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読んでみた 第3回 広告

今回読んでみたのは広告。
どの雑誌の広告だよ?と思われるかもしれませんが、「広告」という名の雑誌です。
広告代理店の博報堂が作っている季刊PR誌である。
発行部数は不明。
実はこんな雑誌があることは、買うまで全く知らなかった。

買ったのは2006年6月号、690円。

Koukoku0606

4月にオープンした錦糸町のオリナスにある書店で買いました。
代理店のPR誌と言われても、どこがPRなのかはよくわからない。
全く別のタイトルで文芸誌として出版しても問題なさそうな内容である。

特集は「ことばエネルギー」。
言葉の持つチカラを様々な分野や角度から語っていく特集である。
本業である「広告のキャッチコピータイトル」を題材にしたページもあるが、広告とはそれほど関係のないページも多い。

・・・・読んでみた。

特集の見出しはこんな感じ。

・谷川俊太郎さんに広告の詩をお願いしました。
・アートの力を生む言葉。
 日比野克彦
・ことばとからだ
 井川遥/サンボマスター/武田双雲/林 寧彦
・ケータイすることば。
・世界の中の日本語 日本語にびっくりしないために。
・「全然OK」でも、全然大丈夫。
 堀井令以知
・河合隼雄さんと「関西弁力」に迫る
・買物を進める言葉 VS 買物を止める言葉

どのページも日本語の持つエネルギーをテーマに、あくまで一般の文章や会話の中での事例に沿って綴っている。
言語学の専門家による文章もあるが、堅苦しい論文や評論はない。
見出しに句読点(。)があるところは、さすがに代理店という感じはするが、広告そのものをテーマにしているわけではないので、特にわかりにくいという感覚はなかった。

今回の特集に『「全然OK」でも、全然大丈夫。』というページがある。
タイトルからして誤用の連続とも言えるのだが、この表現を言語学の専門家が文字通り「問題なし」としてくれているのだ。
「全然」+肯定表現は最近の若者の「乱れ」と評する方が意外に多い。
だがこの堀井先生によれば、こうした表現は戦前からあったそうで、なにも今に始まったわけではないらしい。
自分は以前からこの表現には寛容なつもりだが、このページはけっこう痛快だ。
この先生に「一万円からお預かりします」はどうなのか、聞いてみたいところだ。

「関西弁力」について語るページもおもしろい。
日本の方言の中でも突出して分析研究が進んでいると思われる関西弁だが、自分は残念ながらその使い手ではない。
このページにあった関西表現の中で、もっとも感心したのが「しんどい会社の処分品」というものだ。
事務的に言うと「倒産会社の処分品」。
自分なんかが感想を語るよりも、詳細は本文をぜひ読んでいただきたいのだが、関東ではまずあり得ないこの言い方、まさに関西弁の持つチカラをつぶさに表現していると思うのですが。

自分も一応出版業界(の辺境)に籍を置く身であるが、言葉の持つエネルギーをけっこう純粋に信じている。
「信じる」というより「期待している」感覚かな?
そういう意味では今回の特集はかなりタメになります。

他には連載ものが15本程度。
内容は様々で、大竹しのぶの対談あり、ディランのアルバム紹介あり、ソーセージの大きさと名前の定義の説明あり・・・といったバラエティに富んだ構成である。
だが、どれも数ページ以内でかなりテンポよく読める。
判型はA4でページ数もちょうど100ページなので、1時間ほどで全部読み終えた。

感想。
代理店なだけに、文章も構成もさすがにこなれていると感じる。(誤字はあったが。)
ページごとにレイアウトや書体級数はバラバラだが、飽きさせない程度に変化するので、読みにくいということはない。
前回ラピタを読んだ時は、レイアウトや文字のデザインの統一感に感心したのだが、結局読みにくくなければ統一でも変化でもどっちでもいいってことですね。
大笑いするようなページはないが、今回はどのページもそれほど退屈せず読むことができた。
自分にしてはわりと珍しいことである。

