章に分かれて構成されている。
エンディングは壮大だが、マイケルのキレ気味なギターがからまっており、最後まで非常に聴かせる一曲だ。

7. Looking Out From Nowhere
雰囲気は「Cry For The Nations」に少し似ている。
ギターばかり注意して聴いていたが、ボーカルのゲイリー・バーデン、シャウトの声量は少し足りないように思う。
この人の声はポール・スタンレーに少し似ている。

8. Tales Of Mystery
哀愁漂うバラード。
全体をホールドするのはアコースティックギターの音色なのだが、後方真ん中あたりにやはりマイケルがいて、高低差のあるエレクトリックなサウンドを響かせている。
エンディングが若干物足りない。

9. Lost Horizons
イントロの「ばんばん!・・・・ばんばん!・・・・」というリズムは、ツェッペリンの「Good Times Bad Times」を思わせる。
途中も「幻惑されて」のような進行があり、ところどころで「大丈夫なのか?マイケル・・・」と思わせる曲。
あたしが勝手に不安がってるだけですが。
それなりに盛り上がって来るのはいいのだが、ツェッペリンほど楽しそうではない。
フライングVの存在感はものすごく大きく、ボーカルやコーラスやドラムとの組み合わせはかなりがっちりしている。

聴いてみて退屈だと思う曲は全くない。
これは「聴いてみたシリーズ」でもわりと珍しい現象だ。
マイケルのギターもさすが神と呼ばれるだけあって重厚で多彩なサウンドである。
楽曲としての堅さは非常に水準が高いと思う。
各パートが突出してすごいといった印象ではないのだが、総合的な楽曲としてのレベルはとても高いと思う。

ボーカルのゲイリー・バーデン、声量や迫力はそれほど鋭いものは感じないが、嫌いなタイプではない。
評価の大半はマイケル神に向けられるので、ネットでもボーカルを絶賛するようなサイトは見あたらなかったが、ギターや他の楽器との相性もいい感じである。

ただ、アルバム全体を覆う雰囲気はどこか憂いに満ちていて孤高で寂しいイメージだ。
楽しく愉快な音楽というジャンルではないのは当然だが、パープルツェッペリンのような毒っぽい波動もそれほどなく、悲哀・孤独・寂寞・悲嘆・歯医者といった悲しい漢字を当てたくなるような切ない感覚。
いや、歯医者はあたしが苦手なだけですけど。
これがマイケル神の持ち味なんだろうか。(決して悪くはないが・・)

そんなわけで、初めてまともに聴いてみたマイケル・シェンカー・グループ。
この音なら他のアルバムでもまず問題なく聴けそうな気がします。
今まで遠ざけていたのがアホらしくなってきました。
次はコージー在籍時のサウンドをチェックしてみようかと思います。

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見ていない 第21回 探偵物語

みなさんは松田優作と言われたらどの作品が思い浮かぶでしょうか?
自分の場合、テレビドラマであれば「太陽にほえろ!」「大都会PARTII」、映画なら「ブラック・レイン」「家族ゲーム」なのですが、なぜか全く見ていないのがドラマ「探偵物語」。
当然松田優作が主演なので、今でも代表作として認識されていることは間違いなさそうだ。
今回こそ全国から「絶対見たほうがいい」という指導がきっとあるだろうなと思うのですが・・・
いつものことながら後ろめたさ全開なエントリ。
なお同名で松田優作と薬師丸ひろ子主演の映画もあるが、これも当然観てません。
内容はもちろんテレビドラマとは全く別の作品だそうです。

「探偵物語」は1979年から80年にかけて日本テレビ系列で放送されたテレビドラマである。
関東では火曜の午後9時からの放送だが、当時自分はいったい何を見ていたのか全く記憶がない。
この時「太陽にほえろ!」ではジーパンはすでに死んでいたし、「大都会」は終わっていたはずだ。

