聴いてない 第46回 ジョン・レノン
1980年12月8日は、世界中のロックファンにとって忘れられない日である。
あれから24年。
多くのBLOGでジョンのことが綴られていますが、今回こちらもジョン・レノンについて書いてみます。
・・・・命日をむかえて「聴いてない」などと書くこと自体果てしなく失礼ですけど、聴いてないことは事実。
しかも12月8日が命日であることをすっかり忘れており、何気なくネットサーフィン(死語)してて気がついた、という体たらくである。
でもって実は第46回用に違うアーチストの話をすでに12月7日には書き上げてしまっていました。
命日と知ってあわてて差し替え。
聴いてない以前に聴く資格もなさそうですが。
なんだか出だしからとても心配。
一応ベスト盤CDを持ってはいますが、オリジナルアルバムは1枚も聴いてません。
聴いてない度は4になりますが、さすがにジョン・レノンなので聴いてる曲はいちおう二桁にはなります。
自分はビートルズから洋楽に入門しているので、当然ビートルズでの各メンバーの活動に対する感想が、そのままソロへの興味に直結している。
で、結論から言うとポールだけ聴いてきた、ということになる。
ビートルズ入門は中学生の頃だった。
すでにビートルズを聴いてる友人が同じクラスにいて、そいつもたくさんの曲をテープにためていた。
自分もコレクションしたくて必死にエアチェックしたが、そう簡単には集まらない。
そこでそいつのテープから自分のテープに好きな曲をダビングする、というチカラ技を実行した。
もちろんダブルデッキなんてものは高級オーディオでしかなかった時代である。
父親に買ってもらったラテカセ(若いヒト向け註:ラジオとテレビとカセットテープレコーダーが一体化した機械です)を肩に抱え、友人宅まで徒歩15分。
ほしい曲を頭出ししておいて、彼のラジカセと自分のラテカセをミニプラグ×2のコードでつなぎ、ヤツはPLAYボタン、自分はRECボタンを呼吸を合わせて同時にON。
同世代で同じような経験をお持ちの方もおられるのではないでしょうか。
でもこの方法も案外機械同士の相性があって、結構雑音が入ったりした。
自分、カネないんで用意したテープは今は亡き忠実屋ブランドの商品だったりして、これがまたノイズだらけ。
それでもビートルズの曲が自分のテープにたまっていくのは楽しかった。
この時同時にポールのソロも聴いたりしており、自分にとってはポール・マッカートニーを中心とした勉強が続いたのだ。
当時ジョンのソロは全く聴いておらず、「Imagine」「Jealous Guy」「Mother」「Love」などの名曲は、いずれもジョンの死後に初めて聴いた。
結局この時の姿勢が今でも続いていることになる。
ビートルズのアルバムの中で好みの順位を決めるのは難しいが、「Sgt. Pepper's」「Let It Be」「Abbey Road」の3枚は必ず上位に入れてしまうだろう。
まあいずれもポール色の強いアルバムだ。
で、今回命日をむかえ(忘れてましたけど)、あらためてジョンがしっかりしていた頃のビートルズを聴くことにした。
最もジョン色が強いのは、「A Hard Day's Night」だとは思うが、ここは「Beatles for Sale」を選んでみました。
当然もう何度聴いたかわからないくらいのアルバムである。
・・・・聴いてみた。
今さらですけど、やはりジョンの才能が全開である。
このアルバムあたりからポールの才能が徐々にジョンと拮抗してくる時期になるのだが、やはりジョンの曲にポールやジョージがコーラスをつける構成のほうが、バンドとしての一体感をつぶさに感じますね。
この時期ジョンが音楽面でも運営面でもリーダーだったことは間違いない。
特に「No Reply」「I'm A Loser」「Baby's In Black」「Every Little Thing」など、ジョンのメインにポールが高音のコーラスをつける曲が非常にいい。
ジョン主導の曲だが、ポールも自分の役割をわかっていて、出過ぎず引っ込み過ぎず、もっともいい位置に下がってジョンを支えているのだ。
ポール主導のアルバムが好きだとは言ったが、バンドとしての魅力は、この頃の方が上だろう。
ジョンが中央に立ってボーカルやMCをやり、ポールとジョージが左右にギターを抱えてコーラス、リンゴが後ろでリズムを刻む。
「安い席以外の人は宝石を鳴らして下さい」「わははは」
これがビートルズの本来の姿なのだろう。
初めて聴いてから25年以上経っているが、あらためてこのアルバムもすごいと感じた。
