聴いてない 第68回 ブームタウン・ラッツ
先日のライブ8で再度話題の人となったボブ・ゲルドフ。
もはや本業の音楽作品で話題になったことはかれこれ20年くらいないのではないだろうか。
ちなみに今回のライブ8については、なぜかさほど興味がわきませんでした。
我が家は地上波しか見られないので、興味があってもどっちみちダメだったんですけど。
エイド者としてのボブに賛否両論はあろうが、ロック界の歴史にその名をきっちり刻んだことは間違いない。
で、今回も雑誌やネットで再び彼の名を目にする機会がぐっと増えたのだが、そもそも20年にわたってエイドものに熱狂する我々は、果たしてボブの本業にどれだけ接してきているのだろうか?
こんな疑問がわいたんで、採り上げてみました。
あえてグループとしてのエントリです。
そうは言っても、まずはやはりエイド話から始めねばなるまい。
自分は一連のエイドものに対して、金銭的な協力をいっさいしてこなかったバチあたりリスナーだが、ボブの行動そのものは賞賛されて当然だと考えている。
アーチストやレコード会社が話題作りのために考えた企画だとか、売名行為だとか、いろいろな憶測やウワサが飛び交っただろうとは思うし、どこまでが真実なのかは一般人にはわからない。
ただボブ・ゲルドフがいなかったら、バンド・エイドもライブ・エイドもなかったわけで、彼一人の功績ではないが、あれだけのアーチストを集め、レコードを売りライブで観客を動員し、救済資金を集めた行動力は、やはり凡人のそれとは比較にならない。
いろいろ文句を言うヤツもいるらしいけど、他人の行動に後から文句を言うのは誰でもできることだ。
20年の間にこれだけ大きなイベントを2度3度企画実行できる人は、そうはいないよね。
それだけでもエライと思います。
ライブ・エイドに触発されて立ち上がったのがUSA For Africaである。
「We Are The World」のメイキング映像は、日本でも24時間テレビの中で放送された。
ボブもこの録音現場に登場している。
集まったアーチスト達はもちろんみんなビッグネームだが、なにしろこれだけの人数、しかもふだんお互いに会えないような夢の組み合わせである。
録音が進むうちにスタジオの雰囲気もパーティーのように盛り上がってきたが、そこであえてボブが本来の目的であるアフリカ飢餓救済に向けて、アーチスト達に現地の実状を説明し始めた。
ボブはこのイベントを単なるアメリカ人のお祭りにさせたくなかったのだろう。
「オマエら夢の競演で盛り上がるのはいいけどよ、チャリティなんだからな。わかっておいてくれよ?」と言いたげなようだった。
映像の中でもボブに好感がもてたことを覚えている。
さて、ブームタウン・ラッツの音楽活動に関する話に移ります。
自分の実績は以下である。
・アルバム「The Fine Art of Surfacing」を貸しレコード屋で借りた
・それ以外のシングルを数曲エアチェック
「聴いてきた」とはとても言えないが、当時の十代リスナーとしては平均的な鑑賞履歴じゃないだろうか。
アルバム1枚しか聴いてないから「聴いてないアーチスト」になるのだが、そもそも日本でこれ以外のアルバムはほとんど売れなかったと思う。
アルバムを全部リアルタイムで聴いてきた人は相当コアなファンのはずだ。
「哀愁のマンディ」が大ヒットしたが、歌詞とメロディにものすごい隔たりがあることで有名な曲だ。
アメリカで起きた少女猟銃乱射事件を題材にしていて、動機をたずねた警官に対する少女の回答がそのままタイトルになっている。
自分は曲を聴くよりも先にこの話を雑誌で読んでいたので、どんな曲なのか非常に興味があった。
今考えるとこの邦題もすげぇ適当。
「哀愁」じゃすまされない悲惨な事件だと思うのだが・・
続いて「Someone's Looking At You」「Diamond Smiles」などのシングルがFMでもよくかかり、当時はやり始めた貸しレコード屋でさっそくアルバムを借りた。
思いの外気にいって、録音したテープを何度も聴いたものだ。
A面のラストに「Sleep」という曲がある。
ビートルズの「Blue Jay Way」を思わせる暗い深淵な小曲だが、アウトロに一定の間隔で「ぎゃっはっはっはっはっは!」というハジケ叫び笑いが繰り返される。
言ってみればお遊びソングなのだが、この笑い声効果が結構おもしろくて、当時自分は学校でアニメ映画なんぞ作っていたのだが、そのBGMとして使わせてもらった思い出の一曲である。
この後しばらくチャートに登場しない期間が続き、その存在を忘れかけていたところにバンド・エイドが企画された。
ここからUSA For Africaを経てライブ・エイドに至るわけだが、初めに発起人がボブ・ゲルドフであると聞いた時には意外な感じがしたものだ。
そんなことを考えるアーチストだったのか・・と思ったりした。
別に知り合いじゃないんですけど、もう少し社会派なアーチストは他にもいるような気がしたので。
バンド・エイド以降、ボブのシングルを1曲だけエアチェックしたことがある。
「World Calling」という曲だが、これ以降エアチェックで彼の曲にふれる機会は全くなかった。
なのでバンド・エイド前後から今に至るまで、どんな曲を発表してきたのか全く知らない。
調べてみてわかったのだが、ブームタウン・ラッツのオリジナル・アルバムは長いことCD化されなかったそうですね。
昨年ようやく「The Fine Art of Surfacing」が発売になったらしい。
こんな状況なので、おそらく若いリスナーにとっては全く謎のアーチストになっとるんじゃないだろうか?
