読んでみた 第9回 天文ガイド
読んでみたシリーズ、今回はものすごい趣味の世界に突入です。
月刊「天文ガイド」、唐突に初めて買ってみました。
もちろん自分は天文マニアでもなんでもありません。
フクシンさんのように望遠鏡で星を見ていて円盤を発見し、ミッキー安川や渡辺文雄にバカにされる・・・なんてことはあり得ないのである。
幼少の頃は多少天文には興味があるほうだったが、せいぜい月を小さな望遠鏡で眺めたり子供向け学習図鑑なんかを見る程度。
当然「天文学者になりたい」とか「ロケット開発をやりたい」などと無謀なことも考えなかった。
そんな自分がこんな深い趣味の雑誌を読んでいったい何がわかるというのでしょうか。(じゃ買うなよ)
今回読んだのは11月号、740円。
発行は誠文堂新光社。
その昔この会社の「子供の科学」という雑誌を定期購読していたことがあり、自分にとっては懐かしい版元名である。
・・・・・読んでみた。
今月号の目次はこんな感じである。
・惑星からはずされた冥王星
・縄文杉が見上げる星空(グラビア)
・胎内星まつり2006
・藤井旭の星座めぐり アンドロメダ座
・読者の天体写真
・太陽黒点近況
・変光星ガイド
・・・・目次だけで疎外感がたっぷりなほどディープな展開だ。
太陽の黒点の状況なんて、自分のような外部の人間からすれば「知ってどうすんだよ」情報なんだが、必要としている方々が当然いるんですよね。
黒点が増えすぎると地球上でも電波や通信に影響があるらしい。
(デリンジャー現象というそうだ)
ニュースでも話題になった冥王星の件は、当然専門誌である「天文ガイド」でも採り上げられている。
惑星の定義があらためて定められたため、条件に満たない冥王星は惑星のカテゴリーからはずれた、という話だと思っていた。
実際今月号の目次にも「はずされた」という表現がある。
しかし。
どうも自分のような凡人が思っていた話とは少し違うらしい。
複数の専門家が今月号に冥王星関連の文章を書いているのだが、いずれも「惑星から格下げではなく、新しい天体カテゴリーの筆頭に分類された」ということのようだ。
もちろん今でも専門家の間で議論は続いているのだが、こんな文章もあった。
今回の話題でも試験に出たら困るなどと冗談半分でコメントする人たちがいました。
もし、「惑星の数はいくつでしょう?」などという、本質とは関係ない愚問が出されたら、「この出題者は宇宙のことも科学のことも本当は何もわかっていないなぁ!」と笑い飛ばしたいものです。
これを読んだ時は少し驚いてしまった。
実際今後学校の試験で出されてもおかしくない話題だからである。
これまでは確かに惑星は9つとされてきたが、実際には火星と木星の間に無数の小惑星があったり、海王星の外にも太陽をまわる多くの天体が存在することがわかっている。
今回、冥王星は「海王星以遠天体」というカテゴリーの中に分類されることになった。
そのカテゴリーにおいて冥王星は最古の発見である。
次に発見された天体は、冥王星発見から62年後に見つかったものだ。
天文学の話としては、「9番目の惑星発見!」よりも、「海王星以遠にも別のカテゴリーとしての天体が存在する!」ということのほうが、遙かに地位の高いことらしい。
・・・説明を読んでもあまり理解できないが、少なくとも「惑星から格下げ!」「星占いはどうなる!」などといった俗っぽい話だけで語られることについては、天文学者は「あーそういう話じゃないんですけどね」と思っているようである。
さて「天文ガイド」、今回自分が多少興味を持ったのは、実はこのあたりだけである。
何が書いてあるのかほとんどわからないようなページも多い。
驚いたのは広告の多さである。
量がハンパでなく、ファッション雑誌顔負けの多さなのだ。
今月号は36ページから97ページまで延々ずう~~っと広告だ。
望遠鏡とカメラの広告がほとんどだが、中には観測用ドームなんてのもある。
立派なのは100万円以上だ。
趣味が高じて自宅や別荘の屋根にドームを作ってしまう人がいることは知っていたが、そのドームの広告がこの雑誌に載ってるとは思わなかったよ。
自分は写真もやらないので、天体の撮影にも全然興味はないのだが、星の写真は嫌いではない。
太古の昔に星から発せられた光が、悠久の時を経て今地球に到達している・・・などとロマンなことを考えながら写真を見るのも楽しいものである。
もっとも一般人はそのくらいしかこの雑誌を使えないのだけれど。
天体写真を撮る際は、当然ふつうの写真よりも機材や設定が複雑である。
なにしろ対象は暗闇にぽつりと光るアンノン・・・じゃなかった、星であり、人間の目で見て感じるよりもずうっと小さいものだ。
それをきれいに写真に収めるには相当な知識と予算と条件が必要だろう。
天文観測は根性がいる。
たぶん機材は重いだろうし、活動は基本的に夜中だし、都会を離れた人工光の少ない空気のきれいな場所まで移動しなければならない。
当然眠いし冬は寒いし夏は蚊がいる。
どう考えても自分には向いてないのだ。
「天文ガイド」、判型はB5で総ページ数は230くらいである。
値段のわりには質のいいコート紙をつかっている。
星の写真のページは当然光沢のあるコート紙でないときれいに見えないから、使われて当然なのだが、文章のページも含めて全て同じ紙である。
これは勝手な想像だが、観測の際の持ち運びに配慮しているのではないかと思う。
割合小さめな判型で軽いので、野外に出て持って歩くにもそれほど苦労しない。
またコート紙なので多少の湿気にも耐えられる。
こうした実運用上の条件を考えての製本なのではないだろうか。
というわけで、発作的に買ってしまった「天文ガイド」。
趣味の雑誌は興味がなければどれも難しくて読めないのだろうけど、当然ながらほとんど理解できない記事ばかりでした。
ところで近いウチに日本でも日食が見られるらしいのですが、その時期が近づいたら、またお世話になるかもしれません。
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