仮定は無意味であることは承知だが、この路線のままジョンがソロをやっていたら、自分もきっと聴いていたのではないだろうか。
スタジオに引きこもった後のジョンの音楽には、ビートルズでもソロでも、残念ながらやはりあまり魅力を感じないのだ。
そう、ポールとジョージのコーラスのないジョンの歌はもの足りないのです。
ジョンのソロについては、ベスト盤を持っていることで、自分の中では「最低限の勉強は終えている」つもりになっている。
ファンの方からすれば「けっシロウトが何を・・」と思われるでしょうが。
ジョンのアルバムは全てが大衆芸能ではない。
さすがに相当コアなファンでもなければ、「Two Virgins」や「未完成:作品第2番」を「素晴らしい」とは言わないでしょ。
前衛芸術家ヨーコと組んでやっていたことなど、凡人の我々には半分もわからないはずである。
ジョン・レノンてのは自分にとってプログレ以上に「難しいアーチスト」なのだ。
月並みな締めだが、もし1980年12月7日に戻れるとしたら、ジョンに「これからどんな音楽をやっていくつもりなのですか?」と聞いてみたいと、あらためて思う。
なおジョンが亡くなった頃のことについて、数年前に書いた文章がありますので、よろしければご覧下さいませ。
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コメント
実は私も聴いていません。ベストさえも持っていません。シングルヒットした曲をちらほら聴いたことがあるだけです。「Woman」が好きです。
>前衛芸術家ヨーコと組んでやっていたこと
ああいう思想めいた物が入ってしまうと私は苦手でした。手を出さなかった理由の一つです。
ビートルズは洋楽の聴き始めで、私も中学生の時にはまりました。最初に買ったのは赤盤、青盤のミュージックテープでした。またその頃LPのBoxセット(アルバムセットではなく、全曲集みたいなもの)が出て、友人が持っていたのでテープにコピーしました。これでビートルズ全曲揃ったと喜んだものです。
てなことをやっていた時期です、亡くなったのが。リアルタイムでなかったのも聴く機会を逸した原因でしょう。しかしあれからもう24年も経ったのですね...
投稿: francofrehley | 2004.12.10 14:15
francofrehleyさん、早いコメントありがとうございます。
自分もビートルズは完全に後追い世代なので、ジョンが亡くなったことを知った時も、それほど衝撃はありませんでした。
当日の夕方、テレビでジョン訃報のニュースのBGMに「Yesterday」を流した局があって、ジョンのファンから相当苦情があったらしく、その後のニュースでアナウンサーが謝っていたことを覚えています。
投稿: SYUNJI | 2004.12.10 15:07
70年代初頭に普通にビートルズにはまりました。中学生ですね!解散した後かな?あまり記憶が定かではありません。ビートルズはオールディーズをまず買ってそれからオリジナルを買いそろえていくという感じでした。ソロワークがリアルタイムで覚えています。ジョージが好きでした。ALLTHING MUST PUSSは最近買いましたが、それ以外は何枚か発売と同時に買いました。シングルではポールのアナザーデイ、出ておいでよお嬢さん、この2曲がめちゃくちゃ好きでしたね!でもポールはベストがでるまで買いませんでした。リンゴも好きでアルバム2枚買ってますね!さて、ジョンですが、マザー、イマジン、ラブいい曲ですがね!ヨーコさんの影響??自分もその思想めいた物が苦手だったなあ!そんなジョンがポップになりとてもよかったのが真夜中を突っ走れです。この曲は脳天たたかれました。でもアルバムはかわなかった。もちろん、ベスト盤は買ったし、こんなにクリスマスが騒がれる前からイブナイトやパーティーでハッピークリスマスは聞いていました。悲しいことに初めてかったアルバムは発売を楽しみにまって買った、Wファンタジーです。そのあと死後に何枚か買いました。自分は常々思うのですが、あまり死んだ人に興味はありません。生前に素晴らしい作品を残しいただいて、それを単純に楽しませてもらっています。はっきりいうと生きていようと死んでいようと自分の時間軸には一切関係ないですから、今自分が楽しめる音楽がたまたま死後のものだったとかそういうことです。ただジョンだけは今生きていたらどんな音楽を奏でてくれるのか、とっても聞きたいです。悲しいやら悔しいやら人の死が一年に一度悔やまれる日となっています。
投稿: マルチオーディオ | 2004.12.10 16:45
