聴いてみた 第45回 ムーディー・ブルース
今回聴いてみたのはムーディー・ブルース。
バンドの名前を知っていたくらいで、1曲も聴いたことがなかった。
なので聴いてないシリーズでも採り上げて来ませんでした。
プログレに該当するらしいが、それすらもよくわかっておらず、プログレだからと知ってて右から左に受け流していたわけではない。
今回もモンスリー師匠ご指導のもと、初めて鑑賞する運びとなりました。
聴いてみたのは「セブンス・ソジャーン」。
「神秘な世界」という邦題がついている、72年の作品である。
彼らにとっては結成以来初の全米No.1アルバムだそうだ。
でもジャケットには全く見覚えがない。
ムーディー・ブルースはジミー・ペイジが「真のプログレッシブ・ロック」と評したバンドだそうだが、それがどんな意味を持つのか自分にはイマイチわからない。
果たして聴いてみて「さすがはペイジさん」と納得することができるのでしょうか。
・・・・・聴いてみた。
1. Lost In A Lost World (失われた世界へ)
どこかもの悲しい行進曲調の旋律。
もっと重くてワイルドなサウンドを想像していたのだが、全く違うようだ。
2. New Horizons (新しい水平線)
これも哀愁に満ちた曲である。
泣きのギターはサンタナのようでもある。ってサンタナもロクに聴いてないですけど。
その昔中学生の頃、英語の教科書が「New Horizon」(東京書籍)というシリーズだったのを思い出しました。
3. For My Lady
この曲も同じような調子だが、前の2曲に比べてほんの少しだけ明るい感じがする。
ふかふかと流れる旋律はメロトロンだろうか。
ヨーロッパの石畳の街角に流れているようなメロディである。
4. Isn't Life Strange(神秘な世界)
静かに始まるが、途中から大きな音で演奏が盛り上がり、分厚いコーラスがある。
盛り上がる部分はそれなりに荘厳ではあるが、イエスほどの緻密さや鋭さはないようだ。
転調はあるがついていけないほどのものではなく、聴きやすい曲である。
この辺のノリはクイーンあたりに引き継がれているんじゃないだろうか。
1. You And Me
リズミカルで楽しそうなイントロ。
ここまで聴いて初めての展開である。
ボーカルが全編にわたってコーラス(オーバーダビング?)。
当時の日本のグループサウンズがマネしてそうなサウンドが不思議とおもしろい。
2. The Land Of Make-Believe(見せかけの国)
メルヘンチックな調べ。
これもイントロのふかふかサウンドはメロトロンなのだろうか。
ボーカルがまたコーラスなんだが、どうもどの声も線が細い。
だからみんなで協力して歌ってるんだろうけど。
3. When You're A Free Man
ここまで聴いて唯一ブルースっぽいと感じたのがこの曲。
アルバム全体を覆うもの悲しい雰囲気を維持しながら、ギターもドラムもぐったりなブルースをゆっくりと奏でる。
リードボーカルは一応ひとりのように聞こえるが、やはり線が細く頼りなく危なっかしい声である。
4. I'm Just A Singer (In A Rock And Roll Band)
最もスピード感のある曲がラストナンバー。
でも哀愁漂う雰囲気は最後まで変わらない。
あまりアテにならないたとえで恐縮だが、なんとなくロシア民謡のようにも聞こえる。
「オレはロックン・ロール・バンドで歌うシンガーだ」と連呼するんだけど、それは少し違うのでは・・・?と思うようなサウンドである。
うーん・・・
全体にそこはかとなく香る悲しーい雰囲気が、なんとなく楽しくないように思う。
聴きづらいというのはないのだが、突然転調したりギターソロで圧倒されたりという毒気もないので、若干退屈な印象を受けるのだ。
正直このアルバムが全米で1位を獲得しているという話にはやや驚きである。
メロトロンやコーラスに特徴はあるのだろうが、それぞれのパートにも力強さや主張を感じない。
このアルバムだけがそうなんだろうか?
ギターもドラムもそう大きな音ではないし、ボーカルも細い。
後のELOに少し似ている感じもしたが、ELOほどのポップさはない。
特徴をいまいちつかみきれないまま、アルバムを聴き終えてしまった。
曲数も8曲で演奏時間も短い・・・
プログレ5大バンドと言えば、クリムゾンとイエスとELPとフロイドとジェネシス。
というのが業界の定説だと思うのだが、実は70年代当初はジェネシスでなくムーディー・ブルースだった、という話があるらしい。
自分なりの浅い鑑賞履歴を掘り起こしてみても、他の4バンドとは趣が少し違う気がするムーディー・ブルース。
今回聴いてみて思ったのは、理数系のニオイがあまり感じられない点だった。
まあこんな素人の感覚はアテになりませんけど、プログレの人たちは演奏にしろ歌にしろ精緻でスクエアでガチンコなイメージなのだが、そういうものとムーディー・ブルースは結びつかなかったのです。
ムーディー・ブルースについてかすかに知っていた情報として、後にウィングスに参加するデニー・レインが在籍していた、ということがある。
ただしデニーはこのアルバムの発表時にはすでに脱退していたようだ。
また調べてみて驚いたのだが、アルバムの枚数は20を越えており、2005年にはライブアルバムも出たらしい。
それなのに1枚もジャケットに見覚えがない・・・・
そんなわけで、ムーディー・ブルース。
どこがムーディーでブルージーなのかよくわかりませんでしたが、自分には意外と難しいという感覚が残りました。
もう少しポップだったりハードだったりすると少し違うのかもしれません。
次に聴く機会がいつになるのか見当もつきませんが、80年代にはポップ・ロック路線に進んでいるとのことなので、そのあたりにかすかに期待しております。
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コメント
おお、一番乗りだ!\(^o^)/
ムーディー・ブルース・・・私にとっても手を出しにくいバンド、という印象です。たぶん、イメージとしてはSYUNJIさんとおんなじなんじゃないかと。だから、サウンドについては何にも語ることはございません。(←おい!)