今でも工藤探偵に扮する松田優作の姿がCMに使われたりしているし、モンキッキー(元おさる)などマネする芸人もいるので、業界でも人気や評価は高いようだ。
見ていない自分でも、ソフト帽にサングラスでベスパにまたがる姿は記憶に残っている。
テーマソングは聴いたことがあるが、この曲はズバリ「Bad City」というタイトルで、歌っているのはSHOGUNというバンドだそうだ。

レギュラー共演者としては竹田かほり・倍賞美津子・成田三樹夫、一話限りの共演では風間杜夫・水谷豊・古尾谷雅人・原田美枝子・熊谷美由紀・ハナ肇など。
竹田かほり・・・懐かしい・・・そういや卒業文集の寄せ書きに「竹田かほり最高」って書いたヤツがいたっけ・・・
この人は今どうしているのでしょうか?
成田三樹夫や古尾谷雅人やハナ肇など、松田優作とともにすでに故人となった役者もかなりいるようだ。
あらためて数えて愕然とするが、もう30年近くも前の番組なんですね。(見ていなかったくせに)

自分は特に松田優作のファンだったわけではないが、印象に残る役者だったことは確かである。
「太陽にほえろ!」の名セリフ「なんじゃあこりゃあ!」はリアルタイムで見たし、「大都会PARTII」での徳吉刑事のキャラも好きだった。
ちなみに「太陽にほえろ!」でジーパンの母親を演じていたのは菅井きんである。

遺作となった映画「ブラック・レイン」はテレビで見たが、迫真の演技は主演の高倉健やマイケル・ダグラスを完全に食っていた。
まあこの映画は内田裕也やガッツ石松や島木譲二といった変わった役者?がたくさん登場したこともあってか、健さんの印象もややインパクトに欠けてしまったような気もしたが・・・

「家族ゲーム」はけっこう記憶には残っているが、不条理でシュールで意味不明だったので、おもしろいとは思わなかった。
松田優作のとぼけたわりに殺気だった振る舞いが恐ろしく思えたことを覚えている。
宮川一朗太は元気なのだろうか。

「探偵物語」のストーリーを知らないので、評価が高い理由もよくわからないのだが、工藤探偵のファッションセンスの良さはやはりあるんじゃないかと思う。
もちろん制作サイドの演出が良いということなんだが、松田優作という当時としては手足の長い見映えのする役者が演じたことも大きいだろう。
今CMで見ても古くささを感じないのはすごいと思う。
たとえば今後リメイクでキムタクや速水もこみちがどんなにカッコよく演じても、オリジナルを超えることは不可能なのではないだろうか。
故人がゆえに絶対視されがちなのかもしれないが、松田優作とはそういう扱いを受けるにふさわしい俳優である。

そんなわけで全然見ていない「探偵物語」。
たぶんDVDで見ることは可能なのでしょうけど、できれば鑑賞の前にみなさまの印象に残る工藤探偵を教えていただきたいと思います。

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読んでみた 第23回 ブラック・ナイト リッチー・ブラックモア伝

みなさん、こんばんは。
パープル・ファミリーのもめ事ファンのSYUNJIといいます。
今回そんなあたしにとって、まさに教典とも言うべきナイスでファンキーな本を発見しました。
ブラック・ナイト リッチー・ブラックモア伝」。
もう題名だけで笑いが止まらない、リッチー御大の波乱と闘争といたずらに満ちあふれた半生を綴った幸せの福音書です。
自分でも何を言ってるのかよくわかりません。
あらかじめお断りしておきますが、今日のエントリは終始こんな調子で非常におかしなテンションですので、どうかご了承下さい・・・

Blackmore

ジェリー・ブルームス著、上西園誠訳、416ページの超大作。
はっきり言って重いです。
電車の中で立って片手で読むのは苦痛ですが、御大のためなら耐えられるでしょう。
発行は我らがシンコーミュージック・エンタテイメント、定価2800円。
黒っぽい装丁は読む前からわくわくさせてくれます。
しかも見返しは紫色というベタな演出。
さすがシンコー、スキがありません。

