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従来から「おくつした」

今年も文化庁による「国語に関する世論調査」の結果が発表されました。
毎年恒例なので楽しみにしてる方も多いと思います。
文化庁の調査目的は「国語施策を進める上での参考とする」とのことですが、毎年ほとんどのマスコミは調査結果を「日本語の乱れの現れ」として報道してしまっています。
調査目的と結果の運用がズレてる気もしますが、この結果を見て「普段使っている言葉が実は誤用だったことに初めて気づく」ケースも多いでしょう。
あたしも商売柄日本語の誤用や乱れには多少気を配ってきているつもりですが、毎年「げっ・・・これって誤用だったんだ・・」と気づくことが続いています。

さて言葉の問題は自分が思っている以上に国民のみなさんの関心は高く、「やはり使うからには正しく美しい日本語を」と考えている人が多いのでしょう。
自分もたま~に言葉についてBLOGで採り上げたりしますが、以前とても驚いたのは自分の意見に賛成しかねる方からのコメントでした。
具体的には、自分は「1万円からお預かりします」にはかなり寛容なのですが、これが相当お気に召さなかったらしく「恥知らずの言語無知」「何様のつもりか」などといったお叱りを受けました。
驚いたのは、言葉遣いの問題を採り上げているのにも関わらず、全く唐突に挨拶もなしに(←ここ重要)「オマエの考えは間違っている」旨のコメントを、あまり美しくない表現で寄せてきたからでした。
こういうバランスの乱れた人はネットの中に意外に多く見かけます。
言葉遣い以前にアンタのネット遣いが全然お子さまじゃねえかよ!と、こっちも言いたくなりますが。
あ、「全然お子さま」は誤用ですかね。(もうええやんけ)

話を文化庁の調査結果に戻しますが、今年の調査結果の中に少し脱力した言葉がありました。
「どんな語に「お」を付けるか」という設問なのですが、用意された言葉は以下の15語でした。

 ・お弁当
 ・お天気
 ・お皿
 ・おビール
 ・おソース
 ・お紅茶
 ・お酢
 ・お薬
 ・お手紙
 ・おくつした
 ・おかばん
 ・お酒
 ・お米
 ・お茶わん
 ・お菓子

もちろん自分も全部「お」をつけてるわけではないのですが、ひとつ変な言葉が混じっていると感じました。
「おくつした」。
調査結果で「くつした」に「お」をつけると答えた人がいたことも驚きですけど(セレブ?)、「くつした」を選んだ文化庁のほうがおかしくないか?と思います。
「おくつした」なんて幼稚園児でもあんまし言わないような言葉だと思うけど、なんでこんなの答えさせたかなぁ。
くだらない文句かもしれないけど、税金使って調査するんなら、もう少し国民のタメになる事例を持って来ないといかんですね。

さて自分が「誤用だと初めて知った」今年の言葉。
それは「従来から」。
4人に3人は「気にならない」と回答したそうですが、あたしゃ気になる以前に「どこがおかしいんだ?」と一瞬考えてしまいました。
「従来」には「以前から」「従前より」という「から」も含めた意味があるので、「従来から」は「あとで後悔」「馬から落馬」のように二重表現となるそうです。
よく考えればその通りですが、これはもうゴキブリと同じで元に(正しく)戻らないんじゃないかなぁ。
自分もたぶんこのBLOGのどこかで使ってるかもしれませんし、「まだ未完成」「今朝の朝刊」などとともに、普段からまったく気にせず発している言葉だと思います。

新聞各紙ともこの調査結果を報道したようですが、東京新聞なんか「二重表現ですが・・」と見出しをつけておきながら、「4人に3人は違和感を感じないといった実態が浮き彫りになった」などとスルっと書いてあります。
「二重表現」って言ってるそばから「違和感を感じない」ってのも、どうかと思いますね。
「違和感を覚えない」にしておくとか、少しは考えなかったんでしょうか。
あ、「違和感を感じる」ってもしかして間違いとは言えない表現でしょうか?
「臨場感を感じる」とはあまり言わんぞ。「臨場感」は「ある」だ。
「危機感」はどうだろう?
「違和感を感じる」を言い換えるなら「違和を感じる」だけど、「危機を感じる」って言うと少しニュアンス変わりますね。
「危機感を覚える」よりもヤバそうな感じだ。
難しいなぁ。

