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聴いてみた 第13回 ジョージ・ハリスン

つい先日聴いてないシリーズで採り上げたジョージ・ハリスン
これまで「聴いてない」のを「聴いてみた」にするまでかなり時間がかかってる状態ですが、ジョージは比較的早く聴くことができました。

聴いてみたのは図書館にたまたまあった「All Things Must Pass」。

allthings

ビートルズ解散の1970年に発表された3枚組(CDは2枚組)のゴージャスなアルバムで、中身の評判も良いらしい。

・・・・聴いてみた。

思ったより明るい曲が多い。
ビートルズ末期のジョージの曲を思わせるものもあるが、あまりヒネたところはなく、かなりリラックスしたイメージである。
曲数が多いので、トータルでの評価は難しいが、「My Sweet Lord」「Isn't It A Pity」などはかなり壮大なサウンドだ。
ライブ盤でしか聴いてなかったので、スタジオ音源がこんなに厚みのある音だとは知りませんでした。
逆にアコースティックな曲は意外に少ない。
もちろんインドな曲は全くなし。
ジョージの声は高音は細いながらも結構ハスキーだ。
この声ならスローバラードよりアップテンポな曲のほうがいいと思う。

このあたりの曲って、時期的にみてビートルズ在籍中から書きためていたものと思われる。
歴史に「もし」は無意味なのは承知の上だけど、もしビートルズがそのまま持続していたら、もしポールがOKしていたら、これらのジョージ作品はビートルズのアルバムにいくつか収録されていたかもしれないんだよね。

聴いてみた感想としては、思ったより明るいサウンドで悪くはなかったです。
ただし。
聴き慣れていないせいもあるのだろうけど、やはりバラエティ豊かなポールのサウンドのほうが、自分の好みであることは再認識させられてしまった。
ジョージの細いボーカルも、ビートルズの中にあってこそ絶妙な味付けになるのだが、ソロとしてこれだけの曲数を一気に聴いていくと、後半進むにつれて、やっぱジョンやポールのバックコーラスも欲しくなってくるのだね。
特にCDには同じ曲をアレンジを変えて収録してあるので、いっぺんに聴くと少し飽きる。

あと思ったのは、今更だがジョージ・ハリスンはギタリストだということ。
もちろんジョンもポールもギターは弾くのだが、二人にはピアノ(キーボード)主体の曲も多い。
ジョージの曲にもキーボードが聞こえるものはあるが、やはりギターで作曲しているからだろうか、ギターの音が一番前に出ているように感じる。
ギターよりピアノの音が好きなわけではないのだが、この点も少し物足りないと感じた。

決して悪くはなかったが、最初から大作で少し飛ばしすぎたかな?というのが正直なところ。
次回はふつうの長さのアルバム「Cloud Nine」を試してみようと思います。


2008.10.16追記:
文中で「ジョージお得意のスライドギターも細いボーカルも、ビートルズの中にあってこそ絶妙な味付けになるのだが」という表現をしましたが、ジョージのスライドギターはビートルズ解散以降の象徴であり、この表現は誤解であるとのご指摘をakariさんよりいただきました。
調べたところご指摘のとおり自分の誤解であり、大変申し訳ございませんでした。
「ジョージの細いボーカルも、ビートルズの中にあってこそ絶妙な味付けになるのだが」に訂正させていただきます。
ご指摘ありがとうございました。

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コメント

SYUNJIさん、こんばんは。
図書館に「All Things・・・・」が。それも新装盤があったとは驚きです。
探せば、まだまだ宝が隠されていそうですね。

>>思ったより明るい曲が多い。
>>あまりヒネたところはなく、かなりリラックスしたイメージ
ですね! 私も、このアルバムが好きなのは、そういったところ
です(深く聴いているわけではないのですが)。
インド曲(笑)がないのもポイントが大きいです。