リッチーのステキな悪の教典、実は出版されたことは不覚にも知りませんでした。
図書館の新刊コーナーにふつうに置いてあったのを発見。
おそらく自分が一番乗りで借りています。
もう返すつもりはありません。(ウソです)
いやあM市立図書館のバイヤー(っているのか?)、実にグッジョブなチョイスです。
のびるよ、この子は!!(偉そう)
税金の有効な使い方をよくわかってます。

御大の蛮行狼藉の大ファンを自認するあたしですが、まだまだ知らないエピソードもたくさんあるはずです。
果たしてあたしはリッチー検定に見事合格できるのでしょうか。

・・・・・読んでみた。

生い立ちからアウトローズなどの下積み時代を経て、パープル、レインボー、またパープル、またレインボー、ブラックモアズ・ナイトまでを18章に分けて克明に記録している。
本人へのインタビューが中心ではあるが、時代ごとの関係者や業界人の証言も多数登場しており、相当切り込んだ素晴らしいルポルタージュだ。

結論から言って全編大爆笑である。
3ページに1回くらい笑えます。そんなのあたしだけでしょうけど。
音楽活動におけるリッチーのすごさは今さら説明の必要なんかないだろう。
たくさんの伝説や逸話が紹介されているが、やはり楽しいのは他のミュージシャンとの関係話だ。

たとえばクラプトン
この二人の関係はけっこう微妙だ。
お互い若い頃、リッチー自身はクラプトンの音楽性には大して興味はなかったそうだが、クラプトンはリッチーも同じ日のライブに出演することを知ると、ひどくいらいらしたらしい。
リッチーが一人で全部の客を引きつけてしまい、他のバンドやギタリストはやりにくくてしょうがなかった、ということのようだ。
神様と呼ばれたクラプトンも、リッチーの腕のすごさは脅威に思っていたということだろう。

リッチーのクラプトン評価は意外と厳しく、ヤードバーズやクリームで不動の地位を築いてきたクラプトンについて、「たいがいのパブに行けば、あのくらいの腕のやつはざらにいた」という意見だった。
後にクリームの前座をパープルがつとめた時、リッチーのものすごい演奏がメインのクリームを完全に食ってしまい、クリームはパープルの人気を気に入らずツアー同行からはずしたこともあった。
ただ二人は決して仲が悪かったわけではなく、リッチー36歳の誕生日にはクラプトンからアヒルのおもちゃ(木製)をもらい、数日間はアヒルをひきずって歩くリッチーの姿が見られたそうだ。

たとえばペイジ
この本には残念ながら思ったほどジミー・ペイジの名前は出てこない。
でもリッチーは下積み時代にはペイジのことはむちゃくちゃ意識してて、同じ日のライブにペイジも出演することを知ると、「ジミーが来てる。負けられない!」と言ったらしい。
残念ながらペイジを殴ったりしたことはないようだが、若い頃からライバルとして尊敬していたようだ。

リッチーと言えばいたずら。
実際やられたほうはたまったもんじゃないような度を超したいたずらを、バンドのメンバーやスタッフや一般人にまでしかけてきた、という話がとにかく何度も出てくる。
若い頃は移動中のクルマの窓から小麦粉入りの袋を通行人に命中させることに熱中。(ひでぇ・・)
レインボー時代には新入りのトニー・カレイに、あたかも霊のしわざと思わせる手のこんだいたずらをしかけて結局追い出したり。(ひでぇ・・)
ホテルの壁灯の中にうんこを仕込み、メンバーが夜ホテルに戻ってあかりをつけると、熱でどんどんニオイがひろがってきて、しかけられたメンバーはどこから臭ってくるのかわからず、パニックになってフロントに訴える、といういたずらも。(ひでぇええ・・)
今の人権団体が聞いたら卒倒しそうな御大の華麗なる蛮行の数々、本当に素晴らしいですね。