で、「従来から」って、ホントに間違った表現なのか?
いまひとつ納得できなかったあたしは意地悪くネットであちこち調べてみました。
そして非常に痛快(←失礼)な事例を発見したのです。

なんと国語学会(現:日本語学会)のサイトに、「従来から」の記述を見つけてしまいました。
国語そのものや誤用に関するページではなく、組織運営の説明のような内容ですが、「従来からある外部査読委員の制度は存続し・・」と書いてあります。

いや、別に国語学会の方々をあげつらうつもりはありません。(本当か?)
自分も人様の言葉遣いを指摘できるほど日本語に堪能ではありませんし。
でもマスコミにしても国語学会にしても、このあたりの二重表現については、従来から違和感は感じていないようです。

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コメント

ども、SYUNJIさん。

自分、新聞見て結構間違っている、、と思いましたが、まあ、日常に差し支えなければ、、と開き直ってもいます。

自分のブログでの文章を見たら、、それはそれは、、ボロボロと出てくるでしょう。

自分は、どうしてもこうした事に細かい人、すごい苦手ですね。
言葉に含まれたその人の気持ちがきちんと入っていればそんなに問題にもしたくはないですが、、。

自分は、会話をしたとしたら、方言で、何を言っているのか、判らないだろうけど、、。

投稿: だいまつ | 2006.07.29 23:00

だいまつ親分、コメント感謝です。
自分の場合、言葉の誤用や不適切な使い方についてはけっこうアンバランスですね。
「ケンケンガクガク」とか「ら抜き言葉」にはかなり厳しいですが、「1万円からお預かりします」「こちらサラダになります」には寛容ですし。
要は「誤用とわかって使っているかいないか」の違いですね。

人様のBLOGやサイトに対して、誤りを指摘することはお互いのためにもいいのかもしれませんが、指摘というより罵倒非難中傷になってるような場合、指摘者のネット不慣れを露呈するだけで、建設的ではないですよね。(あああすごく小難しい表現・・嫌われそう)

>言葉に含まれたその人の気持ちがきちんと入っていればそんなに問題にもしたくはないですが、、。

全く同感です。
「あなた、それ間違いですから気をつけましょうね」という思いやりのこもった指摘なら受け入れますが、ひどい表現の指摘の場合は「こいつ馬鹿じゃねえの」という敵対心しかないですからね。

投稿: SYUNJI | 2006.07.30 10:36

昔の記事にコメントつけようとしたら、コメント受付終了されていたぷくちゃんといいます。

国語の素養0の私が言うのもなんですが、やっぱりだいまつ親分の言う通りですよね。

>言葉に含まれたその人の気持ちがきちんと入っていれば

私のリンク先の方たちの文章、もちろん私より文章上手だと思っていますが、何より皆さん気持ちが入っているのわかります。だからコメントつけられるのです。

ただ一つ、「○○とか」というのは少し気になります。「椅子とか持ってきて!」と上司に言われたら、「机もですか?」と聞いてみようかと思っていても出来ない私ですが・・・

投稿: ぷくちゃん | 2006.08.01 07:55

ぷく先輩、コメントとかありがとうございます。(←無神経)

昔のあの記事、ホントいろんなコメントが来て驚きました。
ありがたくないものが連続して来たりしたんで、面倒なんでコメント拒否にしてしまいました。

>何より皆さん気持ちが入っているのわかります。だからコメントつけられるのです。

そのとおりですね。
文章から誠実さや知性がにじみ出るというのは本当・・
あたしの場合は知性も知識もないのがウリですが。

>「机もですか?」と聞いてみようかと思っていても出来ない私ですが・・・

一度無言で机も持っていってみたら・・?(他人事)

投稿: SYUNJI | 2006.08.02 23:31

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