作品よりもエイドで話題になってしまうのもしかたがないのかもしれませんね。
というわけで、今回は自分の今後のお勉強以前に、まずみなさまの鑑賞履歴について教えていただきたいと思っております。
あともうひとつ質問。
こういうエイド系のイベントって、ジャズやクラシックの世界では催されたりしてるんでしょうか?
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コメント
こんにちは。
ブーム・タウンラッツはバンドエイドの頃に聴いた「I don't Like Monday」しか知りません。邦題は「哀愁のマンディ」だったのですね。サビ部分の歌詞は「Tell me why? I don't like monday. Tell me why? I don't like monday.Tell me why? I don't like monday. I wanna shoot.♪」でしたわね。なんてストレートな歌詞なんでしょう。
日本は税制の問題などもあり寄付の文化が育っていないので、バンドエイドのようなチャリティーものがイマイチ盛り上がりに欠けますね。桑田佳祐がエイズ基金のためにやったりしてますが、リスナーを含めて多くの参加者が意義を分かっているのか疑問です。それでも、こういう活動がないと啓蒙できないので、お祭り的なイベントは有効なのでしょうね。
僕はボブ・ゲルドフのようなチャリティーに情熱を傾けられる人は、自分ができない分尊敬に値する人だと思ってます。
ただ、中には私利私欲でやってる人もいるのが困りものですよね。
投稿: getsmart0086 | 2005.08.06 16:02
SYUNJIさん、こんばんは。今回は非常に渋いラインナップ
ですね。
もちろん、まったく聴いたことがありません。ライブエイドで
ゲルドフの名前をはじめて知りました。
昨年出たDVDですが、20年前にほとんど見られなかった恨み(笑)を
晴らすべく、無理して購入しました。が、ブームタウン・ラッツに
さほど興味がなかったので、素通りしておりました。
先ほど改めて見なおしましたが、「哀愁のマンデイ」と「ドラッグ・
ミー・ダウン」の2曲を演奏しております。
意外、といえば失礼ですが、ウェンブリースタジアムの大観衆がかなり
熱くなっております。確かに「哀愁の・・・・」はヒットしていたはず
ですが、それ以上に、ゲルドフの提唱する趣旨に賛意を示してのこと
だったのかもしれません。
>>それだけでもエライと思います。
私もそう思います。ゲルドフは「救済のためにはまずお金」と割り切り、
一連のイベントを考えたと発言していたと思います。そうしてもらった
方が、我々ロックファンもチャリティーに参加しやすいです。
ほとんどライブエイドの話になってしまいましたが、そのDVDで初めて
見た場面、イギリスステージの最後で、デビッド・ボウイ、ピート・
タウンジェント、ポール・マッカートニーがゲルドフを肩車で
持ち上げるのです。一番いい場面で、ぐっときました。
投稿: モンスリー | 2005.08.06 18:55
getsmart0086さん、モンスリーさん、コメント感謝です。
お二人とも聴いておられないのは少し意外でした。
>邦題は「哀愁のマンディ」だったのですね。
ピアノの旋律が実に美しい曲なんですが、歌詞はおっしゃるとおり「月曜はキライ」の連呼。
こんな理由が通るなら、あたしなんか毎週月曜に渋谷あたりで乱射してそうですが。
>日本は税制の問題などもあり寄付の文化が育っていないので、
そうですね。
日本でチャリティと言えば欽ちゃんが浮かびますが・・
日本人てそういう弱者救済は「政府とか公的機関がやるもの」ととらえてる部分はありますよね。
募金を呼びかける団体や活動に胡散臭い人たちが実際多いのもチャリティ文化定着を阻害する要因のように思います。
>それ以上に、ゲルドフの提唱する趣旨に賛意を示してのことだったのかもしれません。
そのとおりですね。
バンド・エイドにしろライブ・エイドにしろ、聴く側見る側はほとんどが発起人の名前を知っていたはずです。
その後の彼の音楽セールスは全く芳しくないと思いますが、「エイド者ボブ」の評価を自らのセールスに全く利用しなかったのも潔いと思います。
ブームタウン・ラッツのCD、欲しくなってきました。
投稿: SYUNJI | 2005.08.06 19:35
SYUNJIさん、こんばんは。
リアルタイムだったにもかかわらず、ブームタウン・ラッツは「哀愁のマンデイ」ぐらいしか記憶に残っていません(テープにもこの曲しか残っていません)。「ミュージック・ライフ」なんかで、よくバンドの写真を見たのは覚えているのですけどね(苦笑)。
ボブ・ゲルドフ、偽善者とか非難する人間もいますが、立派な人間だと思います。
投稿: Junk | 2005.08.06 21:56
あれ、Junkさんも「マンディ」だけですか?
