聴いてない 第114回 ロイ・オービソン
自分のような素人リスナーでは聴いてなくて当然のロイ・オービソン。
アルバムは1枚も聴いていないし、シングルとしても2曲しか知らない。
「プリティ・ウーマン」「クライング」が聴いてる2曲だが、「プリティ・ウーマン」を聴いたのはヴァン・ヘイレンよりもずうっと後になってからである。
そもそもロイの名前を知ったのは、トラベリング・ウィルベリーズ結成時だった。
たぶんそれ以前から名前くらいは知っていたとは思うが、実際に声や顔を認識したのはこの覆面バンド結成の頃である。
自分と同じような形でロイを知ることになった人も案外多いのではないだろうか。
さて、そのトラベリング・ウィルベリーズは88年に結成された。
当時の雑誌やFMでもかなり話題になっていたと思う。
なんせメンバーはボブ・ディラン、ジョージ・ハリスン、ジェフ・リン、トム・ペティにロイ・オービソンである。
こんなメンツのバンドなら話題にならないほうがおかしい。
雑誌で見た時はアルバム発表直前だったため、メンバーの実名紹介はなく、「兄弟ということですが、さて?」などとクイズのような記事になっていた。
ジャケットの一部が掲載されていたのだが、全員サングラス姿ではあったがロイ以外の4人はすぐにわかった。
で、「この人は誰だろう?」と思っていたら、別の雑誌でメンバー全員の実名が書いてあり、ロイ・オービソンを知ることになったのである。
バンド結成を知った時も、ロイ以外の4人の関係は雑誌などで知っていたので、特に異色の組み合わせだとは思わなかった。
ボブ・ディランとジョージ・ハリソンはもともと仲がいいし、ジェフ・リンはジョージとトムのソロをそれぞれプロデュースした間柄である。
とするとロイをメンバーに誘ったのは誰なんだろう?
ロイが参加することになった経緯はどういうものだったのだろうか?
彼らが偽名?を用いてアルバムを作った理由は、どうやら契約上の制約があったためらしい。
これだけ5人とも知名度の高い人たちだと、やはりそう簡単に「バンドやろうぜ」というわけにはいかないのだろう。
ただこの偽名覆面がかえって話題を呼び、アルバム売り上げに充分貢献したのではないかと思う。
そういえばプログレやハードロックの人たちはしょっちゅうメンバーを入れ替えてグループ結成するけど、そういう場合の契約上の面倒な手続きってのは誰がやってるんでしょうかね。
ロイがどんだけ偉大な人なのか全然知らないので、少し調べてみました。
1936年テキサス生まれ、デビューは1955年。
「プリティ・ウーマン」は1964年のヒットだそうだ。
独特の声はベルベット・ボイスとも呼ばれ、あのブルース・スプリングスティーンはロックの殿堂入りを果たした時のスピーチで、「ボブ・ディランのような歌詞と、フィル・スペクターのようなサウンドを作りたかった。そしてロイ・オービソンのように歌いたかった」と発言している。
その独特の声が災いしてか、どの曲も同じに聞こえるという批判もあったらしい。
70年代以降はヒットにも恵まれなかったが、80年代にトラベリング・ウィルベリーズで再び話題の人となった。
うーん・・そうだったんですか。
ボスがスピーチで名前を出すくらい尊敬していた、というのも少し意外な気がしますが、それだけアメリカでは偉大なスターだったんでしょうね。
こうして聴いてないアーチストをいろいろ調べていていつも驚いてばっかなんですけど、トラベリング・ウィルベリーズのアルバムって2枚とも一度廃盤になってるんですね。
最近カップリング盤として再発されたらしいのだが、日本じゃそんなに人気なかったのかなあ。
聴いてない自慢の長いあたしですが、それでもウィルベリーズは2枚ともレンタルで聴いてるんですけど。
2枚しかないのだがタイトルは「VOL.1」と「VOL.3」。
「VOL.3」を借りた時「VOL.2」はどうしたのかと思ったら、そもそも2枚目が「VOL.3」なのだった。
「VOL.2」作成時にメンバーに加わったデル・シャノンという人が自殺してお蔵入りになったから、という理由らしいが・・
90年代のビートルズ再結成の直後だったと思うが、ポール・マッカートニーを加えてウィルベリーズの新作が出るという話をFMで聴いた記憶がある。
実現しないままジョージも亡くなったので、話はガセだったのかどうか今もわからない。
で、さらに驚いたのはロイ・オービソンのオリジナルアルバムCDってのは、日本では最近まで全く発売されていなかったということ。
「プリティ・ウーマン」なんて映画もヒットしていたし、てっきりたくさんCDが発売されてるもんだと思っていた。
ということは、ロイの作品を丁寧に聴いたり集めたりしてる人は実は相当コアなファンなのだろうか?