PR誌の一般的な位置づけやスタイルをあまり理解していないのだが、この雑誌「広告」には、いわゆる広告がない。
あーややこしい。
要するに他社商品コマーシャルページが全然ないってことですね。
見返しにWWFの広告があるくらいだ。
一般人には読みやすいと思う。

紙質はコート紙ではなくややザラついた感触。
この判型でこういった紙を使うのは結構珍しい。
判型のわりに軽いので、持ち歩くにはありがたい。
世の中にはやたら重い雑誌があるけど、必ずしも机できちんと読めるとは限らないので、その時点で遠ざけてしまうことも多い。
また重い雑誌って、得てして重さの大半は広告ページだったりするしなぁ。

広告という分野、代理店という業態には全く縁がないが、この雑誌はおもしろいと思った。
業界向け・あるいは業界気取りのスカシた姿勢は全くない。
(これは自分の業界に対する偏見もあるのでしょうけど)

少し気になったのが、「発見ハ何デスカ?クリエイターの遭遇。」という、女優大竹しのぶと博報堂ディレクター太田麻衣子氏による対談。
残念ながら自分はこのディレクター太田麻衣子氏を知らないのだが、博報堂としては身内のディレクター太田氏を大竹しのぶと対談させているわけで、ふつうに考えれば大竹しのぶがゲストという位置づけのはずだ。
しかし対談を読んでいくと、どうも太田氏のほうが多くしゃべっている。
「早口が苦手」とCMでも表明してる大竹しのぶ、おそらく太田氏のほうが口調が早いんだろう。
インタビュー形式じゃないからそれでもいいのかもしれないけど、身内のほうが多くしゃべってしまう対談てのもなんだかなぁ・・・と感じました。
ただ大竹しのぶの発言は、女優という職業に対する強烈な根性と深い喜びに満ちている。
舞台や演劇にも関心がなく、特に彼女が好みの女優というわけでもない自分でも、「このヒトはすごい・・」と思わせる内容でした。

というわけで、存在すら知らなかった雑誌「広告」。
この雑誌はいいですね。
世の中ホントにいろいろな雑誌があり、自分のあまりの知らなさぶりに辟易もするが、今後もおもしろい雑誌に出会える期待を持たせるような、そんな感想を持ちました。
今後も機会があれば読んでみようと思います。

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コメント

ども、このごろ活字離れ甚だしいだいまつです。
となると、、広告も少なく読ませる雑誌というのはありがたいですね。
で、ひとつの記事が数ページですか。
結構インタビューは好きな自分です。
聞き手がうまいと本当に話がどんどんテンポ良く展開していく所がよくて。

どれ、自分も本屋で探してみますか。

投稿: だいまつ | 2006.05.27 21:14

SYUNJIさん、こんにちは。同時に記事が出るとうっかり見過ごしてしまうぷくちゃんといいます。

私は雑誌がなければ死んでしまう人間です。(←大げさ)だから結構の数の雑誌を読んできましたし、今も愛読しています。

>判型のわりに軽いので、持ち歩くにはありがたい。

風呂の中で読むこと多いのでうれしいです。

>文章も構成もさすがにこなれていると感じる。(誤字はあったが。)

おお、プロフェッショナルなSYUNJI・・・今度本屋で見てみます。

投稿: ぷくちゃん | 2006.05.28 17:38

だいまつ親分、コメント感謝です。

>広告も少なく読ませる雑誌というのはありがたいですね。

これ、厳密には博報堂は出版社じゃないんで、こういうことが可能なんですよね。
今広告のない雑誌はないくらいですけど、広告入れた時点で採算がとれてしまい、編集がゆるくなってしまう雑誌が多いという話です。
版元の編集力が落ちているという批判は耳が痛い話ですね。
ぜひ読んでみて下さい。

ぷく先輩、コメントありがとうございます。
来月誕生日があるのでよろしくね。(しつこい)
今更ですが先輩ってもしかしてすんごい文化人なのでは・・・
あれだけの映画と音楽を鑑賞して、さらに文学や雑誌もですか・・こういう方に出版社が支えられているんですね。ははーっ(ひれ伏す音)