メンバーとの諍いはいつの時代にもあったようだが、やはりレインボー時代の話が一番おもしろい。
ロニー・ジェイムス・ディオをクビにした後、かつての盟友かつ宿敵のイアン・ギランにレインボー加入を依頼するくだりは本当に爆笑ものである。
リッチーはこの件でわざわざギランの家をたずね、夜も酒を飲みながら話しこんだ。
ギランは「いやあたずねてきてくれるなんてうれしいよリッチー」とけっこう喜んだのだが、リッチー自身はホントにこれがイイ話なのか疑問にも思い、心の中は「くそっ!オレはいったい何をやってるんだ」と葛藤していたのだった。
結局ギランはレインボーには加入はしなかったんですね。
御大の揺れ動く胸中がつぶさに表現された感動秘話だと思う。

デヴィッド・カバーディルとの確執はもっと野蛮で楽しい。
三頭体制の頃、リッチーはカバがことあるごとにマスコミにリッチーやレインボーをけなすような発言をしていたことが許せなかった。
カバがホワイトスネイクのニュー・アルバムについて聞かれると「レインボーよりもいいよ」といった答え方をする、といったことがいちいち気にさわったらしい。
そんなある日、たまたまあるコンサート会場でカバと激突。
ライブが終わったリッチー、通路で女と話し込むカバ発見。
血が上った御大、襟首つかんでつまみだそうとしたがカバは背が高く(爆笑)、二人はもみあいになって廊下に倒れ込む。
「クソ野郎」「死ね」(原文ママ・大爆笑)の罵声が飛び交うすぐそばに、なぜか非常にくつろいでガールフレンドと会話中のクイーンのロジャー・テイラー。(大爆笑)
結局カバはリッチーめがけてパンチを出したところ、止めに入ったプロモーターをぶん殴ってしまった、というエピソード。

このバトルの描写はとにかく笑えるのだが、現場の状況説明で「ロジャー・テイラーとベースの男がいた」というリッチーの証言の表現に、非常にリアルなものを感じた。
おそらく本当にリッチーは著者にそう話したのだろう。
「ベースの男」とはもちろんジョン・ディーコンだが、リッチーにしてみれば印象の薄いジョンの名前が出てこなかったか、本当に知らなかったんだと思う。
訳でもここを「ロジャーとジョン」と直さなかったのは秀逸な編集だ。

巻頭と真ん中あたりに写真ページが少しあるのだが、やはりリッチーって笑顔の写真が少ないですね。
若い頃の写真でもほとんど笑っておらず、いつもこんな表情で道行く人に小麦粉をぶつけていたのだろうか。
怖い・・・

リッチーが実はアバのファンだという話はかなり有名だが、この本にもそれはちゃんと書いてある。
アグネタとのコラボのような企画も話としてはあったそうだ。
パープルやレインボー時代のリッチーだと、アバとのコラボなんてちょっと想像しにくいが、ブラックモアズ・ナイトをもう10年も続けているのを思えば、案外実現しても受けは良かったかもしれない。

著者は本の最後で、宿敵イアン・ギランがもっとも鋭くリッチーという人間を分析していたことを明かしている。
ギランによればリッチーは「とても不安定で心のどこかに壁を作り人と交わるのを嫌う」が、「関わったプロジェクトに対する貢献度の高さ」や「ギターの腕前は誰よりも高い能力を持っている」ことを認めている。
ギランが「煎じ詰めて行き着いた結論」にはうなりました。
「あの男がいなかったら、人生ってやつは退屈になるんじゃないか?」

