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独断と偏見

いつからこういう組み合わせで使われてきたのだろうか、「独断と偏見」。
2つの言葉は本来意味は同じではないが、単独で使用されるよりもセットでの方がよく見かけるような気がする。
なぜかわからないが「偏見と独断」とは言わない。

今を去ること25年ほど昔、学校の先生にこれを多用するヒト(中年女性)がいた。
自分はその時すでにこの組み合わせに何の面白味も感じていなかったし、正直「古くさいな」と思っていた。
70年代末のことだ。
ところが、どういうわけかこの組み合わせは、すたれることなく21世紀においてなお使われ続けている。
ネットでも、検索すると数万単位でヒットするのだ。
驚くほかない。

「独断と偏見」を最初に公の場に著したのは開高健だという話を聞いたような気がするが、確証はない。
いずれにせよ公文書やあらたまった場面で使われる組み合わせではなく、くだけた文章や会話の中で用いられる。
自分の考えや趣味・選んだものなどについて、やや自信がないような時に「一応入れておく」形で使うことが多いようだ。

しかしである。
使う方に聞いてみたいのだが、「独断と偏見」って、おもしろいですか?
まだ笑いのとれる言葉なんでしょうか?
もはや何のチカラも持たない言葉だと思うのですが・・

「独断と偏見」って書いてある文章は、書いた人から「ボクこんなこと書いてるけど、許してね。でもボクっておもしろいでしょ?」と言われているような気がして、なんかすっごいイタイのだ。
どうしてこれって死語にならないかなあ?
世間で「死語」として認識されていれば、まだ運用のしかたもあるってもんだ。(そうでもないか?)
が、未だ何の疑いもなく綴ってしまう方々がおられるのは、本当に驚きである。

ネットでも新聞でも雑誌でも、「私が独断と偏見で選ぶ今年の映画ベスト10!」などという記述を見ると、はっきり言って脱力である。
読み手の脱力をねらって使っている、というのなら意図はわかる。
「トホホ」という言葉なんかはそう使われる。
「トホホ」自体もう死んでる言葉だし、それを入れることでよりいっそうの脱力感を表現する意図があっての運用だ。
ただしそれなりの表現力は必要な気がしますけど。

たとえば「私が選ぶ名画ベスト10」というサイトがあったとしよう。
ヒトの好みの問題なんだから、「こいつこんなくだらねーの選んでやがる」と思うこともあるだろう。
そんなことはお互いに何を選ぼうが勝手なんだから別にいいのだが、むしろせっかくいい趣味してるのに「独断と偏見で選んでみました」なんて書いてあったら、なんだかがっかりしませんか?
こんなこと考えてるのって自分だけ?

若い人たちにとっては、特に古いとも思われていないのでしょうかね。
もしかして「独断と偏見」てのは実はとてもナウイのでしょうか。
あ、だんだん文章が汚くなってきちゃった・・

全然関係ないのだが、つい最近スポーツ新聞でとても脱力な見出しがあった。
近鉄とオリックスの合併についての記事だったのだが・・

「ファン怒号 近鉄バッキャローズ」

どうです。
21世紀なのに「バッキャロー」だよ。
なんか脱力を通り越してめまいがしそうである。
バッキャローかよ・・・言われる近鉄も気の毒だなあ。
球場で「バッキャロー」とどなった観客なんかホントはひとりもいないんだろうなあ。
当たり前ですが。
実際に「バッキャロー」って言ってみるとわかりますが、赤面しますよ。
よく考えればただのダジャレなんだけど、アエラに使われる前に出しておいて良かったかもね。

・・・話がそれました。
「独断と偏見」を使うこともヒトの好みだから、いちいちとりあげるような問題ではないかもしれない。
なんたって「独断と偏見で」やってるんだから、何を書こうと何を言おうと勝手だって?
「トホホ」「バッキャロー」なんかといっしょにするな?ちゃんとした熟語だし、誤用じゃないって?
それはその通り。
ただ自分にとっては、何というか船酔いみたいな気分にさせる言葉なのだ。
使われすぎて、もうボロボロだと思います。

