聴いてみた 第46回 アイアン・メイデン
「・・・メイデン、いいスよ」
先日焼きそばを食った後立ち寄ったアウトレット・モールで低い声でルドルフ編集長にすすめられ、聴いてみることにしたアイアン・メイデン。
あたしも若い頃は通ぶって「メイデン」とかケツ上げで言ってきたものの、実は全然聴いたことがないのでした。
もはや残りの人生全てを音楽鑑賞に捧げたところで、ルドルフさんやぷく先輩の知識や実績には全く追いつけないのは明白です。
ここはひとつメタルに手を出し、ぷく先輩とは別の道を歩むという差別化を図らねばなりません。(なんで?)
今回聴いてみたのは、メイデンのデビューアルバム「Iron Maiden」。
メイデンもメタリカもジューダスも全然聴いてない自分にとっては、どれを聴いてもきっと新鮮に聞こえるだろう。
ルドルフさんによれば、「今聴いてみると実はそんなに激しいものでもないスよ」とのこと。
メイデンは今後のあたしの人生に、どのような影響をもたらすのでしょうか。
・・・・・聴いてみた。
1.Prowler
Junkさんも絶賛のこの曲、どこかで聴いたことがある。
イントロやリフ、ボーカルの声にも聴き覚えがあります。
最初の曲から少々意外な展開。
こんな自分でもどこかで聴いてたってことは、かなり流行ったということだろうか。
曲自体はハードロックの標準的構成で、今聴いてみると確かにメタルという感覚はあまりない。
2.Remember Tomorrow
悲しげなスローバラード。
だが途中でテンポアップしたギターリフ(たぶんツイン)が「きょーんきょきょんきょーんきょろろろろ」という音で聴ける。
この転調もハードロック・バンドではよく使われる手法だ。
3.Running Free
跳ねるようなリズムのロック。
この曲の雰囲気は何かに似ている・・・と考えて思い当たったのはキッスである。
4.Phantom Of The Opera
小刻みなリフがキツ目に詰め込まれた曲。
途中ところどころ転調があるが、全体の雰囲気は大きくは変わらない。
アイアン・メイデン、思ったよりマジメです。
ただリフは少しくどいし、この曲は7分半とやや長い。
ギターはインギーの音にも少し似ていると思う。
5.Transylvania
これもイントロに小刻みなリフ。
ボーカルはなく、ただひたすらにギターが疾走するインストである。
ここまで聴いて思うのは、アイアン・メイデンってのはギターがメインだということ。
他の楽器の音にはそれほど強い印象はない。
6.Strange World
前の曲から切れ目なくつながっている。
路線はスローなバラード。
ボーカルはポール・ディアノという人だが、この人バラードのほうがうまいと思います。
曲の雰囲気はライオットに似てると思う。(ライオットもほとんど聴いてませんけど・・)
7.Charlotte The Harlot
驚いたことにこの曲にも聴き覚えがある。
サビのシャウトやリズムは確実にどこかで聴いている。
そうかこれがメイデンだったんだ・・・
この曲は出だしが目いっぱいハードで、転調してスローバラード、でもって再度ハードという、他の曲とは反対の展開だ。
でもやっぱりボーカルはバラードのほうがいいですね。
8.Iron Maiden
ラストはアルバム名でもありバンド名でもある「アイアン・メイデン」。
ということは彼らの代表曲ということだろうか。
スピード感ありありの、ここまでの展開を全て再履修してるお手本課題曲のようである。
ただこの曲は3分半と短い。
もう体力が持たなかったんでしょうか。
トータルな印象としては「実はすごくマジメな人たち」。
もっとデタラメにデカイドラムとかノイズだらけのギターとかクスリっぽい絶叫ボーカルとかダイビング・ヘッドバットとかツームストーン・パイルドライバーとか、そういうのばっかな世界だと勝手に思ってましたが、全然違いますね。
演奏や歌は確かにハードなんだけど、ステージ降りたらプロデューサーに全員最敬礼で「あざーす!」とか言ってそうな、そんな感じ。(ホントかよ)
ジャケットから漂う危険でホラーな香りと、サウンドの誠実さは正直とまどいを感じる。
逆さに言うと思ったよりヒネリが少ない。
ボーカルのポール・ディアノも思ったより声も細く、切れ味もそれほど鋭くはない。
ギターリフやエンディングのバシッとした終わり方など、他のハードロック・バンドに比べるととてもまともに聞こえるけど。
このノリがもっとミーハーになるとナイト・レンジャーとかになるような気がする。
アイアン・メイデンってスタジオにこもっていろいろアレンジしたろとか、そういう指向はあまりないんじゃないだろうか。
他のアルバムではそんなことはないのかな?
