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2006年の終わりに

三流ブロガーのSYUNJIです。
BLOGを始めて丸3年が過ぎた。
すでにエントリは150回を超え、ありがたいことに今年もほぼ全てのエントリにコメントがついた。
しかしながら今年になって自分は特に何かが変わったわけでもなく、相変わらず生涯永久初心者リスナーのままなのだが、今年起こったBLOG関連のできごとの中で印象に残るものをあげてみようと思う。
・・・って文章の形が昨年末のエントリとほぼ同じなんですけど。

1.モンスリー氏との会見
このBLOGの常連コメンテーターであり、自分にとってのプログレ指導者であるモンスリー氏に、昨年に引き続いて今年もお会いすることができました。
今回も実に楽しかったです。
よくよく考えると互いの音楽趣味は相当違うはずなのですが、やはりロックに詳しい人と実際に会って話すことは楽しいもんですね。
次回はぜひ西新宿でお会いしたいです。

2.「聴いてない」シリーズ100回突破
「聴いてない」シリーズが先日とうとう100回を超えた。
始めた頃はまさか3年も100回も続くとは全く思っておらず、「あーこれもそういえば聴いてないな」と思って積み上げていったら100回を超えてしまった、という状態である。
で、相変わらず不勉強な状態は継続中なのですが、BLOGを通じて多くの方と交流できたことは、自分にとって財産でもあります。
BLOGをやっていなければおそらく一生聴くはずもなかったプログレや超名盤に出会えたことも、非常に貴重な体験となっています。
多くの方からたくさんのアドバイスや情報をいただいたことはとてもありがたいと思っています。

3.「見ていない」シリーズ開始
このシリーズも「聴いてない」シリーズとノリは同じである。
始めた理由は実は「聴いてない」シリーズがネタ枯れ気味になってきたというのが正直なところでもある。
まだそれほど回を重ねていないが、自分と同じように有名な番組を実は「見ていない」方が意外に多いという気がする。
逆に「できるかな」を見ていなかった人がほとんどいない、ということがわかった時はかなり疎外感を感じてしまい、しばらくは仕事にも身が入らなかった。(ウソです)
またテレビとはあまり関係ないが、自分のBLOGにコメントを寄せていただいている方の中に「弟持ち姉」が多いことが、このシリーズを始めてみてわかった。
自分自身「姉持ち弟」であり、実生活でも周囲に「弟持ち姉」がとても多いのだが、なぜBLOGでもそうなるのかはナゾである。

4.「読んでみた」シリーズ開始
これは他のシリーズとはややアプローチが異なり、事後報告企画である。
これもネタ枯れの苦しい事情から捻出した企画なのだが、始めてみると意外に楽しい。
隅々まで雑誌を読んでみるといろいろな発見がある。
一応同業者という身分ではあるが、雑誌なんて作ったこともないので感覚的には一般の人と変わらない。
読み応えのある雑誌にはなかなかたどり着かないが、しばらくは続けようと思っている。

5.紙ジャケを買った
みなさまにとっては「素人が何をいまさら」な話だが、このトシで今年生まれて初めて紙ジャケというものを買ってみた。
そもそもCD自体あまり買うことがないのだが、世の中に蔓延する紙ジャケブームに抗いきれず、断腸の思いで代金を支払ったのである。(大ウソ)
実は単に安かっただけだったんですけど。
あ、買ったのはツェッペリンの「プレゼンス」です。
買った時はさすがに多少興奮しました。
しかし、紙ジャケだからといってむやみに音がいいわけでもなく、他のCDとサイズが違うんでうまく箱に収まらないし、正直どこに価値があるのか未だによくわかっていない。
・・・などと悠長に構えていたのだが、昨日渋谷の中古CD屋に行ったら、紙ジャケの中古が驚くほどたくさんおいてあった。
自分が全然手を出さないうちに世の中ではすでにこんなにたくさん中古になっとる・・・
世間では予約までして紙ジャケを購入し(西城秀樹)、エルメスのガウンを着てケリーバッグをぶらぶらさせてる人もいるというのに・・・
というデタラメな情報にも若干惑わされてはいるのだが、それでもたぶん今後もふつうに安くなければ買うことはないような気がする。