ということで、大笑いさせてもらった「ブラック・ナイト リッチー・ブラックモア伝」。
これまでビートルズやツェッペリンやクラプトンの伝記本などいろいろ読んできたが、やはりこの本はそれらとはステージが全然違う。
ますます御大のファンになりました。(薄っぺらい・・)
リッチーと著者の名誉のために言っておくが、もちろんリッチーの音楽に対する情熱や演奏技術の素晴らしさもたくさん書いてあるんですよ。(もう遅いよ)
多くの人が音楽も性格も行動も頭髪も「この世の人間とは思えない」という評価をしている、リッチー・ブラックモア。
これを超えるような爆笑本はもう出ないんじゃないかと本気で思います。

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行ってみた 第4回 木曽路・伊那路

意外に旅の好きな三流ブロガーのSYUNJIです。
世間ではゴールデンウィークなのであたしも人並みに出かけることにしました。
ここ数年、不況のせいか連休直前でもいろいろ手段を使うと、思ったより簡単に宿はとれます。
ただし移動手段に新幹線や飛行機を使おうとするとさすがに難しいので、だいたいクルマで行くことになります。

割と唐突なあたしの旅ですが、ホントのノープランで「田舎に泊まろう」的な旅行はさすがにもうしません。
学生の頃少しやったことがありますが、気苦労が多いわりに大して良い思い出にもならず、自分の性格には合わないと確信しました。
ちなみにあの番組も実はあまり好きではありません。
テレビなんだから結局泊まれることにはなるんだけど、その過程でタレントと同じように「あああ泊まれなかったらどうしよう」などと精神が不安定になるのがイヤ。(←結局気が小さい)

さて今回行き先として候補に考えたのは以下でした。
・奥浜名湖・浜松周辺(静岡県)
・伊香保(群馬県)
・那珂湊・大洗あたり(茨城県)

で、いろいろ旅行会社のパンフレットなどをながめ、最終的に決めた行き先は妻籠馬籠(長野県・岐阜県)でした。(なんで?)
考えていた奥浜名湖や伊香保がなぜ落選したのか、もうあまりよく覚えていません。
妻籠も馬籠ももちろん行ったことはなく、正直名前くらいしか知らず何の知識もなかったのですが、あまり人出も多くはなさそうだし、深く考えずに決定。
宿もネットであまり苦労せずに予約できました。
ただし宿泊は妻籠・馬籠にではなく、木曽駒ヶ岳の東西の麓に1泊ずつです。

木曽路の旧中山道沿いの宿場町を「木曽十一宿」と呼ぶそうですが、この中でも規模が大きく有名なのが奈良井・福島・妻籠・馬籠です。
今回はこの4つを北から順に行くことにしました。
直前になって妻が体調を崩し、どうなることかと思いましたが、なんとか持ち直して出発。

まずは奈良井宿。

Narai1

総檜造りの大橋を渡ると町の中に入ることができます。
奈良井宿は規模から言えば木曽路最大だそうですが、この日は観光客がほとんどいませんでした。
古い家並みは映画のセットのようで、非常に趣があります。

Narai2

観光地であることに間違いはないのですが、俗っぽい土産物屋や顔はめ記念撮影看板や大音量の演歌スピーカーなどはなく、格式の高さを伺い知ることができます。
年をとるとこういうところに安心すると言われますが、ホントにその通りです。

この日は木曽駒高原の「森のホテル」に泊まりました。
文字通り森の中の静かなホテルで、食事もおいしくいいところです。

Hotel

ワインが売りの宿でハウスワインも用意してあるのですが、残念ながら我々夫婦は酒が飲めないので、どんなレベルなのかはわかりませんでした。
すぐそばにゴルフ場があるので、若い女性とゴルフの後にワインを楽しみたい貴兄におすすめです。

翌日はまず福島宿に行きました。
ここは奈良井とは違って地形がかなり複雑です。
国道は川に沿っていますが、それよりも一段高いところに旧中山道があり、短いながら昔の町並みを再現した店が並んでいます。

