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読んでみた 第1回 日経おとなのOFF

シリーズ最初の雑誌は「日経おとなのOFF」。
版元は日経ホーム出版社、発行部数約75000の月刊誌である。
今まで買ったことはもちろんなく、書店で手にとったことすらありませんでした。
今回買ってみたのは2006年4月号、730円。

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特集は『大切な人を喜ばす 京都「隠れ家」案内』とある。
日経、やる気満々です。
ちょうど京都に行く予定もあり、書店で発作的に購入。
実は似たような名前の「おとなの週末」「男の隠れ家」とも区別がついてませんでしたが、今回買って読んでみてようやくわかってきた、という有様。

・・・・読んでみた。

さてこの雑誌、コンセプトはズバリ「不倫してる人向けの情報誌」。
このことは読む前からうっすらと知ってはいたのだが、確かに噂に違わぬ内容である。(だから読んだことなかったんですけど)
ターゲットは40代以上の不倫(願望含む)してる男性と思われる。
今月の表紙は井川遙だが、バックナンバーを見ると宮沢りえや米倉涼子など毎回妙齢の着物姿の女優が表紙のようだ。
これも「男にとっての理想の不倫相手」を女優に重ねて、購買意欲をかき立てるための演出であろう。
たぶん山田花子や久本雅美といったタレントは、今後も表紙には登場しないような気がする。

不倫情報誌と書いたが、実際に「不倫」という下世話表現はいっさいない。
あくまで「愛する人との大切な時間」などとマイルドな文字列になっている。
これは編集方針として徹底していることが感じられるし、男性誌にありがちな風俗店や精力剤の広告もない。
文字どおり「おとなのOFF」、つまり余暇を「愛する人(たぶん妻ではない)」と過ごすための情報誌である。

京都特集だが、見出しはこんな感じだ。

・作家・渡辺淳一が教えるふたりの「特別な場所」
・祇園「名料理店の歩き方」
・春の宵の「隠れ家バー」
・「京の隠れ家」宿の選び方
・カリスマ運転手が案内!タクシーで「隠れ寺めぐり」

内容はおおむね見出しから想定されるとおりだ。
それなりにカネ持ってるおっさんを対象にしていて、さらに今回は京都特集なので、まああたしのような貧民には縁のない名店ばかりが紹介されている。
ページにもよるが、写真は確かにきれいで見せ方も堅実である。
奇をてらうような構成ではないので、読みやすいとは思う。
ただ、文章を写真にかぶせて乗せる処理が甘く文字が読みづらかったり、文章が長すぎて写真と組み合わせがズレ気味だったり、なんとなく編集が雑なページもあったりして、その点は気になりました。
また思ったより広告が少ないのは意外だった。

言ってみればこの本は「おっさん向けのホットドッグ・プレス」だと思う。
愛する人とそれなりの店や宿でいかにオトナとしてふるまうか、そのマニュアル本だ。
不倫を文化たらしめた張本人の渡辺淳一先生(決して石田純一ではない)を起用したり、「隠れ家」を連発したり、「カリスマ運転手」と言ってみたり、案外やってることはベタである。

当然文章は複数のライターによるものと思われるが、「しっぽり過ごす」だの「はんなり祇園の夜は更けて」だのといったいまいちイケてない表現がどうも目につく。
わかっていて書いてるのかどうか不明だが、せっかく名店を紹介するのに今更「しっぽり」はないよなぁ。
不倫できるほどの甲斐性のない自分のひがみかもしれないが、感覚的になんだかなぁ・・・という文章が多い。

全般としては店や宿といったハード面紹介に重きを置いており、女性との会話術やファッションや鞄などのアイテム指導といったページは少ない。
なのである意味「かなり本物志向な店や宿のガイドブック」としての利用も可能である。
京都特集ではふつうの旅行ガイドにはなさそうなコアな情報もあり、実際に役に立つ部分はあった。
こういう点は案外女性からも評価は高いようだ。
不倫とは関係なく、高級志向情報誌として利用している人も多いということだろう。
というより、たぶんこの雑誌を読んでホントに不倫してる人ってあまりいないのでは・・・

実際にこの雑誌を読んで愛する人との逢瀬に備えるおっさんがどんだけいるのかわからないが、こんなの読んで京都の名店に女連れて通ぶって行くなんてのは、京都の名店が最も嫌うタイプの客なんじゃなかろうか?
この手の雑誌で情報を仕入れて不倫に臨む時点ですでに企画は倒れてますよね。
本当に不倫してるおっさんにとって、この雑誌の正しい使い方は「実際に持ち歩いて店や宿に行く」ことだろう。
もちろん女にも堂々と見せながら、店の中でもこの本を広げながら会話するのだ。
女にも店にもあきれられはするだろうが、ヘタに暗記して京都の名店に嫌われるより、文字どおり開き直ってこの雑誌に頼り切るのが良かろう。
作ってる側にとっても、そこまで徹底して使ってもらえば、編集冥利につきるってもんですよね。

