聴いてみた 第16回 Tレックス
前回ELPを前に不用意にコーナーから飛び出し、聴いてみて思いっきり前蹴りを喰らい、心に深い傷を負ってしまったあたくし。
目の前に立ちはだかる巨大なるプログレ山脈。
ひとまずここはいったん退却して鋭気を養うのが得策のようだ。(←弱い)
ということで次に選んだのが最近また人気が盛り返してるというTレックス。
グラム・ロックは果たして自分の耳にどう響くのだろうか。
今回もモンスリーさんご指導のもと、「グレイト・ヒッツ」「電気の武者」の2枚を聴くことにしました。
まずは「グレイト・ヒッツ」から。
ふつうこういうベスト盤てのは「グレイテスト・ヒッツ」というタイトルなのに、なぜ「グレイト」で寸止め?
と思ったら、マーク・ボランは「そのうちもっといいアルバムを作るから」という理由であえて「グレイテスト」にしなかった、とのこと。
・・・聴いてみた。
「Metal Guru」はどこかで聴いたことのある曲だ。
すごい昔の話で記憶が非常にあやふやだけど、これ確か化粧品のCMで使われてませんでしたっけ?
「Solid Gold Easy Action」もノリのいいナンバーだ。
途中の合いの手「ヘイヘイヘイ!」って、これも今タイヤのCMで使われてませんか?
「20th Century Boy」を聴いてみる。
初めて聴く曲だが、イントロのばりんばりん言うギターがなかなかいい。
「The Slider」は少しだけスローテンポなブルース調だが、難解な印象はあまりない。
「Born to Boogie」も例のブカブカサウンドにアコースティックな音を混ぜてある曲だが、配合が絶妙ですね。
どこまでがマーク・ボランの仕業なのかわからないが、結構おもしろい音だ。
どの曲にもビブラートの効いたギターやキーボードが流れ、マーク・ボランの微妙に軽いボーカル、やけに楽しそうなコーラス、手拍子。
この組み合わせはやはり悪くはない。
どっぷり重いブルースとか、難解で暗い曲とか、壮大なバラードといった曲は、このアルバムには見あたらない。
基本的にマーク本人は徹底して楽しそうだ。
続いて「電気の武者」を聴く。
・・・・聴いてみた。
「Mambo Sun」はシンプルなリフに低く押さえたボーカル。
意外と静かな滑り出しだ。
「Cosmic Dancer」は少し雰囲気が違う。
静かなボーカル、バックには弦楽アンサンブル。
例の強烈ビブラート電気ギターが聞こえない。
Tレックスってこういう曲もあるんだね。
ラストのギターとドラムのリフが哀愁を帯びていていい感じだ。
「電気の武者」というわりには、このあたりまだ電圧は低いようだ。
「Monolith」はクラプトンがゆがんだようなギターサウンド。
これもボーカルにそれほど力が入っていないが、時々マーク・ボランなりのシャウトを聴かせる。
「Lean Woman Blues」はタイトルにもあるとおり正統ブルースのようだ。
徐々にサウンドが歪み、電圧が上がって来ている。
さて「Get It On」である。
パワー・ステーションを先に聴いてしまっているので、自分はやはりロバート・パーマーの勢いあふれるシャウトのほうが好きだ。
オリジナルはパワー・ステーションに比べゆるいサウンドだが、これも嫌いではない。
「Girl」は一転してアコースティックナンバーである。
ティラノ時代のマークは結構こんなアコな音もやっていたらしいですね。
「The Motivator」のリズムや曲調は「Get It On」とほぼ同じ。
「Rip-Off」だけはボーカルがずっとシャウトでキレ系である。
エンディングもなんとなく他の曲と違う。
アルバム全体は、思ったよりシンプルな曲が多い。
「電気の武者」などというタイトルから、もっと火花が散るようなバズバズな音を想像していたのだが、ボーカルはどれもボソボソつぶやき系で、アコースティックな曲もはさまっていたりで、むしろ「グレイト・ヒッツ」のほうがずっと電圧が高く感じる。
感想。
Tレックス、サウンドは結構シンプルでリフも多く、単調と言えばそうかもしれないが、ボーカルやコーラスも含めたそれぞれのパートの組み合わせはなかなかいい。
とにかくマーク・ボランが楽しそうに(勝手に)やってるので、聴く側もどの曲でも気が付くとついリズムとったり手拍子しちゃってたり・・・といったイメージである。
ところどころにはジョン・レノンっぽいもの・クラプトンっぽいものなどが時々聞こえるのだが、これまで聴いてきたアーチストの中でもかなり個性的だ。
聴いた範囲ではワクをはみ出すような曲はなかったが、こんな自分でもどの曲もTレックスだとはっきりわかるくらい、確立された独自のサウンドを持っていると思う。
プログレ教室を一度お休みしたせいか、Tレックスはかなりよかったと思います。
・・・などと小学生の日記のようなことを書いていたら、「電気の武者」にはリック・ウェイクマンやイアン・マクドナルドが参加している、ということを知って驚いた。
グラムとプログレ、全然別の世界の音楽かと思ってましたが。
ブライアン・フェリーやエルトン・ジョンがクリムゾンのオーディションに落ちた経歴を持つという話にもかなり驚いたけど、プログレの裾野の広さというか、イギリスの音楽シーンにおける影響のデカさというか、そんなものを感じた次第です。
やはりプログレ、あなどれませんね。
・・・ってTレックスの感想のはずが、結局プログレの話になってしまった。
どちらかというとノリのいい曲のほうが好みなんで、次にTレックスを聴くとしたらどのアルバムがお勧めなのか、教えていただければと思います。
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コメント
SYUNJIさん、こんばんは。
自分もT.REXはノリがよい曲が好きです。でも、バラード系にも心にグッとくる曲もあるんだよなぁ(どっちだよ・笑)。
T.REX好きだけど、熱心なファンってわけではない自分が薦めるのも何ですが、『電気の武者』から続く『Slider』と『Tanx』あたりはどうでしょうか。いけると思いますよ♪
投稿: Junk | 2005.08.13 21:49
お世話になります。
ノリのいい曲がお好きでしたら、「レーザー・ラヴ」がオススメです。
「グレイト・ヒッツ」に入ってましたっけ?
