聴いてみた 第15回 ELP
プログレ取扱主任者初級検定シリーズ、ELPの巻。
ELPはベスト盤しか聴いておらず、しかもだいぶ昔のことなのであまり記憶に残っている曲もないという状態。
またそのベスト盤はプログレファンの方々からはあまり評判が良くないとか。
覚えている曲は少ないが、当時はさほど拒絶感はなかったのが多少の安心材料である。
今回はモンスリー師匠ご推薦の「恐怖の頭脳改革」を聴くことにしました。
タイトルもジャケットもプログレのヤバイ雰囲気充分。
なんだかショッカーとかロボット長官とか実相寺昭雄とか出てきそうなタイトルですが、果たして無事に帰って来られるのでしょうか。
・・・・聴いてみた。
今回も曲をまじめに追ってみようと思います。
1.Jerusalem
賛美歌のようなキーボード、教会の中で歌っているようなボーカル。
壮大なサウンドはオープニングにふさわしい。
これからいったい何が始まるんだろうか?と期待を持たせる曲である。
2.Toccata
不気味なキーボードとドラムの連打が延々続くインストナンバー。
一度フェードアウトしたかと思ったらドラムが帰って来た。
明るい音は全くなく、サスペンス映画のBGMのようだ。
宇宙船の操縦室で鳴る警告音のような音とドラムの協奏。
ただ聴いてて正直あまり楽しくはない。
意外に難しい展開に、徐々に不安になってくる。
3.Still...You Turn Me On
やや悲しげなミディアムテンポのバラード。
これも悪くはないのだが、時々からんでくるワウワウしたギター?がいまいちボーカルとかみ合っていないように聞こえる。
4.Benny The Bouncer
アルバムの中では最もオラオラな曲。
かなりファンキーなジャズのアドリブのような音に、ヤケクソなボーカル。
これはそういうミスマッチなところを楽しむ曲なのだろうか?
5.Karn Evil 9
日本語タイトルは「悪の教典」。
これこそがこのアルバムも含めたELPを代表する名曲絵巻、プログレ・ワンダーランド、ELP名曲数え歌、サウンドの大海原、巨大なるプログレ山脈、ひとり民族大移動、アックスボンバー三つ又の槍、だそうだ。(後半意味不明)
三部構成の組曲らしい。
出だしは前の曲の流れをくむ、ややオラオラなサウンド。
「ホラホラ」くらいかな。
イエスほどではないが、何度か細かい転調がある。
続いてはかなりのロックンロールだ。
アルバムの中では珍しくギターリードの部分が多い感じだが、他のパートも負けていない。
ボーカルが微妙にテンポやリズムに乗り遅れているようだけど、これ気のせい?
それとも効果?
すんごい大げさなエンディング・・・と思ったらまだ曲は続く。
ピアノソロがすぐに始まった。
これが第二部かな?
しばらくドラムとからんで、一瞬の静寂。
長いな・・・えっまだ終わらないの?
雰囲気はやはりジャズのアドリブのような感じだ。
君たち、いったいどこに行こうとしてるんだい?
今度は行進曲調の旋律。
またもボーカルがところどころヤケクソ。
もう少し普通に歌ってもらっても全然構わないのだが・・・
相当飽きてきた矢先、左右に音を振り回しながら突然の終了。おい・・・
気がついたらこの曲、30分もあるじゃん・・・
感想。
・・・・なんだかイエスより難しいよ(苦)・・・
だいたいどの曲にもキース・エマーソンのキーボードが延々流れている。
これが受け入れられないと、ELPはたぶん永久に難しいままだろう。
そもそもキーボード・ベース・ドラムという少し変わった編成バンドなのだから当然なのだが。
個々の曲やサウンドに対してはそれほどダメージは感じないのだが、やはり長いことこのキーボードを聴いているとちょいと飽きる。
これはベスト盤を聴いた時にはわからなかった感覚である。
まあ「悪の教典」が長すぎるということもあるんでしょうけど。
ドアーズも同じようにキーボードに飽きてしまったので、もしかすると自分にはあまりキーボードの音は合わないのかもしれない。
疾走感あふれる肉体派ロックは噂どおりだが、キーボード以外にも自分にとって難点が2つ。
ドラムの音が思ったより軽い気がする。
「どすどす」「ばこばこ」というより、「てんてん」「ぱすぱす」という音だ。
プログレ界屈指の名ドラマー(でいいの?)をとっつかまえてあんまりな表現ですが、素人の戯言と思って流してください。
聴いてる環境が良くないからかもしれないが、もう少し重低音なバスドラムがぼすぼす響いてきた方が自分としては安心なのだが・・・
自分はエイジアが結構好きなのだが、エイジアでのカール・パーマーのドラムはもう少し重い音だと思う。
もうひとつはグレッグ・レイクのボーカルである。
このアルバムではけっこうシャウトする場面が多かったのだが、なんというかいまいち投げやりな感じに聞こえる。
このサウンドならもう少しメタルな声(例えばギランとかデビカバ)か、あるいはもっとオペラチックな声(例えばフレディ・マーキュリー)のほうが盛り上がるんじゃないか?などと素人のくせにいろいろ考えてしまいました。
基本的にコーラス当てやボーカル重ねをあまりしていない(と思う)ので、グレッグの生声一本で曲を支えていっているのだろうが、せっかく壮大な楽曲なのだから、もうちょっとボーカルも作り込んでもよかったんじゃないかなぁ・・などと思いました。
このヒト、「クリムゾン・キングの宮殿」でも歌ってるんですよね?
宮殿の場合、ボーカル以外の楽器もすべてオラオラなので、あまりグレッグのボーカルは気にならなかったのですが・・・
ということで聴いてみましたELP、予想をはるかに上回る苦戦。
考えたらキーボードもドラムもボーカルも難しかったなぁ。(全滅じゃねーかよ)
イエスよりもハードルが高く感じられたのは自分でも意外でした。
ベスト盤を聴いた時点では「なんだ案外ふつうのロックじゃん」などと思ってたのですが・・・
「Lucky Man」のようなフォークロックな曲や、「Hoedown」のような楽しい感じの曲は、このアルバムにはなかったのも一因かもしれません。
やはりプログレ、そんなに甘くはない。
果たしてこの先、自分はELPを聴き進めることができるのか?
厳しい展開に立ち向かうことができるのか?
待て次号!(←古い)
・・・いえ、次回はたぶん他のアーチストの巻になります・・
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