というわけで「日経おとなのOFF」、初めて読んでみましたが、情報誌としては悪くなかったです。
文章には多少脱力な表現が目立つものの、紹介している物件はどれも確かなものばかりだとは思うし、実際そんな高級な店や宿に行ける身分じゃないのだが、見ている分にはまあ楽しい雑誌である。
不倫する予定も今のところ(永久に?)ありませんけど、また興味のある特集があれば読んでみてもいいかなと思います。

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コメント

こんな雑誌があるんですね。全然知りませんでした。雑誌は定期購読してるものを読むくらいだし、本もアマゾンで買っているので、ほとんど書店に足を運ぶことが無くなってしまいました。

どうも巷では「LEON」という「ちょいワルオヤジ」向けの雑誌が流行っているらしいのですが、一度も読んだことがありません。

若い男性をターゲットした雑誌は成り立ちづらくなっているという事でしょうか。携帯やインターネットで情報は入手できるし、フリーターやNEET層が増えているので所得も低くなっているし、たぶん市場として厳しくなっているんでしょうね。

僕のメインのクレジットカードはアメックス(普通のグリーンカードです)なのですが、定期的に送られてくる会員誌で紹介されている店が、僕とは別世界なので全然役に立ちません。読み物としては面白いんですけどね。僕にとってはこの「日経おとなのOFF」も同じようなものかも知れません。

投稿: getsmart0086 | 2006.04.16 18:22

getsmart0086さん、コメント感謝です。
自分も今回初めて読んでみたのですが、発行部数はLEONも同じくらいのようです。(実売部数はよくわかりませんけど)
カナさんに実態を聞いてみたいですね。

>若い男性をターゲットした雑誌は成り立ちづらくなっているという事でしょうか。

これ、版元にとってはけっこう深刻な問題でして、ただでさえ人数が少なくなりつつある若者が、一段と雑誌を読まなくなってるようです。
漫画雑誌でさえ徐々に部数が下がってて、ご指摘のとおり若者は携帯にカネをかけてるのが実状です。

一方でこれから定年を迎える「団塊世代」は、人数も多く、他の世代よりも明らかに余暇の楽しみ方に長けています。
旅行業界やゴルフ場など、需要をねらっていろいろ考えていますね。
同窓会を総合プロデュースする会社もあるそうですが・・
出版社もしかりです。
LEONもたぶんそうですが、この世代にいかに買ってもらうかが勝負でしょうね。
あ、LEONはきっと頭文字Pさんが定期購読してますよ。

投稿: SYUNJI | 2006.04.16 22:09

SYUNJIさん、こんばんは。
この雑誌ですが、
>>毎回妙齢の着物姿の女優が表紙のようだ。
実は、表紙だけ結構気にしておりました。以前、桜井幸子が
やはり着物姿で登場しましたので・・・・。ちなみに巻頭には
グラビア&ちょっとしたインタビューもつきます。
しかし、それ以上読んだことはありませんでした。

今回、SYUNJIさんの記事を爆笑しながら読みました!
>>「おっさん向けのホットドッグ・プレス」
ここが一番のポイントでした。私もHDP世代(ほとんど読んだ
ことはありませんが)ですが、ちょうど
40代前後になるでしょう。我々の世代向けの新しいマニュアル本
なわけですね。
ついでにこの手の雑誌は「女性にもてる」方法を伝授すると見せ
かけて、いかに男性に金を使わせるか、それが究極の目的と
なっております。

>>・春の宵の「隠れ家バー」
>>・「京の隠れ家」宿の選び方
例えば隠れ家的バーってどんな感じなのでしょうか? 私は酒場には
行きませんのでわかりませんし、そもそも「隠れた」という以上、
秘密の度合いがつよそうです。BGMには、絶対にこちらの「聞いてない」
「聞いてきた」シリーズで取り上げられる音楽は鳴っていそうに
ありませんね。堀江容疑者などが利用するような店なのでしょうか。
誰か一度連れて行ってくださ~い。(^^;)

投稿: モンスリー | 2006.04.16 22:12

アメックスも持っていないし、LEONも買っていないぷくちゃんといいます。おまけに不倫もしていません。

さて日経、色々細分化して雑誌を出していますよね。私も「日経エンタ」は欠かさず読んでいます。(←馬鹿)

製薬会社の時代、交際費は一ヶ月100万円でした。ただし、これを使うには3ヶ月で1億(薬価ベース)を売り上げなければいけませんでした・・・(←結構マジな話)

ちなみにハウ・トゥー本ではアンアンのsex特集しか読みません。(←SYUNJIさんの弱点であろうと思われる下ネタ攻撃!)