そんなわけで3年も続いてしまった愚かなBLOGですが、今年一年情報やアドバイスをくださった方々、本当にありがとうございました。
2007年もよろしくお願いいたします。
みなさま良いお年を。

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聴いてみた 第35回 ザ・フー その2

中年ロック再履修の旅、ザ・フーの2回目。
前回の「My Generation」にかなり気をよくしたあたし。
「ガラ悪い暴れん坊バンド」とのイメージが未だ抜けていないのだが、実はものすごく演奏技術に長けた人たちであることも少しだけわかってきた。
教室でもほとんど会話もなく、とっつきにくい不良のあんちゃんだと思っていたが、ふとしたきっかけで話をしてみたら、意外にいいヤツだったのでいっしょに帰ることにしてみた同級生・・・のような感覚。

今回はモンスリー師匠やぷっきー先輩のご推薦により、ザ・フーの最高傑作とも言われる「Who's Next」に接触してみることにしました。

Whosnext

もともとは「ライフハウス」という壮大なロック・プロジェクトの映画用アルバムとして作成される予定だったが、映画化は実現せず、オリジナル盤としてリリースされたものだそうだ。
オペラとか映画とかシンセサイザーとか、実験的な取り組みが好きな人たち。
果たして貧弱なあたしは粗暴なピート・タウンゼンドとの間に友情をはぐくむことができるでしょうか。

・・・・・聴いてみた。

1.Baba O'Riley
印象的なキーボードのイントロ。
オープニングからザ・フーに対するイメージとちょっと違うことに戸惑うが、 どこか壮大で広がりのあるイメージだ。
ロジャーのボーカルも力強いし、途中から聞こえるバイオリンの音もいい。
ブロンディやELPにもこんな感じのサウンドがあったような気がする。
こんなに美しい曲が作れるバンドだったんですね。

2.Bargain
イントロはフォーク調だが本編は躍動感に満ちたロックである。
音が驚くほど先進的だ。
これが30年以上前の曲だとはとても思えない。
シャウトするロジャーの声はグレッグ・レイクにも似てるように思う。

3.Love Ain't For Keeping
アコースティックギターが左右から聞こえるのだが、フォークではなくブルースっぽい香りがする。
さらにベース・ドラムのリズム隊がものすごい存在感だ。
加えてコーラスが秀逸に重ねてある。
短い曲だが、完成度が非常に高いと思う。

4.My Wife
この曲もドラムが非常にタイトだ。
またホーン・セクションとピアノが効果的に使われている。
この曲も短い。
エンディングはフェードアウトだが、ばしっと切って終わってもよかったのではないかと思う。

5.The Song Is Over
ピアノ中心のバラード部分と、ハードなロック部分が交互にやってくる。
途中で使われている「きゅいーーーーん」という音はシンセサイザーだろうか。
これもどこかELPを思わせる感じだ。
ELPをそんなに聴いてないのに、不思議とそう感じる。
メリハリが効いてきていい曲である。

6.Getting In Tune
イントロは静かなピアノで始まり、やがてドラマチックに展開していくのだが、ボーカルが少しキレ気味で聴きづらいのと、バックコーラスがいまいち美しくないのが微妙なところ。

7.Going Mobile
軽快なリズムのロックナンバー。
後半のアコースティックギターとひずみゆがみのシンセにドラムがからんで不思議な雰囲気だ。

8.Behind Blue Eyes
前半はほぼアコースティックギターのみで進行。
後半ドラム・ギターが加わると同時にボーカルがやや濁る。

9.Won't Get Fooled Again
これもどこかプログレの香りがするキーボードで始まる。
この「ぴぽぽぽぴぽぽぽ・・」という音は最後までついて回る。
そしてギターもドラムもボーカルもでかい音なのだが、ベースが不思議によく聞こえる。
長い間奏の後、ボーカルが絶叫し、わかりやすい形でエンディングをむかえて終わる。

ドラムがサウンドのキモであることは今回もよくわかる。
時折聴ける「どばどばどばどばどらららら」というロールがたまらない。
もうひとつ感じたのはベース。
どの曲でも単にリズム弾きにとどまらず、ちゃんと裏メロになっており、どの曲でもかなりよく聞こえる。
全く的外れかもしれないが、このあたりのサウンド構成はクイーンに受け継がれているのではないだろうか。
「Love Ain't For Keeping」「Getting In Tune」などを聴くとそう感じるのである。