この曲でボランが叫ぶ「イェーッ!」は、数あるロック・ヴォーカルの「イェーッ!」のなかでも、3本の指に入るほどかっこいい「イェーッ!」です。
(なんか頭悪そうな文章ですね)
投稿: カナ | 2005.08.14 01:10
>この曲でボランが叫ぶ「イェーッ!」は、数あるロック・ヴォーカルの「イェーッ!」のなかでも、3本の指に入るほどかっこいい「イェーッ!」です。
あとの2つが気になりますね。
SYUNJI先輩、ウルトラぷくちゃんです。ボウイは好きだったのに、マーク・ボランには余り手を出しませんでした。
>「電気の武者」にはリック・ウェイクマンやイアン・マクドナルドが参加している、ということを知って驚いた。
そうなんです。それで買ったのですけれど、余り夢中になれませんでした。もう一度聞きなおして報告します。
投稿: ぷくちゃん | 2005.08.14 08:53
ども、だいまつです。
さて、「Metal Guru」ですが、、たぶん、スバル「ドミンゴ」のCMに使われていたはず。
でもって、私の親友のお母さんがその車に乗っていて、そのため親友はT・レックス聞いていた、、。
でもって、私もテープをもらってファンになったという思い出深いバンドですね。
「Metal Guru」ですが、高校の時にCMを聞いたときにはなぜかコミカルに聞こえました。
マークが好きにやっているのが私にはそのように聞こえたのかも。
現在はベストを持っていますが、車でよく聞きます。
聞いていて、本当に楽しめます。
このエントリーはとても私にとってもうれしいですね。(とかいってベストしかもっていない)
投稿: だいまつ | 2005.08.14 23:02
Junkさん、カナさん、ぷく先輩、だいまつさん、コメント感謝です。
Junkさん:
>『電気の武者』から続く『Slider』と『Tanx』あたりはどうでしょうか。
なるほど。このアルバムもノリがいいんでしょうかね?
「スライダー」のジャケットはリンゴ・スターが撮影したものですよね。
この話はかなり前から知ってはいました。
カナさん:
>ノリのいい曲がお好きでしたら、「レーザー・ラヴ」がオススメです。
この曲は「グレイト・ヒッツ」にはないようです。
調べたら「銀河系よりの使者」というアルバムに入っていました。
>3本の指に入るほどかっこいい「イェーッ!」です。
自分も残り2つが気になりますなぁ。
ぷく先輩:
先輩、引っ越し後絶好調ですね。
次の写真「ゴドラ星人」とかリクエストするのアリでしょうか?
はっ、Tレックスにふれていない・・
ちなみに自分、デビッド・ボウイは未だに全然聴いてません。
だいまつさん:
どうも、少しごぶさたです。
マシントラブル大丈夫でしたか?
>、「Metal Guru」ですが、、たぶん、スバル「ドミンゴ」のCMに使われていたはず。
あ、そうなんですか?
自分が言う化粧品のCMって、たぶんもっとすんごい前の話です。(記憶違いかもしれませんが)
20年以上前じゃないかなぁ。
どなたかご存じないでしょうか・・
投稿: SYUNJI | 2005.08.14 23:23
超リアルタイムなTRExです。トニービスコンティーの手腕でストリングスなど微妙にブギーにからんでいて最高です。getitonはこの曲が流行ったとき全米ではチェイスの同名曲、邦題、黒い炎が流行っていました。結局全米ではバングアゴングというタイトルで発売されました。確かにパワーステーションのカバーのほうがかっこいい!でもねマークボランのミスティック差はその後リンゴスターがジャケット写真を撮ったスライダーなどで開花してますよね!ティラノザウルスレックスのころの牧歌的な感じもすごくいいです。お聞きのなった2枚にはそのころ曲ははいっていないはず!ボランブギーは理屈じゃないんです。酔いしれるだけです。電気の武者のジャケットどおり、レスポールにマーシャル!これが好きなならそれだけです。
投稿: マルチオーディオ | 2005.08.15 01:25
SYUNJIさん、こんにちは。
まずは、
>>なぜ「グレイト」で寸止め?