なんせメタルなんだから目を合わせたら絶対サーベルでどつかれたり凶器シューズでキックされたりするだろうな・・みたいな印象で遠ざけてたんですけど、これ全然マトモですね。
ルドルフさんの言われる「実はそれほど激しくもない」というのが少しわかった気がする。
比較すること自体あまり意味はないのだが、そう考えるとやはりツェッペリンてのはすごいバンドなのだなと思う。
メイデン聴いてツェッペリンをなぜほめる?と思われるかもしれませんが、メタルというジャンルが確立されるよりはるか前から、もんのすごいボーカルとドラムとギターとアレンジを実行してきたのがツェッペリンですよね。
こういう人たちを超える存在ってのは21世紀の今も見あたらないと思う。
そういうわけでアイアン・メイデン。
確かに思ったほど暴力的ではなく聴きやすかったとは思いますが、ヒネリのなさは案外物足りなさも感じました。(贅沢?)
この次はできればポール・ディアノじゃない人のボーカルも聴いてみたいと思います。
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コメント
ルドルフさんの宿題を片付けたSYUNJIさんに成績表で1をつけたいと感じているぷくちゃんです。
いやあ、ルドルフさんもSYUNJIさんも誤解していますが、記事にはしなくて結構。ただ喜んでもらいたいから!(←偽善者?)
>メイデンもメタリカもジューダスも全然聴いてない自分にとっては、どれを聴いてもきっと新鮮に聞こえるだろう。
私も全くこの3バンド知りません。ZEPやパープルは聴けて、この人たちをそれ程聴いていないというのは、やはり曲のクオリティに差があるからではないでしょうか?
違うかな・・・
投稿: ぷくちゃん | 2007.12.10 21:03
コメント0の危機を救うべく、やっとこさっとここちらに馳せ参じたら、ユダヤ人・Pさんがすでにいらっしゃってたのね。
ならば、チと出直してきますわ。実はいま風邪で体調悪く、頭まわんないんですよ。
しーゆーす~ん・・・(ばたっ)
投稿: ルドルフ | 2007.12.10 23:04
SYUNJIさん、お邪魔します。
アイアン・メイデンですが、ボチボチしか聴いていないJunkです。
ただこのファーストだけは、10代の最も洋楽にハマっていた時期に出たので、タイトルやら何やら話題になったのもあり、知り合いに借りてよく聴いた覚えがあります。
ただ「プローラー」以外に、強烈にグッとくる曲がないのですけど..。
>ヒネリのなさは案外物足りなさも感じました
私の聴いたそんなに数多くない楽曲の限りでは、ファーストアルバム以降もその傾向は続くと思います。それぞれにゾクッとする瞬間はあるのですけどね。(あくまで個人的な意見ですので)
投稿: Junk | 2007.12.11 00:32
ぷく先輩、こんばんは。
大切な先輩のおすすめCD、ひとり胸の中にしまっておきます・・(結局記事書かねえのかよ!!byぷく)
>ZEPやパープルは聴けて、この人たちをそれ程聴いていないというのは、やはり曲のクオリティに差があるからではないでしょうか?
うーん・・・メイデン(ケツ上げ)、ハッキリとは言えませんが、なんつうかツェッペリンよりもパープルに近い気がします。
ツェッペリンって変化球や牽制球や暴投やボークの多いバンドだと思うんですけど、メイデンは結構直球勝負系だと感じました。
ルドルフ編集長、この度はいろいろお世話になりました。
>実はいま風邪で体調悪く、頭まわんないんですよ。
おっといけませんね。お大事に・・
焼きそばで体力つけないと。
ウチの近所のデパートでも麺だけは手に入るみたいです。
Junkさん、コメント感謝です。
>ただ「プローラー」以外に、強烈にグッとくる曲がないのですけど..。
この曲を聴いたことがあったのは自分でも驚きました。
強烈にぐっときたわけではないですが、懐かしいと思いましたね。
>ファーストアルバム以降もその傾向は続くと思います。
ありゃ、そうですか・・
とりあえず別のボーカルでもう少し聴いてみたいと思ってはいますが・・
投稿: SYUNJI | 2007.12.12 23:15
ルドルフです。やっと復活しました!