とにかく終始感じるのは各パートの水準の高さ、サウンドの多様さである。
このアルバムに関しては、同じような感じの曲がなく、どれも際だって特徴的だ。
その後の70年代80年代の音の見本となるエッセンスが随所に見られる。
ビートルズもそうだが、このアルバムが古さを感じさせないのは、様々な音の創造への試みを行っているからなのかもしれない。
これだけの演奏技術レベルがありながら、ライブでは風車奏法やらドラムぶっ倒しやらロジャーが跳ねたりピートが飛んだりしてるってのも、まだあまりよくわからない。
そのまま「技巧派バンド」としてクイーンのように売り出していけば、日本でももうちょい人気が出たんじゃないだろうか?

感想。

最高傑作との評価を全く裏切らない水準である。
好みかどうかと言われれば微妙なのだが、プログレのように突然転調して置き去りにされたり、ヘッタクソな歌声に気分が悪くなったりといった感覚は全然ない。(誰と比べてんの?)
今更で非常に恐縮ですけど、驚くほど完成度が高いですね。
特定の楽器に注意して聴くと、同じ曲でも感覚が変わって何度でも楽しめると思う。

そういうわけで、「Who's Next」。
前回の「My Generation」以上に良かったです。
残る大作かつ問題作である「Tommy」にも、いつかアプローチしてみようかと思っています。

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読んでみた 第10回 BRIO

低迷する出版業界の中でもさらに難しい分野と言われる男性雑誌。
その中で比較的ターゲットを明確にしている「BRIO」。
40代男性を対象としたライフスタイル誌である。
これまで買ったことは一度もなく、中身もほとんど見たことがなかった。
ラピタ」や「ビッグ・トゥモロウ」よりは自分の年齢に合っていると言えるだろう。
「BRIO」とはイタリア語で「快活」「活発」を意味するらしい。
自分にはかなり縁遠い言葉である。

Brio

発行は光文社、定価680円、部数67000部の月刊誌である。
判型はたぶんAB判だと思う。
ちなみにあたくし、若い頃光文社の入社試験に落ちた経験があります。

今回読んだのは12月号
「クーペが一台あればいい」というタイトルで特集が組まれている。
この見出しに多少ひかれて買ってみた。
今月号の目次はこんな感じである。

■ 特集 クーペが一台あればいい
● 実例 趣味のクーペがファーストカーになる
● 鼎談 40歳から付き合うクーペの処方箋 松任谷正隆×清水草一×鳥山雄司
■ 第2特集 年末の集まりにもっと「知性とサプライズ」を
● 実例「気分はワンナイト・レストラン」
● 実例 ホームパーティにも偏差値あり
■ 田中康夫が訊く ~答える人 長野・仙仁温泉 岩の湯 代表取締役 金井辰巳さん
 風呂と食事のタイミングから 客室係とのうまい付きあい方まで 温泉旅館の通な楽しみを知る
■ 極めればダウンも細身
■ NIPPONの男は語る 岡田武史(サッカー元日本代表監督)
■ 好評連載
今夜も隠れ家ワイン
最高のBARを自宅にも
DVDレビュー「ロック深夜族」 伊藤銀次
■ カバー対談【陣内孝則×長谷川 潤】

・・・・・読んでみた。

最も興味があったのが、特集「クーペが一台あればいい」。
読む前からだいたい想定できる内容である。
40代の男は実用上の理由や家族の意見などもあって、セダンやミニバンを選ぶことが多い。
そこをあえてクーペに乗ることで(スポーツカーほどの横暴はしないけど)、「お父さんホントはこういうのに乗りたいんだよ」という自己主張をしようじゃないか!というコンセプトである。
で、やっぱり紹介されてるのは外車がほとんど。
日本車で採り上げられてるのはスカイラインくらいで、あとはジャガーEタイプとかアストンマーチンV8とかアウディ・クーペなど外車ばかりである。

