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読んでみた 第21回 Newton

今回読んでみたのは科学雑誌「Newton」。
1981年創刊だが、まともに読むのは今回初めてである。

創刊当時の宣伝はわりと記憶に残っている。
ふんだんにイラストを使った新しい科学雑誌としてかなり派手に宣伝していたと思う。
元東大教授で物理学者の竹内均先生が編集長だった。
進化の過程や宇宙の神秘を説くイラストが印象に残っている。
ただ当時は科学にはそれほど強い興味はなく、音楽や女の子ばかり追っていたので、読んだことはなかった。

Newton

今回読んでみたのは4月号、1000円。
書店にどっさり平積みになっていたことにまず驚いたが、価格にもっと驚いた。
140ページ程度でこの値段。高い・・・
版元はニュートンプレス社、発行部数は28万部。
この部数は「SPA!」や「サライ」よりも多い。
実売は不明だが、テーマが科学という学術雑誌なのに、かなりの部数だと思う。
今さらだが何もかも驚きの連続である。
中身も驚きの連続なんだろうか。

・・・・・読んでみた。

今月号の目次はこんな感じである。

・地球の生物を支えている光合成
 CO2を吸収し,太陽光と水を使って「合成」するしくみとは?
・“偵察機”が見た火星
 史上最高画質のデータが続々と到着
・リサイクルは有効か?
 環境への負荷はこれだけかわる
・人はなぜ確率に弱いのか?
 直感と計算の「ズレ」にせまる
・「天からの手紙」を立体的に見る
 電子顕微鏡がとらえた雪の結晶
・身近な“?”の科学
 フグと毒
・メディカル・トピックス
 食品に混入した農薬「メタミドホス」の正体

巻頭特集の光合成からお得意のイラストが全開である。
CGかとも思える精巧な絵だが、おそらくは手で描いたものだ。
しかも特集ページ全てがどかーんと見開きイラストである。
雑誌ではあるが、ノリは子供向け学習図鑑に近い。
実際文章の漢字にはところどころルビがふられていて、小学生から大人まで幅広く科学してみよう!という熱い編集側のテンションがにじみでている誌面である。

光合成なんて文字にふれるのも高校生の頃以来だが、説明そのものよりもイラストのゴージャスさにどうしても目を奪われますな。
はっきり言って光合成そのもののしくみはほとんどアタマに入りません。
あたしがバカなだけでしょうけど、器が豪華すぎて味がわかんない高級料亭の料理に似ています。

実はもっと驚いたのが次の特集ページ「“偵察機”が見た火星」である。
NASAの火星探査機が撮影した火星の地形表面の写真が、これまた見開きでどおおーんと16ページにわたって掲載されている。
しかもその写真が非常に鮮やかで、縮尺も1/2500くらいの寄りなのである。
もし火星の地表面にぷく先輩が寝ていたら、じゅうぶん識別できるくらいの距離です。(ホントかよ)

火星と言えば、子供の頃見た学習図鑑なんかには、荒廃した赤っぽい砂山の想像図くらいしか載ってなかったように思うんだが、この写真は「南米の特殊な地形です」なんて言われても信じてしまうくらい、リアルに地球っぽいのだ。
可視色のままではないと思うが、地表面の色も非常にバラエティに富んでいる。
こんな写真はネットでいくらでも見られるんだろうけど、「Newton」で見るとやはり迫力がある。

「リサイクルは有効か?」という記事も、「Newton」ならではの科学な視点でリサイクルを分析している。
最近製紙業界でも再生紙偽装が問題になったが、古紙を再生する場合、インクの除去にかなり負荷がかかり、しかも新紙のような白さや品質にはなかなか到達できないものらしい。
結局エネルギー換算では古紙からの再生のほうが多くのエネルギーを必要とするため、再生紙が地球にやさしいと言い切れるものではないそうだ。
この記事では「リサイクル(再生)よりもリユース(再使用)、それよりもリデュース(抑制)」と結論づけている。
これがどんな状況にも当てはまるかどうかはわからないが、この問題は混沌とするばかりである。

どんな雑誌でもそうだが、やはり興味のあるテーマとそうでない記事では、理解度や楽しみ度合いが違ってくる。
「Newton」はもともとほとんど興味のわかない科学という分野の雑誌なので、正直おもしろくない・理解できない記事も半分くらいあった。
メタミドホスの話も当然科学としての考証が書かれており、週刊ポストとは明らかに論調が違う。(当然か)
難しくて興味のない記事も我慢して読んだが、眠いし苦痛だった。
全ページ理解できてる小学生がいたとしたら大したものだと純粋に思う。

