観てみた PEACE BED
こんばんは、文化の香りが全くしないブロガーのSYUNJIといいます。
BLOGを始めて丸4年になりますが、映画の記事を書くのは初めてです。
自分は映画をめったに観ません。
最後に観たのがいつだったのかはっきりと思い出せないくらいですが、観た映画のストーリーも実はかなり忘れるほうです。
「嫌い」という感覚は持っていないつもりですが、テレビで映画公開のニュースや宣伝を見ても「あ、観に行こう」とはまず思わないのです。
そんな映画嫌い?のあたしですが、この映画は新聞の広告を見て久しぶりに「観たい」と思いました。
「PEACE BED アメリカVSジョン・レノン」。
ビートルズ解散前後から死に至るまでの10年間の中で、ジョンが平和を求めて活動することで、アメリカという国家権力と戦わざるを得なかった過程を描いたドキュメンタリー映画です。
ドキュメンタリーなのであまりこだわる必要はないかもしれませんが、映画の記事を書くときのエチケットを一応なぞってみます。
これより先は映画の内容に多少ふれておりますので、未鑑賞の方はご注意下さい。
公開中の映画館が新宿にあったので行ってみました。
400席ある館内はガラガラ。
観客はせいぜい30人程度でしょうか。
年末の平日の夕方でしたので、そんなものかもしれませんが、みなさんあまりジョン・レノンに関心がないのでしょうか。
(あたしもそれほど関心があったわけではないのですが)
さてこの映画、ドキュメンタリーなのでストーリー展開やミュージカルな演出はもちろんありません。
ベトナム戦争が泥沼化する中で、平和運動を展開し、アメリカの若い世代にも強い影響力を持つジョンは、アメリカ国家にとって脅威となっていました。
アメリカ当局やFBIはジョンに様々な圧力をかけ、過去のマリファナ所持歴を理由に国外退去命令まで出します。
平和運動と並行して行われたこのアメリカとの戦いについて、ジョンの数々のインタビューやライブでの発言がジョンの曲とともにコラージュされ、ヨーコをはじめ友人・ジャーナリスト・活動家・作家・元FBI監察官などの人々の証言が続きます。
NHK特集などで見られるドキュメンタリー番組と、基本的な構成は同じです。
この経緯は以前読んだ「ジョン・レノン アメリカでの日々」などでおおむね知ってはいました。
ただ映像はもちろん見たことのないものがほとんどでした。
ジョンの発言や周辺の人々の証言は時系列に沿って登場するため、同じ証言者が何度も出てきます。
ドキュメンタリーとして優れていると思ったのは、ジョン寄りの証言者だけでなく元FBI監察官など「アメリカ側」の証言者が登場したことでした。
元体制側の人間であっても、当時の体制側の方針やジョンに対する圧力は「良くなかった」というニュアンスの証言をしています。
ジョンの曲が映像とともに効果的に使われますが、大半はBGMで、歌うジョンが映るのは「ベッド・イン」での「Give Peace A Chance」など3曲くらいでした。
また流れるのはどの曲も一部です。
残念なことに自分はジョンの曲をあまり知らず、半分くらいしかわかりませんでした。
ビートルズ時代の映像はほとんどありません。
もちろんテーマが「アメリカVSジョン」なので当然なのですが。
この点は少し物足りなかったと勝手なことを思いました。
終盤の展開は非常に淡泊です。
ショーンが生まれ親バカとなったジョンを数分紹介し、ヨーコや友人の証言があり、家族3人で食事を楽しむ映像が流れ、唐突に銃声が4回。
暗転後はニューヨークに集まり悲しみにくれる群衆の映像です。
この日自分とともに映画を観ていた全員が、間違いなくジョンがどんな死をとげたのか知っているはずですが、「ここから先はもういいよね」と、製作側が言っているような感じです。
その後ヨーコが「ジョンはもういませんが、メッセージは残っています」のような証言をし、「インスタント・カーマ」が流れる中、エンドロールとなります。
それにしてもこんなエンディングを観てしまうと、ジョンが本当に単なるストーカーまがいの一ファンに射殺されただけだったのか、非常に疑り深くなってしまいます。
正直、「おもしろい」「楽しい」という感想はありませんし、そういう性質の映画ではないと思います。
自分は70年代のジョンは全くリアルタイムではありません。
未だに作品の大半は未聴です。
当時の映像、特にジョンの発言を映像で見られたことは良かったと思いました。
本で読んだ話と基本的に違いはありませんでしたが、「ジョンが話しているのを見て聞けた」ことで、当時のジョンが何を考えどう行動していたか、自分の中でより鮮明になってきたと感じました。
自分は米軍施設から歩いて1分のところに40年以上住んでいます。
家の上空を戦闘機が通過することは全く珍しくもなんともありません。
平日は米軍のスクールバスを普通に見かけ、休日ともなれば近所にはEナンバーの車がたくさん走っている、いわば「国境の町」に暮らしています。
延々続く鉄条網を見る度、正直「ジャマだ」とは思いますが、ではどうしたらいいのか、未だにわかりません。
ベトナム戦争がどういったものだったのか、あまりよくわかっていませんが、ここ10年くらいのアメリカは当時と似たような状況だと思います。
ヨーコの証言のとおりジョンのメッセージは世界中に残っていますが、現在も決してジョンが望んでいた世界になっていないことだけは確かです。
さて。
反戦運動とは全然次元が違いますが、世界中の様々な紛争のニュースをテレビで見る度、こんな自分ですが最近ぼんやりと思うことがあります。
自分は関東の人間なのですが、あえて関西弁のほうが説得力があるような気がしますので、使わせていただきます。
「もう、せんでええことはせんでええやないか?」
どんな人間でも必ず死にます。
これは自然の摂理で逃れることはできません。
生きている人間だけがいろいろなことができる。
だとすれば、どうせ誰だってほっといてもそのうち死ぬんだから、生きてる間はお互いのためになるようなことをすれば、生きてるコストに対するパフォーマンスが上がるってことですよね。
だから戦争とか殺人とか強盗とか虐待とか、人間の生産性が下がるような、せんでええことはせんでええのと違いますかね?