「聴いてない」自分が言うのもナンですけど、「The Fine Art of Surfacing」は結構売れたアルバムだと思ってたんですけどね。
>「ミュージック・ライフ」なんかで、よくバンドの写真を見たのは覚えているのですけどね(苦笑)。
確かにそうですね。
自分も曲を聴いたのとほぼ同時に名前も顔も覚えてしまいました。
でもボブ・ゲルドフ、ビジュアル的にはデュランやジャパンと勝負するにはちと厳しいかな?
はっ、人格者になんてことを。(←ぷくちゃん調)
投稿: SYUNJI | 2005.08.06 22:46
おはようございます。
>歌詞とメロディにものすごい隔たりがあることで有名な曲だ。
>「哀愁」じゃすまされない悲惨な事件だと思うのだが・・
はい、その通り私もそう感じていました。曲調明るいものね・・・日本人じゃわからないよ。聞き取れる英語からすると、「(あー今日から会社or学校)だから月曜日は嫌い」とまで曲解しそうな・・・・(するわけないか)
>こういうエイド系のイベントって、ジャズやクラシックの世界では催されたりしてるんでしょうか?
よくやっています。特に地震などの災害時にね。でもボブみたくくどく言わないので、コンサートに出かけている人は何だかわからないうちにイベントに参加しているという感じです。でもボブは立派!
最後に図書館に「ブームタウン・ラッツBEST」というのがおいてありました。「織田裕二BEST」と同じような違和感を感じました。BESTってあなた・・・そんなヒット曲あるの?
投稿: ぷくちゃん | 2005.08.07 05:43
はじめまして。
ブームタウン・ラッツについての記事をみてお邪魔しました。
私も、アルバムは1枚しか買ってない一人なのですが、FMラジオから流れてくる曲を結構エアチェックして聴いておりました。
「ラット・トラップ」?だったか記憶がさだかではないですが結構好きでした。
ついでにTBしておきました。
投稿: エディ | 2005.08.07 05:52
あっ、ついでに
>はっ、人格者になんてことを。(←ぷくちゃん調)
名前の使用、ありがとうございます・・・
投稿: ぷくちゃん | 2005.08.07 06:17
ぷく先輩、無断でお名前&フレーズを拝借してすみませんでした、、、。(だいまつさん調←懲りてねえよ)
>よくやっています。特に地震などの災害時にね。
そうですか・・しかしライブ・エイドほどの大規模なイベントってのはあまり聞かないですが。
自分が知らないだけですかね。
>「織田裕二BEST」と同じような違和感を感じました。
わははっ、ここでなぜ織田裕二?
でもナックのベスト盤てのもあるらしいですから・・
あ、G.I.オレンジベスト盤てのはあるんだろうか?
(必ずこいつらを引き合いに出すオレもオレだが)
エディさん、初めまして。
こんな不勉強なBLOGへようこそ。TBありがとうございます。
「ラット・トラップ」って「マンディ」よりも前の曲ですよね?
自分は「バナナ・リパブリック」という変な曲をエアチェックしたことがあります。
ご覧のとおり素人なBLOGですんで、今後もご指導よろしくお願いいたします。
投稿: SYUNJI | 2005.08.07 11:09
TBありがとうございました!
とても勉強になりました。なるほど、80年代洋楽世代の私がボブ・ゲルドフ&ブームタウン・ラッツを知らないのも、それなりに理由があったんですねー。
その他の記事も、またじっくり読ませてもらいますね!
投稿: ぴむ | 2006.02.01 00:06
ぴむさん、コメント感謝です。
ボブ・ゲルドフ、やはりどうしてもエイドものでの活躍のほうが有名になってしまってますね。
先月ようやくブームタウン・ラッツのCDを(中古ですけど)買うことができました。
何の参考にもなりませんけど、他のアーチストの記事もぜひご覧下さい。
投稿: SYUNJI | 2006.02.01 21:44