Hukusima1

驚いたのは国道沿いに並ぶ家の裏側でした。
家の裏は木曽川なのですが、どの家も川岸にせり出す形で建てられており、見た目はちょっと怖い感じもします。

Hukusima2

崖屋造りというそうですが、狭い土地を有効利用した建築方法で、表から見ると二階建ての家が、裏に回ると四階五階建てに見えたりします。

続いて国道を1時間ほど南下し妻籠宿へ。

Tumago1

妻籠の家並みそのものは奈良井や福島に比べると少し地味な印象です。
復元したような新しい建物が少ないせいかもしれません。

Tumago2

奈良井宿よりも道幅が広く山も低く見えるため、開放感があります。
人出も多く修学旅行の高校生が来ていました。

続いてクルマで峠を越えて20分ほど進むと馬籠宿です。
十一宿の一番南に位置し、国内では珍しい坂道沿いに発展した宿場町ですが、意外なことにここが最もにぎやかでした。

Magome1

道路が整地され家並みがきれいに復元されているからでしょうか、若者向けの土産物屋や飲食店も多く、各地の観光地とあまり変わらない雰囲気もありました。
奈良井や福島には全くいなかった「アイスクリームをなめながら歩く女子高生」の姿を、馬籠では大量に見ることができる・・・と説明すれば、町の感じは伝わるでしょうか。
成り立ちは全く異なるでしょうけど、個人的には京都の産寧坂のような印象を受けました。

Magome2

木曽十一宿の中で馬籠だけが2005年から岐阜県(中津川市)に所属しています。
それ以前はもちろん長野県でした。
今も「信州」「木曽路」といった接頭語がつくことが多いため、岐阜県と聞いて違和感を覚える人も多いようです。
でも恵那山がすぐそばに見えますし、高山地方の土産が売っていたり、中津川駅までクルマで10分程度だったりしますので、感覚としては岐阜県でいいのではないかと思います。

この日は駒ヶ根の「二人静」というどこか意味ありげな名前の宿に泊まりました。

Hutarisizuka2

さてこのお宿、これまであちこち泊まってきた中でも間違いなく最高級なグレードだったと思います。
と言ってもいわゆる伝統的な高級老舗旅館ではなく、「話題の旅館デザイナー松葉啓氏プロデュース」の新しい宿です。
室内のそこかしこに秀逸なデザインが施されており、アメニティにも女性から支持されそうな工夫がこらされています。

Hutarisizuka1

日経おとなのOFF」に載っていそうな雰囲気ですが、決してイヤミな印象ではありません。
食事も非常においしく、口に合わないものは全く出てきませんでした。(これは単にあたしが貧乏性なだけかも・・)
客層は中高年ばかりで、館内で小学生の姿をほとんど見ませんでした。
値段は確かにそれなりにしますが、特にこの雰囲気をぜひ味わいたいと狙って予約したわけではなく、場所もWebサイトから受ける印象も悪くなかったので、軽い気持ちで申し込んでみました。
落ち着いて静かに宿の夜を過ごしたい人には、別邸の「一花一葉」がおすすめです。
資金的にそう何度も泊まれるような宿ではありませんが、可能ならぜひもう一度泊まってみたいところです。

翌日は宿からバスとロープウェイを乗り継いで千畳敷カールに行ってみました。
千畳敷カールとは、中央アルプス宝剣山の手前に広がるすり鉢状の氷河地形で、夏には高山植物のお花畑が展開するフラワーなところだそうです。
マイカー乗り入れ禁止なので必ずバスに乗らねばならず、これまたけっこうオカネもかかるのですが、せっかくなので行ってみました。

Senjojiki

この季節、まだ積雪があり、ヤング(死語)のみなさんがスノーボードを楽しんでいました。
彼らの多くはボードの他にかなり大きめのスコップを持っていて、ロープウェイにボードとスコップをかついでぞろぞろ乗ってきた時には「どこかで工事でもすんのか?」と不思議でした。
工事にしちゃ女の子もいるし、変だなぁ・・・と思ったら、頂上について謎が解けました。
彼らはスコップで雪を積み上げてジャンプ台を作るんですね。
教養のない中年のあたし・・・

