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聴いてみた 第34回 ベック・ボガート&アピス

今回はモンスリー師匠のご指導により、ベック・ボガート&アピスを聴いてみました。
前回のブラインド・フェイスと同様、全然聴いてないジェフ・ベックヴァニラ・ファッジの宿題を一度に片づけてしまおうというセコイ魂胆。
最近ぷく先輩Junk氏も相次いでこのアルバムをBLOGで採り上げているという、内輪トレンドなBBA。
ちなみにさっきまで「ボガード」だと思ってました。

Bba

BBAはヴァニラを聴いて感動したベックが、「どうしてもこいつらとやりたい」と思って実現した念願のユニットだそうだ。
しかも一度はバンド結成寸前のところでベックは交通事故を起こしてケガを負い、結成は延期。
回復の末にようやく実現した執念のグループだ。
そのわりにはオリジナルアルバムはこの1枚だけで、その希少感がより名盤としての評価を高めているとも言えそうである。
果たしてどんなサウンドなのだろうか。

・・・・・聴いてみた。

1. Black Cat Moan/黒猫の叫び
曲調は比較的単純なブルース。
ボーカルやドラムがセンターでなく、わずかに左から右に流れるように聞こえる。
ベックのギターは少し遠い位置からエコーをかけて飛んでくるようだ。

2. Lady
今度は少しアップテンポの曲。
明るくはないが、3人の演奏は非常にかみ合っているように思う。
どこかクリームを思わせる雰囲気である。

3. Oh To Love You
ややバラードがかった壮大なサウンド。
コーラスは初期のクイーンのようである。
この曲も含めてBBAの曲の多くはボーカルはカーマイン・アピスだと思うが、この人の声はヴァニラ時代からどこか危なっかしいところがあるが、それがむしろ魅力のひとつであるとも言えるかもしれない。

4. Superstition/迷信
ちょっと凝った感じの音がする。
どの楽器もかなり音がでかい。
ベックのギターは思ったよりビブラートがきいており、バズバズと濁った音をかましている。
もっとツヤのあるギターなのかと思っていたが、これは悪くない。
エンディングのドラムはなかなかいい。

5. Sweet Sweet Surrender
ヴァニラの香りが残るバラード。
ベックのギターも前半ではもわんもわんと鳴っているが、後半は自由奔放に弾きまくりである。
エンディングが少し短くて物足りない。

6. Why Should I Care
軽快なロックナンバー。
間奏ではベックのいろいろなギター音が左右からセンターから別々に聴ける。
アルバムの中で一番楽しそうな曲である。

7. Lose Myself With You/君に首ったけ
この曲もクリームっぽいアップテンポなサウンドだ。
少し音を詰め込みすぎている印象があり、騒々しい感じもある。
なんとなくわかってきたが、ベックはBBAではギターが全面に出ただけのロックではなく、ドラム・ベース・ボーカルとのがっちりしたアンサンブルをやりたかったのではないかと思う。

8. Livin' Alone
ロカビリーのようなスピード感に満ちた曲。
間奏ではベックの様々なギターの音が聴ける。

9. I'm So Proud
ラストはブルース調のバラード。
コーラスやドラムはやはりヴァニラの音を連れてきているように聞こえる。
この曲の間奏が、ベックのギターの美しさを最も表現していると思う。

BBA、思ったよりもサウンドが多彩だ。
どの曲もシンプルではあるが、楽器の音色を最大限に生かして重ねており、どの音も全部対等に聞こえる。
このあたりはクリームにも共通する点のように思う。
これは自分の好みの問題だが、「ぶぶーーびよよよよーん」というノイジィなキーボードがない分、ヴァニラよりも聴きやすい気がする。
あのキーボードも2~3曲なら悪くはないが、ずーっと鳴りっぱなしだと少し耳障りに感じるのだ。

またインストナンバーがないのもなんとなく意外だった。
ボガート&アピスは歌うのがかなり好きなのかもしれない。
アピスのシャウト、誰かに似てるな・・・と思って聴いていたが、思い浮かんだのはトミー・ショウだった。
(この意見は却下されそうですけど)

感想。

多少騒々しさは感じるが、全体としてはロックの名盤として聴けたので良かったと思う。
ベックの様々なギターワークがあちこちにばらまいてあり、しかも同じ音は全くなく様々な種類の音だが、どれもわりと安心して聴ける。
「ワイアード」に感じた物足りなさや、ブラインド・フェイスに感じたような「不整合感」は全くない。
やはりこれは「ベックのアルバム」ではなく「BBAのアルバム」ですね。