体裁面はどうだろうか。
長年こうしたテンションで誌面を作ってきただけあって、レイアウトや文字組みのデザインは見事である。
イラストや写真の上に文字を「乗せる」ページが多いが、この処理は全くスキがない。
編集がずさんな雑誌だと、写真と文字の色調に配慮がなく読みづらい部分があるが、「Newton」にはそれがない。

書体や級数はページによって違うが、ゴシックで比較的大きめの文字が多い。
個人的にはルビがややくどい気はしたが、小学生には必要なのだろう。
「Newton」の光合成特集を熱心にルビ追って読む小学生ってのもスゴイと思うけど。

表紙は独特の赤い色にでかいロゴ。
公式サイトでバックナンバーを見ると1998年もデザインはほぼ同じ。
たぶんそれ以前からもずっとこの表紙だろう。
悪くはないが、変えてみてもいいような気もする。

感想。
もっとトンデモなテンションで難しいことがたくさん書いてあるのかと思ってましたが、中身はけっこう直球です。
まあ全ての記事に興味がわいたわけではなかったので、読んでいて退屈だったページも半分くらいありましたが、これは雑誌の内容の批判ではなく、自分の好みの問題ですね。

このページ数で1000円は直感的に高いと思うが、広告も少ないしイラストや写真に編集経費がかかってる背景もあろうかと察するので、まあいたしかたないかも。
ただ毎月買うのは勇気がいる値段です。

そんなわけで読んでみた「Newton」。
イラストや写真は見応え充分ですが、いかんせん偏差値の低い自分にとっては、ハードルが案外高い雑誌です。
突っ込もうにも難しくてどうしていいかわからないというか・・
偶然いっしょにカラオケ行くことになって、普段から謹厳実直なのでいったいどんな曲歌うのかな?と少し期待していたら、「わたしのぉおおおはかのぉまああえでぇえぇぇなかないでぇくださあいいいいぃい」とものすごく上手に歌い始めちゃって、誰も突っ込めなかった大学助教授・・・のような感じ。
こんなの歌われたら、もういっしょにカラオケ行くこともないだろうな・・と思わせるような、知性教養に満ち満ちた雑誌でした。

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コメント

冷静に考えてみると、記事の途中にブルーの背景が入っていたりして、実はCSSに詳しいのでは?と疑問を抱いたぷくちゃんといいます。

さて・・・・

>火星の地表面にぷく先輩が寝ておりいたら、じゅうぶん識別できるくらいの距離です。

名前の使用感謝です。5万円いただきます。私は実はこの手の作品、あまり好きではありません。というか読んだことがありません。書店に行ったら「ムー」とこの雑誌の区別がつくとは思えません。(←本当か)

今は「ニュートン」より「るるぶ」の横浜特集でも買おうかと思っています。

投稿: ぷくちゃん | 2008.03.22 16:00

この記事で「そういえば前に買っといたやつ、どうしたっけ?」と思い出したSakiです。

中身はよく理解してないのですがけっこう科学好きなんす。
だからNEWTONの本も一冊だけ持ってるんですよ。
別冊ですが「完全図解 周期表」というやつ。
全111元素を徹底紹介した特別編集で、付録に「特大!周期表ポスター」がついてます。
「こんな1枚が欲しかった!」というコピーには、こんなもん誰が壁に貼るんだよ?とつっこみいれたくなりました(^_^;)
この元素でこれが作られてます、みたいな説明が書いてあって私にはけっこう面白い内容です。
とはいえ持ってるだけで満足してしまって、ほとんど読んではいないんですけどね。

光合成も微妙に興味あるんで立ち読みしてみようかと。
しかし、立ち読みが似合わない系の雑誌ですよね(笑)

投稿: Saki | 2008.03.22 18:44

ぷく先輩、記事内容でなくて体裁面にコメント感謝です。
あたし自身はCSSとか全然詳しくありません。
もう設定のしかた忘れましたけど、CSSで記事中の「引用文」の文字色とか背景色って数値で指定できるんですよ。
ココログが始まったころ、CSSに詳しい人がそれぞれのBLOGでいろんなことを試していて、それを記事にしてくれていたので、かなり参考になりました。
ちなみに今まであたしのBLOGのタイトルバックの風景にはどなたからもご質問をいただいておりません・・(誘い水)

>書店に行ったら「ムー」とこの雑誌の区別がつくとは思えません。(←本当か)

実はあたしの認識もそんなもんでした。
てっきりNewtonってトンデモ本なのかと・・

Sakiさん、コメント感謝です。
NewtonでSakiさんからコメントいただくとは、少し意外?でした。

>全111元素を徹底紹介した特別編集で、付録に「特大!周期表ポスター」がついてます。

スゴイなぁ・・周期表なんて何年ぶりで目にした文字だろう・・
「水兵リーベぼくのフネ」とか、意味不明な語呂あわせで覚えたヤツですね。
イオン化傾向とか、元素の順序は覚えているけどそれがいったい何なのか全くわからない・・