麓に戻り、伊那市の「かんてんぱぱガーデン」に行ってみました。
「かんてんぱぱ」というブランドのゼリーやスープの素を作る伊那食品工業の施設です。

Kantenpapa1

Kantenpapa2

施設には工場の他に美術館や庭園やレストランもあり、一種のテーマパークです。
かんてんぱぱの各商品が買える店もあり、ゼリーの試食もできます。
買ってみてわかったのですが、どの客にもサービスとしてゼリーの素やジュースをつけてくれます。
それも小さな試供品ではなく、ふつうの商品を4つも5つもくれるので、かなり得した気分になります。(貧乏性)

さて旅も無事終わって戻ってきたのですが、ひとつだけがっかりなことがありました。
今回ちょうど例のガソリンの暫定税率復活騒動の最中に給油するはめになりました。
木曽路のとあるスタンドで入れたのですが、なんとハイオクで181円でした。
外車乗りは修理代と燃料代に文句を言ったらイカンとは言われてますが、5月1日にこの値段はどうでしょうか。
免許とって20年以上になりますけど、もちろん生涯最高値です。
スタンドは地方の山間部で、こっちは他県ナンバーで外車でカードで・・・と、確かに条件は最悪だったとは思います。
それでも181円てのはないよなぁ・・・
地方では自分のクルマでもレンタカーでもふっかけられることが多いのですが、みなさんはいかがでしょうか?

そんなわけで最後はケチくさい愚痴で締めてしまいましたが、それ以外は素晴らしかった木曽路・伊那路。
新しいトンネルもできて木曽路と伊那路の行き来が便利になっていますので、都会の満員電車で足をふんだのふまれたのに疲れた方にはぜひおすすめしたいところです。

二人静

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聴いてみた 第48回 プリテンダーズ

今回聴いてみたのはプリテンダーズ
昨年モンスリー師匠の案内で大阪は梅田の中古CD店を巡り歩くイベントがあったのですが、その時に買ったプリテンダーズの「Get Close」、ようやく聴いてみました。

Getclose

バンドとしては4枚目となるこの作品、大ヒットの「Don't Get Me Wrong」が収録されており、おそらくアルバムとしても最も売れたものだろう。
クリッシー・ハインドはアメリカ人だが、バンドデビューはイギリスであり、サウンドも初めはパンクの影響を受けた荒っぽいものだったらしい。
この作品ではポップな音になっており、時代の流れにうまく乗った形でヒットした、ということのようだ。
プロデューサーにはボブ・クリアマウンテンを起用しており、彼の功績も大きいと思われる。
・・・といったあたりがネットで得られる評価なのだが、果たしてどうなのだろうか。

・・・・・聴いてみた。

1. My Baby
この曲がプリテンダーズの中で一番好きだ。(全部で3曲くらしか聴いてなかったけど)
イントロの美しいギターはケルト民謡の音を使ったものだそうだ。
エンディングに歓声が入っているのだが、録音そのものがライブというわけではなさそうで、スタジオ録音に歓声をかぶせた演出なのではないかと思う。
メロディは意外に単調なのだが、細かい音の仕込みが聞こえて飽きない。

2. When I Change My Life
この曲も音がきれいだ。
川の流れのような印象を受けるのは、ワルツのようなテンポだからだろうか。
クリッシーの低い声にマッチしており、80年代の曲という感じがする。

3. Light of the Moon(月の光)
リズムはけっこう単調だが、かなりいろんな音が聞こえる。
アレンジも相当きいていて、あちこちでサウンドが少しゆがんだりする。
プリテンダーズってもう少し素朴で正統なロックだと勝手に思っていたのだが、こんな曲もあるのか・・と思う。