もうそろそろ、使うのやめてみませんか?「独断と偏見」。

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コメント

身近にいる女27歳が何度か使っている事に気が付きました。

その「私の独断と偏見で○○にするね」の響きは、SYUNJIさんの言う

>ボクこんなこと書いてるけど、許してね。でもボクっておもしろいでしょ

の感じに似ています。
ちょっと照れが入った感じで、それでいて有無を言わせない雰囲気があります。

ちょっとでも反対したら…コワッ

投稿: hello nico | 2004.07.04 02:08

すみません、ちょっとオネガイ。
左のトラックバックでELPが二つもリンクされてしまったので、一つ削除していただけるとうれしいです、ごめんなさい。

投稿: hello nico | 2004.07.04 02:13

nicoさん、こんばんは。コメントありがとうございました。
27歳の女性だと特に「独断と偏見って古い」という感覚はないんですかね?
やめた方がいいって言ってあげたい気分です。

TBの1つは削除しておきました。

こちらもちょっと質問していいでしょうか?
たぶんnicoさんのページもそうだと思いますが、タイトル部分に画像(nicoさんの場合は「マイナーでいこう」のGIFかな?)を貼ってあると思うんですが・・
自分も一応画像を貼ってるつもりなんですけど、これが持続性がなく、記事をアップしたりどなたかがコメントされただけでもデフォルトの青一色に戻ってしまうんです。
自分はstyles.cssを直接書き換えてるのですが、毎回アップロードし直しです。
どこかが間違ってると思うのですが、もしおわかりでしたら、教えていただけないでしょうか・・?

投稿: SYUNJI | 2004.07.05 23:16

サラッとしかソースを見ていないのですが、styles.cssの名前を変えていないせいなのではないでしょうか?
同じファイル名の為、リフレッシュされてデフォルトが表示されてしまうとか…

私はstyles_nico1.cssという別ファイル名でアップしています。サブタイトルの「タダヨウワタシ」の前にリンクを書き込んでいますよ。
今日はお金にならない仕事をしているので、あまりマジメに見れませんが、今度キチンとお答えしますね。

投稿: hello nico | 2004.07.07 01:05

なるほど、CSSファイルの名前を別名に変えないとダメなんですね。
ということで、やってみました。
テストを兼ねてコメントしてみます。
これでデフォルトに戻らなければOKということですが、果たして?

投稿: SYUNJI | 2004.07.10 18:42

OKです!
nicoさん、ありがとうございました。

投稿: SYUNJI | 2004.07.10 18:42

ちょっとトップの画像(背景)がずれて下の青が出てますよ。

投稿: hello nico | 2004.07.11 23:26

うわ、ホントだ。
すみません、かさねがさねありがとうございます。

投稿: SYUNJI | 2004.07.12 22:28

はじめまして。
「独断と偏見」という言葉のおかしさについて調べていて、たどりつきました。
私の記憶では、1970年代半ばくらいに、バラエティー番組で若い女性タレントが使ったのを見たのが初めてです。
本来は「偏見による独断」というべきものを、若い女の子が知った風に漢字熟語を並べる・というところに可笑しさを狙った、ギャグ的言い回しと受け取りました。
現在では「独断と偏見」をギャグ的言い回しではなく、普通の言い回しだと思っている若い人も多いような気がします。

投稿: Hyaru | 2006.04.23 22:32

Hyaruさん、初めまして。
こんな古いエントリにコメントありがとうございます。
自分でも書いたことを忘れていました。

この言葉の状況はあまり変わっていないように思いますが、若い人が普通の言い回しだと思っているのはよろしくないですね。
世代によってニュアンスが違ってくるのはトラブルの元になるような気がします。
未だにこの言葉を平気で使ってしまう人に、この言葉の持つイタミを早く感じてほしい、とくだらないことを考えています。

投稿: SYUNJI | 2006.04.23 23:36

レスありがとうございます。
「独断と偏見で・選ぶ」というような使われ方をしますが,何か変ですよね。専門家ではないので,論理的に説明はできないんですが。
でもかなり定着してしまい,残念ながら後戻りは難しい状況のようにも思います。

投稿: Hyaru | 2006.04.25 20:25

この記事、以前も読んで非常にショックを受けたのですが、忘れっぽいのでころっと忘れてました。
今日「最近のコメント」欄の所にタイトルがあったので思わずクリックして、思い出して再度青ざめました。船酔い気分にさせるような言葉だったんだ~(そういえば)。
あの時もコメント付けようかと思ったけれど、超長文になりそうだったので遠慮したのですが今日は付けちゃおうかな。