Iron Maidenの記事に対するコメント・・・数といい内容といい寂しいっすね。薦めた身としてはちょっと複雑ではありますが、
> ヒネリのなさは案外物足りなさも感じました。
これもスゴくわかるんですよね~
ショボいってことでしょ? メロディアスでまとまりがあるんだけど奥行き感がないというか・・・Voはパンクっぽいし。Zeppと比べちゃいけません(別モノです)。
Voが現在のブルース・ディキッソンに変わる3枚目以降を聴いてみたらいかがでしょう? といっても、3枚目以降はどれがイイのか、私にもよくわからなくて(聴いてない)、逆に私の方からどなたかにお聞きしたいくらいなのですが・・・
投稿: ルドルフ | 2007.12.15 10:48
ルドルフさん、コメント感謝です。
メイデン、「予告がすんごい怖そうな怪奇映画、本編はそうでもなかった」というところでしょうか。
ちょっと思ったのですが、メイデンてやはりジャケットで損してる気はします。
やってる音楽は結構マジメなので、ジャケットはメンバーの写真でもいいんじゃないかと思いますが。
>Zeppと比べちゃいけません(別モノです)。
そうスね・・
アケボノやインリン様を見てノゲイラを語るようなものですね。(←違うと思う)
>逆に私の方からどなたかにお聞きしたいくらいなのですが・・・
え、そうなんですか?
てっきりメイデンはほぼ網羅しているんだと思っていました・・
でも他のボーカルで聴いてみたいとは思うんで、次は3枚目以降を探してみます。
投稿: SYUNJI | 2007.12.15 21:20
毎度お世話になります。
1週遅れですがTBさせていただきました。
わたしは個人的にはポール・ディアノのヴォーカルの方が好きなんですが、歌は圧倒的に3rd以降のブルース・ディッキンソンの方が上手いです。メタルファンの間では3rd以降の方が人気高いと思います。(逆にメタルファン以外には1st、2ndの方が人気あります。ここに結構、メタルとは何か?という問いに対する答えがあるような気がするんですが・・・)
特に3rd「魔力の刻印」、4th「頭脳改革」、5th「パワースレイブ」あたりはなかなかの力作だと思います。曲は決してショボくはないです。子供でもわかりやすいと思います。(←褒めてるんだかけなしてるんだか)
>ツェッペリンよりもパープルに近い気がします。
それは凄く当たっていると思います。
パープルをツインギターにして、曲を長くして1曲の中にドラマティックな展開を入れて、中世的だったりホラーであったり近未来といった世界観の歌詞やジャケットで味付けしたもの。それがすなわち、この時代のヘヴィ・メタルというジャンルだと思います。
投稿: カナ | 2007.12.16 06:06
カナさん毎度です。メイデン情報ありがとうございます。
>特に3rd「魔力の刻印」、4th「頭脳改革」、5th「パワースレイブ」あたりはなかなかの力作だと思います。
おお、そうですか!
じゃああたしに「メイデンいいスよ」と指示した張本人のルドルフ編集長にまず3枚買ってもらって感想を聞かせてもらいましょうか。(なんだよそれ)
>それは凄く当たっていると思います。
やっぱり!?ねえ、今の聞いた聞いた?(ぷく先輩のソデを引っ張る。でも先輩は無視)
まあいずれにせよメタルを理解するまでにまだまだ学習が必要なんで、ご推薦の中から選んで聴いてみようと思います。
投稿: SYUNJI | 2007.12.16 10:40
>トータルな印象としては「実はすごくマジメな人たち」。
おっしゃる通り Maiden は至極真面目な音楽です . リーダの Steve Haris 先生は“極端に頑固”で有名ですし .
わたしはヘヴィメタルを本気で愛 しているのですが , ヘヴィメタルは“不良”と言うよりも“職人”的な音楽(だからプログレと密接に関係している)です . あたまのおかしい人も居るには居るのですが , そういう人は人間離れした実力を持っていると考えてかまいません .
>もっとデタラメにデカイドラムとかノイズだらけのギターとかクスリっぽい絶叫ボーカルとかダイビング・ヘッドバットとかツームストーン・パイルドライバーとか、そういうのばっかな世界だと勝手に思ってましたが、全然違いますね。
メタルは非常に奥深いジャンルでして , “ヘヴィメタルとはこういう音楽である”と断じることは難しいです . 一秒で終わる曲があれば , 六十分続く長曲もある . 本気で細分化が進んでおり場合によっては国 , それどころか州ごとに分類する必要があります(冗談抜きでマジ) .
