聴いていた 第2回 クロスオーバー・イレブン
こんなシリーズあったっけ状態だった「聴いていたシリーズ」、2年ぶりに第2回を書いてみます。
ご存じの方も多いと思いますが、「クロスオーバー・イレブン」。
その名のとおり夜11時に放送していた音楽番組である。
クロスオーバー・イレブンはNHK-FMで1978年から2001年まで放送された。
略して「クロイレ」とも言うそうだが、深夜にふさわしい落ち着いたナレーションと選曲で人気があった番組だ。
関東では夜11時からの1時間放送だったが、イレブンなんだから全国的に夜11時だったんだよね?
自分が覚えているパーソナリティは津嘉山正種で、この人は放送終了まで続けたそうだ。
歴代のパーソナリティの中には富山敬もいたらしい。
ちなみにラジオ番組の進行役を「パーソナリティ」と呼ぶことは80年代に定着したものと記憶している。
それ以前には特にAMラジオでは「ディスクジョッキー」と呼ばれていた。
略すとDJだが、今で言うDJとは職種が少し異なる。
ディスクジョッキーと聞いて思い浮かぶのは高島ヒゲ武や土居まさるである。
そのうちに「パーソナリティ」という呼び方が登場し、オールナイト・ニッポンなどAM番組の司会進行役も「パーソナリティ」と呼ばれるようになっていった。
さてクロスオーバー・イレブンだが、自分が聴いていたのは1983年頃から88年までの間である。
この番組を本格的に聴くきっかけになったのはFM雑誌だ。
自分が買っていたのはダイヤモンド社の「FM-STATION」だったが、これには理由がある。
83年当時学生だったあたしは、ある日学校のトイレの個室で、定期入れを拾ったのだ。
「トイレで定期をなくすとはまぬけな野郎だ」と思いながら定期券に書かれた名前を見ると、なんとそれは同じ学科のナオキのものだった。
ウチの学校はけっこう広い上、学科も人数もやたら多い。
しかもそのトイレは学科の教室からけっこう離れており、普段はあまり使わない場所である。
ナオキのものならかっぱらうワケにもいくまい。
仕方なく?定期入れを持って教室に行った。
教室に行くとちょうど休み時間で、ナオキが友人と鞄や机の中を探している真っ最中だった。
「これおまえのだろ?」
そう言って定期を差し出すと、ヤツは目をひんむいて驚いた。当然だけど。
「どこにあった??」
「・・・学生課の横のトイレ」
「おまえもあそこでうんこしてたんか!」
・・・あのなぁ、定期拾ってやったのにそんなことでかい声で言うんじゃねえよ・・・
まあ人助けだからいいんだけどさ。
周りは大笑い、ナオキは泣きださんばかりに大喜び。
で、ナオキは「お礼になんか売店で買ってやる」という。
別にいいんだけど、と思っていたところに、ヤツが「FM-STATIONいいぞ?見たことあるか?」とすすめてきたのだ。
表紙は例の鈴木英人である。
まあ見たことなかったし、買ってくれるならなんでもいいかと思い、ナオキに買ってもらうことにした。
こんないきさつであたしは「FM-STATION」をそれ以降も続けて買うことになったのである。
その後も教室でナオキに会う度に「おお、うんこ友達!」と大声で言われるのには参ったが・・・
すいません、そもそも話題はクロスオーバー・イレブンでしたね。
確かに聴いてはいたのだが、あたしはこの番組を1つの目的にしか利用していなかった。
エアチェックである。
この番組のスゴイところは、オンエアされる曲目・アーチスト名・曲の長さ(分秒)が全てFM雑誌に掲載されていることだった。
つまり事前にどんな曲が流れるか、わかることが画期的だったのである。
放送前からFM-STATIONでオンエア曲を確認し、録りたい曲がある日はしっかり準備してラジカセの前で待機したものだ。
つまり「クロスオーバー・イレブン」を聴きながら他のことをしていた、という経験はない。
「聴き流す」ということをいっさいしなかった。
しかもトークがほとんどなく、基本的にフルコーラスだし、曲の長さも秒単位でわかる。
まさにエアチェックのためにあるような、予定の立てやすい便利な番組だったのである。
このエアチェックのしやすさは、「サンスイ・ベストリクエスト」の比ではない。
「サンスイ・ベストリクエスト」は、FM雑誌には「DJ:柏村武昭」としか書いておらず、オンエア曲目は聴いてみないとわからなかったのである。(リクエスト番組はふつうそういうもんだけど。)
This Is The America/Culture Club
One Sunny Day/Ray Paker Jr. & Helen Terry
Rough Boy/ZZ Top
The Knife Feels Like Justice/Brian Setzer
If You Were A Woman/Bonnie Tyler
Love Walks In/Van Halen
このあたりは86年に録音しているが、間違いなくクロスオーバー・イレブンからである。
流行っていたヒットシングルがオンエアされるだけでなく、少しひねった選曲も多かったように思う。
もっとも番組は文字通りクロスオーバーでロック専門ではなく、また単純にチャートを追うようなスタンスではなかったので、録音したい曲が全くない日もたくさんあり、そういう時は初めから聴かなかった。
オンエアの中で録音したい曲だけに全神経を集中してたので、津嘉山正種のナレーションなんか全然興味もなかったし、テーマソングもどんな曲だったか全く覚えていない。
というわけで、「クロスオーバー・イレブン」。
最近では「あの懐かしいナレーションも入った復刻版CD」というのが発売されているらしい。
エアチェックにしか使ってなかった自分としては、復刻されてもあまり感慨はわきませんけど。
同じようにエアチェック専用に使われていた方はいらっしゃるでしょうか?
