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聴いてない 第85回 ヴァニラ・ファッジ

昨日ついにパソコンが壊れ、今日は新しく買った機械でエントリしています。
で、かなりムリして採り上げてみました、ヴァニラ・ファッジ。
知名度は微妙でしょうし、活動期間もそれほど長くはなかったと聞いています。
聴いてない度は意外にも4。
つまりアルバムを1枚聴いている。
自分にしては珍しい鑑賞記録である。

友人に60・70年代の音楽が好きなヤツがいて、ヴァニラ・ファッジもそいつに教えてもらった。
「ファーストは一度聴いてみるといい」と言われたので、まじめなあたしはさっそくCDをレンタル。
ビートルズの「涙の乗車券」「エリナー・リグビー」や、ジェフ・ベックとロッド・スチュアートもカバーした「ピープル・ゲット・レディ」も収録されているので、比較的とっつきやすかったのは確かである。
ただビートルズやロッドの音とはかなり違い、「これがサイケか・・」などと勝手に納得していた。
ちなみに同時にその友人に勧められたのがアイアン・バタフライだ。
「イン・ア・ガダダ・ヴィダ」とかいう妙なタイトルのアルバムを聴かせてもらったが、どんな音だったか全く覚えておらず、未だに聴き直していない。

ヴァニラ・ファッジ、今回調べてみて初めて知ったのだが、実はファーストアルバムはほとんどカバー曲。
「キープ・ミー・ハンギング・オン」はシュープリームスのカバーだそうだ。
ヴァニラ・ファッジと言えばこの曲が代表と思われるが、まさかカバーだったとは知らなかった・・・
しかもシュープリームスって、ダイアナ・ロスのいたグループでしょ?
原曲はいったいどんな感じなのだろうか。

代表曲も含め、ファーストアルバムは基本的にキーボード中心のサウンドである。
びよよよんとビブラートのきいたハエのようなオルガンの音は今聴いても結構味わい深い。
プロコル・ハルムにも通じる感覚があるが、ヴァニラ・ファッジのほうがよりアートな雰囲気だ。

メンバーの中で知っているのはティム・ボガードとカーマイン・アピス。
グループの中心的存在でもあるが、二人を有名にしたのはジェフ・ベックとの交流だろう。
ド素人の自分でさえ、ベック・ボガード&アピスの名は知っていた。
もちろんベックの人脈ツリーを追っていくと名前が見つかるからである。

ベックはヴァニラ・ファッジのレコードを聴いて感動し、「いつかこの人たちとやってみたい・・」と強く思ったらしい。
一度ベックの交通事故でグループ結成は流れたが、ベックの執念でBBAは実現したとのこと。
いったいベックはどこが良くて彼らに惹かれたんだろう?
しかも当初はジェフ・ベック・グループのメンバーとして迎え入れる構想だったようだが、実際にグループを結成した時には3人対等のチーム名になっている。
ベックが二人に敬意を表したということかな?

で、そのベック・ボガード&アピス、なんかやたら盛り上がったような話になってますが、その割にはBBAとしてはアルバムは1枚だけ発表してそれっきり。
ベック的にはBBAが「イヤになった」のではなく「燃え尽きた」という見方があるようですが。
BBAはもちろん聴いてませんが、単純にベックとヴァニラの音が合わさった感じ、と思っちゃっていいんでしょうか?
ちなみに二人がベックに電話したのがBBA結成のきっかけだが、「ベックが気にいったって言ってたよ」と二人に教えたのはボンゾだそうだ。

ヴァニラ・ファッジを語るサイトには必ずベックの名前があるので、読んでいくうちになんかBBAのほうを聴いてみたくなってきました。
クリームやブラインド・フェイス以上の評価をする方もいるようで、イメージとしては超職人集団といった感じでしょうか。
ティム・ボガードもカーマイン・アピスも、ヴァニラ解散後様々なアーチストからお声がかかり、多くの作品に参加しているらしい。
腕に覚えのある人はどこに行っても困らないという典型なんだろう。

というわけでいつの間にか興味はベック中心になっちまってますが、まずはヴァニラ・ファッジの他のアルバム、それとできればBBAについてもご指導いただけるとありがたいと思います。