>>スタジオ音源がこんなに厚みのある音だとは
プロデューサーがフィル・スペクターですので、厚みのある音づくりは
もちろんのこと、友人に聞いたところでは、生ギターは何台も一斉に
演奏させたりしたとか。
私も、このアルバムの深いギターの音色、エコーのかかり具合が好きです。

>>今更だがジョージ・ハリスンはギタリストだということ
はい。バックにはクラプトンやバッドフィンガーの連中もいるよう
ですが、あくまでもリーダーシップを握っているのはハリスンですね。
ギタリストという点でも同感で、最終作品の「ブレインウォッシュド」
もギタリスト=ハリスンを強く意識できるものでした。
そういう点では、「ブレインウォッシュド」は「All Things・・・・」を
踏襲して制作したのかな???

投稿: モンスリー | 2005.07.03 22:52

ビートルズを語らせたら右に出るものがいない(嘘)ぷくちゃんです。借りてしまったんですね、このCD。私はCD時代になって初めてこのアルバムの30周年記念盤を購入して聞きました。結果としては・・・良い曲もあるんだけれど、注意力散漫の子供のような・・・・うまく言えませんが。デモテープの塊のような印象を受けました。また怒られるかな、ジョージファンには。Isn't It A Pityのヴァージョン2の方は壮大で結構好きなんですけれど。ただやっぱり歌が下手!あーあ言っちゃった。

投稿: ぷくちゃん | 2005.07.04 20:35

SYUNJIさん、こんばんは。
このアルバム好きなんですが、曲を詰め込みすぎって感じがしないでもないですね。曲を厳選してリリースすれば、もっと良かった気がします。
でも、ビートルズという束縛がなくなって、自由に自分の曲を発表出来るから、ジョージは嬉しかったのでしょうね。

投稿: Junk | 2005.07.04 22:59

モンスリー師匠、コメント感謝です。

>図書館に「All Things・・・・」が。それも新装盤があったとは驚きです。

あ、そうなんですか?
あまり深く考えてませんでしたが・・・
やっぱなんか品揃えが少しヘンなんですよ、ウチの近所の図書館。

>インド曲(笑)がないのもポイントが大きいです。

確かにそうですね。
ただ実際ジョージのソロ曲の中にインド曲というのはあるんでしょうか?
ビートルズ時代の流行病のようなもんだったんではないかと思っていましたが・・

このアルバム、プロデューサーがフィル・スペクターだったんですね。
壮大なサウンドはやはりこの人のしわざか・・
この時期フィルを起用するとは、なんとなくポールに対する当てつけのようにも思えますが。(深読みしすぎ?)


ぷく先輩、コメント感謝です。
先輩の辛口コメント、マードックの子牛の焼き印押しのような説得力ですなぁ。

自分もただのアジアの片隅のど素人リスナーですけど、やっぱりジョンやポールに比べてジョージの歌唱力は多少弱いと言われてもしかたがないですかね。
好みの部分も大きいのでしょうけど、シンガーとしての実力はレノン&マッカートニーに一歩譲るのではないでしょうか。

投稿: SYUNJI | 2005.07.04 23:09

Junkさん、コメント感謝です。

ご指摘のとおり、ジョージ少しはりきりすぎでは・・と思われるほどのボリューム。
確かに「わーいオレのアルバムだぞう!」という解放感いっぱいだったとしても不思議ではないですよね。(こんなセリフ言わないとは思うけど)

Junkさんのジョージ鑑賞履歴はどんな感じなのでしょうか?
自分、結局ポールしか聴いてこなかったんですけど・・

投稿: SYUNJI | 2005.07.04 23:17

フィルスペクターはLetItBeネイキッドでもわかるようにビートルズに大きな影響をあたえましたね!ポール以外にはね!その後の他の3人のサウンドはフィルの影響が少なからずでてます。ただリンゴだけはフィルとアビーロードサウンドはまざりあってるかな?自分はこのアルバム数年前のかいました。前からほしかったけど、リアルタイムでマイスイートロード、美しき人生、聞いちゃったからなシングル買ったし、なかなかこのアルバムにはいきつかなかった!でも美しき人生のB面アップルスクラッフスも好きです。フィルはロネッツでもわかるようにウォールオブサウンド、1本マイクで全部とっちゃう!ギターが小さければさらにギターを呼びユニゾンで演奏させる、ピアノ4台いれたこともあるそうな!?大滝詠一のロングバケーションの3台のピアノもその影響!