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コメント
僕はFM fanを買っていました。弟はSYUNJIさんと同じくFM-STATIONを買っていたと思います。いずれにしても、この番組には本当にお世話になりました。
エアチェックしたカセットテープには、FM雑誌の切り抜きをそのまま挟んでいました。今でも何本かはそれらのテープが残っています。
選曲がかなりバラエティーに富んでいましたよね。聴く音楽の幅を広げられたのは、この番組のおかげだと思います。
「この曲だけ取りたい」と思い待ち構えていたのに寝てしまったり、本やマンガを読みながら待っていたら、前の曲がいつの間にか終わってしまい、本命の曲の頭の部分を録音できなかったり、何度も失敗を経験しております。
アジムスのオープニング曲と津嘉山正種のナレーションは、青春の記憶として刻み込まれています。
投稿: getsmart0086 | 2008.01.26 23:05
ども、SYUNJIさん。
私は、FM fanを買っていましたね。
こちらの特徴はチャートがステーションよりも力を入れていたような気がします。
でも、どちらも買ってましたね。
あと、80年代と言えば鈴木英人のイラスト、、。
私も好きでした。
この頃、ネットをしながらラジオを流しっぱなしにしている私です。
投稿: だいまつ | 2008.01.26 23:31
こんにちは。貧乏暮らしの中で、布団の中でもちょっとリッチな気分になれるこの番組を好きなぷくちゃんといいます。
実は近頃、土曜日の午前中にブログ更新、というわけではないので、ちょっと心配です。(マニア?)
夜という時間もあり、そんなに絶叫するような曲も選ばれず・・・音楽を聴く幅がひろがったと思います。
投稿: ぷくちゃん | 2008.01.27 00:40
getsmart0086さん、早いコメント感謝です。
>聴く音楽の幅を広げられたのは、この番組のおかげだと思います。
あたしも番組を聴いていたのに、音楽の幅は全然広がりませんでした・・
>本命の曲の頭の部分を録音できなかったり、何度も失敗を経験しております。
ああー同じ経験をあたしもたくさんしています。
特に録りたい曲が放送の2曲目と6曲目だったりすると、知らない曲を3曲も聴きながら固唾を飲んで待っていなければならず、集中力が続かず「今何曲目だっけ??」とパニックになってしまい、ポーズボタンを解除できず6曲目の途中で「これ録りたかったんじゃねえかよ!!」と気づいて絶望的になったり・・
だいまつ親分、コメント感謝です。
>私は、FM fanを買っていましたね。
>こちらの特徴はチャートがステーションよりも力を入れていたような気がします。
「FMファン」は少し高尚なイメージがありましたね。
友人が「FM-STATION」を買ってくれた後も、他のFM雑誌は見たりしたのですが、判型が大きく番組表が見やすかった(書体がゴシック)のが良かったのでSTATIONを買い続けました。
鈴木英人はそれほど好みでもなかったですが、カセットレーベルに使えるアーチスト写真がついていて、よく利用しました。
ぷく先輩、おはようございます。
自分の場合、寝ながらFMを聴いた経験はほとんどないですね。
>土曜日の午前中にブログ更新、というわけではないので、ちょっと心配です。(マニア?)
ネタがないんだよ!!きぃー!!(逆ギレ)
早くウルトラSYUNJIの続き書けよ!!(暴走)
>音楽を聴く幅がひろがったと思います。
うーん・・あの番組は青少年の音楽趣味枠拡大に貢献した存在だったんですね・・
全然そう思ってませんでした・・
ところであの番組で、プログレってほとんどオンエアされた記憶ないですけど、どうだったんでしょうか。(興味なかっただけかな?)
投稿: SYUNJI | 2008.01.27 11:02
懐かしの某所でも『FMファン』の愛読者が多かったですね。
でも、私はSYUNJIさん同様『FM-STATION』派でしたよ!!