ところでベックの歴史を調べていくと、なんだか相当我の強い性格らしく、突然メンバーをクビにしたり、自ら脱退してしまったりといった話が多い。(こういう点はリッチーに似てる)
親友でもあるペイジが、ツェッペリンという不動のメンバーでバンド運営をかっちりきめてがっちり儲けていたのに比べて、ベックという人は人身掌握や商才の面ではちょいと不器用であると言えるかもしれない。
あと、この人は意外にカラダが弱いみたいですね。
若いうちからカゼで扁桃腺が腫れて公演をキャンセルしたことも何度かあり、日本公演でも全日程のうち一部は体調不良により中止となったことがあるそうだ。

というわけで、初めて聴いてみたベック・ボガート&アピス。
まあこれでベックとヴァニラ・ファッジを両方「聴いてみた」ことにはならんのですが、少なくともこれまで聴いてみた両者のアルバムよりもずっと良かったです。
こういうのを聴いてると自分の知性や文化ステージがなんとなく上がったような錯覚を起こすのが不思議だ。
いずれにしても、自分のような素人が言うまでもなく完成度の高い名盤ではないかと思います。
ベックは「フラッシュ」の頃がリアルタイムなので、次回はこっちを聴いてみようかと思っています。

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コメント

TBを投げられてそのえさに引っかかって訪問した私、ぷくちゃんです。ああ、みんなは埼玉でクラプトン・・・本来なら彼のコンサート⇒大宮でSYUNJIさんと待ち合わせ⇒飲みまくり⇒川越(何故?)のサウナで雑魚寝という夢のような時間の過ごし方があったのに!

さて、BBAですが好感触らしいですね。私はもっと激しい音を想像していたので肩透かしを食いました。思ったよりスタイリッシュでした。

>アピスのシャウト、誰かに似てるな・・・と思って聴いていたが、思い浮かんだのはトミー・ショウだった。

おお、何という素敵な意見。却下です・・・でもそう言われてみれば。

>なんだか相当我の強い性格らしく、突然メンバーをクビにしたり、自ら脱退してしまったりといった話が多い。

SYUNJIさん好みの人だと思います。

投稿: ぷくちゃん | 2006.12.02 18:24

先輩のあまりの反応の早さに仰天(死語)したSYUNJIです。
あたしたちのBLOGって、チャット??

>ああ、みんなは埼玉でクラプトン・・・本来なら彼のコンサート⇒大宮でSYUNJIさんと待ち合わせ⇒飲みまくり⇒川越(何故?)のサウナで雑魚寝

先輩、あたしゃ川越とは指定してませんが・・
サウナといえば西川口ですよ。(←あてずっぽう。本当?)

>私はもっと激しい音を想像していたので肩透かしを食いました。

ヴァニラ・ファッジよりは確かにスタイリッシュでしたね。
ベックのイメージはもっとおだやかなサウンドの住人だと思っていたので、むしろロックしているベックは良かったと感じました。

>おお、何という素敵な意見。却下です・・・

・・・そうでしょうね。忘れて下さい。
でもピーター・フランプトンもトミー・ショウに聞こえる・・(それも却下だよ!byぷく)

>SYUNJIさん好みの人だと思います。

そうですね、俄然興味がわいてきました。
サバス並みにイイ香りがします。(こればっか)
とすると、3大ギタリストの中で実は一番モメ事が少ないのはペイジさんでしょうか・・?

投稿: SYUNJI | 2006.12.02 18:46

SYUNJIさん、こんばんは。

TBいただき有り難うございました。
私の記事・・申し訳ないなと思いながらTBさせてもらいました。

未だに聴いていないこのアルバム。
でも、SYUNJIさんの記事や、ぷくさんの記事&コメント等を読むと、やはり聴きたくなります。
本当ムズムズしている状態ですが、CD屋に行くとついつい違うCDを買ってしまう、気の多い男です。(はよ買えよ!って話しですね)

晴れて聴いたあかつきには、改めてコメントを入れさせてもらいます。

投稿: Junk | 2006.12.02 20:40

Junkさん、こんばんは。
すいません、Junkさんが採り上げてたのはライブ盤の「迷信」でしたね。
本文には「最近ぷく先輩もJunk氏も相次いでこのアルバムをBLOGで採り上げて」と書いてしまったので、今すぐ聴いてBLOG書いて下さい(笑)。(←ぷく型圧力攻撃!)
BBA、悪くはなかったので、ライブ盤も機会があれば聴いてみたいと思っています。

オールナイト・ニッポンって、今は2部とは言わないんですか?
その昔あたしがよく聞いてたのは火曜の所ジョージ・水曜のタモリですね。
まだ「笑っていいとも」が始まる前の話ですが・・

投稿: SYUNJI | 2006.12.02 21:45

SYUNJIさん、たびたびすみません。

>オールナイト・ニッポンって、今は2部とは言わないんですか?

