聴いてみた 第4回 キング・クリムゾンその2
「オマエ、宮殿聴いた?」
とうとうこの問いに胸を張って答えられる日がやってきました。
ロック史上に残る不滅の金字塔、キング・オブ・プログレッシブ、プログレ名勝負数え歌、「うわぁぁぁぁ」なジャケットの「クリムゾン・キングの宮殿」です。
前回「太陽と戦慄」ではボーカルがあまり前に来ないのが何となく物足りないという感想でしたが、宮殿は全曲ボーカル入りとのこと。
メンバーはロバート・フリップの他グレッグ・レイクやイアン・マクドナルドが名を連ねている。
この2人はエイジアやフォリナーを聴いてたので名前は知っているのだ。
今回は2枚目なので精神的にも多少余裕がある。
そもそも「プログレだから」っていちいち緊張してたら楽しくないんですけどね。
でも相変わらずジャケットは怖い。
・・・・聴いてみた。
まずはこの盤を代表する「21st Century Schizoid Man」。
思ったよりスピーディーでハードなナンバーである。
ドラム・サックス・ギター・ベース・ボーカルの構成だと思うが、どのパートも主張する水準が同じようだ。
前回の「太陽と戦慄」を聴いてまず思ったのは、高度な演奏技術の相互発表という印象だったのだが、この曲はそれ以上だ。
「いいから黙ってオレのプレイを聴けよ」という感じは変わらない。
むしろこの曲の方が「オラオラ」「コノヤロ」状態である。
それでいて不思議に一体感がある。
ボーカルもかなりヤケクソでいい感じだ。
この声はジョン・レノンのシャウトにも似ている。
2曲目は一転スローでメロディラインが美しい「I Talk To The Wind」。
このあたりの落差にややとまどうが、曲は聴きやすくてよろしい。
キング・クリムゾンなのにこんな癒やし系で大丈夫なのか?
3曲目以降はいっそうサウンドが叙情的になる。
荘厳でやや悲しげな、映画のテーマソングのようなサウンドの「Epitaph」。
さらにもの悲しい「Moonchild」。
タイトルは聞いたことがあったが、こんな曲だったんですねえ。
「いつ突然転調して恐ろしいサウンドに変わるんだろう?」とビビリながら聴いていたのですが・・・
この流れのまま「The Court Of The Crimson King」でアルバムは終わる。
聴いてみた感想。
1曲目が多少ヤケクソでオラオラなだけで、基本的にはメロディアスで美しいサウンドだ。
もちろんオラオラも全然悪くないし、トータルで非常に聴きやすいアルバムではないでしょうかね?
ところどころバニラ・ファッジやピンク・フロイドを思わせる音なんかもあって、この辺も親しみを覚えます。
ジミ・ヘンドリックスを聴いてみた時も思ったことだが、60年代末期という時代にこういう音が出せる人たちがいた、というのがスゴイですよね。
理数系のニオイは変わらないけど、難解度は「太陽と戦慄」よりずっと低く、はるかに受け入れやすい。
もっとおどろおどろしい、暗ーい演奏が果てしなく続くようなものを想像していたのですが、そんなことはありませんでした。
ジャケットとタイトルがコワイだけだったんですねえ。
なんだか「見た目ゴッツイおっさんだけど、会って話してみたらいいヒトだった」という感じでしょうか。
「聴いてみた」シリーズはこれで4回目なのですが、ようやく「あっオレにも聴ける!」と思える名盤に出会った気がします。
この企画で誰からもコメント・アドバイスをいただけなければ、おそらく一生聴くこともなく終わっていただろうキング・クリムゾン。
まだその良さをわかるまでには至りませんが、他のアルバムも勉強していきたいと思っています。
・・・ということで、本年のエントリもこれで終了。
コメントを寄せていただいた方々、本当にありがとうございました。
来年もよろしくお願いします。
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