アーティスト写真をカセットレーベルに利用していたのも同じ。
おかげで写真の付いてないカセットケースは物足りなく感じるようになりました(^^;)。
ついでに背インデックスも使ってました(ロゴが付いてるのは避けて、アーティスト名だけが記されているヤツ)。
これらの『FM-STATION』仕様のカセットテープは今でも多数残ってます。
結構キレイで、もったいなくて捨てられない~。
番組表の紙質も良くて好きだったなぁ。
夜中の三時位に『FM-STATION』提供のエアチェックにぴったりの番組がありましたね♪
『クロスオーバー・イレブン』をエアチェックに利用していたのも全く同じです。
あの頃は、音楽聴くのが楽しくて仕方なかったです。
投稿: YAGI節 | 2008.01.27 13:39
SYUNJIさん、こんにちは。週間FM派のモンスリーです。
私もこの番組を愛聴、というよりせっせと利用させて
いただきました。
SYUNJIさんが書いておられるとおり、週Fにも秒単位で
曲目が紹介されており、しかも全部フルコーラス。さら
には当時はやっていた「12インチバージョン」など
細かいところまで記載されていたのです。レコードを
買ったりレンタルレコードを利用するお金がない
(別に私が貧乏というわけではなく、周りはみなそうでした)
私にとってはとてもありがたい存在でした。当時録音
していたカセットテープは20本くらいありましたが、
全部処分したのが今となっては痛いです。
当時の利用方法としては、MTVや週Fのヒットチャート
で聴きたい曲をおさえ、クロス・・・・で録音ですが、
私の場合、番組を全部録音し、それから曲単位で
ダビングしていました。
ちなみに、おなじような番組では、深夜3時からの
TDK提供の番組もよかったです。こちらはライブ
放送もありました。
さて、SYUNJIさんとナオキさんの思い出ですが、
まるでこの本に出てきそうです。
http://www.hmv.co.jp/product/detail/2531108
おもしろいのでおすすめです。図書館にリクエスト
してみてください。
投稿: モンスリー | 2008.01.27 16:19
SYUNJIさん、こんにちは。
クロスオーバー・イレブン!!懐かしいです。
私も曲目をチェックして、せっせとエアチェックしていました。有り難い番組でした。
私は『FMファン』『FMステーション』を、その時の記事によって買い分けて?いました。80年代の終わりまで買っていましたね。
今も何冊か手元に残っています。
クロスオーバー・イレブン。
とりあえず片っ端から録音して、その中の気に入った曲だけ別のテープにダビングしていたのを思い出します。
投稿: Junk | 2008.01.27 17:22
クロスで、オーバーで、イレブンでしょ。
字面から、一瞬サッカー番組のことかと思っちゃいましたよ。
「赤き血のイレブン」という漫画もあったし。(←かなり遠い)
さて、私もこの番組聴いて・・・いたはずなんだけど思い出せない!
DJがツカヤママサタネ? 知らんな~、自分もFM fan買ってエアチェックにいそしんでいたクチなのですが・・・
投稿: ルドルフ | 2008.01.27 22:47
みなさんこんばんは。
ネタがないとぷく先輩に八つ当たりしてしまいましたが、こんなに多くの方からコメントいただけるとは・・涙でモニターがかすんで読めません・・(クサイ)
YAGI節さん、コメント感謝です。
YAGI節さんもSTATION派でしたか。
>おかげで写真の付いてないカセットケースは物足りなく感じるようになりました(^^;)。
ああー同じです。
とにかくなんとかして1本でも多くのテープにアーチストの写真を貼るようにしてましたね。
何年も聴いてませんが、自分もテープ自体は捨てていません。
>あの頃は、音楽聴くのが楽しくて仕方なかったです。
全く同感です。
そしてその10年くらい後でFROCKLで同じ想いを共有できたこともとても楽しかったですね。
週刊FM派のモンスリーさん、こんばんは。
>さらには当時はやっていた「12インチバージョン」など細かいところまで記載されていたのです。
そうでしたね。
ロング・バージョンを録音した時はなんとなく得した気分になったもんです。
ボウイの「ブルー・ジーン」やデュランの「リフレックス」なんかはこの番組でリミックスバージョンを録音しました。
>私の場合、番組を全部録音し、それから曲単位でダビングしていました。
自分も86年頃にダブルデッキを購入してから、同じワザを使うようになりました。
それまでは一発録りで失敗ばっかり・・
Junkさん、こんばんは。
>私も曲目をチェックして、せっせとエアチェックしていました。有り難い番組でした。
おお、ここにもいたエアチェック少年!
しかもSTATIONがお手元にまだ残っているのはすごいですね。
>とりあえず片っ端から録音して、その中の気に入った曲だけ別のテープにダビングしていたのを思い出します。
やっぱりそうでしたか。
当時の日本中で同じ時間におなじように録音していたヤング(死語)がたくさんいたんですね。
なんだか感動的な光景だなぁ。(そうか?)
ルドルフ編集長、コメント感謝です・・が、
>「赤き血のイレブン」という漫画もあったし。(←かなり遠い)
全然遠い。(ばっさり)
イレブンでふつうそっち出ませんよ。(笑)
やはりぼくらにとってイレブンと言えば「サバダバサバダバ~」ですよね。
火曜イレブンの温泉紹介のウサギちゃんてのが毎週どれもこれもぶっさいくばっかで、、、(←それでも眠いのをこらえて見ていたヤツ)
津嘉山正種氏ですが、今回ネットで番組のことを調べてようやく思い出した程度です。
漢字では全く書けませんでした・・
投稿: SYUNJI | 2008.01.27 23:31