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聴いてみた 第32回 レインボー

前回バグルスを聴いてみてそのイマイチさにぐったりしてしまったワタクシ。
ここはひとつ安全圏にある楽しそうな人たちの音を聴いて、ぐったり感を払拭せねばなりません。
そんな想いで横浜駅前の中古CDショップに久しぶりに行ってみました。
この店では以前キンクスを買ってみたことがあります。

楽しそうなバンドと言えば、それはもうパープル・ファミリーをおいて他にないであろう。(聴いてないけど)
「楽しい」の意味が自分の場合世間で言う「楽しい」とは全然違うのだが、音だって嫌いではないのである。(聴いてないけど)
というわけで、買ってみたのがレインボーの「虹を翔る覇者」。
値段は980円でした。

Rising

レインボーとしては2枚目のアルバムだが、早くもメンバーチェンジしており、コージー・パウエルが加入している。
いわゆる「三頭体制」の幕開けとして名高いアルバムである。
実際三頭を並べてみるとつくづく思うが、どう見ても仲良くなさそうな組み合わせだ。
無七志・知念・球四郎のようなもんですかね。(わかんねえよ)
ロニーはもともとコージーのことが嫌いらしいし。
いやー聴く前からホントわくわくしますね。

コージー加入によりバンドの緊張感はいやが上にも高まったと思われるこのアルバム。
果たしてその緊張感はどんな音として楽しめるのでしょうか。

・・・・・聴いてみた。

1. Tarot Woman
レインボーにしては少し意外なキーボードの音で始まる。
どこかELPを思わせるような、広がりのあるオープニング。
曲そのものはそれほど複雑な展開ではないが、ボーカルとキーボードがかなり前に出ている曲だ。
間奏でさっそくリッチーのくるくるギターが聴けるが、この曲ではまだ御大も案外おとなしく弾いている。

2. Run With The Wolf
メロディは重厚だが、リズムが他の曲に比べてポップで楽しそうな曲である。
リッチーがあえてソロでなくロニーのボーカルにかぶせてギターをかましている。

3. Starstruck
この曲も軽快なリズムとロニーのヤケクソボーカルが不思議にマッチしていて痛快だ。
ひととおりロニーに歌わせて、続いてリッチーがきっちりギターソロ。
ただしここも御大にあまり目立った技はなく、まじめにギタリストとして仕事しているといったところ。

4. Do You Close Your Eyes
サウンドとしては標準的なロックだが、この曲のキモはロニーだと感じる。
以前から知っている曲だが、あらためて聴いてみると、この人はやはりすごい声だ。
どんな音でも曲のどこを歌っても、ヘタリや痛みがない。

5. Stargazer
アルバムの中で一番メタルっぽいと感じたのがこの曲。
壮大で大げさでベッタベタで、この後登場するメタル・バンドのお手本となるような曲である。
特にリッチー御大の「もりもりもりもりー」という愚直なまでのリフが最高だ。
この曲もプロレスで誰かテーマソングに使ってませんでしたっけ?

6. A Light In The Black
最後を飾るのがこのアルバムの目玉、「A Light In The Black」。
疾走感に満ちあふれた素晴らしいナンバーである。
路線はパープルの「ハイウェイ・スター」と同じと言っていいだろう。
ロニーの重厚かつ柔軟なボーカル。
コージーのバシバシ響くドラム。
そしてリッチーのギター。
特に間奏のクライマックス、コージーの「どたたどたたどたたどたどた」とリッチーの「かきくかきくかきくけこけこ」というケンカリフが最高である。(相変わらず間抜けな表現だけど、自分にはこう聞こえるのでご容赦いただきたい。)
この曲だけ聴いてもこの頃の御大のやりたかった音がこれだったということがよぉくわかる。
きっとパープルにいた頃から構想はあったんだろうね。
愚かな空想に過ぎないが、ジョンのキーボードとカバのボーカルを組み合わせても、おそらく違和感はないはずだ。
LPでは「Stargazer」とこの曲だけでB面が構成されており、歌詞もつながっていて、いわば組曲として聴くものらしい。
圧制に苦しむ中世の奴隷の苦悩と絶望と一縷の希望を描いた作品だそうだ。
思ったより深いレインボー。