国語辞書の「独断」の欄の例語に「独断と偏見」って出ているので、既に普通の言い回しになってると思います。
実は私、自分のサイトのコンテンツの中のタイトルに使っちゃってるのです。

確かに好きな言葉ではありません。
……でも使っちゃった……。

「おもしろいでしょ」なんていう自信満々なアプローチとは逆で、自信が無かったんです。

「独断と偏見によるボウイそっくりさんベスト10」というコンテンツなんですが、「全然そっくりじゃないじゃん」と言われた時に「私にはそう感じられたんです、私ってヘンなのかも。あなたの感じ方の方がきっと正しいです。ごめんなさい~」っていう言い訳ですね。タイトルの下にも言い訳付けてますが。言い訳だらけのページ。言い訳だらけの人生。ああ、きっとそういう下手なネガティブさが不快感をさらに増幅させるに違いない。そのくせ、「でも他の人がどう思おうと、私はこう思ってる」という頑固さもある。別の方がおっしゃっている「有無を言わせない雰囲気」っていうのがまさに合っているのかも。

「怒らせないように、嫌な気分にさせないように」という気持で使った言葉が思わぬ所で気分を害してしまうようで、言葉って難しいですね、何事もそうなんだろうけど。
言葉の使い方にネガティブな生き様までもが表出するようで恐くなりました…。
文章から滲み出るのではなく、こんな短い言葉でバレてしまう!?
どうしよう、もっと良い言葉は!?
……私の場合、言葉の使い方以前に他の部分を見直さなければいけないんじゃ……?
SYUNJIさん、これ、すっごい難しいテーマですよ。

でも、私の事だから、きっとまたすぐ忘れてしまうんだろうなぁ。

投稿: YAGI節 | 2006.04.30 01:11

Hyaruさん、YAGI節さん、コメント感謝です。
お二人の言われるとおり、すでに定着した言葉だとすると、むしろ自分の勘違いかもしれませんね。
たぶん自分にとっては「生理的に嫌い」な言葉ではあると思います。

YAGI節さん、もし自分の物言いで気分を害されたようでしたらすみませんでした。
(姉に言われると弱い弟)
自分も文章書くとき自信がない部分はいろいろ言葉を無駄に盛りつけてごまかそうとしてますね。
もし「独断と偏見」に代わる言葉を探そうとすると、確かに意外に見つからないもんですね。
どこかの著名ブロガーのように「ボウイそっくりさん選手権!」にするとか・・・(ダメだっつうの)
うーん・・「独断で選ぶ」でいいと思いますし、「勝手に選ぶ」「強引に選ぶ」「無断で選ぶ」なんてのもいいのではないでしょうか・・?

少し話がズレますが、もう新聞でしか目にしない表現、あの中でも生理的にダメなのがけっこうあります。
「ほろ苦デビュー」「看護師さんやーい」「出かけま専科」「がんばったで賞」・・
あとAERAのアオリに毎回憤りを感じてもいます。
(自分、結局許容量が小さい・・)

投稿: SYUNJI | 2006.05.01 21:57

「独断と偏見」で検索していてたどり着きました。
この記事を書かれたのが2004年。10年後の2014年でも頻繁に使われてます。コメントにあるように、この言い回しが出てきたころを知らない若い人が「普通の言い回しだと思っている」から完全に定着してしまったんでしょうね。ある仕事において、他所と調整せずにこれは単独で進めようと私が判断した案件があって、そのことを若い部下に伝えると、「独断と偏見で進めるんですねっ!」と嬉しそうに言うので、「アホ!独断はするけど偏見はないっ!」と言ってやりました。彼が意味を解ってくれたかどうか・・・

投稿: johnnysan | 2014.08.14 16:03

johnnysanさん、はじめまして。
10年前の記事にコメントありがとうございます。

>この言い回しが出てきたころを知らない若い人が「普通の言い回しだと思っている」から完全に定着してしまったんでしょうね。

そうかもしれないですね。
世代や個人によって使う時の感覚は相当違ったものになっているように思います。
10年たってもこの言葉に対する自分の感覚は全然変わってませんが・・

>そのことを若い部下に伝えると、「独断と偏見で進めるんですねっ!」と嬉しそうに言うので

これ読んで思ったのですが、若い人は「この言葉は年長者にはウケがいい」と確信して使ってるんでしょうかね?
つくづく不思議な言葉だなぁ・・

投稿: SYUNJI | 2014.08.15 22:50

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