げっ、「Greatest Hits」だと思い込んでいました。
私のHPもそのままに・・・・直さないと(^^;)。
さて、お楽しみいただけたようで何よりです。
私の場合、自分のHPでは提灯記事まるだしになってしまいましたが、
すべてを気に入ったわけではありませんでした。
>>どの曲にもビブラートの効いたギターやキーボードが流れ、
>>マーク・ボランの微妙に軽いボーカル、やけに楽しそうなコーラス、手拍子
ここは実に楽しく、まさに「ボランブギー」という感じです。
ですが、ボランのボーカルはクセがあり、これを好きになれるかどうかが、
ボランを引き続き聴く分かれ目だと思いました。
>>ボーカルはどれもボソボソつぶやき系で、アコースティックな曲もは
>>さまっていたりで、むしろ「グレイト・ヒッツ」のほうがずっと電圧が高く
そうなんですよ。私も「電気の武者」から聞きましたので、余計に気に
なりました。ロックは、エレキバリバリの方が説得力がある場合が
ありますよね。「グレイトヒッツ」の方がまさい「電圧」が高いです。
>>「20th Century Boy」を聴いてみる。
個人的にはこれがベストトラックでした。強力なギターのリフと、シャウト。
これにつきますね!
ちなみに、デビッド・ボウイとは友人でありライバルでもあったそうです。
いまや世界的スターのボウイですが、二人を分かったものはなんだったので
しょうか。
投稿: モンスリー | 2005.08.15 11:37
マルチオーディオさん、コメント感謝です。
>getitonはこの曲が流行ったとき全米ではチェイスの同名曲、邦題、黒い炎が流行っていました。
そのようですね。
ご指摘のとおりアメリカでは「Bang A Gong」というタイトルだったそうで、パワーステーションではカッコ書きで併記されてました。
>ボランブギーは理屈じゃないんです。酔いしれるだけです。
いいですね、この表現!
さすがリアルタイムで聴いておられただけあって、Tレックスに対する情熱が伝わってきます。
自分、楽器全くやらないんですけど、やっぱマーシャルのアンプってのは一級品なんでしょうかね?
モンスリーさん、またまたいろいろとお世話になりました。
ELPよりは良い報告ができたように思います。
>げっ、「Greatest Hits」だと思い込んでいました。
えっ、ご存じなかった?!
なんかグレイトで寸止めしたのって有名な話らしいですけど・・
>ロックは、エレキバリバリの方が説得力がある場合がありますよね
同感ですね。
この2枚を聴く限りでは、グレイト・ヒッツのほうが文字どおりグレイトでしたね。
「電気の武者」ってのもすごい邦題ですけど、その名のわりには意外にサウンドが静かなのがけっこう肩すかしのような感覚でした。
投稿: SYUNJI | 2005.08.16 23:00
SYUNJIさん、こんばんは。
>>えっ、ご存じなかった?!
>>なんかグレイトで寸止めしたのって有名な話らしいですけど・・
うう、手持ちの国内盤CDの帯にしっかりと「グレイト・ヒッツ」
と書いてありました・・・・
これだけでは何ですので、今度自分のHPに掲載しようと思っている
ネタを一つ。(レココレ誌で読みました)
「20th Centry Boy」ですが、1972年11月、Tレックスが
初来日した際に、ボランが突如レコーディングする気になり、
12月に東京のスタジオで録音されたのだそうです。シングル発売は
翌73年3月ですが、このころは人気にかげりが出始めていたとか。
投稿: モンスリー | 2005.08.17 22:03
モンスリーさん、お暑うございます。
マーク・ボランって人はけっこう日本が気に入っていたみたいですね。
来日中ホテルのテレビで仮面ライダーを見て感激して、アルバムタイトルにしてしまった、という話をネットで見ました。
投稿: SYUNJI | 2005.08.20 00:31
毎度お世話になります。今年も何卒よろしくお願いします。
TBありがとうございました。コメントのP先輩とのやり取りが懐かしいです。本当に今年は久々にお会いしたいですね。
投稿: カナ | 2010.01.03 03:13
カナさん毎度です。
TB投げっぱなしですみません。
同じ組み合わせを記事にされていたので、つい送ってしまいました。
あれからTレックスもそれっきりになっています・・
この記事を書いてから4年以上たっていることに自分でも驚いています。
こちらこそ今年もよろしくお願いします。
投稿: SYUNJI | 2010.01.03 09:20