自分はクーペには乗っていないが、この記事の趣旨は理解できる。
実は自分は6年前から外車に乗っている。
特に外車にこだわりがあったわけではなく、つぶれる寸前の国産ディーラーが在庫処分で格安販売していたのを買っただけである。
外車とはいっても右ハンドルのMTで1300ccのものすごく小さなクルマなのだが、思いがけず運転が楽しいものになった。
国内では滅多に見かけない珍しいクルマなので、自分でなくクルマが勝手に主張しているような状態である。
(実際町中でクルマに乗っていて指をさされることがある)
オーナーズ・クラブにも入会し、イベントやツーリングにも参加したことがある。
そういう社会的な活動が不得意な自分の性格からすると、非常に異例な話だ。
自分みたいな地味な人間は国産のセダンやミニバンに乗っていても全然不思議ではないのだが、今のところそっち系に乗り換える気は全くない。
記事の趣旨とは意味が違うのだが、「あえてクーペに乗る」というスタンスは理解できるということだ。

・・・ただしおもしろいと思ったのはこの特集だけ。
ある程度予想はしていたが、この雑誌に書いてあるライフスタイルが自分とは根本から違う。
どのページでも紹介されている人物は青年実業家や医者や一流企業の要職についてる人ばかりである。

もうひとつの特集「年末の集まりにもっと「知性とサプライズ」を」なんてのは、貧乏人のヒガミで申し訳ないがどれもこれも「けっ」という内容だ。
要は忘年会(とは彼らはあんまし言わないんだろうけど)の場所や内容を工夫して楽しい集まりにしよう!ということなんだが、IT産業の社長あたりがこだわりのワインバーで客をもてなしたり、青年実業家が気の合う仲間を別荘に読んで(あああ書いててイライラしてきた)手の込んだ特製お料理をふるまったりダンスを踊ったり・・・といったオハナシ。
・・・あのさぁ、だいたい版元のみなさんだって絶対こんなことしてないでしょ。
年末進行ってのがあって印刷機の奪い合いになるんだから、年末にワインバーなんか行ってる暇ないっつうの。
自分には別荘で仲間とダンスを踊る文化ってのは一生身に付かないと思います・・・

「田中康夫が訊く」・・・・って連載も、タイトルからして全然イケてないのだが、中身もいちいち脱力。
内容は信州の隠れた温泉旅館の主人との対談なのだが、例の康夫ちゃん口調が文字になっても全開。
「・・なさるのかしら」といったKABA系な言い回しがそこかしこに登場し、意味もなくイライラします。
これ、田中康夫じゃなくてみのもんたにやらせた方が絶対おもしろいと思う。

「極めればダウンも細身」という記事は例によって広告仕立てのページである。
最近はダウンジャケットも驚くほど細身が流行らしい。
写真を見ると確かにその通りだ。
自分が学生の頃はダウンといったらミシュランのキャラクターみたいなヤツがほとんどだった。
こんな細身で暖かいのかなぁ。
でも紹介されてるのはやはり8万円とか11万円とか、ムカツク値段ばっか。
日によっては全身の合計が1万円以下なんてこともあるあたしにとって、こんなのは全く用のないページだ。

連載のページで唯一おもしろかったのは「ロック深夜族」というDVDレビュー。
今回は伊藤銀次が「ジョージ・ハリスン追悼コンサート」のDVDを紹介している。
バックナンバーではみうらじゅんなどが書いてる号もあったようだ。

「BRIO」で特徴的なのは表紙である。
40代以上の各界で活躍する男性と、20代の女性タレントが並んでいる構図である。
今月は陣内孝則と長谷川潤。
背景は単色であることが多いようで、男女二人の姿以外には凝ったしかけはない。
「オレもこんな若い子をとなりに置いてみたい・・」という男性心理を利用した集客効果を期待してのものだろう。
実際どれくらい効果があるかわかりませんけど、女性が長澤まさみや磯山さやかだったりしたら「おっ」とか思って手にとってしまうかもしれない・・
あ、こういうタレントの名前を書くとすぐエロトラックバックが来るんだよなぁ。

その他の構成や製本については、特に目立った点は見られない。
ページレイアウトや書体も至極まともだし、紙質もいい。
読みにくいと感じた部分は全くなく、誤字脱字や写真との不整合などは今回は見つからなかった。
これは相当こなれた編集だと思うので、それなりに実績のあるプロダクションや社員が手がけていることは間違いない。

