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聴いてみた 第1回 キング・クリムゾン

この聴いてないシリーズを始めた目的として、聴いてる方からのアドバイスを参考に「聴いてないものを聴いてみる」というのが本当はあったのですが、「聴いてない自慢」ばっかで結局全然勉強も進んでないので、今回心を入れ替えて聴く決心をしてみました。

対象はキング・クリムゾン
1曲も聴いてない(聴いてない度1)という、トライするにふさわしいアーチストである。

キング・クリムゾンについては、皆様から様々なご指導をいただきました。
評価としては、
・ハードロックの高性能な代替品としても機能(モンスリーさん)
・ジャズなロック(hello nicoさん)
・ある意味ヘビメタよりもヘビー(getsmart0086さん)
など。

で、今回はモンスリー氏のご推薦により、「太陽と戦慄」を聴くことにしました。

・・・聴いてみた。

ハードロックな部分は確かにあるが、インストもあり、やはりボーカルよりも楽器を前に出している感じだ。
うまく表現できないが、感情あらわに声を張り上げて観客を圧倒するのではなく、高い演奏技術の相互発表に重きを置いているような、どこか理数系のニオイのする音楽である・・・・と感じる。
プログレというものが本来そうなのかもしれないが、各メンバーが「いいから黙ってオレのプレイを聴けよ」と互いに主張している、そんなイメージなのだ。

思い描いていたのと、ほぼ変わらない音である。
「暗く難解な音が延々と続く」というのが、プログレに関する勝手な印象だったのだが、全般的におおむねその通りだと思う。
長い演奏はジャズのようでもある。(ってジャズも聴いてないのでよくわかりませんが)

この感覚はピンク・フロイドにも通じるものがあるが、ELPの時にはなかった。
ELPの場合、ベスト盤だったこともあるかもしれないが、緊張して「いよいよワタシもプログレを」という構えに対し、聴いた音自体は「普通のロックと変わんない」と思ったのだ。

率直な感想。
・・・やはり80年代産業ロックにまみれた自分には、かなり難解である。
ボーカルがあまり前に来ないのも何となく物足りない。
居心地が良くないというか、すわりが悪いというか、そんな感覚である。
まあなんといっても初めてですし、雪も見たことないのにスキーはいてゲレンデに立ってしまった、飲めないのに生ビールをジョッキで頼んでしまった、そんな感じです。

聴いてから調べて知ったのですが、このアルバムはボーカルがジョン・ウェットンなんですね。
エイジアのジョンしか知らないので、聴いてもわかりませんでした。
ここからUKを経てエイジアへ展開していったということは、ジョン・ウェットンも一般大衆受けする路線を選んだってことなんでしょうか。

キング・クリムゾンと言えば「うわぁぁぁぁ」なジャケットの「「クリムゾン・キングの宮殿」を聴かねば意味がない!」と主張する人は多い(と思う)。
実際「太陽と戦慄」とはメンバーもかなり違うようだし、音もきっと違うのでしょう。
次回はここで「クリムゾン・キングの宮殿」をご紹介できるよう、鍛え直してこようと思います。


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コメント

SYUNJIさん、こんにちは。
聞かれましたか、クリムゾン! (^0^)

>>どこか理数系のニオイのする音楽である
>>「いいから黙ってオレのプレイを聴けよ」と互いに主張

もう何も言うことがありません。アルバムの核心を完璧にとらえて
いらっしゃいます。さすがです。
ちょっとだけ補足しますと、「太陽と戦慄」では冷静さをもって
アルバムを製作するギターのロバート・フリップと、暴走する
パーカッションのジェイミー・ミューアのバランスが非常に
よいので傑作になったと思います。
ライブになりますと、全員が暴走するので、スタジオ盤との対比が
おもしろく、また迫力があります。

>>長い演奏はジャズのようでもある

長い演奏ですが、クリムゾンの場合、スタジオ盤、ライブ、共に即興演奏
を重視する傾向がありまして、これがジャズ的といわれるゆえんのよう
です。ただ、ジャズに傾倒したミュージシャンが在籍したこともあります。