そんなわけで結局さっぱり聴いてないロイ・オービソン。
どのくらい偉大なアーチストなのか未だにきちんと理解できていませんが、おすすめのアルバムなどご紹介いただければと思います。
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コメント
SYUNJIさん、こんにちは。
ロイ・オービソンですが、ウィルベリーズと
「Oh! Pretty Woman」以外は全く聴いたことが
ありません。
ただし影響下にあるミュージシャンとして、
SYUNJIさんも取り上げているスプリングスティーン。
「明日なき暴走」での唱法はオービソン風とも
聞いたことがあります。
もうひとつ、グレン・フライの仲間でJ.D.サウザー
という人がいますが、この人のヒット曲が
「You're Only Lonly」で、オービソンの
「Only the Lonely」をモチーフにしているよう
です。
>>彼らが偽名?を用いてアルバムを作った理由は、
>>どうやら契約上の制約があったためらしい。
これはうるさいみたいですね。クリームの名曲「バッジ」
は、ジョージ・ハリスン作ですが、契約の問題で、当初は
変名にされていたようです。また、ハリスンの「All
Things Must Pass」では、クラプトンが多くの曲で
演奏していますが、これも当初クレジットがなかった
ようですし(正確なところが調べきれませんでしたが)。
クラプトンのようにあちこちで演奏しているといろいろ
あるようで、一番ひどいと思ったのは、
ベイビーフェイスのアンプラグドライブで、ゲストの
クラプトンが当時の大ヒット曲「Change The World」
を歌ってギターを弾くのですが、クラプトンはワーナー、
ベイビーフェイスはソニーということで、クラプトン
の歌がばっさりとカットされ、後から録音された
ベイビーフェイスの歌がかぶせられておりました。
ジャケには「クラプトンはギターだけ。歌っていません」
としつこいくらいに書いてありました。何だかなあ。
投稿: モンスリー | 2007.12.24 14:39
SYUNJIさん、こんにちは。
トラベリング・ウィルベリーズを除くと、ロイ・オービソンとしてはベスト盤を持っているだけなので、コメントするのが心苦しいJunkです。
私もロイ・オービソンの「プリティ・ウーマン」を知ったのは、あのヴァン・ヘイレンのカヴァーを聴いたからだったのは確かです。
ロイ・オービソンの歌声、けっこう好きです。
投稿: Junk | 2007.12.24 16:31
モンスリー師匠、コメント感謝です。
>「明日なき暴走」での唱法はオービソン風とも聞いたことがあります。
ボスとロイ・オービソンでは声質が全然違うのですが、相当ボスはオービソンにあこがれていたんでしょうかね。
組み合わせとしては意外に感じるのですが・・
ベイビーフェイスの件は自分も聞いたことがあります。
アーチストの組み合わせによっては、同じ盤を2つのレコード会社で出すと、一方のレコード会社がむやみに得したり損したり・・という事態になるんでしょうね。
Junkさん、こんばんは。
ベスト盤は聴いておられるんですね。
日本では「プリティ・ウーマン」を初めからロイの曲だと知っていた人のほうが少ないんじゃないでしょうかね。
トラベリング・ウィルベリーズって、ディランとトム・ペティという2大濁り声ボーカルを抱えてますんで、ロイ・オービソンのボーカルでなんとか持ちこたえたというか・・(失礼)
ただメンバーの声や歌唱力はばらばらですけど、なぜか不思議に調和がとれているように感じます。
投稿: SYUNJI | 2007.12.24 21:25
ロイ・オービソンは何枚かアルバムを持っていたはずなんですが、今探してみたら一枚も見つかりませんでした。
記憶に特に残っているのは、生前最後のアルバムとなったもの。タイトルもちょっと忘れてしまったんですが…比較的近年出たものだと思います。
声はキーが下がることなく、ウィルベリーズ時代の声質をキープしていて、凄く歌がウマい人なんだな、と思った覚えがあります。
投稿: いたち野郎 | 2007.12.24 23:11
いたち野郎さん、コメント感謝です。
>記憶に特に残っているのは、生前最後のアルバムとなったもの。
調べたら「Mystery Girl」という名のアルバムのようですが、合ってますか?