確かじゃないですが、私が聴いていた放送ではタイトルコールが違っていた気がします。曜日によって違うのかも??


>その昔あたしがよく聞いてたのは火曜の所ジョージ・水曜のタモリですね。

懐かしい!その2人は、かろうじて聞いた覚えがあります。
私の場合オールナイト・ニッポンは、中島みゆきとビートたけしでしたね。

BBAのCD、年末までには・・・。

投稿: Junk | 2006.12.02 22:16

JunkとSYUNJIのやりとりに嫉妬心めらめらのぷくちゃんと言います。おまけにうちの妻が昨日・・・・

>あのブログで仲の良い「ジュンジ」さんとはやりとり続いているの?

JUNJI?JunkとSYUNJIの合体?表記は大文字にすればいいの?それとも小文字?うきぃー(←大馬鹿)日曜の朝から良い話でした・・・

投稿: ぷくちゃん | 2006.12.03 08:02

エントリ当日の深夜から、早くもBBAの話題が放置されつつあるあたしのBLOG。
でもJunkさん、オールナイトのコメント感謝です。
月曜の中島みゆきはどうも歌とのギャップになじめず、あまり聴いてませんでした。(はまった友人は多かったですが)
ビートたけしは木曜だったかな?
どちらかというとオールナイトが始まる前の「あおい君と佐藤クン」「たむたむたいむ」「コッキー・ポップ」のほうをよく聴いてましたが。(だいたい「コッキー・ポップ」の途中でいつの間にか寝てしまった)

ぷく先輩、ココロあたたまるコメントに感謝のJYUNJIです。
明日からは先輩のBLOGでも「ウルトラJYUNJI」に変えて下さい・・・
あ、ベックを自ら置き去りに!(お約束。もはや誰も笑わない・・)

投稿: SYUNJI | 2006.12.03 10:42

SYUNJIさん、こんにちは。
「BBA」ですね! 早速私も朝から4回連続で聞きました(冗談抜き)。
(←ヒマなヤツ)

やっぱりいいです。私は89年以降の自らの限界に挑戦するアグレッシブ
なベックも大好きですが、ここでのロック本来の持つ迫力を前面に
出せるベックと他2人も、素晴らしいと思います。

3人だけなのに、音の厚みが全然違います。1曲目「Black Cat Moan」
のソロは本当にロック的。2曲目「Lady」でのイントロの3人のバトル。
サビの直前でメンバーが一斉に「ジャーン!」と奏でるところは
言葉にできないかっこよさ。
先ほど気がつきましたが、4曲目「迷信」ではベックがクラビネットを意
識したような音色で弾いていますね。リズムセクションもヘヴィ一直線。
バラードタイプの曲でのベックのメロディアスな旋律。

>>ヴァニラの香りが残るバラード。
うーん、これは気がつきませんでした! 確かにサイケな感じがあります。

>>ロカビリーのようなスピード感に満ちた曲。
これも鋭いです! ベックはロカビリーファンだそうですよ。

>>次回はこっちを聴いてみようかと思っています
あ~、それでしたら、

>>ライブ盤も機会があれば聴いてみたいと思っています。
BBAと同じトリオでの演奏ということで、こちらをおすすめしておきます。
http://www.hmv.co.jp/product/detail/1771205
http://www.hmv.co.jp/product/detail/1067662
ちなみに「ギターショップ」は中古もやすいです。

投稿: モンスリー | 2006.12.03 13:03

オジキ
毎週のオツトメご苦労様です。
いや、このリズム隊は本当に音が馬鹿でかい。
リズムと言うことを忘れています。
何度も色んなトコに書いてますが、Char,ボガート、アピスで来日?した時、あまりのとんでもないリズム隊の暴走ぶりにびっくらこいた記憶があります。
巷では、CreamのB.がダメと言う嵐ですが、僕はこいつらも、いい勝負ぢゃないか?と思ってます。

やっぱ、BECKでしたら、TRUTHを是非とも聴いてやって下さい。
Vo.(ROD STEWART)にからむJEFFのG.は何十年聴いても飽きない1枚と思っておりやす。

投稿: V.J. | 2006.12.03 20:56

モンスリー師匠とV.J.若のおかげであたくしのBLOGも正常化しつつあります。(自分が一番脱線してるヤツ)

モンスリーさん、今回もお世話になりました。

>ここでのロック本来の持つ迫力を前面に出せるベックと他2人も、素晴らしいと思います。

そうですね、ベックと思わずに聴いても良質なロック・アルバムだと感じました。
そもそもクラプトンやペイジに比べ、ベックにはふれる機会がほとんどなかったので、こんな音出す人なんだ・・と改めて感動しました。

V.J.若、クラプトン公演お疲れさまでした。(スタッフ?)