なお、「太陽と戦慄」あたりからフリップが重層的なリフレインを重視する
ようになりました。これがくせになりますと、クリムゾン中毒者完成
です。

>>「うわぁぁぁぁ」なジャケットの「「クリムゾン・キングの宮殿」

是非是非おためしください(^^;;;)。「太陽と戦慄」とはかなり違うアルバム
です。全曲にボーカル入りで、歌物としてもお楽しみいただけると思います。
なお、「宮殿」でのボーカルはELPのグレッグ・レイクですので、これも
安心しておすすめできます。

投稿: モンスリー | 2004.10.10 15:07

モンスリーさん、このたびはいろいろとお世話になりました。

>ライブになりますと、全員が暴走するので、スタジオ盤
>との対比がおもしろく、また迫力があります。

自分からするとアルバムでも充分みなさん暴走しとるんじゃないかと思いますが・・
ロバート・フリップって見た目もかなり気むずかしそうですよね。

>なお、「宮殿」でのボーカルはELPのグレッグ・レイク

その昔友人に聴かされたのはたぶん「宮殿」じゃないかと思いますが、どんな音だったか全然記憶にありません。
いつになるやらわかりませんが、聴いたアカツキにはこの場でご報告したいと思います。

投稿: SYUNJI | 2004.10.12 23:56

TBありがとうございました、そして記念すべき第一歩、おめでとうございます。
SYUNJIさんの率直な感想は実に的を得ていると思います。すぐ好きになる音ではないですが、気にはなる音ではなかったですか?
気が向いたらまたゆっくり聴いていってください。「宮殿」は相当印象が違いますので、出来ればほとぼりが冷めないうちに聴いて欲しいなとは思います。
是非うちの投稿にもコメントいただきたいです。

>ここからUKを経てエイジアへ展開していったということは、ジョン・ウェットンも一般大衆受けする路線を選んだってことなんでしょうか。
そのとおりだと思います。プログレ者にとって賛否両論あるところですが、UK、ASIAがきっかけでプログレに入った人も沢山いるので、プログレ普及ということでは彼の功績は大きかったと言えるでしょう。

投稿: francofrehley | 2004.10.25 11:06

francofrehleyさん、コメントありがとうございました。
ちょうど聴いてみた直後にfrancofrehleyさんのブログに「太陽と戦慄」がエントリされたので、コメントするのもおこがましいですが、TBさせていただきました。

>すぐ好きになる音ではないですが、気にはなる音ではなかったですか?

そうですね。
「聴いてないものを聴いてみる」ことにかなり緊張しましたが、確かに気になる音ではありました。
ジョン・ウェットンがボーカルというのもポイントですね。

ジョン・ウェットンについては、自分はエイジアしか聴いてませんが、エイジアの登場によってクリムゾンやイエス、ELPといったプログレの大物バンドの存在を勉強した(聴いてないけど)ので、確かにエイジアを興したジョンの功績は自分にとっても大きいものがあります。

投稿: SYUNJI | 2004.10.26 20:34

こんばんは
UKは好きだけど、エイジアは苦手なhello nicoです。
無論クリムゾンは大好き!

で、『太陽と戦慄』ナンデマタこのアルバムを聴くのと思いました。美しい「Book of Saturday」「Exiles」以外は小難しい感覚的な音楽だと思います。
『クリムゾンキングの宮殿』を聴いて感動した私としては、SYUNJIさんは記憶が無いとの事…残念です。
ELPのベスト盤が良かったのなら、クリムゾンもベスト盤の方が聴きやすいかもしれませんね。

>エイジアへ展開していったということは、ジョン・ウェットンも一般大衆受けする路線を選んだってことなんでしょうか。

私は一般大衆受けする物が苦手という事ですかね、へそ曲がりです(-_-;)

投稿: hello nico | 2004.11.06 23:38

nicoさん、コメントありがとうございます。

>で、『太陽と戦慄』ナンデマタこのアルバムを聴くのと思いました。

あちゃー、叱られちゃった(?)
やっぱ宮殿を聴かねば「聴いてみた」と言ってはいけないんでしょうかね。
友人に宮殿を聴かされたのはすんごい昔の話ですんで。
あとよく名前が出てくる「ポセイドンのめざめ」ってのはどうなんでしょうか・・?