というわけで、「BRIO」。
そもそもこの雑誌のコンセプトが自分の志向からまるっきりはずれてるので、読むこと自体にムリがあったとは思う。
「ゲーテ」のようにスカしたところやイヤミな作りもそれほどなく、「ビッグ・トゥモロウ」や「おとなのOFF」のようにツッコミどころが目白押しな雑誌でもないので、なんだか全然読み応えがなかった。
とりあえず時間があったんで初めていっしょに飯食ってみたけど、なんか全然会話がかみ合わないまま時間が来たので、店を出てそのまま別れたよその会社の人・・・という印象。
たぶんもう二度と会うこともなく、お互い会ったこともいずれ忘れてしまうんだろうなぁ。
そんな感じです。

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聴いてない 第100回 ローリング・ストーンズ

聴いてないシリーズ、とうとう100回目になりました。
思えばこんな浅はかなテーマで、よく100回も続いたもんだと思います。
これもひとえにみなさまのご指導のおかげです。
今回は記念すべき100回目を飾るにふさわしいアーチストの登場です。

すでに何度か告白済みの話だが、ローリング・ストーンズ、聴いてません。すいません・・・
とにかくアルバムを聴いたことがない。
オリジナルはもとより、ライブ盤からベスト盤から駅売り安物CDに至るまで、全く聴いていないのである。
この時点で多くの方の眉間にぎゅうぎゅうとしわがよる音が聞こえるような気もしますが、100回ということでご容赦下さい。

アルバムは聴いていないが、それでもストーンズなので知っている曲は少しはある。
初めて聴いた曲はどれなのか覚えていないが、たぶん「サティスファクション」「ジャンピン・ジャック・フラッシュ」「ミス・ユー」などの超有名なうちのどれかだ。
自分にとってストーンズは「エモーショナル・レスキュー」あたりからがリアルタイムだ。
この曲は終始ファルセットのちょっと変わった曲で、あまり好きになれなかった。
エアチェックもしていない。

続く81年頃、「スタート・ミー・アップ」が大ヒット。
確かストーンズ最大のヒット曲はこれだったと思うが、さすがにこれはエアチェックしており、割と好きな方だ。
その数年後、アルバム「ダーティ・ワーク」が発表される。
このアルバムは当時吉祥寺に住んでいた友人の部屋で聴いた記憶がある。
シングル「ハーレム・シャッフル」「ワン・ヒット」はエアチェックしており、「ワン・ヒット」はストーンズの中で一番好きな曲だ。
しかしながらその後も時々シングルを録音する程度にとどまり、アルバムを全く聴かずに今に至る。

実は一度だけ意欲的にストーンズを聴いてみようと思い立ったことがある。
確か80年代後半だったが、年末にFMでストーンズの特集番組を放送したことがあった。
FMステーションで事前に情報をつかんだあたしは、長時間の録音にも耐えうる120分テープを下北沢で購入し、番組を丸録りすることにした。
録音したあとはトークをはずして曲だけの編集版を90分テープで作ればいいのである。
この頃ダブルカセットデッキを秋葉原で買ったばかりだったので、こんな地味な編集活動ばかりしていた。
さて番組も無事に録音でき、さっそく聴いてみることにした。

しかし。
初期のヒット曲から当時最新のナンバーまで、結構な曲数が録音できたはずなのだが、全部聴き終えた後の感想は「なんかいまいちだ・・・」であった。
曲単位で聴いていけばカッコイイ曲もたくさんあるのだが、カタマリとして1時間以上ストーンズを聴く、ということに対して、どうも意欲がわかないのである。
結局編集テープも作らず、しばらく放置した後別の番組を上書きしてしまった。

バンドとしての経緯や歴史も、それほどまじめに学んできたわけではない。
一応歴代のメンバーは全て知っているが、ブライアン・ジョーンズやミック・テイラーがどんな音楽性を持っていたのかまでは知らない。

ミック・ジャガーとキース・リチャーズばかりが目立つストーンズだが、バンドの実質的な運営はチャーリーの意志が最も強く働いているという話を聞いたことがある。
チャーリー・ワッツという人は「本職はジャズドラマー、趣味はストーンズ」と言われるほど、実はジャズの世界の住人であり、実際ストーンズ以外での活動はほとんどジャズのミュージシャンと行っているそうだ。
ストーンズではチャーリーのOKが出なければ、勝手に録音もライブもできないものらしい。