感想。
噂どおり完成度の非常に高い名盤である。
リッチーはこの頃「自分はレインボーの5分の1」と公言していたそうだが、果たしてそのとおりの展開である。
世間ではパープルよりもメタルでポッピーなのがレインボーという評価が多いが、これも全くそのとおりだと思う。
三頭と言われるだけあって、それぞれのパートのチカラが拮抗しており、異様な緊張感と高揚感に満ちている。
この3人でなければこの音は出せないはずだ。
ちなみにこのアルバム、厳密には「ブラックモアズ・レインボー」名義である。
が、内容からすれば「ブラックモアさんのバンド」ではないのは明らかだ。

ど素人の自分が今回三頭の中で評価したいのはロニーだ。
もちろん御大のギターもコージーのドラムも実に素晴らしいのだが、ロニーのボーカルはイタイ部分がどこにもない。
自分がレインボー歴代ボーカルの中で一番好きなのはジョーである。
これは今も変わらない。
ただ、ロニーの声を通しで聴いてみて、自分が感じたものを一番的確に表現すれば「安心感」ということになる。
ハードロックのボーカルに安心感てのもおかしな話ではあるが、歌ってんのは生身の人間なんだから、たとえスタジオ盤であっても、どこかに気が抜けた部分があったりしくじってるっぽい箇所があったりするもんだ。
ロニーにはそれがない。

ジャケットは虹をつかむ手の絵だが、中身に合っていて悪くない。
全般にレインボーのアルバムジャケットは、パープルのそれよりもはるかにセンスがいい。
というかパープルのジャケットがダメなのばっかなんだけど。

ひとつだけこのアルバムで残念なこと。
それは演奏時間の短さだ。
トータルで40分くらいしかないのはやはり物足りない。
どこかにリッチーとコージーによるインストナンバーなんかがあっても良かったと思う。
ツェッペリンの「アキレス」は「長さを感じさせない」ことで有名な曲だそうだが、レインボーの「A Light In The Black」はむしろ「短いと感じさせる」名曲である。

というわけでレインボー。
三頭だの御大だのギターでアタマ殴っただのといった情報にばかり興味が行ってしまい、結局聴いてみるまでにこんなに時間がかかってしまった。(バカだ・・・)
実際には知ってる曲が半分近くあったので、「初めて聴いてみた」とも言えないかもしれないが、このアルバムはこれまでの「聴いてみた」シリーズの中では間違いなく最高である。
30年前のアルバムをイイ歳して喜んで聴いてる自分もどうかとは思うけど、これはいいですよ。
次はぜひ「バビロンの城門」を試してみたいと思います。

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コメント

その全盛期にロック聞いていたのに、一曲も聞いたことのないぷくちゃんといいます。

SYUNJIさん、岩手駅のホームで待っていたのに来ないなんて風邪ひいてしまいました。薬代下さい。

さてレインボー。記事読んでみたらなかなか良さそうですね。早速、図書館に行って「バグルズ」借りてきます。

投稿: ぷくちゃん | 2006.10.22 15:03

ぷく先輩、あたしが待っていたのは盛岡駅ですが。(性悪)
せっかく発泡酒もチーカマも買っておいたのに。
あとで酒代下さいね。

>さてレインボー。記事読んでみたらなかなか良さそうですね。早速、図書館に行って「バグルズ」借りてきます。

・・・こんなに趣味の合わない先輩と、3時間も新幹線の中で話題がもつのか不安です。きぃー!!
車中ではセブンのDVD鑑賞に終始したいと思います。(←自分でDVD用意する気が毛頭ない)
あ、モスカの写真ありがとうございました。
やっと先輩のプロフィールにストレスを感じなくなりました・・

投稿: SYUNJI | 2006.10.22 18:01

SYUNJIさん、こんにちは。

記事を読ませてもらって、このアルバムを久しぶりに聴きました。
良いですね。個性ある3人だから、激しくぶつかり合って緊張感ありますよね。そのため、その後の破綻も当然でしょうか。
1、3、5が聴き慣れているので、それらを聴くと自然とノリノリです。(笑)
個人的には『バビロンの城門』よりは、このアルバムの方がアルバムを包むパワーは上だと感じます。