投稿: SYUNJI | 2004.11.07 00:05

怒っちゃいないですよ、アキレタだけ。難しいモン、私は初心者には勧めないですよ。
『レッド』が良いけど、やはりベスト盤の方が無難です。あ、どれもダークでヘヴィですが、バラードは美しいと私は思い込んでます。最近のは聴いてないので分かりません。

>ある意味ヘビメタよりもヘビー(getsmart0086さん)
的を得ていると思います。

投稿: hello nico | 2004.11.07 02:00

>「ポセイドンのめざめ」ってのはどうなんでしょうか・・?
アルバム全体では?ですがタイトル曲「ポセイドンのめざめ」はSYUNJIさんにお奨めです。フリップの表情豊かなアコースティックギターをバックにGreg Lakeの哀愁漂うヴォーカルが前面に出た名曲、とても美しい曲です。何年も前に冒頭の部分がANAのCMで使われました。

投稿: francofrehley | 2004.11.08 15:42

>フリップの表情豊かなアコースティックギターをバックに
>Greg Lakeの哀愁漂うヴォーカルが前面に出た名曲

ほおーそうなんですか。
でもアルバム全体では「?」というのが微妙な判定ですね。
みなさんのご意見を拝見して、やはりベスト盤で勉強した方がいいのかなとも思っています。
といってもクリムゾンくらいになるとベスト盤でもいろいろありそうですけど。
「バラード集」とか「アコースティック集」なんてのはないんでしょうかね?

投稿: SYUNJI | 2004.11.10 22:43

SYUNJIさん、みなさん、こんばんは。
「太陽と戦慄」を強くおすすめしてしまった張本人です。m(__)m。

気を取り直して、
>>クリムゾンくらいになるとベスト盤でもいろいろありそうですけど
あるにはあるのですが、リーダーのロバート・フリップの意向を
反映して、
「クリムゾン・キングの宮殿」(1969)
「レッド」(1974)
「ディシプリン」(1981)
の3枚に偏った選曲になっております。「宮殿」に至っては、全曲
収録されているものもあります。
従いまして、「宮殿」を聞いていただくのがベスト盤を聞くのに等しいです。

ちなみに、最新ベスト盤(ボックスセット)ですが、
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B0002Y9TGA/qid=1100097971/sr=1-6/ref=sr_1_2_6/249-2663254-5673929
これも宮殿全曲収録です。輸入盤ですので価格も安いのですが、
私の経験からいきましても、曲数が多すぎて混乱すること必至です。
是非、次回は「宮殿」を。m(__)m

投稿: モンスリー | 2004.11.10 23:54

>でもアルバム全体では「?」というのが微妙な判定ですね。
相手がSYUNJIさんなんでちょっと慎重に、手放しでお勧めはしませんでした...曖昧ですみません。

アルバム「ポセイドンのめざめ」はメンバーや作風から概ね「宮殿」の延長線にある作品といっていいと思います。ただし「宮殿」ほど一般ウケはしていないので、ある意味マニアウケした作品でしょうか。モンスリーさんも薦められているようにまず「宮殿」を聴かれて、(気に入れば)その流れで聴かれるのが良いかと思われます。

クリムゾンのベスト盤は私はあまりお奨めしません。モンスリーさんがご指摘の通りかなりバイアスがかかった選曲になっています。

投稿: francofrehley | 2004.11.11 10:03

モンスリーさん、francofrehleyさん、ご指導ありがとうございます。
やはりベスト盤でラクしようなどと思わず、宮殿を聴いたほうがよさそうですね。
みなさん総じて評価は高いですし。
さすがに初心者でボックスにまで手を出すのはちょっと・・・
免許取り立てなのにベンツ買うようなもんですわね。
プログレの道は一日にしてならず。