昨年だったか、ストーンズ来日直後、フジテレビで各メンバーにそれぞれインタビューしていた映像を見た。
チャーリーはキースのファッションセンスについて聞かれると、「あれをファッションとは言わないでしょう」と軽く笑いながら答えていた。
さながら「しっかり者の長男が、やんちゃで勝手な三男坊をやれやれしょーがねえなといった面もちでながめている」感じだった。
こんな場面からも、チャーリーの人望こそが、超個性派集団のストーンズをまとめているのではないかと思わせるのである。

さて話を戻します。
ではストーンズのどこが自分にはいまいち合わなかったのか?
はっきりとした理由はないのだが、ミック・ジャガーのボーカルがそれほど好みでないという点はあるかもしれない。
ミック・ジャガーはじっくりと聴かせたり素晴らしい歌唱力で圧倒したりといったボーカリストではないだろう。
むしろ粗野で荒っぽいところが魅力であり、歌だけでなくパフォーマンスも含めて楽しむミュージシャンだと思う。
しかもそれを40年以上も続けていることも驚異だ。

だが、そのミックのボーカルを何曲も続けて聴く、というのはちょっと・・・というのが正直なところなのだ。
もちろんミックだけがストーンズではない。
他にも聴きどころは山ほどあるだろう。
だからこそ、アルバムをきちんと聴いていろいろな角度から考えてみたいと、ようやく思うようになってきたのだ。

ミック・ジャガーのソロに「ハード・ウーマン」という曲がある。
この曲は味わいのあるバラードで、プロモ・ビデオもアニメじかけだったりして記憶に残る一曲だ。
決して嫌いではなく、むしろ好きな曲なのだが、自分としては「もう少しうまい人に歌ってもらえれば・・」と感じてしまうことも確かなのだ。
要するに自分はミックのボーカルを聴き慣れていないのである。

キースもロニーもチャーリーも、技術においての評価は「史上最高」ではないかもしれないし、実際そんな記述はあちこちのサイトで見つかる。
それでもストーンズが総合的に「史上最高」だと評価する人はものすごく多いだろう。
きちんと聴けばその理由のカケラでも理解できるかもしれない・・・という淡い期待は持っている。

また、ミック・テイラー在籍時のストーンズはかなり評価が高いようだ。
どの曲がミック・テイラー参加なのかよく知らないのだが、この時期のアルバムも聴いてみたいと思っている。

繰り返しになるが、自分が一番好きな曲は「ワン・ヒット」である。
この好みが世間一般でどう評価されるか全く想像もつかないが、この路線で探ってみると一番自分に合いそうなアルバムは果たしてどれなのか、ぜひ教えていただきたいところです。
あと知りたいことがひとつ。
ビル・ワイマンはなぜストーンズをやめてしまったのだろう?

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聴いてみた 第34回 ベック・ボガート&アピス

今回はモンスリー師匠のご指導により、ベック・ボガート&アピスを聴いてみました。
前回のブラインド・フェイスと同様、全然聴いてないジェフ・ベックヴァニラ・ファッジの宿題を一度に片づけてしまおうというセコイ魂胆。
最近ぷく先輩Junk氏も相次いでこのアルバムをBLOGで採り上げているという、内輪トレンドなBBA。
ちなみにさっきまで「ボガード」だと思ってました。

Bba

BBAはヴァニラを聴いて感動したベックが、「どうしてもこいつらとやりたい」と思って実現した念願のユニットだそうだ。
しかも一度はバンド結成寸前のところでベックは交通事故を起こしてケガを負い、結成は延期。
回復の末にようやく実現した執念のグループだ。
そのわりにはオリジナルアルバムはこの1枚だけで、その希少感がより名盤としての評価を高めているとも言えそうである。
果たしてどんなサウンドなのだろうか。

・・・・・聴いてみた。

1. Black Cat Moan/黒猫の叫び
曲調は比較的単純なブルース。
ボーカルやドラムがセンターでなく、わずかに左から右に流れるように聞こえる。
ベックのギターは少し遠い位置からエコーをかけて飛んでくるようだ。

2. Lady
今度は少しアップテンポの曲。
明るくはないが、3人の演奏は非常にかみ合っているように思う。
どこかクリームを思わせる雰囲気である。

3. Oh To Love You
ややバラードがかった壮大なサウンド。
コーラスは初期のクイーンのようである。
この曲も含めてBBAの曲の多くはボーカルはカーマイン・アピスだと思うが、この人の声はヴァニラ時代からどこか危なっかしいところがあるが、それがむしろ魅力のひとつであるとも言えるかもしれない。