> プログレ5大バンドと言えば、
> 実は70年代当初はジェネシスでなくムーディー・ブルースだった、という話があるらしい。
これたぶん本当だと思います。私よりも年配の洋楽ファンに、ムーディー・ブルースが好きという人多いですもの。これは、ブログやMLやっててもわかります。逆に、この世代の人たちでジェネシスファンというのを聞いたことがない。案外、ジェネシスのことが好きな人って、ジェネシスを後追いで聴いた人たちかもしれない、そんな印象を持っています。
富士宮
投稿: ルドルフ | 2007.11.11 07:54
ムーディー勝山にツッコむの忘れてました・・・失敬
投稿: ルドルフ | 2007.11.11 07:56
ルドルフさんのコメントの最後の富士宮という文字が気になるぷくちゃんといいます。
いよいよですね。(←何が?)
>聴きづらいというのはないのだが、突然転調したりギターソロで圧倒されたりという毒気もないので、若干退屈な印象を受けるのだ。
そうですね。彼らは非常にフォークの音楽に影響を受けていると思うんです。デビュー時はロックン・ロール・バンド。デニー・レインが抜けたら無理やりプログレッシブバンドとして再デビューさせられて・・・
でも本当は牧歌的な音楽をやりたかったのでは?と感じています。先日紙ジャケで再発されたのでこの「セブンス・ソジャーン」までは手元にあります。何度も繰り返して聴くとすごく味わいがあっていいなあ、と感じます。
昔に書いた青臭い記事トラバします。
投稿: ぷくちゃん | 2007.11.11 09:32
ルドルフ編集長、一番乗り感謝です。
>だから、サウンドについては何にも語ることはございません。(←おい!)
あ、ということはルドルフさんもムーディーは聴いておられない?(やや安堵の表情)
ムーディーは今回初めて聴いたり調べたりしたんでよくわかりませんが、ジェネシスのポジションもあまりよくわかっていません。
自分は80年代の「フィル・コリンズ&ゆかいな仲間たち」時代しか聴いてないのですが、おそらくその時代の音楽もプログレファンからはあまり支持されていないのではないかと思っています。
ぷく先輩、おはようございます。
ルドルフ編集長が「富士宮」の文字を残して姿を消したのはなぜなのか?待て次号!!・・・ノリが昭和ですべってるSYUNJIです。
>そうですね。彼らは非常にフォークの音楽に影響を受けていると思うんです。
おお・・そういうことですか。
どこのサイトもプログレという記述ばかりでしたが、実はバンドの方向性と事務所の思惑の対立がいろいろあったんですね。(本当か?)