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聴いてみた 第26回 ザ・フー

ザ・フーはうんざりするほどたくさんある「聴いてないアーチスト」の中でも、さらに一段と縁遠い人たちである。
聴いてなかったことに引け目すらあまり感じていなかったという無自覚なアーチストの扱いだったが、いろいろ調べていくうちになんとなく大きな過ちをおかしてしまっていたような感覚になっていった。
ピート・タウンゼントが実は「タウンゼンド」が正しいことを発掘したことも無関係ではない。
あんましよくわからないが、「北の国から」以上の危機感が自分を覆っていた。(大げさ&意味不明)

今回はモンスリー師匠のご指導&V.J.若のご推薦で「My Generation」を聴くことにした。
彼らのデビューアルバムである。
ほとんどの曲がオリジナルという、当時としては異例の創作力に満ちたアルバムだ。
キンクスはホヤのようなバンド」とはぷく先輩の名言だが、ザ・フーはどんな味がするのだろうか。

・・・聴いてみた。

雰囲気は60年代のブリティッシュ・ロックそのままである。
リズミカルでスピードのある曲が多い。
また深いブルースもあって、かなりバラエティに富んだ感じである。

聴いていて一番感じたのは、もしかしてドラムの音がこのバンドのキモではないか?ということ。
もちろんボーカルもその他の楽器も主張が強く、かなりの緊張感があるのだが、ドラムがサウンドの中心にしっかりあって、ハードなナンバーからどっぷりブルースまでを強力にホールドしているような気がする。
この音はかなりいいですね。
これがウワサのキース・ムーンのドラムか・・・

あと思ったんですけど、ザ・フーって演奏や歌唱の水準、相当高くないスか?
60年代サウンドなのでシンプルではあるのだが、コーラスやハーモニーもそれなりにしっかり作ってあるし、ボーカルも案外きれいな声だ。
ライブでは楽器を壊すのがお約束という彼ら、もっと荒っぽくてずさんな演奏で絶叫したりするのかと思っていたが、このアルバムを聴く限りではそういった粗暴バンドの香りはない。
「I'm A Boy」なんて曲は非常に楽しそうで純粋なイメージです。

一方で「I Don't Mind」「Please, Please, Please」は思いっきりブルースである。
この曲はいずれもジェームス・ブラウンのカバーだそうだが、ダミ声で歌うロジャー・ダルトリー、黒っぽいギターのピート・タウンゼンド。彼らのアメリカへの強いあこがれがにじみ出ているようだ。
「My Generation」は「歳とる前に死んでやる!」という青い内容だそうだが、ロジャーもピートもそれなりに長生きしている・・・。

感想。
ザ・フー、このアルバムはおおむね誠実なサウンドだが、この路線は案外退屈しない。
そして思ったより表現が豊かなバンドだ。
比較したらいかんのかもしれませんが、キンクスよりは聴きやすいと感じます。
アルバムを1枚聴いただけなのだが、かなり多面的な曲づくりをしているように感じる。
楽器壊したり早死にしたり捕まったり耳が悪くなったといって訴えてみたりといった負の話題ばかりが先に入ってしまったが、演奏や楽曲自体はストレートでピュアな印象だ。

勝手なイメージとしては「根は案外純情なワル」。
「けっこうとっつきにくくてあまり話もしないけど、意外に優しくて捨て猫なんか拾ってるヤツ」なんてところでしょうか。(なんだよそれ)
キンクスは捨て猫拾ったら突然いたずらで友達の背中に押し込んだりしそうだし、ビートルズは捨て猫を使って女の子くどいてそうだしなぁ。
よくわかりませんけど、そんな感じを受けました。

そんなわけでザ・フー、自分としてはかなり良かったです。
どうして今まで聴いてなかったのかよくわからないが、もう少し若いうちから聴いていれば・・と多少思わせる、そんなアルバムでした。