前にビートルズを聴いていないとコメントさせていただいた事があったかと思いますが、ジョン・レノンも同レベルです。オリジナルアルバムは『John Lennon/Plastic Ono Band』と『Double Fantasy』は聴いていますが、テープにダビングしている程度でCDは持っていません。
ビートルズでは、ポール派かジョン派と言われればジョン派ですが、熱心なファンではないんです。
いいって事は認めていましたが、なんていうか洋楽ファンの行動としてはあまりにも王道過ぎるので、ちょっとひねくれている僕には素直に購入できなかったのかも知れません。40才も手が届く歳になってきたので、あまり変な意識をせずに買ってみようかなと、このエントリーを見て思ってしまいました。
そう言えば、ジョン・レノンを射殺したチャップマンは逮捕時に「ライ麦畑でつかまえて」を持っていましたね。僕は作者のサリンジャーが好きで、一番好きな作品は「大工よ、屋根の梁を高く上げよ」です。ジョン・レノンと全然関係無い。。。
投稿: getsmart0086 | 2004.12.10 21:59
マルチオーディオさん、getsmart0086さん、コメントありがとうございます。
やはりジョン・レノンともなると、みなさんそれぞれに受け止め方があって興味深いです。
(みなさんコメント長いし。笑)
自分も新曲としての「Starting Over」を聴いたつもりが、10日後には遺作となってしまい、世間の騒動にとまどいました。
「『Happy Christmas』をクリスマス商戦中のデパートなんかで流すんじゃない」という意見を雑誌で読んだことがあります。
確かに平和へのメッセージソングであり、日本のクリスマスの雰囲気とは別の次元の曲ですね。
(もちろんワム!とも違う)
犯人のチャップマンて、もうシャバに出て来てるんでしたっけ?
釈放の話が出た時ヨーコが非常に抵抗したという話を聞いたことがありますが・・
投稿: SYUNJI | 2004.12.11 00:02
SYUNJIさん、こんばんは。
ビートルズすらまともに聴いていないのに、ジョン・レノンは
いわずもがなの私でございます。
友人に頼んで、「ジョンの魂」を聴かせてもらったことがあります。
非常にヘヴィなロックでした。
実は、レノンの死後のパブリックなイメージ「愛と平和の人」だと
ばかり考えていたので、このサウンドは少し意外でした(「イマジン」
のイメージで捉えていました)。というか、こういう重苦しい曲の中で
「愛と平和」を歌っているのか、とも思いました。
ですが、レノンの大ファンである友人によれば、かなり違うようです。
いろんな意味でわがままな人のようでした。ついでに、かなりの皮肉屋
だそうですね。
また、以前からロック評論では、意外と「愛と平和」に言及されていません。
私の場合、レノンは「愛と平和の人」というイメージがあるおかげで、
ビートルズ以上にハードルの高いミュージシャンになっています。
>>最もジョン色が強いのは、「A Hard Day's Night」
評論家の中山康樹氏によれば、レノンの最高傑作が「A Hard Day's Night」
(タイトル曲)だそうです。確かにインパクトがありますね。あっという
間に終わってしまう疾走感もいいですね。
>>父親に買ってもらったラテカセ
これも結構高級機種ではなかったでしょうか(^^;;;)。カセットデッキで
結局手にできなかったものとして、
・ダブルデッキ
・オートリバース
です。無理して「3Headデッキ」は買いました。懐かしいです。
投稿: モンスリー | 2004.12.13 21:01
モンスリーさん、コメントありがとうございます。
>いろんな意味でわがままな人のようでした。
>ついでに、かなりの皮肉屋だそうですね。
志は崇高なものがあったのでしょうけど、実生活はビートルズ解散前後から相当荒れていたようですね。
愛と平和を掲げていながら、旧友ポールとは平和につきあえず、「How Do You Sleep?」という曲でポールを皮肉ったり。
曲そのものとは関係ないかもしれませんが、たぶんジョン・レノンて人はビートルズの4人のうちで一番思慮深い人だったのではないでしょうかね。考えすぎておかしくなってしまったのではないかと。(たぶんポールはあんまし考えないタイプだと見た。)
最近読んだ本にジョンのアメリカでの生活が非常に詳しく書かれています。
http://www.wave-publishers.co.jp/kikansho/books/Culture/johnlennon/johnlennon.html
これは変にジョンを崇めたりせず淡々と綴られていて非常におもしろいです。
>結局手にできなかったものとして、