因みに Maiden を聴くなら , “頭脳改革”と“第七の予言”をオススメします . 両者ともメンバーが“最高傑作!!”と叫んだアルバムなので .
投稿: 山口弘 | 2008.04.07 16:50
山口さん、コメント感謝です。
>メタルは非常に奥深いジャンルでして , “ヘヴィメタルとはこういう音楽である”と断じることは難しいです .
そのようですね。
まあメタルに限らず、音楽のジャンルなんてククリは時に無意味だったりしますね。
今回メイデンは聴いてみて思いのほか精緻な印象を受けました。
>因みに Maiden を聴くなら , “頭脳改革”と“第七の予言”をオススメします .
なるほど。
「頭脳改革」の評判が高いですね。
いつになるかわかりませんが、聴いたらまたこの場で報告したいと思います。
投稿: SYUNJI | 2008.04.12 00:03
アイアンメイデン昔よく聴いていました。
ポールディアノのボーカルの「初期のアイアンメイデンがやっぱり一番」というのが通の間の合言葉なんでしょうが・・。
私は1stよりは2ndのほうが、そして3rd以降のブルースディッキンソンのボーカルのほうがアイアンメイデンらしくて好きです。
アイアンメイデン=正統派、音楽は真面目、合っていると思います!
ジャケットの印象から「怖い」と感じる人が多いですよね。でもそのgapが、つまりヘビーメタルファン特有のアングラなイメージを持ちつつ、実は芯のある確固たる音楽が根底にあることが、今でもファンをひき付けて止まないんだと思います。皆バンドメンバーの仲がいいのも長続きの秘訣かな?アメリカではなく、歴史あるイギリス出身というところがノーブルな感じがしてまた良いです(笑)
アルバム通して全部良いとは感じないのですが、なかに今でも忘れられないカッコいい名曲が入っていて、時たま無性に聴きたくなるんですよね。
1stだけではもったいないので、是非せめて5thぐらいまでは聴いてみてください。
「Run to the Hills」
「Hallowed be thy Name」
「Two minutes to Might Night」
あたりはコンサートでも必ずやる代表曲だと思います。
投稿: ようこ | 2010.10.14 01:05
ようこさん、こんな安い記事にコメント感謝です。
3年前の記事ですが、これ以降メイデンは結局ほったらかしでして・・
>そして3rd以降のブルースディッキンソンのボーカルのほうがアイアンメイデンらしくて好きです。
やはり3枚目以降の評判がいいみたいですね。
>皆バンドメンバーの仲がいいのも長続きの秘訣かな?
あ、そうなんですか?
もめてるバンドが好きな自分としては物足りない気もしますが・・
>なかに今でも忘れられないカッコいい名曲が入っていて、時たま無性に聴きたくなるんですよね。
なるほど・・
おすすめの「Run to the Hills」「Hallowed be thy Name」の2曲は3枚目のアルバム収録のようですね。
次に聴くならこのアルバムを試そうと思います。
投稿: SYUNJI | 2010.10.16 00:16
あんたらどいつもこいつも、ZEPやパープル出さねえと話しできねえのか?
いいかげんにしろよ。ZEPやパープルと比べてクオリティが低い?
あのなあ、音楽性に優劣なんて存在しねえんだよ!
優劣で話付けてる時点で、にわかにもほどがあるな。
あんたら偉そうに言ってるが、この1stはヘヴィ・メタル界に革命を起こした歴史的名盤だぞ?
好き嫌いは置いておいて、その点をしっかりと評価してもらいたいね。
確かに出来で言えば3rdの方が上だが、この1stはその後のヘヴィメタルの原型となった意味では、3rdよりも重要な地位を占めているんだよ。
もちろん3rdも歴とした名盤だがな。
後、アイアン・メイデン世界で最も成功したヘヴィ・メタルバンドであり、あんたらが大好きなZEPやパープルの影響をもろに受けたバンドだ。
こいつらは、パンクロックの台頭でダイナソーロックと野次られたZEPらの威信回復に大きく貢献したんだよ。後継者みたいなものだ。
そして、今じゃZEPやパープルにも比類しうる超大御所バンドだ。
これらのことを忘れるな。
なんでもかんでも、ZEP最強!パープル最強!なんて子供じみた持論振りかざしてんじゃねえぞ。
投稿: ザ・アンノウン | 2014.12.09 17:42