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見ていない 第2回 3年B組金八先生

シリーズ2回目もドラマを採り上げてみましょう。
今更説明も不要な有名番組、金八先生。
初回放送は1979年ですが、以降のシリーズも含めほとんど見てません。

見てなかった最大の理由は、初回放送当時関東では裏番組だった「太陽にほえろ!」を見ていたためである。
そもそもTBSは長いこと金曜8時の視聴率に苦戦していて、新しく学校ドラマを始めるにあたっても、「金曜8時だから金八先生」というかなり安直な理由でタイトルも決めちゃったらしい。
制作側もあんなに人気番組になるとは考えてなかったんだろう。
で、放送開始当初から人気が出て、田原俊彦・近藤真彦・杉田かおる・三原順子といったスター(でいいの?)を次々と生み出していった。
この時から「贈る言葉」が卒業シーズンに歌われる定番となったのはご存じのとおりだ。

「太陽にほえろ!」を見続けていた自分も、金八先生が人気番組となってきたことは意識はしていた。
それはなぜか?
舞台は桜中学の3年B組だったわけだが、初回放送開始当時、まさに自分が中学3年だったのだ。
B組じゃなかったけどね。
試験・暴力・受験・卒業といった身近なイベントがリアルタイムで進行するドラマに、のめりこんだ中学3年生も多かっただろう。
爆笑問題の田中は同い年だが、よくテレビで「当時金八先生に夢中になった」という話をしている。
ちなみに近藤真彦・杉田かおる・三原順子も同い年である。

それでも自分は「太陽にほえろ!」が好きだったので、そのまま日本テレビにチャンネルを合わせていた。
かたくなな自分を姉がバカにしたこともあったが、よけい意地になって金八先生を見ようとしなかった。
ただクラスの連中もそれほど金八先生に夢中になってはいなかったように思う。
金八先生の話題についていけず切ない思いをした、という記憶もない。
金八シリーズ終了後、「仙八先生」「新八先生」「貫八先生」なんてのもやっていたが、どれもほとんど見ていない。
川谷拓三の貫八先生は少し見たけど、けっこう雰囲気があって武田鉄也よりも良かったなぁ。

その後の金八シリーズで「腐ったミカンの方程式」という有名な話があるが、この時は少し見た記憶がある。
「太陽にほえろ!」も明らかにチカラが落ちていて、テレビ全般に対する情熱が多少ラジオやカセットに分散してきた時期でもあったと思う。
ところで金曜8時といえば関東では「ワールドプロレスリング」の時間でもあるのだが、当時は自分は全日派だったんで、それほど新日本プロレスは真剣に見てなかったのである。
なので週によって日テレ・TBS・テレビ朝日を適当に変えて見ていた。
(だいまつ親分すいません)

で、金八先生の「腐ったミカンの方程式」。
この話は案外おもしろかったが、見ていて強く感じたのはリアリテイのなさである。
ドラマなんだからリアルでなくて当然なんだけど、中学生高校生にとっては学校が日常生活の大半であり、ドラマの内容は当然実際の学校生活に投影してみるものだ。
そこで「こんな先生がいたらいいな」「こんな学校があったらいいな」といったあこがれへと発展するのがふつうなのだろうが、金八先生、実際にこんなおっさんが自分の担任教師だったら、すんごいうっとおしいんじゃないか?と思ったのだ。
これは自分の歪んだ性格がゆえの反応であって、ドラマ本体を批判しているのとは違う。
教師や学校に対して決して絶望していたわけではないのだが、少なくとも先生に対してあんなに熱い交流は期待していなかった。

出会った先生の中でいい人はもちろんいたが、真正面からぶつかりあって泣いたり笑ったり警察来たり・・・なんてつきあいは全然なかったし、したいとも思わなかった。
「先生」というのは自分にとってはそういう暑苦しい存在とは違うのだ。
かなりさめた生徒だっただろうし、通った中学校・高校全体がなんとなくそんな感じだった。
かなり生徒数の多い学校だったという事情もあるかもしれない。
ちなみにあたしの中学校、当時学年600人を超えていました。

金八先生のオープニングは、先生が「3年B組ィー!」と呼びかけると生徒が「金八先生!」と答えて先生の周りにわぁっと集まってくる・・・というものだった。
あれを見てつくづく思ったのだが、もし自分が生徒としてああいう場面にいたら、きっとどさくさにまぎれて先生にケリとかヒジとか入れちゃってただろうなぁ。