>・ダブルデッキ
>・オートリバース
高校の頃友人が両機能を備えたむやみにでかいラジカセを買い、学校に持ってきたりしていたのを指をくわえてながめていました。
シャープのサーチャーという名のラジカセでした。
ダブルデッキは大学生になってようやく秋葉原で安物を仕入れました。
まず120分テープなどで番組をまるごとエアチェックし、気に入った曲だけをダブルデッキで別のテープに編集する、というどす黒い作業を地味ぃにやっておりました。
投稿: SYUNJI | 2004.12.14 23:02
SYUNJIさん、こんばんは。
実は私も最近ビートルズ関係の本を読みました。こちらです。
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4276234638/qid=1103154477/sr=1-19/ref=sr_1_2_19/250-9522554-0353024
とてもおもしろかったです。特にレノンの「愛と平和の人」の背景について
も考察があり、興味深いです。
>>旧友ポールとは平和につきあえず
マスコミも二人の仲を裂くような報道ばかりしていたようですね。
特にレノン訃報直後の報道陣の態度には辟易したとマッカートニーが
言っていました。
>>どす黒い作業を地味ぃに
エアチェッカーの基本です(笑)。私の場合、FMの番組表を見て、
リアルタイムで録音したり(当然失敗あり)、丸ごと録音したあと
ウォークマンとデッキをつないでダビングしました。
86年頃に、チューナーを買いました。パイオニアのシンセサイザーチューナー
で、数字でFM局をチューニングするのに感動しました(笑)。
投稿: モンスリー | 2004.12.16 23:11
ビートルズ関係の本はけっこう手当たり次第に読んでしまうんで、もしかすると自分もご紹介の本を読んだかもしれません。(表紙覚えてませんけど)
ただいわゆるビートルズ世代の著者による場合、過剰なまでにビートルズ崇拝を掲げる本も多く、実体験のない自分にとってはテンションが高すぎると感じることもあります。
>パイオニアのシンセサイザーチューナー
で、
>数字でFM局をチューニングするのに感動しました(笑)。
いい話だねえ。
自分はエアチェックにタイマーを導入したことが画期的でしたね。
それまでは深夜番組も無理して起きて直録りしてました。
特にマイ・サウンド・グラフィティは当時関東で深夜3時・・
タイマー導入後は、(当たり前ですが)朝起きるとテープができあがってるという素晴らしい生活となりました。
投稿: SYUNJI | 2004.12.17 23:59
1980年という年は
ポールに始まって
ジョンで終わった年でした。
ポールは例の強制送還。
単なる日にちの紹介だけで、音楽的な内容は何も書いてないですが
TBしておきます。
投稿: htsgis | 2005.02.13 18:54
>まあいずれもポール色の強いアルバムだ
ビートルズは詳しいのですね。私は音楽を漫然と聴いているだけなので、誰が歌っているとかあまり気にせずに来ました。ただ、いい曲だなーと思うとジョージ・ハリスンだったりします。
「ダブル・ファンタジー」が出るまで、ソロで持っていたのはジョージのみ。
そして「ダブル・ファンタジー」は一曲ずつ飛ばさなきゃ耐えられなかったので、すぐ売ってしまいました。
SYUNJIさんとだいたい似たような状況で、ポールはかなりエアチェックしていて、一本のテープに仕上げたものが何本か持ってました。ジョンはヒット曲くらいしか聴いてなかったので、今持っているCDもベストのみです。
でも、ジョンは好きですよ、ビートルズの一員として。だから亡くなった時は、もうビートルズは再結成されないのかとショックでした。
>マイ・サウンド・グラフィティ
昨日カセットテープを整理していたら、番組が録音されてました。提供は今は無き「FMステーション」だったと思います。
投稿: hello nico | 2005.08.29 23:37
nicoさん、コメントありがとうございます。
ビートルズについては、それこそ世界中に「詳しい」人が山ほどいるでしょうから、とてもそんなことは言えないですよ。
ただビートルズについて書かれた本は分厚くてもつい読んでしまいますね。
>マイ・サウンド・グラフィティ
>提供は今は無き「FMステーション」だったと思います。
そのとおりですね。
自分もいくつか番組を録音したテープを持っています。
数あるFM雑誌の中でも、判型の大きなステーションが好きでした。
投稿: SYUNJI | 2005.09.02 23:18