国連の総会とかで、大阪のおばちゃんにこんな風に言ってもらったら、意外に世界が変わるんじゃないかなぁ?
ジョン・レノンの映画を観てきた人間としてはあまりにも偏差値の低い話でホントに申し訳ないんですけど、そんなことを考えました。
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コメント
SYUNJIさん、こんにちは。
これ、観に行くつもりでしたが、12月に入って仕事が忙しくなって未だに未見です。
ドキュメンタリーだからTV番組でもよかったのかもしれませんね。うがった見方をすれば、サントラ盤を売りたかったのですかね、レコード会社は。
年明けにも観に行きたいです。
それでは、よいお年を!!
投稿: JT | 2007.12.30 12:05
JTさん、コメント感謝です。
>うがった見方をすれば、サントラ盤を売りたかったのですかね、レコード会社は。
うーん・・そういう戦略がもし本当にあったとすると、それはどうかなと思いますね。
ジョンのメッセージをより多くの人に伝えるのはいいことですが、単に商売したいだけだったら・・
でも映画は貴重な映像がたくさんあるそうですので、ぜひご覧いただければと思います。
JTさんもよいお年を!
投稿: SYUNJI | 2007.12.30 21:22
毎度お世話になります。
観たいです、これ。
ちなみにわたしも今日は休みで映画館に行きましたが、観た映画が「映画『たまごっち』ドキドキうちゅうのまいごっち」という情けなさです。でもラストちょっと泣いてしまった自分がもっと情けないです。
今年もお世話になりました。来年もよろしくお願いします。よいお年を!
投稿: カナ | 2007.12.31 03:10
こんにちは。これ地元で一週間しかやっていませんでした。観たかった。
ポリスに行けるのがうらやましくて仕方がありません。今の会社水曜日半ドンなのです。わかっていたらチケットとっていたのに・・・・
投稿: ぷくちゃん | 2007.12.31 08:07
うう、これ観に行きてぇ・・・けれども、カナさん同様映画「たまごっち」は避けては通れないであろうルドルフです。幼児がいるとこれだから・・・
ちょっと内容的にズレた記事ですけどTBしました。実はこの記事に「もしもジョン・レノンが今も生きていたら・・・」というコメントが寄せられ、それ以来、私の頭の中ではこの想定問答が続いています。そして、以前よりもジョン・レノンに対する興味も沸いてきました。2008年は彼のサウンドにトライしてみようかなと思っている昨今だったりして。
では、よいお年を~
投稿: ルドルフ | 2007.12.31 08:34
カナさん毎度です。
たまごっちですか・・
最近なぜか見事に復活してますね。
その昔たまごっちを不正に大量に仕入れようとしてつかまったマル暴関係の人たちのニュースを思い出しました。
そのスジの人たちが「たまごっち」などと口にする光景を想像するとおかしくてたまんないニュースでした・・
こちらこそお世話になりました。
来年もよろしくお願いします。
(しまった、ジョン・レノンに全然ふれていない・・)
ぷく先輩、年末なのにコメント感謝です。
>これ地元で一週間しかやっていませんでした。観たかった。
どうもそのようですね。
神奈川県内でもどこもあっという間に公開終了となっていて、都内でも今公開中なのは六本木と新宿だけです。
やはりたまごっちには勝てないのか・・
>今の会社水曜日半ドンなのです。わかっていたらチケットとっていたのに・・・・
ありゃ、そうですか。
ネット・オークションで出品されてるような気もしますが・・
ルドルフさん、コメント感謝です。
新宿では1/11まではとりあえず公開してるみたいですよ。
>2008年は彼のサウンドにトライしてみようかなと思っている昨今だったりして。
劇中もジョンの曲がたくさん流れますが、「じゃあ聴いてみようかな」とはあまり思いませんでした・・
自分はやっぱりビートルズの頃の楽しそうなジョンが好きなんだと思います。
ルドルフさんもよいお年を!
投稿: SYUNJI | 2007.12.31 16:36