投稿: SYUNJI | 2004.11.13 00:00

そうですね、皆さんがおっしゃる通りクリムゾンは『宮殿』が気に入らないとその後が続かないと思います。
ベスト盤と言ったら私がサイトで紹介した『新世代への啓示』が良いのですが、残念ながらCD盤はちょっとしか出回らなかったようです。
アナログをかけるのが面倒だったので『ザ・コンパクト・キング・クリムゾン』というCD盤をよく聴いてました。トーキング・ヘッズが平気なら聴けるベスト盤です。

投稿: hello nico | 2004.11.13 16:28

 はじめまして、しゃしゃりでてすみません^^ Jiangと申します。
 80年代のロックに毒されてらっしゃると、言われるのなら、「Dicipline」をきかれるべきです。
ヴォーカルがA・ブリューである事で不評な80年代クリムゾンですが、ウエットンに「エレファント・トーク」のヴォーカルは合いません。
この、スリリングなアルバムを通されて、戻って見られるのも一興と思います。

投稿: Jiang | 2005.05.05 00:15

Jiangさん、初めまして。
ご指導ありがとうございます。

お勧めの「Dicipline」、少し調べましたが最初はこの名前のバンドとしてスタートしたそうですね。
で、ロバート・フリップはクリムゾン名義でアルバムを発表してしまい、事態がややこしくなったとか。
いいなぁ、内容はともかくロックバンドってこういった不穏な空気がたまりませんね。

サウンドが80年代の産業ロックに多少でも通じるようなものがあるのであれば、抵抗も少ないかと多少期待しております。

今後ともよろしくご指導下さい。

投稿: SYUNJI | 2005.05.05 16:38

ああっ、スペリング間違えてらぁ^^;「Discipline」です。^^
「Thela Hun Ginjeet」のジャングルビートはたまりません。「Indiscipline」に以前のクリムゾンの残滓が見られますが、全体的に乾いてる感じ。

投稿: Jiang | 2005.05.15 01:11

はじめまして。
自分で、キングクリムゾンの記事を書いた後、検索をかけ覗いてみたら非常に面白い記事でしたので先ほどTBしました。
今後も記事を楽しみにして見に来たいと思っています。それでは更新を楽しみにしております。

投稿: だいまつ | 2005.05.21 22:33

古き良きSYUNJIさんを読むシリーズ。第1回ののぷくちゃんです。

>ここからUKを経てエイジアへ展開していったということは、ジョン・ウェットンも一般大衆受けする路線を選んだってことなんでしょうか。

多分、でも何でエイジアやめてしまったんでしょう。自分がクリムゾンにレイクの後に入って比べられて嫌な思いをしたから、今度はツアーで暇そうなレイクに俺の代わりをやらせてやると思ったのか・・・・てな訳ないか。

ちなみにウエットン、少し前の来日時にはクアトロ系でライブやったらしいです。髪が後退していたとの情報も・・・続く。

投稿: ぷくちゃん | 2005.10.18 17:23

先輩、こんな昔のエントリにコメント感謝です。
「古き良き」って、今は良くないということなのか・・

>自分がクリムゾンにレイクの後に入って比べられて嫌な思いをしたから、今度はツアーで暇そうなレイクに俺の代わりをやらせてやると思ったのか

こういう愛憎むき出しのところがロックの魅力。
ところでジョン・ウェットンとグレッグ・レイクって、同じグループで活動していた時期はあるんでしたっけ?
仲悪いんでしょうかね?

>髪が後退していたとの情報も・・・続く。

先輩、写真ですよ。写真。ぜひ。

投稿: SYUNJI | 2005.10.20 23:54

IN THE COURT OF THE CRIMSON KING
なんといってもこれがクリムゾンの名盤です。と私は思っています。

投稿: うきき | 2005.12.19 03:11

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