4. Dance!
この曲はもっと変わっている。
聞こえるのはほとんどギターサウンドなのだが、これもかなり音をいじっており、左右に振り回したりモワモワとひずませたりしている。
「ダンス!」というかけ声が繰り返されるが、調子そのものは思ったほど楽しい感じではなく、むしろ踊りにくいんじゃないかと思う。

5. Tradition of Love(愛の伝説)
これも楽しい感じではないが、エコーのせいか音に奥行きがあり、ボーカルも左右のあちこちから次々にやってくる壮大なイメージの曲だ。
エンディング近くに「どこかで聴いたことがある・・・」というメロディがコラージュされているような気がするのだが、思い出せない・・・

6. Don't Get Me Wrong
ご存じ大ヒットソング。
「んちゃか・んちゃか・んちゃか・んちゃか」という、レゲエを早くしたような独特のリズム、こっちのほうがずっと踊りやすいような気がする。
楽しいサウンドだが、歌詞は意外にナイーブで、少し不安な女性の気持ちを歌った内容である。
クリッシーのごついイメージとはちょっと違うような歌だ。

7. I Remember You
なんとなく脳天気なレゲエっぽいリズムとキーボード。
このキーボードはけっこう大きな音でビブラートをきかせて鳴り続けており、慣れないと少し耳障りだ。

8. How Much Did You Get for Your Soul?
このファンキーな曲は聴いたことがある。
ビートに乗せて短いフレーズで呼びかけるように歌うクリッシー。
予想どおりエンディングはバシっと終わる。

9. Chill Factor
この曲だけブルース調なのだが、聴いて思い出したのはパット・ベネターだ。
パットのアルバムに全編ブルースというのがあったが、サウンドといい声の感じといい、かなり近いものを感じる。
コーラスの太いオトコの声はちょっと違うような・・・

10. Hymn to Her(聖歌)
静かな歌い出しで始まるバラード。
中盤から徐々に盛り上がってくる壮大な音に、「ああ80年代ってこういう曲がいっぱいあったなぁ・・」と感慨にふけることができる中年殺しな一曲。

11. Room Full of Mirrors
ラストはアップテンポに走り抜けるロック。
夜の街をクルマでとばすような疾走感。
目の前をよぎるネオンやヘッドライト・・・といったイメージ。
エンディングはかなり淡泊で、曲調も明るくはないので、これで終わるのはちょっと中途半端だ。

通して聴いてみると、かなりバラエティに富んだアルバムだと感じる。
ポップあり、ロックあり、レゲエ調あり、ファンクあり、ブルースにバラード。
繰り返しになるが、プリテンダーズはもっとギター中心の伝統的ロックが多いのかと思っていたが、このアルバムはそうではないようである。

80年代らしく音にかなりアレンジが効かせてあり、感覚的には懐かしさを覚える。
このあたりはセールスを意識したプロデュース戦略もありそうな気はしました。

感想。
初めてまともに聴いてみたのだが、案外ポップでいろいろな曲があり、クリッシーはかなり器用なアーチストだと感じた。
バラエティに富んではいるが、「When I Change My Life」「Hymn to Her」のようなおだやかな曲のほうがいい。
ムリしてロックやファンクをせんでも、バラードやポップで充分クリッシーの魅力は伝わるし、むしろそういった女性らしい包み込むようなやさしさにあふれた歌声のほうが好きだ。
ただやはり聴き慣れていたせいか、「My Baby」「Don't Get Me Wrong」を超えるような曲はなかったと思いました。

というわけでプリテンダーズ。
どこのサイトでも「アネゴ」「姐さん」など、どこか極道チックな表現で書かれるクリッシー・ハインド。
自分のイメージもそんなもんだったのですが、そういう面だけがクリッシーではない、ということがわかったのはかなり収穫だったと思いました。
この80年代っぽさにまみれたサウンドは、彼女らのキャリアの中でどう評価されてるのか、知りたい気もします。
次はデビューアルバムも聴いてみようかと思います。

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