聴いてない 第98回 エリック・クラプトン
ギターの神様、「スローハンド」エリック・クラプトン。
もうひとりの「神」と呼ばれる男はマイケル・シェンカーだそうだが、マイケルはともかく、クラプトン、実は今でも「聴いてない」という意識は案外希薄である。(マイケル・シェンカーは全く聴いてない)
もちろん聴いてる曲はそれなりにあるし、人間関係もそれなりにお勉強しているつもりだ。
「エリック・クラプトン・ストーリー」という半生を綴った文庫本も持っている。
しかし。
先日V.J.若のBLOGでクラプトンに関する渾身の文章を目にしていて気づいたのだが、「もしかするとこれは聴いてないことになるのではないだろうか・・」というドス黒い雲が、私のこころを徐々に覆い始めたのである。
もう少し冷静に考えてみたら、やはりとても「聴いている」とは言えない状態であった。
聴き方が相当ズサンなのだ。
クラプトンくらいになると、ソロからバンドから企画ものからベスト盤からライブアルバムから駅売りCDから西新宿ブート盤からG1クライマックスから世界最強タッグ決定リーグ戦まで、本当にいろいろある。
ところが自分の鑑賞履歴ときたら、とてもじゃないが「クラプトン聴いてます」と店先に貼っておけるような状況じゃないのだった。
今更だが、知ったかぶりとイキオイであちこちの人たちとネット上で楽しくクラプトンを語っていただけなのだ。
主な経歴にそって、アルバム鑑賞履歴を確認してみる。
・ヤードバーズ・・・聴いてない
・ブルース・ブレイカーズ・・・聴いてない
・クリーム・・・ベスト盤のみ
・デレク&ドミノス・・・聴いてない
・ブラインド・フェイス・・・聴いてない
・ソロ・・・「オーガスト」「アンプラグド」
・その他・・・ベスト盤(たぶん公式盤ではない)・よくわからないライブ盤
結局オリジナルアルバムとしては「オーガスト」しか聴いてないのだ。
これでは全然「聴いてる」ことにならない。
例えばビートルズで「プリーズ・プリーズ・ミー」と赤盤とBBCライブだけ聴いてるヤツが、「わたしビートルズ聴いてます」などとほざこうものなら、「そんなんで聴いてるウチに入るわけねえだろうが」と言って膝十字をかけてしまうだろう。
それと同じレベルである。
どうしてこうなってしまったのか。
クラプトンを聴き始めたのはかなり遅く、「アンプラグド」が出る少し前あたりの頃だ。
(実はツェッペリンも同じ頃です)
それまでポリスとかクイーンとかエア・サプライとかカルチャー・クラブなんか聴いてたのだが、やはりロックの一般教養であるクラプトンは押さえておこう・・と思ってレンタル屋で借りたのが「オーガスト」である。
(よくわかんなかったので、当時の最新だと思って借りた。)
悪くはなかったのだが、そこから先に進むことがなかった。
「アンプラグド」はとりあえずすんごい流行っていたから借りてみただけで、それほど意欲に満ちた鑑賞ではなかった。
アンプラも悪くなかったですけど。
その後手っ取り早くお勉強できるものはないかと思っていたところに、ソロやバンド時代のヒット曲を納めたベスト盤を発見。(レンタルですけど)
これでほぼ満足。
今でもこのベスト盤はよく聴いている。
クリームも「White Room」が聴きたくてベスト盤を買ってしまい、やはりそれで満足。
その後いくつかのイベント音源でクラプトンの演奏を聴くことがあったが、いずれもクラプトンが中心ではない。
ボブ・ディランのデビュー30周年コンサート、ジョージ・ハリスンの日本公演である。
ディランのコンサートはテレビで見たが、クラプトンは「くよくよするなよ」を歌い、他のいくつかの曲でもギターを弾いていた。
クラプトンがソロをとると歓声がひときわ高くなるのが印象的だった。
ジョージの日本公演はCDを買った。
クラプトンも自分の曲をいくつか披露したらしいが、権利関係からだろうか、これらはCDには収録されていない。
あとは「Change The World」「My Father's Eyes」などのシングルをつまんで聴いている。
で、結局こういう状態のまま今に至っているのである。
クラプトンの曲を聴き重ねていって(それほど曲数は多くないけど)思ったのだが、やはりどっぷりのブルースや暗いサウンドはどうも苦手だ。
比較的明るい曲か、スピード感あふれる曲のほうが好きである。
この時点ですでにクラプトンの聴き方としては間違っているとは思うが、好みなのでこれは仕方がない。
「Crossroads」「Wonderful Tonight」「Tulsa Time」あたりは好きだが、「Sunshine Of Your Love」「Cocaine」「I Shot the Sheriff」などはいまいちのめり込めない。
時代ごとの特徴をきちんと把握しているわけではないので、もう少し勉強は必要だろう。
クリームのベスト盤はわりと聴くほうだが、クリームはやはりバンドですよね。
しかもクラプトンが突出してるバンドでもなく、3人がほぼ互角に組み合った状態ではないかと思う。
クリームでは「長くソロをとったヤツが勝ち」なんていう競争傾向?もあったようで、この実力伯仲状態が解散を早めた原因でもあるらしい。
そう思ってあらためて「Crossroads」「Sunshine Of Your Love」などを聴いてみたが、やはりこれはクリームの曲である。
「いとしのレイラ」はバンド名義だが、実質クラプトンのソロ曲と言っていいだろう。
決定的に違うのはベースラインだ。
裏メロという言葉があるが、クリームにおけるジャックのベースはむしろ表だ。
「Crossroads」には長めの間奏部分が2回あるが、ここはギターソロではない。
「ギターソロ&ベースソロ&ドラムソロ」である。
誰も「裏」をやっていない。
合奏でなく、あえて「3人のソロが同時進行してる」と言っていいくらい、ギリギリのところまで来ている。
一瞬でも気を抜くと3人のバランスが崩れてしまうような、そんな感じ。
このあたりの緊張感がたまらなく好きである。
クラプトン自身はもしかするとバンドという形態自体あまり好きじゃないのでは?と思う。
クラプトンにできてベックやペイジにできなかったのは「歌うこと」である。
もし彼が歌えないギタリストだったら、クリームでの役割もよりはっきりして、かえってバンドが長持ちしたんじゃないのかなぁ。
さて彼の「スローハンド」という通称名だが、先日もFMで諸説いろいろを紹介していた。
その番組であげていた起源は以下のようなものだった。
1.ギターを弾くその手が速すぎて止まっているかのように見えるほどスゴイから
2.ギターを弾くその手が優雅で美しく見えるほどスゴイから
3.演奏中に弦を切ってしまい、取り替えるのにモタモタして客がせかすほどだったから
4.時間が来ても演奏が全然始まらず、客がせかすほどだったから
で、結局正解はどれなんでしょうか・・・
そんなわけで、実はとても適当な聴き方ですませてしまっているクラプトン。
ソロではいったいどのアルバムがおすすめなのか、教えていただければと思います。
あ、そういやブラインド・フェイスって、スティーブ・ウィンウッドの宿題でもあったんだよなぁ・・
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