レインボー、私はちょうどグラハム時代が聴き始めでした。
歴代ヴォーカリストの中では、ロニーのヴォーカルが最もレインボーに合っていると思います。存在感あって迫力あるし上手い!・・・でも嫌いじゃないけど、好みじゃないのですよねぇ、これが。
SYUNJIさん&ロニーのファンから「おい、こら!表出ろ!」と、思い切りどつかれそうですが。(苦笑)

私のレインボーは、やはりリッチーのギターみたいです。

投稿: Junk | 2006.10.23 11:27

SYUNJIさん、こんばんは。
レインボーの「虹を翔る覇者」、ジャケットを含めて名盤ですね。
このジャケットとタイトル、両方とも知っていましたが、両者が
同じものだということを、SYUNJIさんの今回のエントリーで初めて
知りました。いかに自分がハード系に弱いかを実感いたします。

それで6曲収録なんですか。パープルの「Live In Japan」も、収録
曲数は少ないですが。6曲、キンクリ「太陽と戦慄」と同じ曲数です。
素敵です。

冗談はさておき、巨匠ブラックモアがメンバーシップに徹している
ようですね。確かに、上記「Live・・・・」でも、メンバーのプレイは拮抗
していましたから、何となく納得できます。

>>6. A Light In The Black

これ、聴いてみたいですね! 少しだけ知っているパープルの曲
で一番好きなのが「Highway Star」(の「Live・・・・」バージョン)
なんです。ハード系が苦手な私も、あの疾走感はたまりません。
しかも、レインボーのこの曲は5曲目とメドレーなんですか。
ますますプログレっぽく・・・・じゃなかった、いいですね(^^;)。

投稿: モンスリー | 2006.10.23 22:56

Junkさん、コメント感謝です。

Junkさんはグラハム派でしたっけ。
グラハムの歌も悪くないですよね。
あ、リッチーを支持するなら「御大派」ですかね。

>SYUNJIさん&ロニーのファンから「おい、こら!表出ろ!」と、思い切りどつかれそうですが。(苦笑)

そんなガラの悪いこと言いますかいな。(苦笑)
ぷく先輩じゃあるまいし。
まああの人はレインボー聴いてないみたいなので、誰が好みでもどついたりはしないでしょうけど。

モンスリーさん、コメント感謝です。

>レインボーの「虹を翔る覇者」、ジャケットを含めて名盤ですね。

タイトルとジャケットがうまくマッチしていますね。
レインボーのアルバムって「銀嶺の覇者」とか「バビロンの城門」「闇からの一撃」といった映画っぽいタイトルが多く、この傾向は好きです。

>レインボーのこの曲は5曲目とメドレーなんですか。

実際には連続ではなく区切りはあって別の曲ですが、歌詞の内容が関連しているそうです。
感覚的には「A Light In The Black」は「Highway Star」よりも完成度は高いのではないかと感じます。
聴いてみたばっかの自分が言うのもナンですが、おすすめですね。

投稿: SYUNJI | 2006.10.25 00:11

SYUNJIさん、こんばんは。
>>「銀嶺の覇者」とか「バビロンの城門」「闇からの一撃」

ムードのある、いい邦題ですね~。
最近、洋楽ロックも映画も、「これだ!」という邦題がありません。
映画などは意識的に邦題をつけていないという話も聞いたことが
あります。
無理にとはいいませんが、「明日にかける橋」「君のともだち」
「風にふかれて」といった、後世に残る邦題をたまにはつけて
ほしいものです。

投稿: モンスリー | 2006.10.26 22:19

SYUNJIさん、こんばんは。
ある方のご厚意で、「虹を翔る覇者」を聞くことができました!

まず、ファンの方には大変申し訳ないのですが、やはりボーカル
は苦手でした。
しかしサウンドはドライブ感の効いた曲が多く、いけます!
苦手だった典型的メタル系のツーバス多用のドラムも、パウエル名人
が叩いているかと思うとノリますなあ! なんだか、ハード/メタル
ファンがレインボーをきき、快感に身をゆだねるのがわかるような
気がしました。いやこのドラム、やっぱりすごいです。