なんだか理屈をこねてしまいましたが、そういうことです。
まあ誰でも知ってる人気番組だったし、金八先生に刺激されて教師を目指した元中学生もきっといるはずだ。
自分もそれなりに歳を重ねて多少は丸くなってると思うので、今からならもう少し正面からこのドラマを見ることができるかもしれない。
見ていた方も多いと思うので、どんな感想をお持ちなのかぜひ教えていただければと思います。

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聴いてない 第84回 メタリカ

その名のとおり元祖メタルなバンド、メタリカ。
メタル+アメリカだからメタリカなんだよね。
筋書きどおりですが全然聴いてません。
パープルイエスのように動向を追ったりもしてこなかったし、メンバーも全く知らない。
自分にとっては「遠い国」なんて表現を超えて宇宙空間都市ペガッサ並みの遠距離バンドです。
基本的にメタルは趣味じゃないんで、メタリカに限らず壊滅状態である。
メタルと言われて思い浮かべるのがメタリカくらいで、後はバンド名すら知らない世界。

こんなあたしですが、90年代にたった1曲だけメタリカを聴いたことがあります。
「Nothing Else Matter」という曲だが、MTVの音声をテープに録音したものが残っている。
この曲はスローテンポなバラードだが、そこはメタリカ、決して明るくなく、どんよりとコードは進行し、どんよりとサビを向かえ、シャウトもなくどんよりと終わる。
おそらく彼らの曲の中では最も静かなレベルにあるだろうことは想像がつく。
「あの曲だけじゃ全然聴いてることにはならないぜ」というメタリカファン叱責必須の名曲であろう。

この曲を聴いたのはちょうどグランジが台頭してきた頃で、MTVでも暗い曲がよく流れていた。
FMからのエアチェックもゆきづまっていて、MTVもいまいち楽しくなく、エアチェックに限界を感じていた時期だ。
そのわりには「Nothing Else Matter」、好きでもないけど結構旋律は覚えていて、今でもアタマの中で再生もできる。
この曲が納められたアルバムはジャケットが真っ黒なので、通称ブラックアルバムと呼ばれているらしい。

聴いてない理由は簡単に言うと「恐れ」だと思う。
基本的に小心者なので、怖い人たちがやる怖い音楽はやっぱ怖い。(偏見?)
アイアン・メイデンなんかもそうだが、ジャケットがこわかったりメンバーの見た目がこわかったりで、近寄り難いものをどうしても感じているのだろう。
クリムゾンも長いことジャケットがこわいので遠ざけてきたし、ボブ・ディランの目つきは未だにこわいと思う。
ホラー映画とかも見ませんし。
あ、でもジェットコースターは好きだよ。(どうでもいい)

以前知り合いの女性にメタリカが好きな人がいたが、どんな感じの音楽なのか聞いてみたら「さわやかな曲。青空のイメージ」などと言われ、自分の聴いた曲や雑誌などで見たイメージとのあまりのギャップに信用できなくなり、結局遠ざけてしまった。
まあその人とは音楽以外でもあまり意見が一致することはなかったですけど。
やはり自分のような凡人が入れてもらえる賭場ではない・・・と今でも思っている。

しかしながらブラックアルバムは全米で大ウケし、彼らのセールス面での成功はアメリカ音楽界でも無視できないものになり、権威あるグラミー賞でHR/HM部門が作られたのはメタリカの大きな功績だそうだ。
メタリーなバンドの中では最も売れた人たちだということは知っていたが、ネットで検索したら評価の高さにびっくり仰天(死語)。
gooのレビューでは「最もビッグなロック・バンドといっても過言ではない」という超持ち上げフレーズで始まり、「ツェッペリンやピンク・フロイド、U2といったバンドと同格に語られるべき存在といえる」とまで言い切っている。
大丈夫か?goo。

そう言われてもあまり聴いてみたいと思ってはおらず、「何を言っているのか一言も聞き取れないボーカル」「不必要なくらい近所迷惑な大音量のギターとドラム」「もうそのくらいでいいんじゃないかと言いたくなるような過剰なリフ」「ノーロープ有刺鉄線電流爆破」なんていうネガなイメージしか持っていないのですが、実際のところどうなんでしょうか?
こんな自分でも聴けそうな、初心者向けアルバムがあれば教えていただければと思います。(ないだろうな・・)

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