4. Superstition/迷信
ちょっと凝った感じの音がする。
どの楽器もかなり音がでかい。
ベックのギターは思ったよりビブラートがきいており、バズバズと濁った音をかましている。
もっとツヤのあるギターなのかと思っていたが、これは悪くない。
エンディングのドラムはなかなかいい。

5. Sweet Sweet Surrender
ヴァニラの香りが残るバラード。
ベックのギターも前半ではもわんもわんと鳴っているが、後半は自由奔放に弾きまくりである。
エンディングが少し短くて物足りない。

6. Why Should I Care
軽快なロックナンバー。
間奏ではベックのいろいろなギター音が左右からセンターから別々に聴ける。
アルバムの中で一番楽しそうな曲である。

7. Lose Myself With You/君に首ったけ
この曲もクリームっぽいアップテンポなサウンドだ。
少し音を詰め込みすぎている印象があり、騒々しい感じもある。
なんとなくわかってきたが、ベックはBBAではギターが全面に出ただけのロックではなく、ドラム・ベース・ボーカルとのがっちりしたアンサンブルをやりたかったのではないかと思う。

8. Livin' Alone
ロカビリーのようなスピード感に満ちた曲。
間奏ではベックの様々なギターの音が聴ける。

9. I'm So Proud
ラストはブルース調のバラード。
コーラスやドラムはやはりヴァニラの音を連れてきているように聞こえる。
この曲の間奏が、ベックのギターの美しさを最も表現していると思う。

BBA、思ったよりもサウンドが多彩だ。
どの曲もシンプルではあるが、楽器の音色を最大限に生かして重ねており、どの音も全部対等に聞こえる。
このあたりはクリームにも共通する点のように思う。
これは自分の好みの問題だが、「ぶぶーーびよよよよーん」というノイジィなキーボードがない分、ヴァニラよりも聴きやすい気がする。
あのキーボードも2~3曲なら悪くはないが、ずーっと鳴りっぱなしだと少し耳障りに感じるのだ。

またインストナンバーがないのもなんとなく意外だった。
ボガート&アピスは歌うのがかなり好きなのかもしれない。
アピスのシャウト、誰かに似てるな・・・と思って聴いていたが、思い浮かんだのはトミー・ショウだった。
(この意見は却下されそうですけど)

感想。

多少騒々しさは感じるが、全体としてはロックの名盤として聴けたので良かったと思う。
ベックの様々なギターワークがあちこちにばらまいてあり、しかも同じ音は全くなく様々な種類の音だが、どれもわりと安心して聴ける。
「ワイアード」に感じた物足りなさや、ブラインド・フェイスに感じたような「不整合感」は全くない。
やはりこれは「ベックのアルバム」ではなく「BBAのアルバム」ですね。

ところでベックの歴史を調べていくと、なんだか相当我の強い性格らしく、突然メンバーをクビにしたり、自ら脱退してしまったりといった話が多い。(こういう点はリッチーに似てる)
親友でもあるペイジが、ツェッペリンという不動のメンバーでバンド運営をかっちりきめてがっちり儲けていたのに比べて、ベックという人は人身掌握や商才の面ではちょいと不器用であると言えるかもしれない。
あと、この人は意外にカラダが弱いみたいですね。
若いうちからカゼで扁桃腺が腫れて公演をキャンセルしたことも何度かあり、日本公演でも全日程のうち一部は体調不良により中止となったことがあるそうだ。

というわけで、初めて聴いてみたベック・ボガート&アピス。
まあこれでベックとヴァニラ・ファッジを両方「聴いてみた」ことにはならんのですが、少なくともこれまで聴いてみた両者のアルバムよりもずっと良かったです。
こういうのを聴いてると自分の知性や文化ステージがなんとなく上がったような錯覚を起こすのが不思議だ。
いずれにしても、自分のような素人が言うまでもなく完成度の高い名盤ではないかと思います。
ベックは「フラッシュ」の頃がリアルタイムなので、次回はこっちを聴いてみようかと思っています。

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