1曲目は、おお、ジェネシスの名曲「Watchers In The Skys」のよう
です。印象的なシンセのイントロから、徐々に盛り上がりギターが
はいりつつ・・・・(←何でもプログレに結びつけたがるヤツ)。
注目の5,6曲目ですが、まず5曲目はシンセとギターの織りなす旋律が
いいですね。ここはブラックモアのクラシック趣味が存分に反映されて
いるでしょうか。続く6曲はこれぞハードロックの真髄が味わえます。
ブラックモアが次々と放つ殺人的なソロに、パウエルが飽くことなく
繰り出す高速かつヘヴィなリズム。さらにこの曲はライブ感が満点です。
パープル「Live In Japan」収録の「Highway Star」に全くひけをとりま
せん。
ジャケットの力強いイラストも、アルバムの内容と一体感があって
これまたいいですね。人気の理由がとてもよくわかりました。

投稿: モンスリー | 2006.11.07 23:13

モンスリーさん、本文の薄い内容をはるかに凌駕するコメント感謝です。
いやーこれくらいの文章が書けるようにありたいといつも思うんですが、素人なもんでいつも「どたたどたた」などの擬音にまみれた愚かな文面にしかなりません・・

ご指摘のとおり、リッチー御大の趣味と実益を兼ねた名盤だと思いますね。
パープル時代の良いところを踏襲し、さらに創意工夫を重ねた成果だと感じます。(←聴いてねえくせに語る)
ただロニーのボーカルがお好みでないのはちょいと残念でしたが。
他にグラハムとジョーという歴代のボーカルがいますんで、どれかは気に入っていただけるのではないかと。(その前にオマエがちゃんとレインボー聴けよ!byぷく)

投稿: SYUNJI | 2006.11.08 00:20

SYUNJIさん、こんばんは。
>>ただロニーのボーカルがお好みでないのはちょいと残念でしたが。

いやはや、これにつきましてはいかに自分がハード/メタル系に弱いかを
再確認することにもなりました(^^;)。
あと、トータルタイムが30数分というのも助かりました。いきなり怒濤の
CDフル収録80分攻撃ではもたなかったと思います。
曲を絞り、演奏を凝縮したのも、私のようにハード/メタル系が苦手な
ものでもいける理由なのかもしれませんね。

話はまったく変わりますが、先日演奏時間が最低7分以上のライブテイク
ばかり集めたMDを自分用に作ってみました。
LP2モードでフル収録を2枚、1曲あたりの平均は10分強です。いやあ、
燃えます(笑)。

投稿: モンスリー | 2006.11.10 23:13

モンスリーさんのご意見を読んでいて、もしかして自分はHR/HM系なのでは・・?と錯覚してしまいました。
これまで「聴いてみた」シリーズで自分が「よかった」と思ったのはレインボー、シン・リジィ、ガンズです。
まあたまたまそうなったんでしょうけど、ロニーのボーカルは個人的にはかなりイイです。

>先日演奏時間が最低7分以上のライブテイクばかり集めたMDを自分用に作ってみました。

楽しそうだ・・(笑)
あたしも若い頃、テープで似たようなことを延々やってました。
80年代はFMでもヒット曲のロング・バージョンが結構かかり、それらを集めたテープを作ったことがありました。

投稿: SYUNJI | 2006.11.11 09:47

こんばんは
コジと申します。
「ロニーはもともとコージーのことが嫌いらしいし」
おぉ!なにか新しい発見を突きつけられた思いです。
そう言われれば仲がいいなんて聞いたことないし、悪いというのもあまりきいたことなかったですね。
う~ん考えてみると、ロニーにしてみれば「ドラムあんまり目立ちすぎじゃないの」って思ってかも。コージーにしてみると「やたら声でかすぎるんじゃないの」って思ってたのかも知れない。な~んて両者の顔思い出しながら勝手に想像してしまいました・・・(笑)。

投稿: コジ | 2006.12.18 01:48

コジさんこんばんは。
わざわざこんな低レベルなBLOGにお越しいただいて恐縮です。

ロニーですが、聞くところによれば「コージー嫌い・オジーもっと嫌い」だそうで、よくそれでサバスとかレインボーで歌っていられたもんだと思いました。
でも実はそんな話題がとても好きだったりします。

ごらんのとおり「聴いてない」アーチストを延々自慢するバカなBLOGですが、お好きなアーチストについてご指導いただければと思います。

投稿: SYUNJI | 2006.12.18 23:29

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受信: 2006.11.12 05:06

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