投稿: マルチオーディオ | 2005.07.05 00:52

SYUNJIさん、こんばんは。
>>ジョージのソロ曲の中にインド曲というのはあるんでしょうか?
私も深く聴いているわけではないのですが、
「All Things・・・・」、「慈愛の輝き」、「33と3分の1」
「クラウド9」、「ブレインウォッシュド」
ここら辺にはなかったと思います。ですが、ハリスン=インド音楽
のイメージがなぜかつきまといます。

>>プロデューサーがフィル・スペクターだったんですね。
「My Sweet Load」にしても「Awating On You All」も、もろに
スペクターサウンドですので、うれしくなってしまいます。
ちなみに、ハリスンは、優れたプロデューサーを組むと、
実によい仕事をするようです。
「クラウド9」(ジェフ・リン)などなど。

投稿: モンスリー | 2005.07.06 23:18

マルチオーディオさん、モンスリー師匠、コメント感謝です。

昨年ネイキッドを聴いてあらためてフィル・スペクターのすごさに感動した自分ですが、この人エンジニア系かと思ってたらそうでもないんですかね。
ウォール・オブ・サウンドってのはミキシングやオーバーダビングでできてるとばかり思ってました。
マイク1本にやたらと詰め込んで録音させるってのも、売れっ子プロデューサーのわりに少し粗野ですけど、むしろフィル自身はそうした臨場感を重視してるのかもしれませんね。

投稿: SYUNJI | 2005.07.06 23:27

はじめまして、「ジョージ・ハリスン」で検索して来ました。
私もビートルズ、ジョージを敬愛するひとりです。

早いもので彼の訃報から5年が過ぎましたが、
これからも彼の誠実で優しい作品の数々は永遠に
継承されていくことでしょう。

 私も今回ジョージについて記事にしました。
よかったらいらして下さいませ~それではまた!

投稿: ルーシー | 2006.12.02 04:16

ルーシーさん、はじめまして。
こんなすえたBLOGにようこそお越し下さいました。

ルーシーさんのBLOG拝見しました。
毎回コメントがすごく多いですね!
あとジミー・ペイジのイラストがいいです。
しかも同じココログユーザーですね。
自分はBLOGを始めてちょうど3年ですが、この間ずっと中身のない内容ばかりで・・
ビートルズはそれなりに聴いてるつもりですが、ソロではほとんどポールしか聴いてないという有様です。

そういえばジョージの死からもう5年ですか・・
未だに他のアルバムを聴いてないバチ当たりなリスナーですが、他にも98組ほど聴いてないアーチストを採り上げてますんで、お好きなアーチストについてご指導いただければと思います。

投稿: SYUNJI | 2006.12.02 17:37

ジョージのスライドギターはブルースに影響を受けてないポップなもので、デュアンオールマンやローウェルジョージなみにかっこいいと思います。誤解があるようですが、ビートルズ時代はスライドは一曲しか弾いていません。だから、ボーカルはともかくビートルズでスライドが活きていたというのは間違いですよね?フリーアズアバードでポールがジョージのスライドはビートルズ解散以降の象徴ものだから、入れるのを嫌がったというのは有名ですよ。ちゃんと聞こうねビートルズ。

投稿: akari | 2008.10.15 23:34

akariさん、初めまして。
ご指導ありがとうございました。

>ボーカルはともかくビートルズでスライドが活きていたというのは間違いですよね?