>風呂の中で読むこと多いのでうれしいです。

うーん、本文の紙質はちょいとザラっぽいので、かなり水吸うと思いますけど。

>プロフェッショナルなSYUNJI・・・

よその版元の誤字は案外簡単に見つけますが、自分の書類やBLOGは誤字だらけ・・

投稿: SYUNJI | 2006.05.28 23:44

SYUNJIさん、こんにちは。自分の登場でこのブログの雰囲気を変えてしまったのなら、非常に責任を感じているぷくちゃんといいます。(←全くもっておかしい日本語)

>今更ですが先輩ってもしかしてすんごい文化人なのでは・・・

もう一つのブログで部屋の中を公開しています。まあ文化人は「タイガー&ドラゴン」のDVDは持っていないでしょう。

どれだけ水を吸うか明日この雑誌買おうと思いました。

投稿: ぷくちゃん | 2006.05.29 00:16

ぷく先輩、コメント感謝です。
先輩の登場であたしはおろか日本中のかなりのBLOGが雰囲気変わってると思われます。
で、買われました?この雑誌。
自分は風呂で本を読むという習慣はないのですが、どんだけ水吸うか知りたい気はします。
「風呂で読んだら重くなった雑誌選手権!!」
・・・どう?

投稿: SYUNJI | 2006.06.01 23:26

風呂上りのだいまつです。

ほかの人の趣味や好きなことで羨ましいのが「風呂での読書」です。
自分は出来ないですね。風呂に入ることに専念。体を洗うことに専念。頭を洗うことに専念。

自分が読んだら、1分後には濡れてどうしようも無い状態でしょう、、。
風呂の蓋を半分掛けて、、机にして読んでる?
まあ、汗かいて読むどころじゃないですね、、。

なんだか、SYUNJIさんもその習慣が無いということで安心している私、、、。

投稿: だいまつ | 2006.06.02 23:11

だいまつ親分、コメント感謝です。
まあ一度でも風呂で読むと、その本は風呂専用ですよね。
古本としても売れなくなりますし・・(セコイ)
だいたい同時に2種類のことができないタイプなので、あたしも風呂は風呂で読書の余裕はないですね。
テレビ見ながらBLOGのコメント書いてますが、やっぱテレビの内容は全然理解できてません。

投稿: SYUNJI | 2006.06.03 23:57

風呂の中では退屈してしまうぷくちゃんといいます。(←珍しく夜更かし)

特に浴槽につかっているとき暇なんだよなー。で雑誌。まさか新書や文庫本読むわけには・・・

>なんだか、SYUNJIさんもその習慣が無いということで安心している私、、、。

異常なぷく・・・・まあ異常じゃなければブログなんてやれないですよ!(←滅茶苦茶)

投稿: ぷくちゃん | 2006.06.04 00:56

先輩、めずらしく深夜にコメントありがとうございます。
風呂で雑誌読むのって、なんかフランス映画みたいでカッコいいですけどね。(やりませんけど)
そこまでして本読む根性ないもんなぁ。
通勤時間が非常に長い自分ですが、電車に乗っている時間が1時間強です。
朝は基本的に音楽鑑賞、夜はBLOGの原稿書きにあててるので、電車で本を読むのは週に2時間程度ですかね。
寝てしまうこともしょっちゅうなので、なかなか読む速度があがりません。

ちなみに自分、シグマリオンIIというモバイル機でBLOGの原稿を書いているのですが、となりに座った人が男性の場合、ほぼ100%のぞき込んで来ます。
「こいつ何書いてるんだ?」と思うんでしょうね。
こちらがそれに気づいて顔を上げると、これまたほぼ100%の確率で顔をそらすんですけどね。
逆に女性の場合はほとんどそういうことがありません。
女性はとなりの男が何をしてようが全然興味がないようです・・

>まあ異常じゃなければブログなんてやれないですよ!(←滅茶苦茶)

妙に納得してしまったあたし、、、。

投稿: SYUNJI | 2006.06.04 18:05

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