投稿: ぷくちゃん | 2006.04.16 22:42

モンスリーさん、こんばんは。
ということで予告どおり「読んでみた」シリーズ始めてしまいました。

>我々の世代向けの新しいマニュアル本なわけですね。

雰囲気としてはたぶんもうちょい上の世代向けですね。
この本に紹介されてる店に行けるのは相当なセレブ?

>例えば隠れ家的バーってどんな感じなのでしょうか?
>BGMには、絶対にこちらの「聞いてない」「聞いてきた」シリーズで取り上げられる音楽は鳴っていそうにありませんね。

いや、きっと今後の隠れ家はあなどれませんよ。
70年代に若者だった世代を意識して、隠れ家でもストーンズやクリームが流れる日も近いでしょう?

ぷく先輩、LEON購読お疲れ様です。(断定)

>おまけに不倫もしていません。

おまけでできるほどたやすいものでもないと思いますが・・
「はい、不倫しています」なんて生々しいコメントが来たらどうしよう・・(馬鹿)

>製薬会社の時代、交際費は一ヶ月100万円でした。

すでに交際費も接待もじじいの思い出話になってしまった我が社・・

>ちなみにハウ・トゥー本ではアンアンのsex特集しか読みません。

この特集、90年頃始まったんですけど、当時は特集のたびにメチャクチャ売れてましたね。
書店で平台に100冊くらい山積みになってて、顔なじみの店員は「これでもすぐなくなるんだ」とうれしそうでした。
よその版元の隆盛ぶりにハンカチを噛みしめたもんです。(行動が古くさい)
最近はどうなんだろう?
ウチの会社にはこの特集号が出るたびに女子社員に「ねえ、アンアン読んだ?」と大声で聞いてまわる男がいて、すげえひんしゅくを買ってました・・

投稿: SYUNJI | 2006.04.18 00:02

オジキ!
オジキの記事拝読して、本屋行って、めちゃめちゃ素敵な表紙に惹かれて、カチコミ(不倫決行)を決意しました。

あ、不倫の前に未婚でした…

コメンテイターの皆様もおっしゃっているように、POPEYE,HDP世代(僕もそんな世代)がそのまま大人になって、小金持ちになって、マニュアル見て不倫…
(当然、不倫の当てすら無い、じじぃもこれを読んで妄想を膨らませる)

LEONのとき、うちのコメントでも書いた記憶がありますが、そんなもんが無いと下心丸出しでおねーちゃんを誘えないヤツはきっと、一生不倫なんて出来ずに、「OLのカモ」どまりでは無いでしょうか?

ある意味、童貞しか読まないPOPEYEのHOW TO SEX特集と同じなのでは?

投稿: V.J. | 2006.04.19 22:48

V.J.若、コメント感謝です。

この本自体は悪くはないんですけどね。
表紙も確かにいいですし。
まあたぶん読者の中で実際に不倫してる人の割合はかなり少ないんじゃないでしょうかね。

>ある意味、童貞しか読まないPOPEYEのHOW TO SEX特集と同じなのでは?

これも当たりですなぁ。
だいたい一度味を覚えてしまえば、ハウツー本なんか読む時間があったら女の子と会う時間に回すもんなぁ。
来るべき時に備えた妄想のカタマリが、こうした本を買う原動力・・
で、毎回アンアンの特集読んでるっつうぷくオヤジっていったい・・・

投稿: SYUNJI | 2006.04.19 23:51

SYUNJIさん、こんばんは。
>>いや、きっと今後の隠れ家はあなどれませんよ。
>>70年代に若者だった世代を意識して、隠れ家でもストーン
>>ズやクリームが流れる日も近いでしょう?

自分の聞いているロックが現代日本で大流行し、自分の周りに
人がたくさん集まってくる→モテモテという事態を夢想して早20年。
いまだにそんな流行は発生しておりません(笑)。
逆に、自分がちょいワル親父になって、おしゃれな隠れ家バーで
「21世紀のスキッツォイド・マン」をBGMにして、20代前半女性社員
に「このころは、フリップよりマクドナルドがサウンドの主導権を
握っていてね・・・・」なんて知識を語り、女性社員がうっとりと聞いている。
こんなシチュエーションは全く想像できません(笑)。

>>「ねえ、アンアン読んだ?」と大声で聞いてまわる男
ほとんどセクハラですな(笑)。

投稿: モンスリー | 2006.04.20 21:50

モンスリーさん、コメントが少し危ないです。

>こんなシチュエーションは全く想像できません(笑)。

想像しとるやんけ。(笑)
そんな隠れ家バーについてくる若い女は、カネ目当てか不思議ちゃんかどっちかですよ。

投稿: SYUNJI | 2006.04.22 00:11

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