>いや、このリズム隊は本当に音が馬鹿でかい。
>リズムと言うことを忘れています。

あーそう言われればそうですね。
自分はそれがあまりイヤではなかったですけど。
「どの楽器も対等だねぇ」などとのんきに聴いてました。(じじい)
クリームもそうですけど、自分はギターとリズム隊がケンカしてるサウンドは嫌いじゃないと思います。
だからレインボーも良かったんだろうなぁ。(ややムリヤリ)

>やっぱ、BECKでしたら、TRUTHを是非とも聴いてやって下さい。

これロン・ウッドとロッドが参加してるヤツですよね。
ロッドの声はけっこう好きなんで、たぶん聴いても大丈夫だと思います。
それにしてもベック、みなさんのおすすめアルバムはさすがに割れますね。
今んとこ一番聴きたいと思ってる「フラッシュ」を誰もすすめないのがなんとなく不安ですが・・評判悪いのだろうか・・?

投稿: SYUNJI | 2006.12.03 22:55

SYUNJIさん、こんばんは。
当方、借金ならぬ寝違えで首が回らず苦労しております。
それはさておき、
>>ベックと思わずに聴いても良質なロック・アルバムだと感じました

これはいいお言葉です! ベックの場合、どうしても「ベック」
という看板が前に出てしまいます。(そこがまたいいのですが)
おそらく、「ベック」看板抜きでロックファンに親しまれるのは、
第1期ジェフ・ベック・グループ~第2期~BBAまでかもしれ
ません。これ以降はベックしかできない音楽に邁進しております。

>>今んとこ一番聴きたいと思ってる「フラッシュ」を誰もすすめないの
>>がなんとなく不安ですが・・
>>評判悪いのだろうか・・?

す、鋭い。
収録曲のうち、10数年ぶりにスチュワートと共演した
「People Get Ready」は名演です。
しかし、私自身他の曲はほとんど聴いたことがなく、
コメントもおすすめもしかねます(^^;)。

投稿: モンスリー | 2006.12.04 22:09

オジキ
なんか書きこみできませんでしたねぇ~
また、いつものメンテナンスっすか?(禁止IPに設定→破門かと思いました)
で、ですね、上でモンスリーさまもおっしゃっておられる様に、そこまでして、Flashを積極的に聴く理由なんぞどこにも無いかと…

確かに、People Get ReadyのRODとのからみは最高なんですが、それ1曲だけ。。。残りのVo.が問題です。
ちなみに、一番最後の来日ですが、こいつを同行させてやって来たんですが、そのアナウンスを聞いただけで、僕はチケを取るのを止めた位です。

やっぱ、トゥルースですよ、トゥルース(しつこいくどい)

投稿: V.J. | 2006.12.09 09:38

モンスリーさん、V.J.若、コメント感謝です。
Niftyが突然(でもないらしいけど)3日間メンテナンスなどとこきやがって、記事もコメントも書けない状態でした。
しかもメンテの目的は機能向上だったのですが、あろうことかそれも失敗しやがって結局もとのまんま・・
このあたりは後でぷっきーBLOGでぶちまけようと思います。(←自分のBLOGは汚さないヤツ)

>当方、借金ならぬ寝違えで首が回らず苦労しております。

その昔ドン荒川というレスラーの必殺技に「サラ金固め」ってのがあって、そのココロは「首が回らない」・・
あ、こんなネタに喜ぶのはだいまつ親分だけですかね。

さてベック。

>私自身他の曲はほとんど聴いたことがなく、
>コメントもおすすめもしかねます(^^;)。

>Flashを積極的に聴く理由なんぞどこにも無いかと…

うーん・・お二人とも「FLASH」を全然おすすめされませんな。
ベックのファンの方から見てもロッドとの1曲のみで充分という評価のようですねぇ。
あたしにとっては唯一リアルタイムでベックにふれた時期のアルバムなんで、聴いてみようかなーくらいに考えてたんですが。
若がそうまで言うなら、「トゥルース」から聴いてみることにします。(意志薄弱??)

投稿: SYUNJI | 2006.12.09 11:02

BB&Aなら『ライブ・イン・ジャパン』だぜぃ。
うおぉぉぉぉ~~~~~。

投稿: いしはらとしひろ | 2007.01.12 00:00

ご指導感謝です。
ずいぶん熱い推薦だ。(笑)
ベックの初来日がこの時のライブだそうですね。
スタジオ盤が「聴いてみたシリーズ」にしては珍しくよかったんで、おそらくライブ盤もそれほど問題なく聴けるのではないかと思ってます。

投稿: SYUNJI | 2007.01.13 23:22

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