すみません、調べてみたらご指摘のとおりでした。(というか自分だけが知らなかった「常識」のようですね。すみません・・)

自分はジョージの曲では「For You Blue」はけっこう好きなのですが、この曲のスライドギターはジョンだそうですね。
今までずっとジョージが弾いているもんだと思っていました。
いずれにしてもジョージのスライドはビートルズ解散以降の象徴ということですね。
文章も訂正いたします。

ところで、その「一曲しか弾いていない」ってのは、どの曲なんでしょうか?

投稿: SYUNJI | 2008.10.16 23:44

訂正ありがとうございました。ビートルズの音源を手放してしまってから久しいので確認できないのですが、私の記憶が確かなら、DIG A PONY で弾いていたのではないかと思います。間違ってたらゴメンです。

投稿: akari | 2008.10.19 16:03

akariさん、ご回答ありがとうございました。
「DIG A PONY」とは意外な曲ですね。
You Tubeで映像を探してみたのですが、ルーフトップ・ライブではジョンばかりが映っていて(当然か)、ジョージの手元がよく見えませんでした・・
BLOG全体が素人な状態ですが、これに懲りずまたご指導下さい。

投稿: SYUNJI | 2008.10.19 18:34

こんばんは、JTです。

>DIG A PONY

すみません、akariさん、以下の記述でお気を悪くしないでください。

私も、映画「レット・イット・ビー」のルーフトップ(1969年1月)のシーンを見直しました(えー、いわゆる西新宿版ビデオです(笑))。スライドバーは持っているように見えませんでした。

さらにジョージ・ハリスン自伝「I・ME・MINE」によると、デラニー&ボニーのヨーロッパツアー(1969年12月)でデラニーに頼まれて初めてボトルネック奏法を試した、との記述があります。

よって「DIG A PONY」でジョージがスライドギターを弾いている可能性は低いと考えられます。

横レスですみません。


投稿: JT | 2008.10.21 01:03

JTさん、情報感謝です。
あれからあたしも再度ルーフトップ映像を確認しました。
演奏が終わった直後にジョージが映りましたが、スライドバーは見えませんでした。
アルバム「Let It Be」の「Dig A Pony」音源って、この時のものでよかったんでしたっけ?

>デラニー&ボニーのヨーロッパツアー(1969年12月)でデラニーに頼まれて初めてボトルネック奏法を試した

これが本当なら、ビートルズとしてスライドを弾いた曲ってのは「ナシ」なんでしょうかね?
あるならどれなのか、すごく知りたくなってきました。
さすがはビートルズ、やはり深い・・

投稿: SYUNJI | 2008.10.21 23:15

色々ありがとうございます。スライドの音が聞こえたのは私の記憶違いなのでしょうか?いずれにしても、(最初の話に戻れば)ジョージのスライドはビートルズの中にあっては全く生かされてはいないようです。

投稿: akari | 2008.10.21 23:47

akariさん、こちらこそありがとうございました。

>ジョージのスライドはビートルズの中にあっては全く生かされてはいないようです。

そのようですね。
ジョージに限らず、ジョンもリンゴも聴いてない自分ですが、今後ともよろしくご指導下さい。

投稿: SYUNJI | 2008.10.25 00:23

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オール・シングス・マスト・パス 〜ニュー・センチュリー・エディション〜 ジョージ・ハリスン,ボブ・ディラン 新企画発動…ではありますが、結局書くことはそれまでとなんら変わらないと思います(笑) しかし、自分の中でのモチベーションは底上げされるはず… というわけで、100選一発目は何にしよう…と結構悩んだ挙句、選んだのがジョージ・ハリスンのソロ・アルバム「All Things Must Pass」 ビートルズで一番好きなメンバーは?と言われると、すかさず「ジョージ・ハリスン!」と答える... [続きを読む]

受信: 2007.04.26 19:27

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