ジェフ・リンやトム・ペティの他、ボノやエッジも参加してるそうですが・・
ウィルベリーズと似たような音だそうですが、聴いてみたいですね。
>声はキーが下がることなく、ウィルベリーズ時代の声質をキープしていて
加齢とともに声質が落ちるのは歌手の宿命みたいなもんだと思いますが、そういう意味ではロイ・オービソンの声はすごいですね。
的外れかもしれませんが、ロイ・オービソンの声は、ハワイアンみたいなサウンドも似合うような気がします。
投稿: SYUNJI | 2007.12.25 23:00
ロイ・オービソンって、私の記憶でもやはりヴァン・ヘイレンのカバーから再びスポットライトが当たったというイメージです。私、そのときからずっと思っていたことがあるんですよ。
一貫して、彼のトレードマークである黒縁サングラスの風貌は、
「奥飛騨慕情」の竜鉄也に似てる・・・と。
投稿: ルドルフ | 2007.12.26 10:13
今年二度の生SYUNを見たぷくちゃんといいます。
さてだんだん「聴いていないシリーズ」から「誰か聴いたことがあるのか」シリーズになっているようなこの企画、ほとんどの皆さん聴いていないんですね・・・
私はロイ(←友人?)の声は大好きで、天性の美声と言えると思います。声を維持していくのは難しいことで、オペラ歌手などは30代後半から声の衰えがわかります。
できるだけその衰えを防ぐには、「自分の声質に合っていない曲は歌わない」、「私生活を節制する」、この2点だと思います。
だからかなりの禁欲生活を行っていたと思いますよ。ロイは。(←しつこい)
投稿: ぷくちゃん | 2007.12.26 17:56
連投すみません。
そうです!ミステリー・ガールというタイトルだったはずです。今になってみれば、ジェフ・リン参加ということで、このアルバムも完全なジェフ・リン・サウンドだったと思います。そういう意味ではウィルベリーズっぽいと言えそうですね。
投稿: いたち野郎 | 2007.12.28 06:55
ルドルフさん、コメント感謝です。
>「奥飛騨慕情」の竜鉄也に似てる・・・と。
これはまたぷく先輩が泣いて喜びそうな話ですね。
「オレだけが見つけた似てる人同士選手権!!」とか、たぶん数日中に始まりますよ。
あ、生ぷく先輩、今の聞いてました?
>「聴いていないシリーズ」から「誰か聴いたことがあるのか」シリーズになっているようなこの企画
あたしとしては「たぶん誰かは聴いているだろうシリーズ」になってる気がしますが・・
>だからかなりの禁欲生活を行っていたと思いますよ。ロイは。
相変わらず鋭い考察・・先輩が言うと説得力がありますね。
いたち野郎さん、コメント感謝です。
>このアルバムも完全なジェフ・リン・サウンドだったと思います。
おお!そうですか。
ジェフ・リンの音は実は結構好きです。
ウィルベリーズを聴いたのもジェフとトム・ペティがいたからです。
ロイ・オービソン聴くならこのアルバムからにしてみようかと思います。
投稿: SYUNJI | 2007.12.28 21:28
アララララ… ロイ・オービソンっていえば、アメリカではエルビス・プレスリーと同列に扱われる人なんですけどネェ…。
日本での最初のヒット曲が“愛しのラナ”、62年頃です。本人よりもベルベッツでヒットしました。プレスリーとオービソンはデビューが同じで一緒にツアーしていました。ビートルズとも一緒にツアーしていた時代もあります。ジョージのつながりはその時できたのかと思います。誰かも書いていましたが、J.D.サウザーの「You're Only Lonly」はオービソンの「Only the Lonely」のオマージュとして書かれたものです。リンダ・ロンシュタットのブルー・バイ・ユーなんて曲、聴いたことありませんか? あれもロイの作品です。
投稿: トム・ヤム君 | 2009.05.20 04:00
トム・ヤム君さん、コメントありがとうございます。
>アメリカではエルビス・プレスリーと同列に扱われる人なんですけどネェ…。
そのようですね。
日本での知名度はかなり違うと思いますが・・
>ビートルズとも一緒にツアーしていた時代もあります。ジョージのつながりはその時できたのかと思います。
なるほど、そうだったんですか。
あらためて考えると、トラベリング・ウィルベリーズってすごいユニットだったんですね。
>リンダ・ロンシュタットのブルー・バイ・ユーなんて曲、聴いたことありませんか?
すいません、リンダ・ロンシュタットも全然聴いてないんで・・
他にも聴いてないアーチストが山ほどいますので、これに懲りずご指導いただければと思います。
投稿: SYUNJI | 2009.05.23 17:36