味わいを感じるまでもう少し聴いてみようと思います。
投稿: SYUNJI | 2007.11.11 10:19
SYUNJIさん、こんにちは。
TB有り難うございました。
何回かブログに記事を書いているものの、ムーディー・ブルースに関してはほぼ素人同然のJunkです。
そんな私にとってムーディー・ブルースは、デニー・レインが歌う「ゴー・ナウ」、いなくなった後(多分)の「サテンの夜」そして「ストーリー・イン・ユア・アイズ」の3曲で成り立っています。
「サテンの夜」と「ストーリー~」は、確か記事にした覚えがある、正に思い出たっぷりの曲なのです。名曲だと思いますよ。
あまり偉そうな事は言えませんが、ムーディー・ブルースって聴き込んでじんわり味わいが出てくる音楽をやっていると思います。
投稿: Junk | 2007.11.11 11:48
SYUNJIさん、こんにちは。
「ムーディーズはプログレだ!」と興奮し、一度も
聞いたことがないのに、数年前に代表作を一挙にそろえてし
まいました。しかし、キンクリやフロイドとは全く違う雰囲気で、
せっかく購入したのに深く聞き込むことなく今にいたってしまい
ました。
果たしてムーディーズはプログレに分類すべきなのかどうか、
私の手元にあるプログレ解説本数本では、プログレ主流として
はあげられず、「名盤選」コーナーに1枚程度出てくる扱い
です。やっぱりブリティッシュ・ロックというべきかなと
思いました。
ただし、取り上げられた「セブンス・ソジャーン」を聞き直し
ましたが、1~7曲目までの牧歌的な雰囲気と統一感のある
流れ。この展開はプログレ的で、実に見事な構成です。しかも
暗くなく、十分に盛り上げるところ、70年代前半のロックファン
に支持されたのもなるほどとうなづけますね。
それから、昨日聞き直して、クイーン的な展開になるのに
驚きました。さらにクイーンより前の録音ということで2度
びっくりです。
最後の「ロックンロール・シンガー」はアンコール的な扱い
ですね。この時期のムーディーズには、こういうストレートな
ロック曲は少なかったと思います。
投稿: モンスリー | 2007.11.11 14:19
Junkさんこんばんは。
TBありがとうございました。
>ムーディー・ブルースに関してはほぼ素人同然のJunkです。
いやあそんな風に言われたら、あたしなんかBLOGのほとんどの記事について素人です。
みなさん結構聴いておられますね。(やや疎外感)
これまで自分の周囲でムーディーを聴いてる人がいたという経験がありません。
単に自分が他人の趣味に興味なかっただけでしょうけど・・
>ムーディー・ブルースって聴き込んでじんわり味わいが出てくる音楽をやっていると思います。
今回記事書くために3回くらい聴いてますが、まだ良さがわかるところまで来てません・・
(たいがいこのあたりで挫折する)
デニー・レインを頼りに他のアルバムを聴いてみようかと思っています。
モンスリー師匠、今回もお世話になりました・・が、またも微妙な判定になってしまいました・・
>1~7曲目までの牧歌的な雰囲気と統一感のある流れ。この展開はプログレ的で、実に見事な構成です。
確かに統一感というか似たような雰囲気の曲が続きますね。
>それから、昨日聞き直して、クイーン的な展開になるのに驚きました。
これは自分も感じました。
クイーンがムーディー・ブルースを意識したという話は聞いたことがありませんが、通じるものはあるような気がします。
投稿: SYUNJI | 2007.11.11 21:38
お久しぶりです、SYUNJIさん。
ムーディー・ブルースはぜんぜん詳しくありません。
けど、聴いたことはありました。
私が初めてムーディー・ブルースを耳にしたのは1981年です。
しかもTOP40です。
彼らは1981年にすごくポップな「Long Distance Voyager」というアルバムをリリースしています。
間違いでなければ、'80年代に日本のCMで彼らの曲が流れていたという記憶もあります。
それはいすゞ「ジェミニ」のCM。
流れていたのは「Gemeni Dream」邦題は「ジェミニ・ワールド」で、1981年のBillboard Chartで最高位12位を記録してます。
(参考までに、時期はRick Springfieldの「Jessie's Girl」が1位の頃です。)
CMで流れたのはちょっと後ですが、タイトルで決めたのかな?とすぐ思いました。
日本語は「ジェミニ」かもしれないけど本当は「ジェミナイ」なのに…なんて思いながら見てました。
その後遡って「サテンの夜」などのヒット曲を知りますが、本格的に聴いたことは実はなくて。
初心者にいいのか悪いのか、2枚組ベスト盤「アンソロジー」を持っています。
SYUNJIさんが聴かれたアルバムからはA-1、A-4、B-4が入っています。
せっかくなので聴いてみました。
もっと複雑なプログレッシブロックに聴きなれたせいか、あれ?っとちょっと肩透かし。
ちょっとひねくれたポップロック?って感じでした(^_^;)。
確かに初期のクイーンに通じるものはありますよね。
だけどSYUNJIさんには「Long Distance Voyager」のがとっつきやすいかも。
機会があったらぜひ聴いてみてください。
脱線しますが、「サテンの夜」を聴くと沢田研二の初期のヒット曲をすごく思い出すんですよ(^_^;)。
日本のポップスにけっこう影響を与えてたんじゃないでしょうか?
私も中・高ともに英語の教科書がNEW HORIZONだったんで、すぐそれが浮かびました(笑)
投稿: Saki | 2007.11.14 23:32
Sakiさんコメント感謝です。
>彼らは1981年にすごくポップな「Long Distance Voyager」というアルバムをリリースしています。
ええ~そうなんですか?
81年なら相当聴いてた時期なのですが、全然記憶にありません・・
最高12位??
「Jessie's Girl」は当然知ってますが・・
もしかしたら聴いたことはあるのかな?
調べてみます・・
>「サテンの夜」を聴くと沢田研二の初期のヒット曲をすごく思い出すんですよ(^_^;)。
これもなんだか気になりますね。
ムーディー・ブルースに似てるのかどうかわかりませんが、沢田研二の「魅せられた夜」という歌は好きでしたが・・
>私も中・高ともに英語の教科書がNEW HORIZONだったんで、すぐそれが浮かびました(笑)
おお!こんな話題を拾っていただけるとは、恐縮です。今でもこのシリーズってあるんでしょうかね・・?
投稿: SYUNJI | 2007.11.16 00:04