>しかし、立ち読みが似合わない系の雑誌ですよね(笑)

立ち読みでアタマに入る内容ではないですねぇ。
けっこう電車の中で真剣に読みましたが、光合成はやはり難しいです。
明日テストがあっても間違いなく不合格・・

投稿: SYUNJI | 2008.03.22 21:30

SYUNJIさん、こんにちは。
科学本は好きなことは好きなんですが、難しいので
新書でわかりやすいものを選んでたまに読んでいます。
最近読んでおもしろかったのは、以下の2冊です。
http://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/9784334033989
http://www.rakkousha.co.jp/books/ka_02.html

さてニュートンですが、私が中学生のときに大々的に
売り出されたのを覚えています。サイズも大きく写真も
美しいので、気にはなっているのですが、さすがにさすがに
買うことはありませんでした。以前に別冊で出たムック本を
買ったことはあります。
なぜ買わないのか、やはり内容が難しそうなのと、価格が
高いからです。

>>発行部数は28万部。
これは驚きの数字ですね。一般読者も多いのでしょうが、公立の
図書館や学校で購入しているのも多いのでしょうか。

投稿: モンスリー | 2008.03.23 14:25

殆ど立ち読みもしない雑誌ですが、読みたいと思うテーマを取り上げてもいる為に、図書館で時間をとって読んでみようか、、と思う雑誌です。

でも殆ど読んだことないですね、、。
モンスリーさんも書いているように図書館の購入比率の高い雑誌ではないでしょうか?、、

知識欲の殆どはネットで満たされる昨今。
それでも、雑誌の魅力もあるな、、と思っています。
でも知識欲を満たしたいときには雑誌よりも新刊書を買ってしまいますね、、。

投稿: だいまつ | 2008.03.23 18:09

昔、この雑誌の編集部が西新宿、甲州街道沿いにあったとき、その横を連日のように通ってクライアント先に行っていたルドルフと申します。
てなわけで、Newton懐かしいなぁ・・・とはならないです。まったく読んだことはありませんから。SYUNJIさんも冒頭でちょこっとそれらしいことを書かれていましたけど、私のこの雑誌に対するイメージは「神秘」の言葉に尽きます。いまはどうか知りませんが、昔の表紙には、長岡秀生(←字あってるか?)タッチのピラミッドだとか、スフィンクスだとかが良くあしらわれていたような気がします。「科学雑誌」なのに「神秘」とはこれいかに?でしたね。

投稿: ルドルフ | 2008.03.23 22:31

モンスリーさん、コメント感謝です。
環境問題本はもうどれが真実なのかわかりませんね。
「買ってはいけない」シリーズなんかもそうですけど、必ず反論本が出て、読んでるとどちらもそれなりに説得力があって「そうかぁ・・」などとその都度思ってしまい・・(←振り込めサギでカモになりやすいタイプ)

>なぜ買わないのか、やはり内容が難しそうなのと、価格が高いからです。

そうですね、ふつうこの2つがそろえば買いません。
今回手にとって初めて価格を知りましたが、記事にするためにこの投資はやむを得ないと判断しました。(ネタがないだけ)

だいまつ親分、コメント感謝です。

>図書館の購入比率の高い雑誌ではないでしょうか?、、

まあ図書館には「SPA!」も「サライ」も置いてありますが・・
Newtonはたぶん学校が買うんでしょうね。

>知識欲の殆どはネットで満たされる昨今。
>それでも、雑誌の魅力もあるな、、と思っています。

さすが親分、その通りです。
今回の火星の写真もおそらくNASAのサイトかなんかでも見ることは可能でしょうけど、やはり紙媒体のリアリティや質感てのは、まだネットでは再現できないものがあると思っています。
特にあたしゃ家ではノートパソコンなんで、よけいにそう思うのかもしれません。

投稿: SYUNJI | 2008.03.23 22:40

ルドルフさん、業界コメント感謝です。
ニュートンプレス社って西新宿だったんですか。
学生の頃西新宿の雀荘で働いていたことがあります。(←聞いてねえよ)

>てなわけで、Newton懐かしいなぁ・・・とはならないです。まったく読んだことはありませんから。

あれぇ?そうだったんですか?
まあ確かに創刊当時(の宣伝)はもっと神秘的なイメージだったように思います。
今回読んだ限りでは、実直な百科事典という趣です。

長岡秀星って、アース・ウィンド&ファイアーのジャケットデザインの人ですよね。
アースをはじめ、ジャーニーやボストンやELO・ZZトップなど、あの頃のジャケットには宇宙とか神秘っぽいイラストが多かったですね。

投稿: SYUNJI | 2008.03.23 23:02

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